国連憲章は中、米、英、ソ連を含む50か国の代表が1945年6月26日に署名し、国際連合は1945年10月24日に正式に発足した。
1945年8月6日広島に原爆投下、8月9日長崎に原爆投下。1945年8月15日が日本の玉音放送日、9月2日が降伏文書に署名した日。 1947年5月3日 日本国憲法施行。
そして、1956年12月18日 日本は国際連合に加わった。
この本の重要な部分を抜き出します。
国連憲章は
「われら連合国の人民は、われらの一生のうち二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳および価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念を改めて確認し、正義と条約その他の国際法の源泉から生じる義務の尊重とろ維持することができる条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること。
並びに、このために、寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互いに平和に生活し、国際の平和および安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。
よって、われらの各自の政府は、サンフランシスコ市に会合し、全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められた代表者を通じて、この国際連合憲章に同意したので、ここに国際連合という国際機構を設ける」
国連の目的は、
・国際の平和と安全を維持すること。
・人民の同権および自決の原則の尊重に基礎をおいて諸国間の友好関係を発展させること。
・経済的、社会的、文化的または人道的性質を有する国際問題を解決し、かつ人権および基本的自由の尊重を促進することについて協力すること。
・これらの共通の目的を達成するにあたって、諸国の行動を調和するための中心となること。
国連は次の原則に従って行動しなければならない。
・国連はすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。
・すべての加盟国は憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。
・加盟国は、国際紛争を平和的手段によって国際の平和および安全ならびに正義を危うくしないように解決しなければならない。
・加盟国はいかなる国に対しても武力による威嚇もしくは武力の行使を慎まなければならない。
・加盟国は、国連がこの憲章に従ってとるいかなる行動についてもあらゆる援助を与え、かつ国連の防止行動または強制行動の対象となっている国に対しては援助を慎まなければならない。
・憲章のいかなる規定も本質的に国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国連に与えるものではない。
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国際連合の生い立ちは、明らかに第2次世界大戦の連合国の集まりで、日本の敗戦も殆ど見えた段階において、その後の世界秩序を取り仕切ろうとしている物である事は間違いありません。
こういう平和憲章を作っておいてすぐに、日ソ条約を破ったり、原爆を投下したりというのは、日本から見たら2枚舌の行動ですが、”連合国の共同の利益になる武力だから良い”という論理なのでしょう。
日本憲法は、この国連憲章の直後に作られた物で、国連憲章の考え方を最も忠実に沿った憲法になっていると思います。戦後、多分 国連憲章を実行動で最も良く実現しているのは日本なのではないでしょうか。
国連には、安全保障理事会の常任理事国(中、米、英、仏、ロシア)があって、彼らだけは拒否権を使えます。ただ、問題を安全保障理事会で解決できない時(例えば常任理事国が侵略戦争をしているなど、、)の時は、全ての加盟国が1票を持つ総会で決議(2/3の多数で)をすることができる。とのこと。
紛争が起こった時は、事務総長の斡旋や、安全保障理事会(または総会)での経済制裁の決定や国連軍の派遣などが決められます。
明石氏の説明では、常任理事国の拒否権は、大国対国連の大戦争になるのを防ぐ機能を担っている面もある。そして、国連軍は平和維持活動や、公正な選挙が行われるように立ち会うなどの活動をしており、世界の軍事力のたった0.1%の人員で大きな効果を上げている。とのこと。
生い立ちはどうであれ、国連憲章は当時の日本人も望んでいた平和を追及するという思想で作られています。さらに、日本もこれの加入国で守る義務もあります。日本が進めなければならないのは、日米同盟の深化ではなく、国連という仕組みの深化なのだと思います。
例えば、日米同盟の代わりに、国内の現在の米軍基地は国連軍の極東基地とするという発想もあり得ると思います。X国が不法な行動をしたら、国連総会決議で明確化し、必要ならば多国籍国連軍を日本の基地から出動させる。なども、新たな枠組みでの抑止力と考える事ができそうです。
最後に、日本が加入した1956年の重光外相の演説を写しておきます。
「日本国民は、今日、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配している崇高な理想を深く自覚しております。われわれは、平和を愛する世界の諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を維持しようと決意しております。
・・・また、われらは、いずれの国も自国のことばかりに専念して良いのではなくて、政治道徳の法則が普遍的なものであることを信じておりますし、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他の国と主権的に平等の関係に立とうとする、すべての国の責務だと信じております。
こうした感情は、日本国民の固い信念を表すものでありますし、この信念はわが憲法の前文にもうたわれており、国際連合憲章がかかげる目的や原則とも全く一致しております。
・・・われらの深く希望することは、国際連合がつねに、世界平和の手段としてのその使命にふさわしい、できるだけ大きな権限を行使することであります。
・・・平和は一にして、不可分のものであります。日本は、国際連合が世界平和のための中心的な推進力であると信じております。」