2019年5月28日火曜日

【宇宙】オウムアムアの謎

2017年に星間空間からやってきて、太陽系でスイングバイ(加速と方向転換)をして去って行った巨大物体のオウムアムア。

①非常に細長い形
②表面の光の反射が、通常の彗星等の10倍高い。(金属の様)
③重力以外の方法での加速が行われた
  ガスは望遠鏡で見えない。
④棒手裏剣の様に回転している。
  回転の遠心力を考えると、物質の集合体ではなく固体状と推定される
⑤太陽系の惑星公転面にほぼ垂直の方向から来た


というのが観測された情報。


やはり彗星の一種なのでは?というのが公の天文界の見解の様子。

ハーバード教授がもしかしたら宇宙船かも、、という話をしたが検証できず。



というのが状況の様ですね。

勿論ネットでは、既に米国が隠密に着陸して調べて古代の宇宙船だったという事が分かっている、、という様な記事もありました。


とにかく不思議な飛行物体だったという事は皆の一致している話らしいし、データがあまりに少ないので誰も断定的な事が言えないのです。


私は、この1ヶ月ほど アイザック・アシモフのSFにドップリ浸かっているので宇宙観測船だと考えると楽しいなと思います。

①の形。 素直に人工物をイメージさせます。
②やっぱり金属で出来ているのでは?
③何らかの加速を行った。姿勢制御のロケット噴射かもしれないし、他の方法かもしれない。
④SFの宇宙ステーションで良くある、回転により疑似重力を船内に作っている。
⑤太陽系の全体像のデータ収集には最も適した方向から来たのでは?


と、コジツケも出来そうです。

1回来たならば、今後 2回目、3回目の星間物質の訪問があるかもしれませんね。
恐い様な、楽しみな様な、、、、

2019年5月6日月曜日

【本】驚異の再生医療 上田実 扶桑社新書

今年の1月1日に初版発行になった本です。

副題は ~培養上清とは何か~。

著者は名古屋大学医学部名誉教授の方。


NHKで札幌医科大学でやっている脊髄損傷患者への幹細胞投与(本人の幹細胞を培養して大量に増やして再注入する)によって、身体麻痺した患者さんが従来のリハビリ経験とは全く異なる好成績での回復をしたという番組を見ました。

しかも、この治療が来月から健康保険適用になるとの事で、再生医療がついに身近になって来たという事と、その劇的な効果の可能性に驚きました。

そこで、再生医療の前線を知りたくてこの本を読んでみました。


すると、日本ではIPS細胞を用いた研究には大きな金が出ている事。札幌医大がやっているような幹細胞を用いた再生医療の試み、それに加えて培養上清液という物を用いる試みがある事が分かりました。

上田先生は、培養上清液を用いれば、安全かつ低コストにて実効的な再生が出来るという事を発見したとの事。


IPS細胞や幹細胞での研究は、それらの細胞を(分化)増殖して、それを身体に入れることでそれらの細胞が修復作業をしてくれるハズという考え方。

対して培養上清は、幹細胞培養時にできる培養液の上澄みで、細胞から放出される生理活性物質が沢山入った液体(細胞は入っていない)との事。

それを患者さんに投与すると、患者さんが最初から体内に持っている自分の幹細胞を元気にし、その自分の幹細胞の働きで再生組織が作られているという働きを起こす。

しかも、他の人の物で作られた培養上清でも拒絶反応が出にくいし、大量作成や錠剤化も可能との事。


色々な障害に効果を発揮。
アルツハイマー病の人に投与してみたら、かなり劇的に認知症状も軽減されたらしい。


米軍も再生医療を開発中で、妖精の粉と呼ばれているとの事。

テレビで妖精の粉を使った再生医療の中で、切断された指を元通りに再生する治療が紹介されました。設題した指の断面に妖精の粉を乗せて、包帯で包んでおきます。何かすると、切断してなくなってしまった指が伸びてきます。しかも、爪まで再生されているのです。これには、さすがの私(上田先生)もびっくりしました。 

この妖精の粉は作成方法は異なりますが、培養上清と同じ生理活性物質を含んでいると推察できます。どちらも細胞が含まれていないということが共通点です。


IPS方式が持つ課題(癌化の可能性等)や、札幌医大などの幹細胞増殖方式の欠点(時間や費用が膨大)がクリアされ、非常に現実的かつ有効な手法の様です。

実用化されれば、スゴイ可能性がありそうです。


但し、色々な成分が入っている培養上清が、どういう化学メカニズムで効くのかという詳細メカニズムが解明できていないので、日本の行政では薬事化が難しく、製薬会社も乗って来づらいとの事。動物実験は沢山行われているが、人間での治験は日本の仕組みではハードルが高いとの事。

そこで、ノルウェーの有力大学と名古屋大学での国際連携プロジェクトという枠組みを作り2019年から進めようとしている。


上手くいけば、日本の発明なのにノルウェーの大学から特許申請し、EUの製薬会社が作る事になりそう。


上田先生は、実用化されて再生医療が”身近に使える医療”になる事は喜ばしいが、日本でそれが出来ない事に本当にガッカリされているという気持ちが伝わってきます。


尚、先生の論文を見て、アジアの会社が培養上清液もどきを作って、日本のクリニックなどが輸入して商売しているという現実もあるらしい。(美容とかそういう方面でしょうか) ネットを検索すると、確かにいくつかヒットします。


再生医療、しかも 患者自身の自然再生力を用いた再生医療が低コストで出来れば非常に良い方法だと私も思いました。


しっかりした方法で、素早く 検証と実用化を進め、一方でまがい物は規制するという仕組みを日本国行政が進めて欲しいですね。

2019年5月4日土曜日

【本】ファウンデーション(銀河帝国興亡史)シリーズ アイザック・アシモフ ハヤカワ文庫

英語のブラッシュアップの為に、図書館でペーパーバックを借りて読もう。その前に、その日本語訳本を読んでおこうと考えました。

最初は、アガサクリスティにしようと思い、オリエント急行殺人事件を久しぶりに読みました。面白いのは面白いですが、突然 読者に与えられていない情報を用いてポアロが推理したりする所ですっかり萎えてしまいアガサを使う事を止めました。

その図書館にあったペーパーバッグで次に目についたのは、トムクランシーとアシモフでした。

そんな訳で、このシリーズ1-3巻を図書館から借りてGWに読みました。


SFは学生の頃から好きなのである程度は色々な作品を読んでおり、アシモフのコレも書店の背表紙でも散々見ていたのですがまだ読んでいませんでした。

古典と言ってよい有名作品なので、内容は書きませんがとても面白く、第1巻だけを読んでみるつもりでしたが一気に3巻まで行ってしまいました。


物語の設定やスタイルが斬新(古典なのにこの表現はおかしいかもしれませんが)です。


物質科学と精神科学の2本柱の世界感は、どことなくEEスミスのレンズマンシリーズを連想させました。書かれた年を見ると、レンズマンシリーズに少し遅れて書かれた様なので、それに影響を受けたのか、又はその時代(第2次世界大戦前後)はこういう世界感がアメリカにはあったのでしょうか。


レンズマンシリーズが、正義の銀河連合対悪のボスコーンという対立構図は、執筆当時の第2次大戦の連合国軍対日独伊という構図をイメージ投影して書かれています。

しかし、ファウンデーションシリーズはそういう現実世界の投影ではなく、純粋SFとして書かれている様に思える所が差異かもしれません。


同時代のSF作家のアーサーCクラークと比べても、クラークが技術者的な書き方なのに比べて、アシモフは文科系的な書き方という見方も出来るかもしれません。


現実世界を見ると、遺伝子操作なども含めて科学技術はどんどん進んでしまうが、人間の精神的な進化は殆ど進んでいないのではないかと感じられます。 

アシモフの言う第2ファウンデーションが人間性進化なのかは分かりませんが、少なくとも科学技術の進化をコントロールできるような人間の知恵や意識の進化という両輪が必要なのだろうと多くの人が感じているのではないでしょうか。

XX工業大学など科学技術の推進体制はありますが、人間性を進化させることを研究し進化させる開発体系(政治・経済学のような技術ではなく)も作る事が必要そうです。

すでに有るのかな?