2026年6月27日土曜日

【本】光の量子コンピュータ 古澤明 インターナショナル新書

 NTTがIOWNというデータセンターの内外を光でつなげて、コンピューティングを電子から光に置き換えていくという構想の事業を始めています。光化で 電力消費が1/100に、伝送容量も125倍にできるとのこと。


それに連動して、光量子コンピュータへのチャレンジも東大発ベンチャーと一緒に始めると発表しました。

2030年までに100万量子ビットを達成する。(使える量子コンピュータになる)ことを目標にしています。


古澤氏はその光量子コンピュータ研究をゼロから研究して立ち上げた人。

ムーンショット 誤り耐性型大規模汎用光量子コンピュータの研究開発 プロジェクトマネージャー。

現在も東大、理化学研究所、ベンチャーを兼務して製品化に向けて進めている。


量子コンピュータは今 マスコミなどにホットな話題になっている。


それが出来ると、現在使われている大規模因数分解式の暗号が解読されてしまうのでヤバイ。(量子コンピュータでも簡単に解けない暗号方式=PQCに2031年までに米国政府機関の暗号は切り替えるようにトランプ大統領は命令書を出した)


現在のスーパーコンピュータでも解けない多数のパラメータを持つ計算を量子コンピュータは易々とできてしまう可能性がある。などなど。(重ね合わせや量子もつれを使って)


現在の世界各所で量子コンピュータ開発は争われていて、その方式も超伝導体を使った量子ビット方式、原子やイオンを使った量子ビット方式(イオンをレーザー冷却などで止めて行うイオントラップなど)、スピンを使った量子ビット方式(NMRを使ったり、ダイヤモンドのNVセンターを使ったり)、、など多種が競われている。(日本でも超伝導方式の量子コンピュータを理化学研究所で作成したり、光量子方式も研究している。)


超伝導他の方式は、極低温に冷やしたり、真空が必要だったりして大規模化が難しい。

一方、光量子方式は常温常圧、時間多重もつれで超多ビット化ができるなど大規模化(スケール)が容易。

しかも、IOWNなどの光通信との親和性が高い。

という事の様で、成功すれば量子コンピュータの本命になるのではと思われる。しかも、日本はデバイス技術ももっている。


この本は古澤氏が研究のとっかかりから、どうイノベーションを起こして光量子コンピュータの現実化にたどりつきつつあるのかを分かりやすく説明している。


重要なのは、量子テレポーテーション、大量に量子、量子もつれを作れるか、誤り訂正ができるか。らしい。


量子テレポーテーションは、瞬間移動ではなくて、手元の量子情報は消えるが、遠く離れた場所で同じ量子情報を取り出せるという事。

大量の量子もつれは、誤り訂正(多数決で決める)とも連動するが、社会課題に役立つだけの量子計算ができる量子ビット(実用化には数百万量子ビットは必要と言われている)を、光なので時間領域多重で作るとのこと。

量子ノイズの低減(良いスクイーズド光を作る=位相のそろって量子もつれのペアとなる光子を光パラメトリック発振器で作る)。


これらを、デバイス開発もNTTなどと行って、研究的には実用化レベルに持ってきている。



この技術が完成すれば、日本が量子コンピュータの世界でブッチギリの優位性を持てることになりそうで、とても期待したいと感じた。


生成AIで起こっているデータセンターブームとそれに伴う急上昇しそうな電力需要を、IOWNとこの技術で極限まで抑える事が出来るのではと予感できる。

人類にとって、大きな価値を生む技術だと思いました。


政府も含めてAllジャパンで応援と加速を図るべきテーマかと思いました。

お金も人も、もっと大規模に動員して時間を早められないのだろうか?


【本】量子力学と私 朝永振一郎 岩波文庫

 小中学生の時、日本のノーベル賞受賞の偉い先生は、湯川先生、朝永先生と習いました。

当時はお名前だけ。


高校時代に受賞テーマを聞きましたが、素粒子のしくみについての内容という程度の理解でしたが、そういう分野で二人の世界TOPレベルの研究者がいたという事は、日本の物理学っていうのはスゴイのかもという印象を受けました。


でも、戦前戦後のあたりの日本って、明治維新から半世紀強ぐらいしかたっていないはずなのに、欧米の後追いをしていた時期なのではないのか? 当時の日本が得意としているのは、養蚕とか発酵とかそういう生物、工学的な分野なのではないの? という漠然とした疑問をもっていました。


大学で物理を習いましたが、量子力学の授業でシュレディンガー方程式とか出てきて、意味わかんない という気持ちになって、それ以降は量子力学とはなるべく距離をおいて生きる(レーザーとか半導体とか量子の結果を生かしたマクロな話には沢山接しながらですが)事にしてきました。


たまたま、今になって量子を必要に迫られてちょっと勉強しようと、入門書を色々と読んでいるところですが、その中で本書も読むことにしました。


朝永先生は、あの「量子力学」でノーベル賞を取った人だから、書かれた本も超難しいに違いないと身構えながら読み始めたのですが、実はとっても分かりやすいし、やさしい本でした。


これを読んで、初めて湯川さん、朝永さんが当時の日本で世界TOPレベルの仕事ができた訳が分かりました。


量子力学は1925~30年ごろにハイゼンベルグとシュレディンガーによって数学的に発表され、今までの古典力学と全く異なり、理解できない世界を提示しました。

その当時の日本では、大学でも誰もそれを教えられる人もなく、欧州から帰国したばかりの仁科氏が理化学研究所で量子力学に興味を持つ学生や若手研究者を集めて独自サークル的にその最新論文等を読んで研究するという事を始めたとのこと。


そういう意味では、世界中の物理学者は量子力学に関しては皆 同じスタートラインで始めるという時代だった様子。


湯川氏も朝永氏も色々な量子のしくみを考えては計算してみてダメだった(答えが無限になってしまうなど)という事を繰り返して、研究していったとのこと。朝永氏は欧州に渡ってハイゼンベルグのいる研究所で研究もしています。


そういう時代と、お二人の努力で 日本人として初めて世界TOPレベルの成果を出してノーベル賞に輝いたという事がわかりました。 時代の変わり目に、若いパワーでうまく乗れたのですね。


本の後半に「光子の裁判」という法廷小説もどきのストーリーや、電光掲示板のランプのたとえで波と粒子の2重性や不確定性原理をわかりやすく説明しています。

今まで読んだどの入門書よりも分かりやすいのでビックリしました。


もっと前にこれを読んでいれば、、量子力学を毛嫌いすることもなかったかも と思った本でした。

理系を目指す高校生ぐらいにちょうど良い本かもしれませんね。


2026年6月21日日曜日

【本】ChatGPTとは何か  超絵解本 ニュートンプレス

 ついでに、最近話題の生成AIに関しての本も見てみました。2024年発刊なので、この世界は毎月のように進化しているから最新の情報ではないですが、この10年ぐらいの間でAIがらみで色々と話しにでてきていた言葉の意味やAI進化の中でどういう位置づけになって、どういう事をしていたのかがとても分かりやすく書かれています。 

畳み込みニューラルネット(CNN)や敵対的生成などなど、、、生成AIに関してもその基礎となる部分の仕組みも分かりやすいです。

マスコミはAIを万能のように報道しますが、実際の中はどうなってるの? という事を知りたい人におすすめです。


生成AIのさきがけとなった画像生成AI

 2015年ごろから 画像認識AI、2022年ごろから 画像生成AI、 2022年11月 ChatGPT


生成AIで、思い通りの答えをもらうためのプロンプトの考え方

 目的を伝える。役を指定する。出力形式を指定する。回答内容のレベルを指定する。英語で入力する。回答例を与える。


ニューラルネットワーク

 神経細胞のはたらきを人工的なニューロンで再現する。

 ディープラーニングは、人工ニューロンを多数用いて層状のネットワークを作ったもの。

 形式ニューロンによって学習する。形式ニューロンは、情報の入力を受け取って、それを「重み」と呼ばれるパラメータをつけて、形式ニューロンが破綻しないように「バイアス」を加算して情報を処理して学習する。


深層学習(ディープラーニング)

 画像認識:画像に含まれる特徴をAI自身がみつけだせる。

 自然言語処理:ある単語の次はどの単語がきそうかという特徴も、深層学習で急速に向上。


 機械学習:教師有り、教師無し。 

 ・誤差逆伝播法:出力と正解の差を求め、誤差を逆方向に伝えながらパラメータを更新していく。

 ・敵対的生成ネットワーク:生成された結果と本物を見分ける様に学習させたAIと生成AIを競わせて学習を行う。


 スケール則:モデルの規模(パラメータの数)を大きくするほど性能が向上する。

  ・多様なネットワーク構造を作りうるので、その中から最適なものを探せる確率が高くなる。(宝くじ仮説)


 Transformer:Googleが開発。自己注意機構で単語どうしの関係をベクトル化してつかむ。

  ・単語ベクトルは意味が近いほどベクトル同士の距離が近くなる。 ベクトル同士の距離は内積を計算する。これで、文章中の離れた位置にある単語どうしの意味的な結びつきを見抜く事ができるようになった。


 大量の「穴埋め問題」で性能が急上昇

  穴埋め問題はAIが自動で作れるし正解が分かっているので、膨大な文章データを事前に学習する事ができるようになった。


 ChatGPTでのファインチューニング

   教師有り学習 して、その結果を人間が順位付けして その順位つけを学習させて報酬モデルを作り、報酬モデルと生成モデルを組み合わせてループさせ、強化学習を繰り返す。


画像認識

 以前はCNN(畳み込みニューラルネット)が主流だったが、今はVision Toransformerが流行っている。画像をジグソーパズルのピースの様に分割して、ベクトル化する。


文字から画像を生成する

Stable Diffusionは2022年に公開された深層学習を活用したテキストから画像生成を行うモデル。

 Transformerを応用して、文字と画像の関係を学習。それを使う。

 ノイズを混ぜて画像の穴うめ問題も解かせて学習させる。(拡散モデル)

 画像生成モデル DALL・E。


【本】光と色の科学 ニュートン超絵解本 ニュートンプレス

 量子の話を読んだので、関連して光についても復習しました。


ダイヤモンドの中の光は40%に減速する。屈折率は、真空中と比べたときの光の遅くなる程度を示す指標。屈折率が大きいほど光は遅くなる。

 真空:30万Km. 水:22.5万Km. ダイアモンド:12.4万Km


色がちがう光はガラスの中でも速さも違う。 波長が短い光ほど、減速が大きい。(だから凸レンズでは色収差が起きる)(虹は水滴で。副虹は水滴内で2回反射)


逃げ水は空気で屈折。 

(雷は、湿気の多い所や原子、分子の多い所など比較的電気の通り易く、抵抗が少ない道を通るのでジグザグに進む)


ダイヤモンドのブリリアントカットは、上から入る光を全反射させて戻す。色分散もかかるので、明るく様々な色に輝いて見える。


火星の夕焼けと朝焼けは青い

 火星は大気が薄いのであまり散乱されないが、朝夕は通ってくる大気層が長いので青色が散乱されるように見える。 (地球では、青色は上空で散乱されるので長波長しか朝夕は通ってこないので赤い)


天才画家たちが生む出した独特の色使い

 補色を使うと、たがいの色が映えたり、絵全体が調和したりする効果がもたらされ、印象深くなる。  青⇔黄色 赤⇔緑 オレンジ⇔青緑 


光圧

 光を照射された物体は、物体中に存在する電子などは光が引き起こす電場と磁場の振動から力を受ける。直観的には、沢山の光子がぶつかるからと考えると分かり易い。


電子レンジ

 マイクロはは物質を作る分子の電子、そして分子全体を揺り動かす。それで温まる。


2026年6月17日水曜日

【本】量子論 14歳からのニュートン超絵解本 ニュートンプレス

 最近 量子〇〇 というな話題を良く聞くようになりました。

量子力学は学生時代に入門編を習いましたが、難しいし、言っていることが実感とかけ離れているという事で、なるべく触れないようにこれまで生きてきました。

でも、すでに数十年経っているので、ちょっと覗いてみようかという気持ちになりました。

大人向けの本は難しかろうと思い、中高生向けのこの本を借りて読みました。

驚いたことに、色々説明で語られているたとえ話は数十年前に聞いた事と変わっていない印象でした。 

教える側の人が良く理解していれば、人に分かりやすく説明できると思うのですが、説明が変わっていないという事は、量子力学に関しての人々の理解度は当時とほとんど変わっていないのかもしれません。

とはいえ、初めて知る事もあり、この入門書で覚えておきたいと思った点を記してみます。


・量子の二つの重要事項。

「波の性質と粒子の性質を同時に持っている」

 「一つの物が複数の状態をとることができる。状態の共存(重ね合わせ)」


・量子論が明らかにしたミクロな世界の事実として、

 「原子の姿は、原子核のまわりを”電子の雲”がとりまいているイメージ」

 「真空では物質が生まれたり消えたりする」

 「電子などのミクロの物質は、壁をすり抜けられる(トンネル効果)」

 「ミクロな世界では、完全な無も完全な静止もない」

・夜空の星が見えるのは、光に粒子の性質があるから。

・電気ストーブにあたっても日焼けしないのも赤外線の光子粒子は化学変化

 を起こさせるエネルギーをもっていないから。


・量子論が目に見える例
超流動
 ヘリウムはー269度近くまで冷やすと摩擦や粘性がゼロになる。
 ヘリウムの一部であるヘリウム4は「ボゾン」という粒子であるため。
 (光子の粒子は「ボゾン(ボーズ粒子)」。電子の粒子は「フェルミオン(フェルミ粒子)」)
 ボゾンからなる物体を超低温状態にすると、量子論的な波が同調して一つの波の様に
 ふるまう。
 その結果、ヘリウム原子全体が同調して流れるため、原子同士の衝突や摩擦がなくなる。
超伝導
 例えば水銀はー269度まで冷やすと電気抵抗がゼロになる。
 極低温状態で2個の電子がつくる「クーパー対」はボゾンとしてふるまうことで起こる。(電子は1個はフェルミオンなのに)
 クーパー対の超流動の様なイメージ。

・波と粒子
 電子を用いた2重スリット実験などをおこなうと、スクリーン上の一点一点が沢山
 集まると干渉縞模様になる。
 波としてきた電子が、観測を行うと収縮して粒子としての姿を現す。観測後は再び波
 として周囲に広がっていくと考えられた。
 うまくはイメージできないが、電子を波として計算して、そのふるまいを予測すると
 様々な実験結果をうまく説明できる。
 観測前は波として広がって(確率分布をもって分身して)存在している。
 ボーアなどは、「電子の波はマクロな物体と相互作用すると収縮が起こる」と考えたが、
 なぜそうなるのかは今も謎。

 但し、2重スリット実験でも、スリット直後に観測装置をスリット毎に置くと、スク
 リーンには干渉縞は現れない。 状態の共存が崩れるから。

・位置と運動量の不確定性関係 (ハイゼンベルク)
 不確定とは「実際は決まっているが、人間には知る事ができない」という意味ではなく、「多くの状態が共存していて、その後、実際に人間がどの状態を観測するかは決まってい
 ない」という意味と理解して。

・真空像

 自然界にはさまざまな量(物理量)の間に、不確定性関係が存在する。自然界はミクロ

 な視点で見れば、不確定であいまい。

 「エネルギーと時間」の間にも不確定性関係がある。

 何も存在しないはずの空間(真空)の、ある領域を拡大してミクロな世界を観察すると、

 ごく短い時間でみたとき、場所毎のエネルギーは不確定でゆらいでいる。ある領域が

 非常に高いエネルギーを持ち、そのエネルギーを使って電子などの素粒子が生まれて

 くる可能性があるの。

 ただし、真空から生まれた素粒子はすぐに消滅し、もとの何もない状態に戻る。

 エネルギーの不確定性は「ごく短い時間」という条件付きであり、長い時間では不確定

 性はなくなるから。「真空のもつエネルギーのゆらぎによって、素粒子があちらこちらで

 生まれては消えている」というのが量子論が明らかにした姿。


・トンネル効果

 ウランなどの放射性を持つ原子が「アルファ粒子」(ヘリウム原子核)(放射線の一種)

 を放出する現象は、核力の縛りによるエネルギーの山をトンネル効果ですり抜けて起

 こる。(注:ちなみに アルファ線:ヘリウム核、β線:電子、ガンマ線:電磁波)

 太陽の中心温度は1600万度しかなく、本来はプラス同士で反発して衝突しないはずの

 陽子同士が、トンネル効果で衝突して核融合反応を起こしている。


・場の量子論
 現代物理では、自然界の最も根源的な存在は、磁場や電場のような「場」だと考えら
 れている。磁場とは磁力が生じる空間、電場とは電気的な力が生じる空間を意味する。
 例えば、電子は「電子場」に生じた波だと考えられている。電子が存在しなければ、
 電子場は”平ら”。
 空間には電子場以外にも、素粒子の種類だけ場が存在する。多数の場が積み重なる様
 にして、同じ空間に同居している。
 (それぞれの場は独立しているのではなく、影響をおよぼしあう)
 つまり、私たちの体や身の回りの物体をつくっているのは小さな固い粒ではなく、空間
 と一体化した「場」だといういう事になる。
 場の存在を前提として量子論を「場の量子論」と呼び、現代の素粒子物理学の基礎と
 なっている。

・無から生じる有
 原子核や素粒子レベルでは、もともと存在していた粒子が消滅し、全く別の粒子が現れ
 る事が普通にある。その例としてβ崩壊がある。
 β崩壊:中性子(アップクォーク1,DQ2)が消滅して、陽子(UQ2、DQ1)、
 電子、ニュートリノが現れる。

・力の仕組みを説明
 量子論では力を”量子論的な粒子”のキャッチボールで説明する。
 2つのボート間で①ボールを投げるとその反動でボートは後退し、ボールの受け手も
 反動で後退する。⇒反発力
 ②2つのボートがお互い背中を見せる様に浮かんでいて、ブーメランを投げると2隻
 は近づく。⇒引力
  電磁気力:光子のやりとり。弱い力:W粒子。 強い核力:中間子  
 この3つは説明ができる。(重力:重力子はまだ)

 重力を統合するには、一般相対性理論と量子論を融合させる必要がある。
 その試みが「超弦理論」。
  超弦理論:素粒子をひもだと考える。極小のひもが様々に振動すると、その振動の
       違いが素粒子の違いとして見えるという考え。
       ひもは重力子だけは閉じていて、それ以外は開いた形と考える。

・量子論を応用した最新技術
  原子時計:電子軌道が計算できるようになったので。
  レーザー:誘導放出
  半導体:エネルギーバンド
  量子コンピュータ:状態の共存を使う。
  量子暗号:盗聴されると光子の偏光状態が変わる
  量子もつれで光子を配送:
   量子かぎ配送には、「量子もつれ」という現象を利用する方法もある。
   量子もつれは、量子論の中でもとくに奇妙な現象。例として、光子の偏光を考え
   ると、光子の縦横方向の偏光は、観測されるまでは縦と横の2つの状態を同時に
   取る事ができる(状態の共存)。この時、特殊な条件で2つの光子を作ると
   「共存状態でありながら、2つの光子の偏光の向きがそろっている状態」にできます。
   すると、この2つの光子がどれだけ離れていても、片方の光子の偏光の向きが確定
   した瞬間、もう片方の光子の偏光も同じ向きに確定する。
   量子もつれを利用すれば、人工衛星を使って遠く離れた2地点に光子を一気に配送
   する事が可能。(地上配送では光が減衰するために、中継地点を用意する必要がある)

以上だが、観測される物理現象は量子論の計算が合致しているのだろうが、出てくる話は
今聞いても 眉唾の話にしか思えない。 私の頭が古典力学で固まっているからでしょうか。

ただ、若い世代は、子供のころから量子論を聞いていて、世の中そういうものだとスンナリ飲み込めているのかもしれない。  若者に期待です。


 


2026年5月16日土曜日

【宇宙】本 太陽系の謎を解く NNHK「コズミックフロント」制作班 新潮選書

 NHKテレビのコズミックフロントで放送された内容を文字化した本。


太陽系の旅に出よう ということで、この数十年で分かってきた事が分かりやすく書かれています。

舞台裏や、天文科学者は何をどう考えたのか? NASA探査プロジェクトはどう発足して進んだのかなど。


面白いと思った点を書いてみます。


ただし、オウムアムアに関しては、正直なんだかこじつけて結論出しているように感じました。

そもそも星間飛行する宇宙船が電波で何かをすると期待するのは合理的か? 

尾を観測できないのは太陽系外の物だからで納得するのは合理的か? 

もう一度 アヴィ・ローブさんの本を読み返してみようかと思いました。

もっとも、これが現在の科学研究の限界を教えてくれる本ということなのかもしれません。



・探査機ボイジャーの誕生秘話


★木星

・生きていた衛星イオ

  火山の噴煙が見つかった。地球の火山の10倍以上も高く上がる噴煙。

  見つかったのは全部で8か所。


・小さすぎる火星の謎

  水、金、地と岩石惑星の質量は大きくなっていくのは、塵・小天体が衝突を繰り返して

  作られていくので、軌道の長い方が大きくなって当たり前。

  でも、火星の質量は地球の1/10しかない。

  当時、火星あたりの塵などの材料が不足していたとしか思えない。


・小惑星帯(アステロイドベルト)の謎

  小惑星帯の中で、本来違う場所で生まれるはずの氷の多い小惑星と岩石が多い小惑星

  が見事にまじりあっている。

  出来たあとで、かき回されたとしか思えない。


・天王星と海王星の謎

  太陽からの距離が遠すぎる。

  その距離であの大きさになるには太陽系の年齢よりも時間がかかるはず。

  (塵ガス密度が薄いから)

  もっと太陽の近くで生まれてから、現在の位置に移動したとしか思えない。


・太陽系ではない他の恒星での惑星の謎

  系外惑星の発見が沢山できるようになったが、他の恒星では木星のようなガス型の大型

  惑星が恒星の近くにあることが多いことが分かった。(ホットジュピター)

  太陽系のように巨大ガス惑星が外の方で回っていることの方が例外的に見える。

  系外惑星は誕生してから恒星に近いところへ軌道を変えたとしか思えない。

  

・グランドタックモデル説

  太陽の周りを螺旋を描きながら成長して大きくなったが、火星軌道近くまで来た頃に土

  星との引力の相互作用で方向転換して外側に動いていき、最終的に現在の場所に落ち着

  いた。土星も同様に軌道を変動させて最終的に今の場所になった。

  そう考えると、火星軌道付近での材料不足や、小惑星帯でのまじりあいなどの説明が出

  来るのでは。

  相互作用が天王星や海王星と木星の間も起こっていたとすると、彼らが遠くに弾き飛ば

  されたのも辻褄があう。


・後期重爆撃期の謎

  惑星誕生時の各種の衝突が収まったあと、太陽系の誕生から7億年後(今から39億年前)

  に、太陽系の内側にある岩石惑星(水、金、地、火など)に、短期間で大量の小天体が

  衝突した時期があり、それを後期重爆撃期と呼ばれている。(月面の多くのクレータはそ

  れで作られている)

  これらは、グランドタックなど重惑星の軌道変化で弾き飛ばされたものが飛び交ってで

  きたと考えられるのではという説にもつながる。


・天王星や海王星が太陽系外へ弾き飛ばされなかった謎

  そのままシミュレーションすると天王星や海王星は太陽系外へ弾き飛ばされるという結

  果になってしまう。でも、土星と天王星の間に「幻の惑星」があったとして計算すると、

  辻褄があう。「幻の惑星」は木星の影響で太陽系外へ弾き飛ばされた。という説。


・木星の巨大オーロラの謎

  太陽から遠い木星では地球と違い、太陽からのプラズマ粒子の量は少ないはずなのに。

  イオの火山からの噴煙の二酸化硫黄がプラズマとなって巨大オーロラを作っていたこと

  が分かった。



★土星

・環

  1000本以上の細かい環が集まってできていることが分かった。

  幅およそ40万Km。厚さ1Km。


・北極のきれいな六角形の謎

  まだ良くわかっていない。


・濃い大気に包まれた衛星タイタン

  メタンやエタンなどの炭化水素の海や湖がある。山、砂漠、川もある。

  タイタン大気の下層の水素濃度が低い、表面でアセチレン濃度が低い。

  もしかしたら、水素とアセチレンを食べてメタンを出すメタン生成生物がいるのか

  も??

  地下に水の海もあるかも。


・衛星エンケラドスも生命の可能性あり?

  氷を吹き出す間欠泉。地殻変動をしている。潮汐力で摩擦熱が内部で起こっているはず。

  氷の下に液体の水がありそう。シリカも検出されており熱水もありそう。有機物も沢山

  ある。



★水星

・磁場の謎

  金星や火星にない磁場があるのはなぜか? 内部に磁場を生み出す液体があるはず。


・北極、南極に氷

  1兆トンもの氷が閉じ込められている様子。



★金星

・消えた海の謎

  分析により花崗岩がある様子。花崗岩は水を含んだ玄武岩がプレート運動で沈んで内部

  で溶けてできたというのが有力なシナリオ。

  一方、海があったなら酸素の濃度が高いはずだが現実は低く、海はなかった説もある。


・自転の方向の謎

  北極から見て時計回りがほとんどの太陽系の惑星の自転の方向(公転と同じ)。金星と天

  王星だけが逆転。



★火星

・消えた海と地球生命は火星から?の仮説

  40億年前海と陸があったらしいことは地形からわかる。また、地表のすぐ下に今も氷が

  あることが探査機で分かった。一方、40億年前の地球は全球海だったと思われる(陸が

  できたのは27億年前)。

  生命誕生には海と陸のある火星が有利。そこで、隕石にのって火星から地球へ微生物が

  やってきたのかも。 (地球生命は40~38億年前にはあったということが岩石の炭素12の

  量から推定されている)

  火星は海があったが、磁場がないので大気が太陽風で剝ぎ取られて気温と気圧は低下し

  て蒸発したのでは。(現在 地表温度‐40度)


・テラフォーミングアイデア

  火星全体に超電導リングを張って、人工的に磁場を作る。フロン発生工場を作り、フロ

  ンガスの温室効果で大気圧と温度を上げる。溶けだした氷で水ができ、地球から微生物

  を導入し生態系を作っていく。



★天王星

・自転軸の謎

  公転面に対して横倒し。(他の惑星は皆 ほぼ垂直)



★海王星

・時速2000Kmの風の謎

  内部に何らかの熱が発生しているのでは?


・衛星トリトンの謎

  凍った窒素でおおわれているが、間欠泉が噴出している領域がある。太陽光で暖められ

  たためか?

  海王星の自転方向と逆に回っている。元々はカイパーベルトにあったものが、海王星に

  とらえられたのでは。



★冥王星・カイパーベルト

・冥王星の白いハート模様の謎

  凍った窒素が氷河となって低地に流れ込んでできたのではないかという説がある。


・窒素はどこから来たのか?の謎

  内部から間欠泉のように供給されているのではという説がある。



★アステロイドベルト(小惑星帯)

・本来はもう一つ惑星があってもよい距離軌道に小惑星帯がある。

 この距離は、水が気体から個体に変わるのに十分な低温になる距離(=スノーライン)に

 なる。

 他の恒星系でも、スノーライン近辺に小惑星帯がある。ここでは、岩石に加え氷の固体が

 多いために惑星よりも早く成長できる。



★巨大惑星「プラネット9」を探せ

・カイパーベルト内の小天体の軌道が妙に引っ張られていることが分かった。地球の10倍の

 質量の惑星がもう一つあることが仮定すると辻褄が計算上合う。土星の軌道も精密再チェ

 ックすると、それもプラネット9の可能性を示唆した。探査がつづいている。



★謎の金属天体「プシケ」

・直径200Kmを超える巨大な鉄の塊の小惑星。探査機が向かっているところ。

 もしかしたら、クレーターはミルククラウンのような形になっているかも。



★オウムアムア (オウ:遠く方の使い ムア:初めて)

・2017年太陽系外から飛んできて、秒速26Kmで近づき、太陽でスイングバイし46Kmで去っ

 ていった。ただし、重力加速よりも早い加速で去っていった。

 物体の明るさが4時間ほどで10倍以上も変わった。

 →そこから縦横比10:1の細長く、長さ800mの物体が回転して移動と推定。

 →もし宇宙船なら電波出ているのでは?と計測したが人工的な電波は観測されなかった。

 →赤っぽい色をしているので、氷で出来た彗星説を唱える人も出てきた。

 →加速はガスの噴射によると唱える人が出てきた。ただし、いくら探しても噴出されてい

  るはずのガスの尾が発見できない。太陽系外のものだから太陽系とは別の構成物質で作

  られたのかもという理屈で彗星と結論した。

  (尾を出さない氷彗星仮説を唱えていた人は喜んだ)


・太陽系外から飛んできて太陽系に捕まったと思われる小惑星も見つかった。



2023年7月3日月曜日

【本】オウムアムアは地球人を見たか?(異星文明との遭遇) アヴィ・ローブ 早川書房

 著者はハーバード大学教授で、ハーバードで天文学科長を務めていた、天文学の世界のまっとうな重鎮。

ただし、ホーキング氏も賛同したレーザー+セイル小衛星で光速の20%まで加速し隣の恒星まで20年で到達させるプロジェクトを提案したり、ブラックホール・イニシアティブを創設したりしてきている非常にイノベーティブな人。


現在までに、2017年(オウムアムア)と2019年(2Iボリソフ)の2つの太陽系外から物体が来た事が知られている。そのうち、2Iボリソフは太陽系でも普通の彗星と同じ振る舞い(ガスの尾を引くなど)をしたが、オウムアムアは通常では説明できない振る舞いが観測された。


小さく

光を良く反射し(普通の彗星の10倍)

妙な自転をし

円盤状の可能性が高く(ネットやマスコミは棒状のイラストを垂れ流しているが、科学的にはパンケーキ状の可能性が高い)

太陽の重力だけで説明できる軌道から逸れて(加速して)いたが、ガス噴出は観測されなかった。それに、自転が変わらない(あれだけの加速を何か物質を噴出していたら自転に影響が出るはず)

加速エネルギーは太陽からの距離の二乗に反比例していた。

又、来たのは局所静止基準だった。



これらの症状振る舞いは、通常の小惑星などの知識では説明できない。


既に、飛び去ってしまったので検証はできないが、 現在は2つの可能性が提唱されている。


①自然起因の立場の人

  窒素氷説  窒素のガスなので観測できなかったという、、、


②異星文明により作られた(または廃棄された)物の立場

  お皿状でソーラーセイルの様な構造ならば、太陽光圧を使った加速に丁度符号する。

  反射能も金属ならば当てはまる。


アヴィさんは、②を提唱。理由もデータと解釈を細かく説明してくれています。


それ以降、彼は異星文明の物や事項を科学的証明手法で探していくエジソンプロジェクトをハーバードで立ち上げて活動中とのこと。


人間は、異星文明がある(あった)という前提で色々と検討していく方が、人類の発展により良いという考えらしい。



この本を読むまで、私はマスコミの細長い棒状の形だと思っていて、異星人宇宙船なのかとイメージしていましたが、これを読んで数々のデータを説明するのにオウムアムアは②の考えが合理的に思えました。


この宇宙に、文明が地球だけのはずもなく。


こういう物を作る文明は、どういう事をしたいたのだろう、、と想像の羽は大きく広がっていきます。