2020年2月23日日曜日

【本】他人を支配する 黒すぎる心理術  マルコ社

表題はキャッチーな表現になっていますが、内容は まじめで 心理学の発展過程や、人間の心と反応、テクニックを分かりやすく説明してくれる本でした。

テレビにはメンタリストと言って出ている芸能人もいますが、ヒトラーやトランプなどの政治家、ビジネス交渉人、人たらし、コマーシャル など、日常生活の中でも こういうテクニックに触れる機会は多いと思います。


コールドリーディングもこの中の一つの手法ですね。


多分、どんな分野であっても、ベテランの人はいくつかのテクニックを自然と身につけていて、この本を読んでも、「そんなの知ってるさ」と言うのではないでしょうか。


この本は、そういうテクニックをかなり広く数多く網羅しています。

又、最後に テクニックに騙されない方法も書かれています。


そして、この本の真の狙いは「相手が気持ちよくなるコミュニケーションスキルを学ぶこと」との事。



具体的な手法をいくつか抜き出してみると、

たらし込み

 男性は 能力とか結果をほめる。(プライドをくすぐる)

 女性は プロセス(結果よりも頑張っている姿など)を理解示しながらほめる。
     皆が言うような事ではなく、内面をほめたり、ちょっと違う角度からほめる。

 悪い状況ではメールや電話は使わない。(実態よりも悪い想像を相手がふくらませがちになる)

 甘い言葉や良い知らせはメールや電話で伝える。(より良いイメージをふくらせてもらい、感情を高部らせられる)




相手を上手に誘導するテクニック

 無言のテクニック
  ーー傾聴、相手の自身を失わせる、

 
 うなずきのテクニック
  ーー早いペースでうなずく事で相手の口はなめらかになる。


 ほめて育てる
  ーー「気遣ってくれてありがとう。よく気が付くよね」など行為をほめる言葉を相手に投げかけることを繰り替えす。


 ほめてライバルを手中におさめる
  ーー敵意むき出しの相手もほめる。「あいつは案外いいやるなのかもしれない」と思い込ませし、飼いならす。


 オウム返し
  ーー真剣に聞いているフリをする。「自分は受け入れられている」と思わせる効果がある。


 「そうだよね」と相手をつつみ込む
  ーー女性には共感して肯定しているという言葉が効く。


 反論は「Yes but.法」で
  ーー反論を表に出さずに、実質的に主導権を握る。


 あえて「頼み事」をして味方に引き込む
  ーー頼りにされたという満足感や好意、親近感を感じさせる。


 名前を頻繁に呼んで親密度を増す
  ーー名前を連呼されているうちに、相手に対して親近感を覚えるようになっていく。

 
 弱みを見せて少ない報酬で満足感を与える
  ーー過酷な労働をしても低報酬だと、過酷なのに報酬が少ないのは「自分の評価が低いためでない」と否定するために、「自分が楽しいからやっているんだ」と思い込ませようとする心理が働く


 「両面提示」で相手を完全に信用させる
  ーー良い面だけでなく悪い面も提示する事で、より高い好感度を得る。


 ミラーリング
  ーー相手の動作に同調する事で、相手は好ましく思ってくれる。

 「真摯な相づち」
  --話をしている最中の相づちは最後まで沢山うつ。または、最初は少なめで後半ほど多くすると「もっとあなたの話を聞きたい」という事のアピールになる。


 相手の右側から近づく
  --安心感を勝ち取れる。


 入退室でのお辞儀
  --お辞儀が洗練されていると、良い第1印象を持たせられる。




しぐさで読む

 視線
  ーー右上を見ているときは記憶を「思い出そう」としている時。左上を見ているときは「考えだそう」としている時。
 

 まばたき
  ーー男性は嘘や気が小さいと まばたきが多い。 なるべくまばたたかない様にした法が良い印象をを与えられる。一方、女性は嘘をつく時は、まばたきせずに相手をじっと見つめるもの。


 セクシーなしぐさ
  --女性は「髪を触る」「右にあるものを左手で取るようなクロスの法則」。男性は「腕まくり」「ネクタイを緩める」など

 


会議・プレゼン・交渉で相手にYESを言わせるテクニック

 伝えたい事を先に言うか、後で言うか
  --相手が興味を持っているときは、前置きから入るクライマックス法を。 相手があなたの話にそれほど関心が無い時は、単刀直入にアンチクライマックス法で。


 「誤前提暗示」の罠にはめる
  --こちらに都合の良い前提で、相手に2択させる。(与えられた選択肢の中だけで物事の判断を下す様に誘導する) いきなりAとBのどちらが良いかと迫るなど。C,Dの選択肢を考えさせない。


 「一貫性の原理」を逆手に取り無理難題を押し付ける
  --簡単にYESと言える”小さなお願い”から入り、自分の行動に一貫性を持たせたいという心理につけこんでより大きな要求も飲ませるように持っていく。


 人の罪悪感を利用した悪魔のテクニック
  --とうてい受けられない過大な要求をまずぶつけて拒否させてから、本命の要求を持ち出す。

 「コントラスト効果」で選ばせる
  --本命の案のわざと上下の案を作って提案して、真ん中に誘導する。


 「ランチョン・テクニック」で錯覚させる
  --おいしい食事や楽しい時間の中で交わされた会話や人物に人間は好印象を抱く。 パワーランチなど。


 少数意見でも自分の主張をかたくなに繰り返し、一貫した態度をとる
  --多数派の人も、「もしかしたら自分たちが間違っているんじゃないか。。そこまで言うならやってみようか。。」と思わせる。



これ以外にも、沢山のテクニックが載っています。



最後に、他人に「操られない」ための心構えとして紹介されているのは、

1.すべての人に「いい人」と思われようとしない

2.感情をあおられている状況で物事を判断しない

3.少しでも不明点があれば納得がいくまで説明してもらう

4.他人からもらう「不自然で大きな利益」は信用しない

5.情報収集力と分析力を身に着ける

6.絶えず「批判の目」で物事を見る事を忘れない

7.急なしぐさの変化は「嘘」をついているサイン




騙しのテクニックにあふれている現実生活を、サバイバルしていくためにこれらの知識を得ておく事は有用そうです。

2020年2月16日日曜日

【大河】麒麟が来る に違和感を感じるのは

昨年の「いだてん」は最初の2回は見たのですが、明治の時代と昭和の時代の演技の区別がなかなかつかず、いちいちこれはどちらの時代の事を見せられているのか? と考えるのにイヤ気がさして見るのを止めました。


ちょんまげと着物の江戸時代と昭和の話ならば、混乱する事もなかったでしょうが、明治後半と昭和はどちらも洋服で、話方も一緒では 一目で区別がつきませんでした。


大河は好きだったので、「麒麟が来る」が始まるのはかなり楽しみにしていました。

時代設定も戦国時代、しかも明智光秀ならば 馴染みのある史実だし、絶対に面白い時代だという期待がありました。


でも、今日まで5回見てきましたが、正直 もう見るのを止めようと思います。


どうしても、違和感がありすぎるのです。

一番 大きな違和感は、映像の絵作りです。服装が派手という話に対して、放送局側はいやいや時代考証していますからと答えているようですが、それ以前に 役者さん達の背景の自然(草や木、空など)の色彩がとっても不自然な事です。


彩度が高すぎる。色調も色を転ばせすぎている。 


又、屋内の場面などでは、非常に輝度が低くて暗い中。


と感じる事。家のTVは2Kの液晶テレビですが、他のドラマではそんな風に感じることはかなり少ない。

暗さは、ハリーポッターの映画をテレビで見た時と非常に似ているなと思いました。


勝手に推測すると、もしかしたらNHKは4K(または8K)用カメラで撮影しており、4Kや8Kで採用されている色空間やダイナミックレンジや諧調規格を目いっぱい使った絵作りを目指しているのではないでしょうか?


きっと、HNKの調整室や映像編集室のモニターは超高品質ディスプレイを使っていて、8Kや4Kで最もキレイに見える様に調整しているのでは。


それを、地上波デジタルで、しかも普及している2K液晶で見るとこういう事になってしまうのか?



広ダイナミックレンジや高諧調ならば、暗い輝度範囲の中でも諧調トビを起こさず見れる。または、超高品質ディスプレイならばディスプレイ自体が高輝度なので識別できるし、情報を余すところなく再現できると技術者は考える事は、デジタルフォトとしては理解できます。



でも、多くの人が見ているのは2K液晶。



すっかり政権の御用放送となっているNHKなので、政府や経産省、総務省から4K、8Kテレビへの買い替えを進めさせよという圧力のもとで、わざとそんな画質で放送しているのではとカングリたくもなります。



勿論、畑で野菜作り等をしている身としては、畑で土仕事をしている農民が洗濯したばかりの土もついていない服で作業をしているのも非常に違和感です。

又、明智光秀ってあんなに剣が強いという話も聞いたことがありません。



ただし、この辺りはフィクションのドラマだから、、と割り切って見ることは可能です。



しかし、彩度の不自然さは 大河ドラマでは 見てられないと感じます。 役者さんは頑張っていると思うので、かわいそうです。


NHKの思惑があるのでしょうか???  前回の「いだてん」もモロに五輪を盛り上げるための国策大河だったとは思いますが。

2020年2月15日土曜日

【マスコミ】新型コロナウイルスの対策 免疫力

この数週間、ニュースは新型コロナウイルスに関することばかり。

どの番組でも、殆ど同じ内容を繰り返すだけ。つまり番組としてバリューが付かないにもかかわらず、ずっと続けている。どのチェンネルでも同じ。専門でもないコメンテータが訳知り顔で喋るのも同じ。

他のニュースを流さない様に、何かの力が働いているか、マスコミがよほど「右ならえ」主義が蔓延しているのか。


感染源の分からない感染者が多く出始めた昨日、今日は、第2フェーズだと大騒ぎしているが、元から潜伏期間が長いという事なので、完全に予測の範疇の状態のはず。


驚くべきは、対策は「マスクしろ、手を洗え、消毒せよ」と口を揃えて言う。
でも、検疫官や医師も感染しているのですから、それでは不十分だけど という事は言わない。


今、対策として報道すべきは、不要な外出は控える、誰とでも濃厚接触をする機会を減らす。そして、自分の免疫力を上げるためには何をすれば良いか考えて行う。 という事ではないでしょうか?


インフルもコロナも感染しても軽く済むかどうかは、各人の免疫力によります。


感染自体は防ぎ切りようが無いのですから、本質的に免疫力を高める事が必要と思います。


睡眠を十分とる、暖かくする、腸内環境を整える、食事を整える、ビタミンCをとる、運動をする等等。


怖い怖いと煽るばかりから脱却して欲しいものです。

2020年2月12日水曜日

【知らなかった事】水曜日郵便局って知ってましたか?

週の真ん中の水曜日に、自分が何をして、何を思ったか、なんかを手紙に書いて、「水曜日郵便局」宛てに送る。すると、全国から集まった手紙を局員さんがシャッフルして、見知らぬ誰か(手紙を出した人の内の誰か)に送ってくれる。というしくみらしい。


森沢明夫さんの「水曜日の手紙」という小説を読んだら、出てきました。


その”水曜日の手紙”によって、書く人、受ける人が変わっていく様を、暖かく、希望に向けて描いたとても面白い小説です。


キーボードではなく、ペンで手紙を書くという事 自体が、現代では 小さな1歩を踏み出す良い行動になりますね。


見知らぬ人から、紙の手紙を受けるという事だけで、日常を少し離れた世界を作りますね。


読んで、気持ちが少し前向きになりました。




この「水曜日郵便局」という舞台設定は、良くできた話だなあと思ったのですが、実は 実在したサービスでした。

残念ながら数年前に終了してしまった様ですが、本当にそういう手紙の交換がされていたとの事。



粋な事を考えるクリエータさん、それを実行する心豊かな支援者、そして手紙を書き・受け取る人。


皆、人の心を感じられる一連の活動ではないでしょうか。



このプロジェクトの終了した理由は知りませんが、こういう素敵な世界がどこかで続いているといいなと思います。

2020年2月9日日曜日

【社会】フランス エリート社会

世界中を飛び回り、友達がいる恩師の教授に又 話を聞きました。


その中で、日本の大学研究者に対する文科省の制度のいびつさ(欧米の仕組みをシンクタンク等に外注して調べさせて、表面的なしくみだけ採用してどんどん研究者にとって不利な状況を作り追い込んでいる)の話もありましたが、それは又の機会に書くとして、政治の仕方に関して日本と欧米の違いについての話も聞きました。


フランスなどで、政治をしている与党野党、大統領、大臣など主要なメンバーは皆 少人数のエリート校の出身者ばかりなので、同窓会的なつながりで色々な事をさっさと意志決定して進めていける。との事。


それを聞いて本当なか、、と思っていたのですが、 グランゼコール という超エリート職業訓練(?)学校というのがフランスにはあるとの事。



例えば、フランス国立行政学院では、数多くの大統領や首相、大臣を輩出している。


ウィキペディアでは、2019年にエリート主義への反対の国民の声が高まったので、マクロン大統領が閉校を宣言したとされています。


でも、マクロン大統領自身もその学校の卒業生というオチがついています。



アメリカでも少数エリートの知り合い同士で政治を行っているという話を時々聞きますが、欧州ではそれを意図的に公的制度でやっていたのですね。



日本では東大がお国のお抱え大学みたいな感じになっていますが、少数精鋭のエリートという公的仕組みは無いように思います(知らないだけかもしれませんが)。


欧米のニュースを解釈していくにあたり、こういうバックグラウンドを理解しているか否かで判断が変わってしまう気がします。政治の世界も日本の常識は欧米の非常識という事なのでしょう。

【生活】冬 ひなたぼっこ の楽しみ

寒く、北風も吹く冬。

夕方5時をすぎると暗くなってしまい、通勤の往復も気分が沈みがちな季節です。


でも、東京近辺では 昼間の晴天率はかなり高い季節でもあります。



そんな冬には、休日の昼間「ひなたぼっこ」という極上の楽しみを味わう事が出来ます。



南向きの窓のカーテンを開け放ち、窓ガラス越しに差し込んでくる日光が作る「陽だまり」の中に身体を置いて、ゆっくり好きな読書をする。


”こんなに満ち足りて最上の時間はない”と思えます。



窓からは大きな青空が広がり、陽だまりはぬくぬくと暖かい。



そして、時間が経つにつれ、日差しの方向が変わり、地球や自然のリズムを感じる事もできる。。



お金は1円もかかりませんが、こんな贅沢な時間を過ごせるのはなんと嬉しい事かとつくづく思えます。


晴れの休日が待ち遠しくなります。


【本】ハンニバルの像つかい ハンス・バウマン 岩波書店

EUとはどうして出来たのか? を調べていく中で、どうしてもローマ帝国の事も知りたくなりました。

ローマ帝国と言えば、シーザーやネロ、アウグストウスなどの名前が浮かびますが、もう一つ。ローマ帝国を襲い、10年以上も恐怖に震えさせたハンニバルという名前も思い出します。


戦闘用の像を連れてスペインから雪のアルプス山脈を越えてイタリアに進軍した、空前絶後の将軍として知られています。


「ハンニバルの像つかい」は、確か小学校の時に読んだ記憶があります。

この本で、ハンニバルという名前を覚えたのだと思います。


内容はすっかり忘れてしまっていたので、図書館で借りて読みなおしました。


今回読んで、こんなに内容が重くて長い小説を小学生でよく読んだな と思いました。


主人公の少年と像が心を通わせあったストーリーをベースに、非常な戦争の姿をこれでもかと描写されています。沢山の死や災害が襲い掛かります。


この作品が書かれたのは、1950年代の終わりとの事なので、作者は、戦争や政治の欺瞞や恐ろしさをハンニバルの姿を借りて次世代の子供たちに物語で伝えようとしたのではないでしょうか。


子供時代に読んだ時にも、読後に悲しさや苦しさを覚えた事を思い出しました。でも、この本はキライになるのではなく、自分にとって貴重な事がかかれていると親しみをの印象を持った事も思い出しました。



ちなみに 原題は I marched with Hannibal という事を知りました。


ハンニバルの時代から2000年以上になると思いますが、人間は今も変わっていないのではと改めて思いました。

2020年2月8日土曜日

【本】あの人の「特別な存在」になる法則 石井裕之 フォレスト出版

コールドリーディングの本。

人は自分の事を「わかってくれる人」を求めているとの事。

コールド(cold) リーデイング(reading)は その場 で 運勢を読む という意味らしい。

つまり、占いのスキルも霊感もないのに、「相手の現在・過去・未来をあたかも読み取っているように錯覚させるテクニック」のこと。


騙そうと思って信じさせるなら悪質。ただ、相手の事を分かってあげるために、まず心を開いてもらうための「きっかけ」として「信じさせるテクニック」を使うのであれば、それは健全な姿勢との事。

考え方と、具体的テクニックもこの本で紹介されています。一部を抜粋すると、



具体例

①「(首を傾げて。。。)あなたは犬を飼っていませんか?」とあてずっぽうにカマをかける。

相手がyesの場合は、
「はい、飼っています。どうしてわかるのですか?」という反応が来る。

相手がNoの場合
「いえ飼っていません」
「(ほっとした感じで)ええ、そうですよね。よかった。もし買っていたとしたら非常に危険なので年のために確認しておきかったのです。犬はあなたにとって運気を下げる動物なので、これからも飼うのはやめたほうがいいですよ」 とすり抜ける。



②「あなたは犬を飼っていますね?」

相手がNoの場合でも、
「いえ、犬は飼っていません」
「でも、ペットは飼っていますよね?」
「はい! 今年からハムスターを飼い始めたんです」

 相手は”犬は”という表現をしたので、最初の質問の領域を拡大して繋げて話をしていく。



③元気のないスタッフに声をかける場合

失敗例
「最近、元気がないみたいだね。相談にのるよ」
「いや、大丈夫です。何も問題ありません」

成功例
「最近、人間関係で行く詰まっているみたいだね。」
「いいえ、人間関係は別に。。。」
「でも、何か悩み事をかかえているよね?」
「え? あの。。実は、〇〇商事の納品トラブルがあってから、営業としての自信をなくしてしまったっていうか、ここのところほとんど眠れなくて。。」

という様に、まずはあてずっぽうの情報を投げかける事で、本当の悩みを口にできるための「きっかけ」を作ってあげることができる。



④相手の返事に臨機黄変に対応する

「あなたは、他人からとやかく指示されるのがお嫌いですね?」
「いえ、私、自分に自信がないので、人からいろいろ言ってもらったほうが楽です」
「もちろん、昔はそうだったでしょう。でも、いまの貴方はずいぶん成長して、自分で判断して行動できるようになってきています」

という風に、、


こういうテクニックがあるという事を知っておくことは、だまされない為に必要なスキルなのかもしれないなと思いました。

2020年2月4日火曜日

【本】雨上がりの川 森沢明夫 幻冬舎

私の読む森沢さんの2冊目の本です。


やっぱり、根っからの悪人は一人も出てこない。

悲しい事はあるが、読後に少し心が温まる。


人間って、捨てたもんじゃないな という気になります。


すっかり、森沢ワールドに引き込まれつつあります。

早速、次の本を物色し始めました。

PS.
コールドリーディングって、ほんとうは相手との心の距離を上手に縮めて仲良しになるためにあるんだ。という言葉が頭に残りました。 (この本を読んだ人にしか分からないですね。。。)

2020年2月3日月曜日

【本】科学の困ったウラ事情 有田正規 岩波科学ライブラリー

著者は国立遺伝学研究所の現役教授ですが、「現状の日本の科学研究に関する不都合な真実」をぶっちゃけています。
これが岩波科学ライブラリーで出されている。

つまみ食いで内容を書くよりも、”はじめに”に書かれている事が全体をよく表しているので、転記します。


「 科学の進展は世の中で華々しく紹介されている。特に医療や健康面で科学への期待は大きく、新聞には優れた成果が続々発表されている。しかし、少し長い時間軸でみてみよう。ヒトゲノムがわかったのに、青色ダイオードがもたらしたような身の回りの変化は何も無い。ガンは相変わらず外科的に治すし、認知症も治療できない。ではニュースで聞く数々の新発見はどうなっているのだろう。

 研究者として肌で感じるのは、商業主義に偏っていく科学界の姿である。日本の政府はお金が無い。大学は自己収入を増やすよう求められ、研究者は「役に立つ」(=カネになる)研究をしろといわれる。そうしたウラ事情により、研究のスタイルや論文の書き方は、いま大きく変化している。しかし、それは世の中にあまり知られていないようだ。

 筆者はそういう困った事情を雑誌「科学」に連載してきた。ようやく1冊の本にまとめることができたので、読んでもらえれば科学の現状がわかると思う。ねぜプレスリリースが実態を伴わないのか、なぜ捏造が増えているのか、なぜ研究者は疲弊しているのか、科学に興味を持ってくれる人には、解決策も一緒に考えてもらいたい。」



本書の中では、色々と具体的な実例で 科学研究の常識と言われる事の裏事情を解き明かしてくれています。

これを読んで感じるのは、科学と呼ばれてきた分野は「商業化」「政治の道具化」がどんどん進んでいる事。

一般人の頭では、旧来の科学者のイメージが残っているが、現実の科学者はどんどん変わっている、変わらざるを得ないようになっている事。



私にとって、科学の商業化と感じる最も身近な例は、テレビの番組で医師や大学教授という肩書で登場してくるコメンテーターが、最新の医療情報ですといって先月米国で発表された論文ではこんなことが(例えば、コーヒーを飲む人はxxガンの発症率がこれだけ少ない等)発表されました。とあたかも正確で日本人にも適用できそうな口ぶりで紹介するバラエティー番組など。

本書によると、臨床前研究の論文成果を検証したところ(うち7割がガン研究)、再現性が得られるのはわずか25%という事実がNature誌で報告されているとの事。しかもインパクトファクター20以上の超有名誌または5~19の有名誌に掲載された論文のいずれにおいても、再現性のないほうが多く引用されているらしい。


そして、著者は「世の中の通念と異なり、われわれ研究者は出版される論文の内容が正しいとは微塵も思っていない。そもそも研究者は捏造データと不正確なデータとを区別しない。研究者には(捏造を含む)不正確なデータから正しい情報を見極める能力が要求されている。疑わしい論文なら引用しないで終わりである。自分で論文内容を精査するのでゴミが混じっていても問題視しない。捏造があまりに悪質で、研究者仲間からも見放された場合のみ、少数の腐ったリンゴとしスケープゴートにされる。痛み腐りつつあるリンゴはたくさん見かけるが、その白黒判定に労力を割きたくないのが実情だ。」との事。



日本の科学の世界。このままで良いはずはありません。

政治からの独立性をどう持たせられるのを、もっと民衆の声として問題視しないとこの悪い流れを変えられないのかなと感じた本でした。