水野さんの”いきものがたり”は放牧後の追記をして文庫になったもの。山下さんの”いつでも心は放牧中”は放牧期間中に発刊されたもの。
水野さんの文庫追補版が出たので読んでみるのと併せて、山下さんの本も再度読み返してみました。
いきものがかりの同じ歴史を生きて生きたので、ダブるネタも当然ありますが、お二人の違いもはっきり感じられます。
水野さんは、自分と「いきものがかかり」というチームがどう成長していったか、音楽面とビジネス面・マネジメント面と関係者へのお礼、宣伝も兼ねた書き方。印象的には有限会社いきものがかりの社長が自叙伝とを書いたという感じを受けました。
水野さんは、音楽ビジネスで成功したい。そのためにすべき事はという事は何かを何時も強く意識されて考えているのだと思いました。真面目で、一生懸命だという事も良く分かりました。
山下さんの本は、あくまでも一人称で、自分の人生とその中で「いきものがかり」という活動の意味、自分の考え方、生き方を書いてみたという感じ。
山下さんはTVやステージ上ではつまらなそうに無表情にサイドギターを弾いて、トークでも自分視点でちょっと的外れな話をする人。 という印象を持っていました。
でもこの本を読んで ビジネス的成功というよりも、自分を自由に、自分にとって価値のある生き方をしたいと思っている方なんだなと分かりました。
今年 TVで「BSいきものがかり」という番組をやっていますが、山下さんは殆どしゃべる部分がない(カットされているかもしれませんが)と思っていましたが、ビジネス的ではなく自分のしたい事を自由にやっている若者やミュージシャンがゲストの時は、沢山の質問を発しています。
又、キャンプの場面では、ゲストの芸人達とも普通の友達トークで興味シンシン何やってんの?という感じで生き生きしています。
なるほど、オフステージで友達が多いのはこういう人柄が出ているからなんだな。と思いました。
たぶん、所謂世俗的なビジネスの話や慣習などには関心ないという事なのでしょう。でもきっと本人は、ビジネス面でも失礼な事をしてはいけないと思っているのでトークも控えめになってしまう。という事なのかなと思いました。
水野さんは、放牧中も沢山の作曲、楽曲提供をしていたとの事で、音楽業界でのプレゼンスや人脈を戦略的に着々と作っているのだと思います。
ちょっと気になるのは、集牧後にリリースされた水野さんの曲を聴いていくと、まとまりは良いけれど、なんとなくどこかで聞いた事のあるメロディーラインや詞の組み合わせ感があること。沢山の楽曲提供をするためには、自分の中で効率的な作曲方法を勿論作り出しておられるのだろうと思いますが、それが平板感を生んでいるのかもしれません。
新アルバムの「スピカ」、「あなたは」や「太陽」もいいですね。
放牧後の”いきものがかり第2楽章”は山下さんや吉岡さんの創造性がより輝く事になるのかもしれませんね。
又、吉岡さん一人で歌うばかりでなく、3人のハモりの曲も増えていくといいな。
ずいぶん勝手な書き方をしてしまいましたが、「いきものがかり」は大好きですので、変わらず大成功(商業的というよりも、自分達が実現したと思っている事を)を収めていってもらいたいと願います。