表題はキャッチーな表現になっていますが、内容は まじめで 心理学の発展過程や、人間の心と反応、テクニックを分かりやすく説明してくれる本でした。
テレビにはメンタリストと言って出ている芸能人もいますが、ヒトラーやトランプなどの政治家、ビジネス交渉人、人たらし、コマーシャル など、日常生活の中でも こういうテクニックに触れる機会は多いと思います。
コールドリーディングもこの中の一つの手法ですね。
多分、どんな分野であっても、ベテランの人はいくつかのテクニックを自然と身につけていて、この本を読んでも、「そんなの知ってるさ」と言うのではないでしょうか。
この本は、そういうテクニックをかなり広く数多く網羅しています。
又、最後に テクニックに騙されない方法も書かれています。
そして、この本の真の狙いは「相手が気持ちよくなるコミュニケーションスキルを学ぶこと」との事。
具体的な手法をいくつか抜き出してみると、
たらし込み
男性は 能力とか結果をほめる。(プライドをくすぐる)
女性は プロセス(結果よりも頑張っている姿など)を理解示しながらほめる。
皆が言うような事ではなく、内面をほめたり、ちょっと違う角度からほめる。
悪い状況ではメールや電話は使わない。(実態よりも悪い想像を相手がふくらませがちになる)
甘い言葉や良い知らせはメールや電話で伝える。(より良いイメージをふくらせてもらい、感情を高部らせられる)
相手を上手に誘導するテクニック
無言のテクニック
ーー傾聴、相手の自身を失わせる、
うなずきのテクニック
ーー早いペースでうなずく事で相手の口はなめらかになる。
ほめて育てる
ーー「気遣ってくれてありがとう。よく気が付くよね」など行為をほめる言葉を相手に投げかけることを繰り替えす。
ほめてライバルを手中におさめる
ーー敵意むき出しの相手もほめる。「あいつは案外いいやるなのかもしれない」と思い込ませし、飼いならす。
オウム返し
ーー真剣に聞いているフリをする。「自分は受け入れられている」と思わせる効果がある。
「そうだよね」と相手をつつみ込む
ーー女性には共感して肯定しているという言葉が効く。
反論は「Yes but.法」で
ーー反論を表に出さずに、実質的に主導権を握る。
あえて「頼み事」をして味方に引き込む
ーー頼りにされたという満足感や好意、親近感を感じさせる。
名前を頻繁に呼んで親密度を増す
ーー名前を連呼されているうちに、相手に対して親近感を覚えるようになっていく。
弱みを見せて少ない報酬で満足感を与える
ーー過酷な労働をしても低報酬だと、過酷なのに報酬が少ないのは「自分の評価が低いためでない」と否定するために、「自分が楽しいからやっているんだ」と思い込ませようとする心理が働く
「両面提示」で相手を完全に信用させる
ーー良い面だけでなく悪い面も提示する事で、より高い好感度を得る。
ミラーリング
ーー相手の動作に同調する事で、相手は好ましく思ってくれる。
「真摯な相づち」
--話をしている最中の相づちは最後まで沢山うつ。または、最初は少なめで後半ほど多くすると「もっとあなたの話を聞きたい」という事のアピールになる。
相手の右側から近づく
--安心感を勝ち取れる。
入退室でのお辞儀
--お辞儀が洗練されていると、良い第1印象を持たせられる。
しぐさで読む
視線
ーー右上を見ているときは記憶を「思い出そう」としている時。左上を見ているときは「考えだそう」としている時。
まばたき
ーー男性は嘘や気が小さいと まばたきが多い。 なるべくまばたたかない様にした法が良い印象をを与えられる。一方、女性は嘘をつく時は、まばたきせずに相手をじっと見つめるもの。
セクシーなしぐさ
--女性は「髪を触る」「右にあるものを左手で取るようなクロスの法則」。男性は「腕まくり」「ネクタイを緩める」など
会議・プレゼン・交渉で相手にYESを言わせるテクニック
伝えたい事を先に言うか、後で言うか
--相手が興味を持っているときは、前置きから入るクライマックス法を。 相手があなたの話にそれほど関心が無い時は、単刀直入にアンチクライマックス法で。
「誤前提暗示」の罠にはめる
--こちらに都合の良い前提で、相手に2択させる。(与えられた選択肢の中だけで物事の判断を下す様に誘導する) いきなりAとBのどちらが良いかと迫るなど。C,Dの選択肢を考えさせない。
「一貫性の原理」を逆手に取り無理難題を押し付ける
--簡単にYESと言える”小さなお願い”から入り、自分の行動に一貫性を持たせたいという心理につけこんでより大きな要求も飲ませるように持っていく。
人の罪悪感を利用した悪魔のテクニック
--とうてい受けられない過大な要求をまずぶつけて拒否させてから、本命の要求を持ち出す。
「コントラスト効果」で選ばせる
--本命の案のわざと上下の案を作って提案して、真ん中に誘導する。
「ランチョン・テクニック」で錯覚させる
--おいしい食事や楽しい時間の中で交わされた会話や人物に人間は好印象を抱く。 パワーランチなど。
少数意見でも自分の主張をかたくなに繰り返し、一貫した態度をとる
--多数派の人も、「もしかしたら自分たちが間違っているんじゃないか。。そこまで言うならやってみようか。。」と思わせる。
これ以外にも、沢山のテクニックが載っています。
最後に、他人に「操られない」ための心構えとして紹介されているのは、
1.すべての人に「いい人」と思われようとしない
2.感情をあおられている状況で物事を判断しない
3.少しでも不明点があれば納得がいくまで説明してもらう
4.他人からもらう「不自然で大きな利益」は信用しない
5.情報収集力と分析力を身に着ける
6.絶えず「批判の目」で物事を見る事を忘れない
7.急なしぐさの変化は「嘘」をついているサイン
騙しのテクニックにあふれている現実生活を、サバイバルしていくためにこれらの知識を得ておく事は有用そうです。