2016年1月16日土曜日

【本】島津斉彬 加藤蕙 PHP文庫

明治維新に導いた西郷隆盛、大久保利光、
五代友厚、島津久光などに方向を示し、
メンターであり、モチベーションの源泉
でもあった島崎斉彬。

どういう人物だったのか、どうしてその
様な人が生まれ育ったのかを知りたくて
この本を読みました。

とはいえ、題名とは裏腹に、半分以上の
ページは斉彬の曽祖父、祖父、父の話
に割かれており、斉彬に関する所も、父
との確執とお由良騒動が殆ど。斉彬が
藩主になってからの事は本当にあっさり
史実を書かれています。

斉彬が家族、家中の逆風に会いながらも
日本と藩を改革していこうとする姿は
どれだけ辛い人生だったろうと感じます。

早くから父から藩主を受け継げれば良かった
のだが、財政面での立て直しを成し遂げた
成功者の父は、その座を譲る気は無い。

革新的な斉彬よりも、自分の路線に近い
久光を無理やり後継者に置き換えようと
する父との戦い。そのごたごたより斉彬
の有能の部下達が根絶やしにされる。

確執が無ければ、もっともっと早くから、
斉彬による日本改革は進んでいたかも
しれません。又は、討幕ではなく、幕府
改革をして違う日本の姿になっていた
かもしれないと想像させます。

斉彬のカラッと明るい表面の裏に隠され
た苦悶も含め、よく感じられます。

読後感は「重い」ですが、斉彬を
知りたい人には面白い1冊です。

2016年1月13日水曜日

【本】明治維新とイギリス商人 トマス・グラバーの生涯 杉山伸也 岩波新書

五代友厚を語る時に切っても切れないのが
グラバー商会。
長崎のグラバー邸も有名ですね。


でも、グラバー氏がどういう人だったの
か、ちゃんと分かっていませんでした。


幕末に薩長の貿易振興や武器入手に協力
した商人という事は学校でも習った覚え
があります。

とても有名で、大商人というイメージ
ですね。

でも、本当は彼が貿易商としての活動は
わずか10年間にすぎなかったとの事。


イギリス生まれ、イギリス育ち。
18・9才で上海に渡り、21才で来日。
23才で大きなイギリス商会の代理店
業を開始。色々な海外商社の代理店
をしていたので、貿易も艦船も武器
も売買する事ができたとのこと。

初期はお茶や生糸、両替などで利ザヤ
を稼ぐ商売をしていたが、幕末の動乱
期にどんどん業務や規模を広げて行っ
た。

日本の各藩や幕府からの要望で、売上
の減って来ていたアームストロング社
に大量の兵器を発注して、アームスト
ロング社も大喜び。 という時代の
連鎖を生んだ。

五代友厚とは特に親しく、五代28才、
グラバー25才で議論を通じて共感を
得て行ったようだ。グラバーの妻も
五代が世話したとのこと。

ただ、グラバーは多額の借金を背負
っていて、明治になってから最後は
倒産してしまったのだが、彼の情熱
で高島炭鉱を作り上げたし、高島炭鉱
を三菱が買うと、三菱の顧問や、鹿鳴館
の書記や、キリンビールの前身を立ち
上げたりした。

明治41年には外国人としては異例の
勲二等旭日章を受けた。そして、日本
で亡くなったとのこと。

政治の好きな商人。経済人、企業家。
そして、情熱の人という印象です。

幕末・明治維新の時代が作った快人
という感じですね。



最後に、この年まで知らなかった事
が一つありました。それは「東インド
会社」。

学校でこの名前は何回も聞きましたが、
それが一つの会社ではなく、各国が国毎
に作った会社(イギリス東インド会社、
オランダ東インド会社など。。)
という事だった事を、この本で初めて
ちゃんと理解できました。。。