2018年12月31日月曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る35 安心 天災対策

安心に対して検討した事を挙げてみます。


*地震対策

耐震強度:前述しましたが、その土地のハザードマップで推定されている震度に耐えられる構造(=倒壊しない)にしておきます。


家屋損傷:
それでも、家屋損傷は可能性があります。一番多そうなダメージは外壁へのクラック等になると考えました。クラックが入ると、そこから雨水が侵入して雨漏りになったり、構造体の腐食に繋がったりします。
そこで、外壁は通気構造にします。透湿工法では、そとん壁という外壁材を直接付けてしまうというやり方もあるとの事ですが、通気構造にする事で、たとえクラックが入ったとしても雨水は通気層から排水されるので内部構造に悪さをする可能性はかなり低くなります。
屋根の雨漏りの場合も、グラスウール等の断熱材だと、水が付くと断熱性能が落ちるとの事ですが、セルローズファイバーならば吸水しないので問題ありません。


断水:
断水になると、飲み水は備蓄と市営の共同井戸がありますが、最も困るのはトイレだと考えました。トイレを選定する時には、メーカーに強制的なバケツ放水等でも流せるかを確認しました。
流す為の水は、風呂水を溜めておく事以外に雨水タンクの設置も有用です。これは、庭の水やりや打ち水にも使えます。使っても雨さえ降れば勝手に再充填されるので重宝です。


火事:
火事は内側から起こすものと、外からの類焼の場合が考えられます。
内部からについては、火を使うのは台所のコンロのみ。暖房もエアコン暖房だけにして火を使わない様にします。
外からの類焼対策は、隣家との距離を出来るだけ取る事、雨戸や隣家との間に植栽をして窓からの火の進入を抑えます。外壁は燃えない無機の材料とします。
断熱材のセルローズファイバも自己消火性があります。もしも燃えた時にでも、有毒ガスを発生させない様にウレタン等の石油化学物質は極力持ち込まない様に考えます。
地震時に自動でブレーカーを落としてくれる装置もあるのでそれを使うのも良さそうです。


家具転倒:家具の固定方法を最初から考えておき、転倒止め金具が付けられる様に壁を事前に補強しておきます。


*停電対策

室内環境:
冬は高断熱と太陽熱を活かし、夏は日射遮蔽と排熱、夜の冷気(があれば)を活かす。必要に応じて基礎部分の涼風を取り入れる事も。


装置:
できるだけ電動を避けて、手動の物にする。特に迅速な避難が出来るかのポイントにもなる窓部は電動シャッターではなく、手動の雨戸にしています。


*情報途絶対策

TVはケーブルではなく、アンテナで。電波状態が良ければ、平面アンテナを屋内設置にするととても安心だと思います。


*台風対策

雨戸の設置。軒の長さ等も、強風でめくれない事を考えて決めます。大雨には水勾配をきちんと取るのと、排水側溝などが詰まっていないかの確認をします。
自転車も、なるべく家の壁に沿って駐輪できる様に考えます。


*雷対策

異常気象に伴って、ゲリラ豪雨など雷の発生頻度が高まってきています。雷が半径数キロ以内に落ちると、そこからサージ電流が電線等を伝って入ってきて、電子機器(パソコンなど)が壊れてしまう事が起こります。対策として、分電盤に雷サージ装置を組み込んでもらいます。
又、光通信のケーブルからもサージは入りますので、光ケーブルのONUに雷サージ対応が付いたプランにします。


*非常口

各部屋、最低2方向に逃げられる様に間取りと窓の大きさ等を考えておきます。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る34 実際の住み心地 快適性その他

前述以外の快適性に関係する要素は以下のように考えました。


*防虫
網戸を開けないで窓を開け閉めできるオペレータハンドル窓の採用と、断熱材のセルローズファイバーに入っているホウ酸の効果。床もフクビフォームの上下にホウ酸を散布。

それらにより、虫は殆どシャットアウト出来ています。たまに、外に干した洗濯物に付いて1匹ぐらい入ってきてしまうぐらいで、すぐに駆除できます。
虫を気にしなくて良いのは助かります。ベープなどは全て不要になってしまいました。


*音
外部からの音の侵入は、窓ガラスでは防ぎきれませんが、少し音量を落とす事はできます。それに加えて雨戸とカーテンを閉めればかなり小さくなり、近くにバス通りがあっても気にせず眠る事ができます。

ペアガラスの窓に内窓を付けて二重窓にした所は、さすがに外音が殆ど気にならないレベルに落ちます。断熱効果も高いし、最強の窓という気がします。

ピアノを置いた部屋は、隣家に向かう壁の窓は上記二重窓にしました。他の窓は遮音カーテンを閉める事で、外への音漏れはかなり小さくなり大丈夫。


家の中は、ある程度音が伝わる様にして家族お互いの気配を知る事ができる様にしました。壁は音の反射を高くする事で、音楽プレーヤーなどの音の響きも豊かになりました。


*空気
シックハウスガスは、天然素材を使う事とホルムアルデヒド吸収分解石膏ボードや漆喰壁を一部採用する事で、発生させない、又は、もし発生しても吸着・分解する様にしました。

漆喰は強力な脱臭機能と高アルカリの殺菌作用があるので、いつも無臭で清浄な空気に保たれます。


【本】気象学入門 古川武彦、大木勇人 講談社ブルーバックス

空を見ていると、毎日毎時 違う顔を見せてくれてとても面白いのですが、どういうしくみでそれが起こっているのかをちゃんと知りたくて読んでみました。

面白いと思った点を書いてみたいと思います。


雲の出来方。積雲は、多くの場合、日射により地表面のある部分が周囲より温められて軽くなると、地上付近から泡のように上昇する空気のかたまりの中でできます。泡のような空気をサーマルと呼ぶ。


教科書で空気の組成は「窒素78%、酸素が約21%」と習いますが、これは乾燥空気の場合。
実際は水蒸気を含んだ空気になるので、組成率はかなり変化する。水蒸気は空気を構成する気体として酸素に次ぐ3番目の気体である。
又、窒素の分子量28、酸素32に対して、水蒸気は18しかないので、水蒸気を含んだ空気は軽くなる。


発生したばかりの積雲は輪郭がはっきりしており、輪郭がぼやけた積雲は消えつつある雲。晴天時の積雲は時間が経つと消滅するのが殆どで、雲ひとつひとつの寿命は短く、せいぜい数十分。


水面から11km上空が対流圏界面になっており、積乱雲などは上に成長していっても、11kmで頭打ちになち横に広がる。


雨には、塩粒が核となって降る「暖かい雨」と、氷晶が核となって降る「冷たい雨」がある。氷晶が雪に成長し、地上の温度が高いと雪が融けて雨になる。地上の気温が2度以下程度だと雪で降って来る。


10㎜の雨量というと大したお湿りではない感じだが、これが雪で降ってくると体積が膨らむので地上何センチもの積雪になり交通混乱になりかねない。


地球のエネルギー収支(地球に入って来る方向のをプラス、出ていくのをマイナスとして)

太陽からの放射を+100とすると、地上に吸
収されるのは+49.地表や雲などからの反射
で宇宙に帰っていくのが-31.
太陽エネルギーを大気が吸収するのが+20.
地表から大気への熱放射は-102.
宇宙への放射は-12.
水の蒸発潜熱と伝導で大気に-30.
大気から地表への逆放射は+95.
大気から宇宙への放射は-57.

これで平衡状態になります。

雲や氷河等の増加があると、そこから宇宙へ反射するエネルギーが大きくなるので、寒冷化が加速されて「スノーボールアース」が起こったという歴史があると考えられる。


温室効果というと二酸化炭素を思い出すが、実は温室効果が最も大きいのは水蒸気。
二酸化炭素の増加による温室効果の増強はわずか。とこが、それによって少し気温が上がると、地表からの水の蒸発が盛んになり大気中の水蒸気量が増え、その温室効果でさらに気温が上がるというフィードバックが働く。


砂漠では昼と夜の温度差が大きいのは、空気が乾燥しているため。
昼の熱は、砂の間の空気で断熱されて表面だけに溜まり空気を高温にする。夜は、水蒸気が少ないので温室効果が少なく、放射冷却が進むから。


天気予報。
以前は予報官が予報していたが、今は大気を格子に区切って、各格子に温度、気圧、風向、風速、水蒸気量、水滴や氷晶の量 などのデータを入れて数値で大気を表現し、各格子点がどう変化するか数値計算していく。
2007年からの全球モデルでは、鉛直方向に60層、水平方向に20km四方に分けた格子を使っている。

数値計算に使われる法則や方程式は、気体の状態方程式、質量保存の法則[空気の密度]、大気の運動方程式(3方向)[気圧、温度、風の方向、ベクトルを入れて]、エネルギー保存の法則、水分の時間変化[水蒸気量、雲の水量]等ので、非線形の複雑系。

予報官の仕事の重点は、注意報や警報を発する判断になってきている。

これ以外に台風や高気圧・低気圧、偏西風などの話も盛りだくさんです。
気象に興味を持っている人にお薦めの1冊です。


2018年12月30日日曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る33 実際の住み心地 パッシブハウス コンセプト

果たしてパッシブハウス コンセプトは実際の生活で本当に効果を出すのか?が興味津々で暮らし始めました。


結論から言うと、効果があるし楽しい。但し、自然が相手なので自然と共に生きる気持ちが必要と思いました。


冬の晴天の日は、本当に効果的。
朝、日の出の空を見て、晴天になりそうな事を確認すると、今日は暖房を使わなくて良いなと思います。太陽の光を部屋に取り込むのが楽しい。
明るく、十分に暖かい部屋が自然に出来てしまいます。


東京の晴天率は

1月前半 80%以上、後半 60-80%
2月前半 70%、後半 50-70%
3月 40-60%
4月 40-60%
5月 30-60%
6月前半 10-60%、後半 10-40%
7月 前半20-30%、 後半 30-60%
8月 40-60%
9月 30-60%
10月 30-60%
11月 前半 50-70%、後半 60-80%
12月 前半 60-80%、後半 70-90%

という感じですので、

冬は晴天が多く、太陽熱を利用するパッシブハウスコンセプトは成立します。

昼間に室温が十分に温まっていれば、夜は雨戸、カーテン等と閉めればそれほど大きな温度変動はありませんので大丈夫。

曇り、雨、雪の日は太陽熱を得られないのですが、暖房をつけるか、衣類を少し余計に羽織るかなどをすれば大丈夫です。


夏は、本当に日光の遮蔽の徹底が重要です。
前述しましたが、南は通風雨戸などが大活躍します。平年では、夜はある程度外気が下がるのでそれを取り込む事で、自然の冷房に出来るのですが、今年の異常気象では夜風が使えませんでした。

そいう意味では、パッシブハウスコンセプトが成り立たない年も出るという事ですが、断熱と湿度コントロールは出来ているので28度等でも気持ちがよいし、扇風機があれば十分涼しい感じになります。それでも、もし涼しさが足りないと思う時は、弱く冷房をつける事で大丈夫です。


春、秋は室内にそよ風を取り込み楽しむ事で、気持ちの良い毎日を過ごす事ができます。


この暮らしを始めてから、天気の動向に非常に関心が高くなり、空を見上げる事が多くなりました。太陽と雲に非常に親しみを感じる様になりました。


【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る32 実際の住み心地 明るさ

部屋に日光の明かりが十分に入ってきて、明るい室内というのは住み心地に大きなプラスになります。気持ちが良い。

その為に、各居室の2面は窓を設ける事が基本にしました。それによってまずは十分な明かりが取り入れられます。

又、壁も出来るだけ白っぽく明るい色にする事で、反射した光が部屋の隅にまで回ってくれます。


窓には、通風、明かり取り、借景、音、防犯など色々な機能を考えていく必要がありますが、場所毎により明かり取りを重点にする窓とか、通風を重視する窓とか役割の優先順位を考えると整理しやすくなります。


リビングダイニングの東面に設置した高窓は明かり取りがメイン。ですから開けられないFIX窓に割り切りました。


パッシブハウスのコンセプトでは夏の南窓は日射遮蔽する必要があるので、明かりは東西北の窓で確保する必要があります。

この窓がある事で、朝陽が射し込みまるでフェルメールの絵の様な感じになりました。
又、その窓からは天を見上げる事になるので、型ガラスでも青空を感じられ心地良い席になりました。


2階のトイレは、北面の高い位置に出来るだけ大きな窓を設けました。これも十分に光が入り、とても気持ちの良い空間になります。トイレの窓は開閉が必要ですが、オペレータハンドルにしておけば高い位置の窓でも操作ができます。


温湿度に加えて、朝 日光で部屋が明るいという事も、爽やかさを感じる大きな要素だと住んで分かりました。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る31 実際の住み心地 風

そよ風は、本当に気持ちのよいものです。


今回の家は、春から秋にかけて南風が吹きます。よって、南の窓から入った風を上手く北の窓から出すことができれば、良い風を室内に吹かす事ができます。


とても役に立ったのは、台所に設けた勝手口用の通風ドア。風の通る面積を自由に変えられるし、ドアの下部と上部が開くので幅広い感じの流れになります。朝起きて、最初に南窓と北の通風ドアを少し開けると一日とても気持ちの良い風が通ります。


東西には、南風をキャッチすべく南向きに開く縦すべり出し窓を地窓として設置しました。狙いどおり、ここからも良く風が入ります。


地窓というと雨に強く、地面近くに開口面積を大きく取れる横すべり出し窓を用いるのが常識です。しかし、横すべり出し窓は風をキャッチする力は非常に弱いので、風の方向を良く見て使う必要があります。


1階の窓から2階の北窓に風を流すという事も、間取りで空間連結をしておけば可能です。

兎に角、対面の壁に窓を用意する。という事が最も効果的です。


夏は日射遮蔽をしなければなりませんが、通風雨戸が大活躍してくれます。日射遮蔽しながらある程度明かりも取り込め、風も取り込めます。一人3役を果たしてくれます。


窓について、一つ気を付けなければならない事があります。それは窓を開ける方向。
例えば、縦すべり出し窓だと、右開きにするか左開きにするかという点。

隣家との関係をも良くみておく必要があります。折角 窓を設けても、隣家の目を気にして開けられないという事にならない様に、窓の形式や開ける方向等に気をつける必要があります。

2018年12月28日金曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る30 実際の住み心地 湿度

この家の場合、湿度は窓を閉め切った場合、殆ど部屋の中で変化しません。

設置している温湿度計で、昼間に風を通すために窓をあけている間は、室内湿度はかなり上下します。しかし、夜窓を閉めるとエアコン暖房を停止しても、値が安定し、そのまま朝までほとんど変化しません。


真冬、暖房機も加湿器も何も置いていない私の寝室は、50~60%に自然に収束します。

外は非常に乾燥しているので、窓を開けると一気に室内湿度は下がりますが、しばらくするといつの間にか湿度が上がり安定ゾーンに収まります。


リビングダイニングは大きな空間で少し様子が変わりますが、ほぼ45~50%で安定しています。加湿器はなく観葉植物が一鉢あるだけの状態でです。


調湿が働いているのだと思います。
冬の過乾燥を避けたいと思っていたのですが、それがほぼ実現できています。


梅雨時も、リビングでの湿度は55-65%で自然に安定しています。


結露も基本無しです。


調湿力が高いので、風呂の戸を開けて出来るだけ水蒸気を室内に出す様にしています。壁に吸い込まれていきますので、それでも室内はいつもカラッとしたままです。
雨の日に、室内干しをしてもいやな匂いがせずに乾きます。


冬の寝室で、湿度が50%あると例え18度ぐらいの室温になった場合でも、あまり寒いとは感じない事を体感しました。ベッドから出るのが億劫という事は一切ありません。


又、夏の寝室では、湿度が60%台ならば28~9度でも眠れます。これはダイキンが最近宣伝している「新28度」というやつですね。
エアコンを切っても自然にこの湿度帯になるというのはありがたい事です。


湿度が快適ゾーンにあると、空気が爽やかに感じます。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る29 実際の住み心地 温度

南関東(東京)で北海道仕様断熱+パッシブハウスコンセプト+無垢材の家の実際の住み心地はこんな感じになります。


冬は、

一番初めに実感するのは、夜 雨戸とカーテンを閉めて寝ていると、殆ど温度が下がらない事。外は霜が降りるような1-2度の外気の夜でも1,2度ぐらいしか室内の温度は下がりません。


又、ハダシで暮らしていても大丈夫。床は杉の無垢材で、床暖房等は一切していません。
杉は断熱力が高いので、例えば立っていれば自分の足の裏の熱が逃げないので冷たく感じません。檜床の部分では少しヒヤリとします。

さらに、日光が当たった床部分は真冬でもほかほか暖かい。


窓際が本当に寒くありません。
殆どの窓がYKK APの330という窓にしましたが、窓のすぐそばで何かしていても真冬でも寒いと感じた事がありません。


カーテンが付けられない大窓はは430という製品を使いましたが、狙い通りコールドドラフトは全く起こりません。


330の方は、大きな掃き出し窓では朝カーテンと窓の間の床は少し冷たくなっています。少しは冷気が出来ているのだと思いますが、生活上は全く気になりません。

一か所、台所の通風勝手ドアは310というアルミとプラのハイブリッドサッシで断熱が少し弱い製品を使いましたが、ハニカムスクリーンを内側に設けた事で断熱がしっかり出来ています。


真冬でも、晴天の日は太陽熱が射し込むので、無暖房の部屋でも4-5度室温が上がります。日光がストーブ替わりに十分なります。

そして、日光の当たる場所に居ると、本当に「陽だまりの暖かさ」を室内で楽しむ事ができます。


曇りや雨・雪の日は陽が射さないので昼間は、レースのカーテンしかしていない窓から少しずつは外に熱が出るので、室温が下がります。ただし、下がり方は急激ではなく、徐々にという感じです。


そいう時は、各階にあるエアコン暖房とサーキュレータをかけますが、低い設定温度ですぐに空間は温まります。

エアコン暖房の効きが良く、定常稼働させていても温度変化が少ないので間欠的に動いている感じです。


尚、同じ室温20度でも、エアコン暖房で出来た室温20度と、太陽光を取り込んで出来た室温20度では太陽光によるものの方が心地良い気がします。
太陽光のエネルギーが床や壁に蓄積されてその表面温度が上がる事で体感温度は20度を超えてているのでしょう。

但し、何日か20度をずっとキープする様にエアコン暖房をかけていると、壁も温まりますので太陽光と同様の体感温度になってきます。

又、壁表面の温度が高ければ、窓を開けて冷たい空気が入ってきても体感温度はそれほど寒いと感じません。


夏は、

軒、庇に加えて、南窓は通風雨戸や緑のカーテンで日射遮蔽を行います。
東西の窓も遮熱LowEガラスに加えて、窓の内側にレースカーテンなどを設置します。

昼の日射遮蔽をしっかりすれば、室温は大きく変化しません。夜が25度程度まで外気が冷えれば、それを取り込んで家を冷やすという事ができるのですが、今年は夜も30度近い外気でしたのので7,8月はエアコンを1台 28度の設定でつけました。
冷房も良く効きますので、間欠運転をしていました。夜は冬同様に、冷房を切っても室温はあまり変化しません。

2018年12月26日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る28 太陽熱の取得と遮蔽

断熱をした上で、太陽熱の取得と遮蔽についてヒントを再度整理をしておきます。


冬の太陽熱の取得で気を付けておくべき点は、

・南に大面積の窓を設ける。

・南窓は日射取得型のLowEガラスにしておく。

・南窓の前は日光をなるべく遮るものが無い様にする。例えば、植物の葉やベランダの壁等が意外と光を遮る。

・外からの視線が気になる時は、型ガラスが可能ならば型ガラスを使い昼はレースカーテンをしないでおく。

・東西の窓でも熱取得を狙うならば南と同様に日射取得型のガラスにするが、通常は遮熱型にしておく方が良さそう。

・北面の窓は熱採取目的では考えない。

・曇天や雨の場合は熱の取得は期待できないので、その時は室内の熱を外に逃がしにくい様にカーテンや、カーテンが付けられない窓はガラスの断熱性を上げておく。

・壁や床の熱容量を可能な限り増やしておき、昼の日光の熱をそこに貯める事を考える。


夏の日射遮蔽で気を付けておく点は、

・出来るだけ東西は遮熱型のLowEガラスとし、その上で、窓の外で遮蔽する事を考える。

・夏前後の日射がどういう角度で各窓に入って来るかを調べておく。

・南面は軒や庇を使い、出来るだけ直射日光を窓に入れない様にする。

・南に植栽を植えられるならば、落葉樹にすると夏は遮蔽、冬は光を通すことが自然にできる。

・それに加えて、ヨシズやスダレ、緑のカーテンか、通風雨戸(YKK APではなぜか「かんたんプチリモ雨戸」という名前になっている。スリットシャッターや外付けブラインドでも良い)の様な斜めからの光りを遮る事がのできる遮蔽物を考える。

・スダレやシェードを使う事を考えるならば、最初から軒下にそれらを止めるフックを設置しておくと良い。

・窓内側のカーテンに遮熱効果はあまり期待しない。

・日射遮蔽をしすぎて部屋の中が暗くなる事が心配な場合は、高窓を軒下等の場所に作ると直射日光は入らず明かりは取り入れる事ができる。

2018年12月25日火曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る27 体感温度という観点で

室内環境の作り込みに関しては、室温と体感温度の違いを意識して、抜けが無いかを確認すると良いかもしれません。


体感温度は衣服以外に、室温(気温)、風速、湿度、輻射熱(壁。床、天井、窓ガラスやサッシの表面温度、日光)によって変わると言われています。


ネットでは(室温+壁の温度)/2が体感温度という表現を見ます。これが正確なのかは分かりませんが、壁・床・天井・窓のしっかりした断熱が基本事項になります。その上で、窓から差し込む直射日光を受ける所は、冬は陽だまりの暖かさが感じられます。


湿度は汗の蒸発に対応するので、低温時に乾燥しているとより寒く感じますし、高温時に湿度が高いとより暑く感じます。よって、冬は乾燥しすぎない様に、夏は高湿にならない様にする事が重要です。


風は、窓からの風はどこから入って、どこに抜けて人に当たるかをチェックします。
家の外で吹いている風を取り込む場合と、外は風とは関係なく屋内で温まった空気を2階の北窓から逃がして、それを補う様に1階の窓から外の空気を取り込む(重力換気と呼ぶ人もいる様です)ことで作る風があります。

又、窓を閉め切っていても屋内での対流による風(コールドドラフトや暖房や空調による空気の動きなど)が起こらないか、起こるとしたらどこかをチェックします。


体感温度とイコールではないかもしれませんが、熱中症警告に使われるWBGT(暑さ指数=湿球黒球温度)という指標もあります。温度、湿度、輻射を使った指標なので、温度計値や相対湿度よりも、より体感温度に近い動きをする指標と言えそうです。
生活上は室内でもWBGT値は気にしておくのが良さそうです。

2018年12月24日月曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る26 容量(熱、調湿)を上げる

今まで、断熱や通風について書いてきましたが、温湿度を安定化させるためにもう一つ手を加える事ができればもっと良くなります。


それは家の熱容量や調湿容量を増やす事。
容量とは貯蓄しておける量の事。


例えばバケツに開いた穴から水がもれるとバケツの水位はどんどん下がっていきます。でも同じ大きさの穴が風呂桶に開いていて、同じ量の水が漏れて行っても、風呂の水面は非常にゆっくりとしか下がっていきません。
これは、出入りする水量に比べて貯蓄してる総水量が大きいので、全体のレベルは変動を受けにくくなるという事です。


これが、熱に関しても、調湿に関しても起こります。


熱容量というのは蓄熱可能量という言い方でも良いかと思います。石造りや土壁などは温まりにくく冷めにくい熱容量の大きな物質です。物質の種類毎の比熱に質量を掛けたものが熱容量になります。よって、比熱の高い材料を使えば容量を上げる事ができます。

残念ながら、木材はそれほど比熱が高くありません。書籍等では土間を作れとか、家の中に石壁を作れば、、などというものがありますが、皆がそれを作れるわけではありません。


調湿に関しても、調湿できる容量が多ければ湿度が安定します。又は、乾いたり湿った空気が外から入って来ても、窓を閉め切れば自然にマイルドな湿度状態に調整されていきます。これも、調湿力のある建材ができるだけ部屋の空気に近い所に多くあれば良いという事になります。


この二つの容量アップをあまりコストを掛けずに標準的な材料でできないかと考え、(湿気の)吸放出せっこうボードを通常のせっこうボードの上に2重貼りする事にしました。吸放出ボードが室内側にきます。


石膏ボードは安い一般建材ですが、比較的 比熱が大きく質量もある。又、その中で吸放出ボードという種類も標準的に売っています。
石膏ボードの2重貼りは大工さんからみても違和感のない作業ですのでコストパフォーマンスが高いと言えます。


これを付加する事で、単なる北海道仕様より少し快適性を向上させられる事が期待できます。デメリットは壁厚がその分厚くなります。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る25 高断熱の具体化7 玄関と勝手口

窓と同様に、外と出入りする所として玄関ドアや玄関窓と勝手口ドアがあります。

これらは面積も大きく、断熱を忘れてはいけません。

とかくデザインで選んでしまいがちな玄関ドアですが、玄関ドアにも断熱ドアというグレードがあり、断熱力を見ながら選ぶ必要があります。

ただし玄関室という感じに、内側にもう一つ戸を設ける場合は、それが簡易エアロック的な働きも期待できるので、それも併せての断熱レベルを考えても良いと思います。


勝手口のドアも同様色々な種類がありますが、こちらは通常のドア以外にガラス戸や通風ドアという選択もあります。

台所は窓が少ないので、通風ドアは採光と通風を自在にできるという意味で便利です。


但し、通風ドアは断熱性が少し落ちます。今は 進化しているかもしれませんが、その時はハイブリッドサッシの物しかなく、それでは北海道断熱レベルには届かない可能性があります。

その場合は、そこの内側にハニカムスクリーンという断熱カーテンを付加して総合の断熱性を確保するという事が考えられます。


テラスドアも同じで、断熱性能に注意して選びます。通風でなければ高断熱のドアが用意されています。

2018年12月22日土曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る24 高断熱の具体化6 窓

窓カタログを見ると色々な形に目が行きます。
メーカー側は一生懸命断熱性能を説明しようと書いていますが、なかなか分かりずらい。


アルミサッシの引き違い窓しか使った事が無かったのですが、タテすべり出し窓、ヨコすべり出し窓、上下窓など、色々な種類があるという事に驚きました。


ショールームに何回か行く内に、だんだんとそれぞれの特徴が見えてきます。
カタログも、細かい文字で書いてあるガラス性能表などのページも大事だという事が分かりました。


ショールームには冬や夏をシミュレートした各種窓の実演サンプルが並んでいます。
それ以外にも、騒音をどれだけ抑えるのか、網戸はどうやって取り外すのか、オーニングはどんな感じか、勝手口用のドアはどんな具合、玄関ドアはどういう種類があるのか、雨戸やシャッターはどれぐらいの速さや重さで開閉する事になるのか等と見所が満載です。

例えば、冬の寒さをどう遮れるのかを実演している窓を良く見ると、YKK AP型番で言って310と330では断熱性が相当違う事が実感できました。けれども、330でも仔細に見るとサッシの下の方では少し冷たさが伝わっていました。これが430になると冷たさが全く無くて、ナルホド違うと感心しました。


網戸の開け閉めをしなくても良い窓には、オペレータハンドルのすべり出し窓という物があります。


窓カタログには、断熱性以外に遮音性というのが仕様欄に書いてあります。
窓の大きさもタテヨコの組み合わせで出来ないものがあるのは要注意。使えるガラスも真空トリプルが選べるものと選べないものなどの注書きもされています。


ガラスは、可視光透過率というのがどれだけ透明で明るいかという事を示し(数が大きい方が透明)、熱貫流率で断熱性能熱が出ています(数が小さい方が熱を通さない)。


たてすべり出し窓は外の風を取り込むのが得意だが雨が吹き込むかもしれない。よこすべり出し窓は多少の雨が降っても入ってこないが、風は取り込みにくい。
430は断熱性能は良いが、選べる窓のタイプは少ない。


等々。 とても1回では理解できません。
説明員の方に教えていいただくのが良い様です。

窓は本当に重要なので、適材適所を慎重に選ぶ必要があります。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る23 高断熱の具体化5 窓

窓は方角ごとに考える必要があります。


南は、パッシブハウスコンセプトでは冬は太陽熱を取り込む重要ポイント。夏はその逆に太陽熱が入らない様に考える必要があります。

ここは冬をベースに考えます。夏の日射遮蔽は色々なやり方が考えられますから。
基本は、大きな開口面積になる様に窓を配置します。そして、ガラスは日射熱取得型のLow Eタイプ。


同時に、夏の日射遮蔽はどうするかも考えます。ポイントは窓ガラスの外側で日射遮蔽する事。窓の内側で遮蔽しても熱は家の中にこもってしまいます。

方法の第1は庇や軒、ベランダなどで直射日光が部屋に差し込むのを防止する事。

どれだけの長さの軒や庇を出したらよいかは、緯度から計算する事もあるでしょうが、私の場合は、家を建てた場合に差し込む光の具合を丸清さんがシミュレーション映像で見せてくれました。

春夏秋冬の朝から夕方まで時間毎にどういう光が各部屋に差し込むのかを何度も何度も見ました。冬の陽がどれだけ部屋の中の方まで差し込むかも重要なポイントです。
又、構造的に出せる軒や庇の長さはここまでという条件もありますので、それを勘案しながら決めていきます。


物の本には、夏至の日中太陽高度がこの角度だから軒はどれぐらい、、という様なロジックで書かれているのも多いですが、夏至以外、真昼以外の太陽はもっと低い高度からの陽射しになりますので、それだけ考えていてもナンセンスと思います。

斜めからの光の遮蔽には、庇等に加えて、スダレやシェードを掛けたり、ヨシズ、又は、緑のカーテンも良いです。


東と西は”朝日”、”西日”が射し込むので、これも気を配る必要があります。
朝日はすがすがしい印象。西日は暑いという印象がありますが、現実は朝日も西日も差し込むエネルギーは同じ様な物です。

南と異なるのは、光が絶対に横から差してくるので軒や庇では防御できない事。
一方で、隣家の影も大きく影響しますので、隣家の影もいれたシミュレーション映像を見ながらどの位置に窓を設けるか考えていきました。

良く言われるのは、西の窓は小さく、少なくする方が良いという事。昼間で温まった部屋に、さらに西日のエネルギーが射し込まれると暑く感じます。高断熱の家ならば、東も西も日射遮蔽型LowEガラスがお勧めです。


北は、一番 明るさ等が安定している方向。
明り取りなどに北窓は使えます。又、排熱口として2階の北窓は重要です。出来るだけ高い位置に窓を持っていくのが良い様です。それによって明かり取りにも、排熱にも良い働きが期待できます。
1階の北窓は日陰の涼しい空気を夏には取り入れられるかを考えます。


あと、方角ではないですが冬に関しては、コールドドラフトというものも考える必要があります。例えば階段や吹抜けの上の大きな窓など、冷気が入ってきて冷たい空気が降りてくるという現象。
これがあると冷たい風が室内に入ってきてしまいとても気持ち悪い様です。
そいう所は、もう一段断熱性能の高い窓にしておくのが良さそうです。

2018年12月20日木曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る22 高断熱の具体化4 窓

窓メーカーもこの数年でかなり断熱化に舵を切ってきた様で、だんだん世界並みの高性能窓の方向の商品が出始めてきているとの事。


断熱に関連する事としては、LowEガラス、ペアガラス、トリプルガラス、真空ガラス、封止ガスもアルゴンだクリプトンだと色々なワードが出てきます。
従来からある、二重窓(内窓)という物もあります。


最初はペアガラスと二重窓の区別が良く分かりませんでした。複層ガラスという言葉も出てきます。ややっこしいです。


サッシにもアルミ、ハイブリッド、プラ、木製と種類があります。サッシとガラス種(含むLowEコート)とガラス間のスキマ間隔、封止ガスの種類などの組み合わせで性能が変わります。

サッシの断熱性は、熱伝導率の順番で木、プラがハイブリッドやアルミよりかなり良くなります。


ガラスは間に空気層をどれだけ作れるかという事がキーで、シングル、ペア、トリプルガラスの順で断熱が良くなります。
トリプルやペアガラスは同じガラス厚でも空気層の厚みが厚い方が断熱が良く、空気層よりもアルゴンガス層、クリプトンガス層、真空の順で断熱が良くなります。


二重窓はガラス間の空気層の厚みが大きくとれるので有利。でも、開け閉めは面倒。
又、トリプルガラスなどになるとガラスの総重量が重くなり、窓の開け閉めが重い。


LowEガラスは熱の放射を通したり反射させたりして、外からの熱を取り入れるタイプと、できるだけ取り入れたくないタイプの2種類があります。


断熱という見地で最も有利なのは木製サッシ+トリプルガラス(LowE)+真空+二重窓化となります。


日本の窓の標準品としてはYKK APとLIXILの売っている物が流通量が多いと思いますので、この2社の窓を見に行きました。


カタログ上の性能は、両社ともかなり高性能の窓を用意しており、あまり優劣がつきません。でも、実物を見ると網戸に関する考え方がかなり両社で異なっており、私にはYKK APの方がメンテ性も良いと感じられたので、YKK APの窓で検討を進める事にしました。


YKKには430シリーズという超高性能を謳っている物と、330シリーズというプラサッシの普及高性能窓、ハイブリッドサッシの310シリーズなどがあります。性能が上がるに従い値段も上がります。特に430はまだ流通量も少ない様でした。


北海道仕様の断熱レベルを持たせるのに、必要な最低レベルはどこか?という観点で調べて行き、330シリーズのペアガラス、中空層16㎜、アルゴンガス封入、LowEというものをベースに考えて行く事にしました。
場所によっては、他のグレードも組み合わせます。

2018年12月19日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る21 高断熱の具体化3 窓

窓を考えました。家創りの中で窓が最も頭を悩ませた所です。


熱が外に逃げるのも、外から入って来るのも窓部分が最も比率が大きいと言われています。実際、以前住んでいたマンションのアルミサッシ窓は、冬は窓際だと寒さを感じて近寄りたくないと思っていました。


又、窓は明かり取りのキーになります。
さらに、風の取り込み、風景(インテリアの一つとしての借景)、プライバシー保護。
そして、窓と玄関は防犯上の最大ポイントであり、災害時の避難経路としても見る必要があります。
外騒音の防止や、楽器などの家の中からの音の洩れも窓がキーになります。


窓は1つで何役もさせなければいけないので、本当に難しい。
でも、家の快適性の成否は窓に大きくかかっていると思います。


YKK APやLIXILのショールームに何度も通い確かめながら、少しずつ勉強していきました。

2018年12月18日火曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る20 高断熱の具体化2

同時に間取りや内壁の作り方を考えます。

壁等(外皮と言う)の断熱が良くなれば、家じゅうの部屋を連結して大空間にすれば家の中の温度差を小さくする事ができます。

暖房や冷房をする場合でも、効率よく家全体に効果をいきわたらせる事ができヒートショックを無くしていけます。


具体化方策としては、出来るだけ仕切り壁や廊下を減らす事。動線も短くできます。

又、各部屋の戸は引き戸にしました。
ドアだと閉め切ってしまう事が前提になりますが、引き戸だと閉める、開けるに加えて、好きな大きさで開けておくという事ができます。これにより、空間連結をしやすくします。(引き戸はこれ以外に、バリアフリー対策や通風効果にも好影響を与えます)


吹抜けや階段室で1階2階の空間を連結したり、そこに内窓を設けるのも効果が期待できます。目隠しが必要な所はロールカーテンを使うなど、出来るだけ空気の遮断を少なくします。


家の空間は小さい方が一括暖房や冷房には効率が良い面もあり、できるだけコンパクトな作りにしたいと考えました。前述した天井断熱は、そいういう意味でも良い方向です。

2018年12月17日月曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る19 高断熱の具体化1

北海道レベルの断熱を、特別な建材や建て方ではなく、低コストの標準的な建材と建て方を使い実現する方法を考えました。


まずは、断熱材。基本 セルローズファイバーを使う事に決めて、それで北海道レベルを実現する厚みの計算をして見た所、壁では122mmだと出ました。


工務店の丸清さんの建てられる標準的な柱の太さは120mmですので、この柱にビッシリセルローズファイバーを入れてもらえればほぼ達成可能となります。


上方の断熱は、屋根断熱ではなく天井断熱としました。
これは、地震対策での重心を下げるという効果の他に、天井断熱では、天井の上にセルローズファイバーを吹き積もらせるだけなので、断熱厚さを非常に低コストで増やす事ができるというメリットがあります。


天井断熱で北海道仕様をセルローズで行うには220㎜の厚さが必要という計算になりました。丸清さんの標準よりは厚くなりますが220㎜を超える厚さにする様にお願いしました。

気を付けなければいけないのは、天井に吹き積もらせる場合は、だんだん沈降するので沈降後に220㎜を達成する様に吹込み時はそれを見越した厚さで吹き込んでもらう必要があります。


床は、セルローズファイバーでも可能と言われていますが、設計士さんより過去の経験から、時間が経つとどうしても垂れ下がって断熱性能が落ちてしまう事が懸念されるとの事。
そこで、セルローズと同様に天然材料から作ったフクビフォームという断熱材を使う事にしました。
これも北海道仕様の厚みとしてもらいました。

2018年12月16日日曜日

【本】「皮膚をゆるめる」と痛みは取れる 福井勉 ビタミン文庫

副題が ひざ、腰、首、股関節の痛みに効く! 革命的テーピング術

テーピングというと、スポーツ選手の姿を連想しますが、これはテーピングで身体の不具合を治そうという物。


以前、柔術の話の中で皮膚のたるみを取って技をかけるという様な話を聞いた事があり、自分の手首などでたるみを取って引っ張った時と、たるんだ状態で引っ張った時での自分の反応を見てみたりした事がありました。

緩んだ状態から力を入れると、たるみがとれた時にショックがあり、そこでその力に逆らおうとする反応が出ました。
一方、先に手首を触って軽くたるみをとった状態で力を入れると、抵抗反応がなくスッと相手を動かす事ができる事を体感しました。

それ以来、皮膚のたるみの活用方法や手法があるのではないか?という興味があり、この本を手に取りました。


身体が動く時には、かならず皮膚の動きが連動して起こります。
肘を曲げると、腕の表面と裏面では皮膚が逆に動きます。

この動きが何らかの事で制限されていると、痛みやそれ以上曲げられないなどという状態になるとの事。

それを、テーピングで正しい皮膚の動く方向性を出してやり、悪い癖や動きを矯正するという物。

皮膚の動きの原則というのがあるとの事

・シワが寄る所から、皮膚が突っ張る所
 に向かって皮膚は移動する
・動かしにくい箇所周辺の皮膚は動きが
 小さい
・高齢者より若い人の方が動きは大きい
・皮膚の動きを補助すれば関節や筋肉の
 動きはよくなる

なるほど。

これは面白い手法です。
手軽だし、実際に自分で色々試してみたくなりました。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る18 断熱レベル設定

実際の家創りでは費用対効果を考えながら、どういう断熱レベルにすべきかを決めて行きました。


地理的条件も考えながら、パッシブハウス的効果を得られるギリギリの線を探がします。


日本国で推奨されており、2020年から義務化がされる次世代省エネ基準という物があります。

南関東ではQ値=2.7,UA値=0.87という物。これは、過去の断熱基準よりも厳しくなっていますが、世界の常識から比べると恐ろしく甘い数値と言えます。


例えば、米国でそれに相当するのはQ値=2弱となります。日本では東北基準でQ値=1.9です。
ドイツはもう少し寒い国なので、南関東と同じ条件地域はありませんが、Q値=1.49というのが義務化されていると聞きます。


こういう日本の状況を憂えて、業界でHEAT20という自主尺度も作られたとネットで知りました。G2というのが目指すレベルとの事。
私の土地の場合はUA値=0.46(Q=1.6相当か)になります。


日本は住宅の断熱レベルという事では世界に何歩も遅れを取っていて、将来日本ももっと厳しい方向に規制が動く事になると思います。


特に2020年以降は、断熱が悪いと中古価値も損なわれる事になるでしょう。
逆に断熱レベルが高い家は、リセールバリューも高くなるのではと思います。


一方、パッシブハウスで要求される断熱(家丸ごとを1台のエアコンだけで快適に暮らせる)はかなり厳しいレベルが要求されますが、各階1台のエアコンで快適に暮らせるレベルというのは東京地区で第1種換気ではUA=0.47という事が書かれた本を見つけました。
40坪の家で、南面に大窓・軒がある前提です。


次世代省エネ基準では北海道仕様がUA値=0.46に合致します。


という事で、北海道仕様レベルの断熱とパッシブ手法で作れば私の所では良さそうだというのが目標になりました。

2018年12月15日土曜日

【本】神、この人間的なもの なだいなだ 岩波新書

著者の なだいなださん は精神科医であり、作家でもあります。

なだいなださんは、無宗教の人なのだと思いますが、宗教と精神科医の関係を、二人の人の対話という形式で表現しています。


読んで う~ん と考えてしまいました。


三大宗教のキリスト、仏陀、ムハンマドは、なぜ一神教を唱えたのか。どうして「奇跡」を起こしたのか。キリストは何故 処刑されたのか。

弟子たちにはどういう心理的な動きが起こったのか。その後の教団はなぜ&どう変化していったのか。


という事を心理学の立場で説明しています。


無宗教の私には、そういう事だったのか、とても分かり易いと感じましたが、これも一つの解釈という見方をしないといけないのだという心の声もします。


多分、各宗派の信者の方々からは、違う感想が出るのでしょう。


宗教とは何か? 科学と宗教の関係は? なぜ一神教なのか?という疑問を抱いている人には、読まれる事をお勧めする一冊です。


なだ氏の主張は、三大宗教の始祖は絶対神の下で全ての人は平等という事を説きたかった。部族間戦争や権力闘争、格差の弾圧などからの離脱を狙ったものだった。
でも、弟子の時代や現代でも元に戻ってしまってきている。

始祖から後で作られていった宗教は、集団帰属感を得る為の事が多くなり、離脱の思想が伝わっていない。
愛国心や愛社精神なども形を変えた部族意識。

人間はそこからどうしても抜け出せないのか?という投げかけと感じました。

う~ん。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る17 パッシブハウスという考え方

「パッシブハウス」という言葉は、今回の家の検討をするまで全く知りませんでした。

アクティブは積極的で元気がある印象の単語であるのに対して、パッシブは受け身で消極的という単語の印象を持っていましたので、「パッシブハウス」と初めて聞いた時は、あまり魅力的に感じませんでした。


でも、中身を知ったら興味が湧いてきました。


パッシブハウスジャパンという組織があり、代表理事の森みわさんの記事からの引用ですが、

”パッシブハウスは、太陽からの熱を取り入れ、風を通して流すというエネルギーの出入りを重視して設計。近い考え方に「高断熱高気密」がありますが、こちらは魔法瓶のように熱の出入りがなく保温のみの状態。
パッシブハウスでは、あくまで自然なエネルギーの流れを活かすという点が違います。

省エネや光熱費の減少は基本ですが、快適で健康に暮らせるという健康メリットが大きいです。しっかりと断熱をすると外気の影響を受けないので、床や壁、天井、窓壁の表面温度が整い、部屋の中の温度ムラが無くなります。その結果、余計な対流がなくなると、身体に負担がかからないようになり、エアコンの温度設定や風量が抑えられて過乾燥などからも解放されます。”

との事。


ホームページに行くと「欲望つめ放題、なのに、世界レベルで本質的にエコな家。おまたせしました。日本の皆さん。それ、技術で叶えます。 それがパッシブハウスです。」と出ています。ドイツが発祥の考え方です。


非常に簡単に言うと少ないエネルギーで快適に暮らせるように、断熱を高め、太陽熱を上手く取り入れたり遮ったりする家です。

1台のエアコンで家じゅうが快適に暮らせる事を実現します。

太陽熱も、南側の窓とそれ以外の窓で性能を変えたり、庭がある場合は南は落葉樹で夏の日差しを遮り、冬は葉っぱが落ちるので太陽熱を自然に沢山取り込める様にする。夏は夜間の涼しい空気を利用する等の工夫をしていきます。


パッシブハウスと認定されるには、どれだけ省エネで暮らせる家の性能があるかを計算して指定基準のクリアが条件です。

エネルギー基準が満たされれば、どんな種類の断熱材や工法を使っても良いのです。


日本でも既に何軒もパッシブハウス認定を受けた家が作られ始めています。

但し、有名なあるパッシブハウスでは壁の厚さが確か40㎝ぐらいもあるとの事。
従来の木造軸組みの柱は10.5cmか12㎝の太さなので、それよりもずっと厚い壁を作って達成している。やはり少し特別な作り方をしないといけなさそうです。


でも、南関東の気候ではもっと緩い断熱でも快適に暮らせるレベルはあるだろうし、これに透湿工法を組み合わせて行ける可能性があると考えました。
このパッシブハウスの方法は、電気機器に頼らないで快適性を追求するという事に使えそうだと考えました。

2018年12月13日木曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る16  湿度を考える

温度とペアで湿度についても考えておく必要があります。

湿度は人に与える影響は、もしかしたら温度より大きいのではという気がします。


同じ高温下でもカラッとしているのと、ムシムシしているのでは不快度が全く異なります。皮膚から汗が蒸発が出来れば、自在に体温調節が出来るからでしょう。


関連して、体感温度も湿度に大きく影響をうけます。

最近 エアコンのコマーシャルで言われている新28度というのは28度でも湿度が高くなければ快適ですよ。という意味ですし、冬で室温が低くても湿度が高ければあまり寒く感じません。


でも、実際にありがちなのは夏や梅雨時は家の中も高湿になって、冬は過乾燥になるという真逆の傾向。
これを起こさせにくくしなければなりません。

湿度は、結露=カビや腐りの発生にもつながりますので、建物の寿命も縮めてしまいます。


湿度のコントロール方法として、ポピュラーなのは加湿器と除湿器(含むエアコン)、換気システムですが、今回はできるだけ電気を使わずに調湿する事を考えます。


その為にも既に書いた、セルローズファイバーや、無垢材等の調湿性のある天然素材の多用を行います。

でも、同様の建てかたをされたお宅を拝見すると、それだけではまだ調湿性が足りそうもないという印象を受けました。

もうひとひねり出来ないか?と考えました。

2018年12月12日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る15  快適温湿度 熱環境を考える

快適な暮らしには、快適な温湿度環境を作る必要があります。

まずは温度ですが、温度の元となるのは熱なので、それを考えました。


住宅のパンフレットやチラシ等を見ると、「高気密高断熱」とか次世代省エネ基準とか必ずセールストークに書かれています。

少し詳しく書く会社は、Q値だUa値だと書いています。


最初は何が何だか分かりませんでした。
でも、だんだん慣れてくると、結局は家の中の熱(暖かさや涼しさ)をどれだけ外に漏れない様にするかという事を言っているにすぎない事が分かりました。


以前使われていたQ値という指標も、最近使うUa値も考え方は同じです。(C値はスキマの面積を表すので少し違います。)


熱の逃げやすい場所としては、窓、壁、屋根、床になります。


海外ドラマを見ると、真冬でも家の中で半袖で暮らしてるのが出てきます。年中 同じ格好で暮らせるというのが憧れの生活なのかもしれません。

でも、私にはそれが快適生活には思えません。
外出する時は冬の寒さや夏の暑さに耐える様に身体を慣らす必要があります。

家の中でも冬は長袖、夏は半袖で四季を感じながら暮らして行くのが自然で快適な生き方だと思います。勿論、暑すぎたり、寒すぎるのはダメですが、季節にあった快適温度帯が作れれば良いと考えました。


それを実現していく為に、断熱性能や排熱のしくみ等を考えていきます。


Q値やUa値という数値は、断熱材を厚くしたり、窓を小さく、少なくする等をすれば作っていく事はできます。床面積が大きければQ値は小さくなる、等の計算上のマジックも有ります。


一方で、断熱材を厚くすると壁も分厚くなりコストが上がる。窓を小さくすると部屋が暗くなる。窓が少ないと風通しが悪くなる。等のデメリットも起こってきます。


これらのバランスをどう作っていくのかがポイントになります。


世の中では、無暖房無冷房で暮らせるという言われる断熱レベルがあります。でもそれには非常に厚い断熱材の層を設ける必要もあり、コストが高くなります。
工務店さんの標準の木造軸組み工法ではなく特別な作り方を加える事になってしまうと考えます。


私は前提として停電や燃料が停止された状態でも過ごしていける家を考えるという事にしていますので、そういう状況下で冬は太陽の熱(ストーブ何台分もの熱量がある)をどう活かすか=陽だまりの暖かさをどう屋内に取り入れるか。夏の暑さの中でも、自然の力で少しでも涼しい空気や風を取り込めるか=木陰の涼しさを持ち込めるか。を考えました。


もしも、井戸があれば年中一定の熱源、冷却源になりますので、これらの悩みはかなり簡単に解消できるかもしれませんが、残念ながら井戸はコストや大きさから断念しました。


熱の伝わり方には、伝導、対流、輻射という3つのルートがあり、断熱では伝導と対流をコントロールする事が出来ます。
輻射は体感温度にも大きく影響し(体感温度は室温と壁の温度の真ん中になると言われています)、役にも立つし、害にもなりうるので良く考える必要があります。

2018年12月11日火曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る14  天然素材 内壁・天井

壁も天然素材を使いたいと考えました。

最低必要な機能は透湿性能を持たすことですので、ビニールクロスは使いません。
ビニールは石油化学物質でもあります。


前述の山本順三さんに話を伺って、壁紙にチャフウォールというホタテ貝の殻から作ったものを塗ると、透湿性に加えて、臭いも取ってくれるとの事。汚れても簡単に自分で筆で上塗りすれば良いとの事でした。


確かに、体験館の空気は良い感じなのを実感しました。但し、触った時にはザラザラ感があり、もしも小さな子供などがこすったら擦りむいてしまうかもという気がしました。


壁紙はオガファーザーというドイツで一般的な天然素材の物に決めました。
透湿性があり、調湿性塗料を上に塗れば張替え不要、表面で静電気が起きないので埃を引き寄せないとの事。


又、実際に住んでおられるお宅訪問で、壁を漆喰にされているお宅がありました。
そこは、猫も飼われているのですが、一切臭いがしません。又、猫が壁をひっかいても傷がつかないとの事。漆喰なので白くてとてもクリーンな印象も受けました。


漆喰はお城や土蔵で使われているという位のイメージしか持っていなかったのですが、調べてみると無機材ですので不燃性や徐々に硬くなっていく事、調湿性、ホルムアルデヒド等の有害物質の吸着分解、強アルカリなのでウィルスなどに効果、表面つるつる(塗り方に依る)という様な事が言われているのを知りました。

ですが、塗り壁ですので、施工費は高くなります。


そこで、場所毎にどういう壁にするかを決めていきました。

2018年12月10日月曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る13  天然素材 無垢材

次は、「気持ち良く、健康」の具現化について書いていきます。

大きく分けて、天然素材を使う事と、温湿度、そよ風の取り込み方、音、明るさ、防虫、室内空気などが関係してきます。

色々な事項を、電気に頼らずに同時に成立させていくという事を探していきました。


まずは、天然素材について。

シックハウスという事が以前に大きな社会問題として取り上げられました。新建材からホルムアルデヒド等が出てきて、それが身体に悪影響を与えるという話だったと思います。

その後、ホルムアルデヒドを出さない建材が多く普及してきています。
丸清さんはそういう建材の使用に加えて、ホルムアルデヒド吸収分解せっこうボードを標準に使っています。


私は仕事で関連の事を調べたりしていた事もあり、化学物質が人間にかなり大きな影響を与えると思っています。

ホルムアルデヒドを出す物質は勿論の事、石油化学物質もなるべく使いたくありません。

石綿の様に、法律上安全とされている物質でも後日危険性が判明するという事がこれからもあるでしょう。だから、出来るだけ天然素材を使いたいと考えていました。


天然材で作られた家では、疲れた脳が回復しやすく、身体も活動的な状態になり、睡眠の質も向上するという九州大学での実験結果も出ています。


折角、木造構法で作るのですから「木のぬくもり」、「木のやさしさ」を感じられる様にしたいと思いました。


「木」は経年変化を楽しめるという事もあります。又、調湿性と断熱性があります。よって、木(無垢材)を使う事で温湿度環境を整える効果も期待できます。


木が家の中で露出するのは、柱と床になります。特に、いつも身体に触る床は重要です。


ネットや本で無垢材の床について情報収集すると、各樹種による特徴が色々と書かれています。色、傷つきやすさ(硬さ)、冷たく感じるか(断熱性)、肌触り感など。


傷つきにくさと冷たく感じるかは相反する所があり、全てを満たす答えは無いのだと知りました。
誰だって傷はつけたく無いし、冷たいのも御免だと思います。でも、優先順位をつけて決めていく必要があります。コストもあり、施主の悩み所です。


私の場合は、工務店さんが自社の製材所で国産天龍材の檜と杉を扱われており、その10㎝角ぐらいのサンプルを1週間貸してもらい触りまくりました。厚さは1.5cmと3㎝のもの。

踏んだり、撫でたり、匂いをかいだりしました。檜は匂いはすばらしく、杉は踏んでも触っても感触がすばらしい。最後に、冷凍庫で凍らせた保冷材を板の上に置いて反対側に冷たさがどう伝わるか断熱性の実験をしてみました。

すると、圧倒的に杉の方が熱が伝わりにくいと感じました。数十分経っても厚さ1.5㎝でも裏面が冷たくなりません。


同じ温度の金属と木を触って金属の方が冷たく感じるのは、人体からの熱の移動スピードが早い(沢山熱を汲みだされてしまう)からと言います。
そういう意味で、杉板は足を置いても、熱がその接触部分から逃げていかないのであまり冷たさを感じません。
檜は無垢材の中では断熱性が高い方ですが、少し冷たさを感じますし、踏み心地も硬くてつらいと思いました。


後日、合板でもやってみると非常に冷たい。寸法精度は高いのでしょうが、明らかに無垢材とは違う思想の材料という事が分かります。

断熱性は木材中の気泡の多さできまるので、断熱性が高いほど柔らかく傷つきやすいのですが、このテストをしているのと平行して、床を無垢杉にされたお宅を2軒 拝見し、確かに傷つきやすいが、小さな凹みなどはスチームや水で修復もさせられるし、傷は生活の歴史だと思っているとのお話をお聞きして納得しました。
又、実際の床も見せていただいて違和感ありませんでした。


最終的に、ハダシでも気持ちよく、冷たさも感じにくい杉材(水周り以外)にする事にしました。厚みは実験の結果で差が出なかったし、その下に合板も敷くので耐力的にも大丈夫と判断して1.5㎝としました。


実際に住んでみて、気に入っています。兎に角、肌触りが良いので本当にハダシの生活です。スリッパは使いません。
適度に柔らかさがあるし、冷たさを感じにくいので、床に直に座るのも有りです。寝転ぶ事もあります。 

夏場や梅雨時も床はベタベタしません爽やかです。

2018年12月8日土曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る12 地震対策 耐震設計レベルを考える

地震の記事を読むと、震度xとか、少し専門風に書いてあるものは何百ガルの加速度などという書き方をしている物もあります。


本家本元の気象庁のドキュメントを見ていくと、震度(揺れの大きさ)と加速度(ガル)の関係は、地震の周期(秒)によってある関係を持っていると定義されています。


横軸に周期、縦軸に加速度と置いて図を書くと、震度Xというのは1~2秒の周期のあたりがもっとも加速度が小さく、周期がそれより短くなっても、長くなっても加速度は上がるというVの字のような形になっています。
よって、例えば地震の加速度は、揺れの周期と共に語らなければ意味がありません。


一般に木造の耐震設計3というのは600ガルに対応できる様に設計すると聞きます。
これは1~2秒周期では震度7の一番揺れの少ないレベルに相当します。よって、それより下の震度6強はその周期ならば倒壊しないという事ができます。


一方、家には共振周波数があり、木造の家では0.5~2秒が最もダメージを与えやすいキラーパルスと呼ばれています(1~2秒と書いてある本も多い)。

ところが、1秒未満例えば0.5秒の短周期では震度6強は800ガル程度まで加速度は上がる可能性があるという定義になっています。
つまり、耐震強度3は1秒未満の短周期では震度6弱までしかカバーできていないかもしれないと思いました。


という事もあり、耐震強度3の設計に加えて、制振ダンパーも追加する事にしました。


制振ダンパーはオイルを用いるタイプを使い、近くの断層に於ける過去のズレの方向を見て、丸清の河内さんが断層に乗り上げる動きと断層に沿って滑る動きの両方に対応すべくダンパー配置を考えて設置してくれました。


効果計算ではエネルギー耐力が約1.25倍となりましたので、600x1.25=750ガルまで対応できるのでは考えました。

これで0.5秒周期でも震度6強はほぼカバーでき、1~2秒帯では余力を持つ事が想定できます。又、2度目、3度目の余震についてもダンパー吸収がありますので有利に働くでしょう。
表層地盤の倍率分を吸収するという意味でも期待します。


これで、震度6強が来ても倒壊はしないだろうという目途が立ちました。勿論、損傷はあると思いますが、それが致命的にはならないし、比較的簡単に修理できる様に壁構造等は考えます。
ここまでやっても、ダメだったらあきらめもつきます。


但し、一つだけ住み手の立場としては残念な事がありました。それは、制振ダンパーはメーカーを信じるしかないという事です。

例えば10年毎に一々壁を崩してオイルが漏れていないか等は調べられません。
昨今、免震ゴムや制振ダンパーを偽って出荷していたという様なニュースをいくつも聞きます。今回使ったダンパーは、それらとは異なるメーカーで、10年保証(耐久は50年以上)と言っていますが施主としては、確かめる術が無いので、「おまじない」程度に考えておかないといけないのかもしれません。


河内さん経由でメーカーからダンパーの試験結果報告書を取ってもらいました。
あるストレス条件での品質確認結果という事は分かりましたが、なぜそのストレス値なのか、肝心な平均何年で劣化するとか、又は平均何ガルx何回で 故障するという様な信頼性の数字は出てきませんでした。(工業製品で言うMTTF等ですね。)
この辺りは、もっと合理的な品質保証のしくみが出来ると良いと思いました。


2018年12月6日木曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る11 地震対策 家の形を考える

九州地震の調査を見ると、幾つか特徴的な事があります。

倒壊が多かったのは、瓦屋根の家、1Fと2Fで共通壁が少なかった家。

損傷では、最初の揺れは耐えても、第2弾の本震でやられた物も多い。

免震構造のビルでも、想定より大きな揺れがくるとゴムやダンパーの可動範囲を超えて周囲にぶつかりダメになりそうだった事。

全壊は少ないが、半壊や壁にヒビ等はかなり多い事。

等々。

これらの情報を下に、

1.家の形は出来るだけ立方体(サイコロ)形状に近づける。
⇒揺れに強いし、断熱効率にも良い。総二階。

2.屋根は軽くし、重心を低くする。
⇒軽い屋根材を使い、太陽光発電や太陽熱温水などを上に置くことはしない。又、断熱も屋根断熱ではなく天井断熱とした事も重心を少しでも低く押さえる事に寄与しています。

3.耐震設計は3とする。

4.壊れにくく、修理もしやすい(出来るだけ単純な)屋根の形にする。
⇒切妻屋根。

5.壁に、もしもクラックが入っても重大事態にならない様にする。

事を決めました。

構造体は鉄骨方式や壁工法が有利なのは分かっていましたが、透湿工法との相性が悪いので木造軸組み工法で上記1~5を指針に作る事にしました。

木造軸組みでも、TIP構法などの半柔構造(と思う)のやり方もありましたが、今回は通常の方法で作る事にしました。


又、間取りも1Fと2Fの壁共通性を意識する事と、何かあった時に必ず各部屋2方向には逃げられる道を確保するようにしました。

2018年12月5日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る10 地震対策 危険度を調べる

次に、地方自治体(私の場合は、当該市、近隣市、東京都)のハザードマップ、防災計画を調べます。ハザードマップもネットで読めますので便利です。


地震時の震度予想や、洪水地域か否か、火事が起こりやすい所か否か などが分かります。
私の場合は、近くに大きな断層が通っていて、首都直下地震のいくつかあるケースの一つに数えられており、地震が起こると震度6強が予想されるという事が分かりました。


又、数年前の九州の大地震の調査結果から、表層地盤は地震の震度を増幅する可能性があるという事が言われ始めている事を知りました。


そして、国の防災科学研究所のWebに、各地の表層地盤での増幅率が出ているのを見つけました。私の土地の場合はx1.2~1.4の増幅率でした。


ハザードマップの震度6強という表示は、この増幅率が組み込まれているのか否なのかが良く分かりませんが、ハザードマップが作られたのは九州地震の前の様ですので、組み込まれていないという前提で考える事にしました。


後ほど書くと思いますが、震度6強というのは相当に強いレベルです。
震度は7までしか区分けがなく、7は上限のない無限大の揺れまでが入ります。
そういう意味で震度6強というのは科学的に示せる最も大きな地震のレベルと言えます。

2018年12月4日火曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る9 地震対策 土地を調べる

いよいよ、具体的な話になります。

まずは、その土地がどういう処なのかを調べました。

昔はどういう使われ方をしていたか。

水田や沼があった所などは液状化の可能性がある様な記事を読んだ事がありました。
そこで、ネットの古地図で昔(と言っても明治ぐらいかな)はどうなっていたのかを見ました。

ラッキーな事に、桑畑でしたので一安心。

もし、液状化の可能性があると地盤改良をしなければならなくなります。

とは言っても、実際に建築をする前に地盤調査もしました。

スウェーデン式(SWS調査というらしい)というやり方で地盤を調べる事が一般的と言われていますが、設計士さん、工務店さんからのアドバイスとして、SWS調査は誤差が大きく、本当は不要なのに地盤改良が必要と言われる事があるとの事。


SDS調査(スクリュードライバーサウンディング)ではトルクも調べるので土質も分かり、判定を誤る確率は低くなるとの事。
値段もそれほど高くなかったので、SDSでもお願いをしました。


結果、地盤改良は不要。又、地下のどれぐらいの深さからどういう地質に変わっているのかも知る事ができました。


又、大きな書店に行き、国土地理院発行の1万分の1地形図も買いました。これには、2m毎の等高線が書かれているので、土地の高低差を読み取る事ができます。

地震とは異なりますが、もし、大雨や洪水になったら、水はどちらの方向に流れるのかもイメージする事ができます。

2018年12月2日日曜日

【本】忍者はすごかった 山田雄司 幻冬舎新書

著者は三重大学の教授の方。ちゃんと学術的に調べて書かれているのだと思います。

「万川集海」という最も大部な忍術書が伝わっているとのこと。


それによると、忍者は「黒装束で素早く動き、手裏剣を打つ、、」というイメージは作られた物で、本当の姿は全然違ったとのこと。


「忍び」の最も重要な職務は敵方の状況を主君に伝える事だったため、生き延びて戻ってくる必要があった。その為、生きて生きて生き抜く事。サバイバル術に長けた者。それが忍びだった。


色々な技術もありますが、それと同時に人から秘密を引き出す為のあの手この手の技術が重要。


それら「忍術」は非常に具体的で、現代でも十分通用するものが多そうです。


一つの例では、

ある家に侵入したいと思うのなら、その家の前をしばしば通り、あつるときにはその門の前で仮病を発し、門前で休んでその家の下人に薬や水を頼み、しばらくして病気が治ったようにふるまい、家の中に入ってよくお礼を言って知人となって、一旦は帰る。

後日 届け物を持って丁寧に礼を述べて親しくなるようにする。その時には、まずはその家の子供をほめ、奥方に贈り物をし、次に下人に贈り物をすれば、主人は非常に喜び、気を許して深い話もしてくれるようになる。


もう一つ、こんな話も

師が上手な弟子に、「大きな瓶を盗んで来い」と言った。弟子は「なかなか日中に大きな瓶を盗んでくることは難しい」と言うので、師は「行って取ってこよう」ということで、瓶屋に行って買ってきた。

弟子たちはこぞってこれを笑った。そのとき師は言った。

 「だからお前たちは下手というものなのだ。瓶を取ってこようと思うと、一途に瓶ばかりに心がいってしまう。私はそのあたりで小さい猪口を十ばかり盗んで袖に入れ、これを売って大きな瓶を買ってきた。すなわち色を替える術なのである」


皆が考えつくような方法では、対策がとられていて忍びこむことはできません。相手が考えないような方法を駆使することによって意表を突き、初めて忍び込むことができる。


「忍法」の本、色々 読んでみたくなりました。

2018年11月30日金曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る8 どういう関係を作るか

家の購入や新築は、家電製品とは異なり、殆どの人は一生に1-2度しか行わない大イベント。かつ一度作ったら簡単には変更できず、その後数十年もその結果と付き合わなければなりません。


「失敗したくない、失敗は許せない」作業という気持ちになります。


軽はずみな判断や、ある一面だけを見て判断するという事は避ける必要があります。


その為には、設計・施工してもらう人とどれだけ密にコミュニケートして、ディスカスの中で施主が漠然と持っているイメージをいかに具現化してもらうか、又は誤った考えを正してもらえるか。

さらに望ましいのは、施主と一緒に悩み。知恵だししてくれるかが大きなポイントになります。


ハウスメーカーに頼むにせよ、設計事務所や工務店に頼むにせよ、担当してくれる人がどういう人なのかを良く見極めてから契約する事が重要だと思います。


私の場合は、ジョイ設計事務所の寺田さん、株式会社丸清の河内さんというとても素晴らしい方々と巡り会えて本当に助かりました。ラッキーでした。感謝しています。


プランを作り、細部を決めていく過程で、毎週の様に、平日の夜7時頃に集合して9時すぎまで、多くの事を3人でディスカスをしていきました。


建築シロウトの私に良く付き合っていただけたと思います。
色々と質問させてもらい教えていただいて理解できましたし、逆にシロウト視点で質問していく事で、新しいアイデアも幾つか産む事が出来ました。


プロの方々の言われる事は間違いないだろう。従来の常識のやり方も間違いないだろう。 「だから、お任せします」というスタンスは止めるのが良いと思いました。


自分の狙いの家を実現したいならば、疑問点は徹底的に聞く、別の選択肢はないのか?と絶えず問いかける という事が重要だと思いました。


設計士さんも、工務店さんも経験されている家の軒数は年に多くて数十軒でしょう。
建築材料や技術も年々進化していますし、彼らが全てをご存知の訳はありません。


「お任せ」してしまうと、彼らの過去経験の中の手慣れたやり方にどうしても偏ってしまいます。


現時点でのベストは何かを、一緒に考えて研究してもらえる環境を作れると良いです。


後は、自分の狙いと似たコンセプトで作られた家を家庭訪問させていただき、実際の状況や住んでみての感想を直に聞かせてもらうこと。私も2軒のお宅を訪問させて頂き、沢山の気づきを得る事ができました。


チームとなる事が、本当に重要だと思いました。

2018年11月29日木曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る7 パートナーの探し方

大手ハウスメーカーで適当な所がなかったのですが、落ち着いて考えてみると、レディメードの商品を選んで購入するという「買い物」では、折角大金をはたいても住んでみて不満や後悔を生みそうです。


やはり、各部分まで自分で理解、納得できるように、十分な説明を聞いたりやディスカスをしながら作っていきたいと考え始めました。


そこで、次はセルローズファイバーを使った透湿工法での家創り経験が豊富な設計士さんを探しました。


偶然 妻が訪問した教会がセルローズファイバーを使って建てられていて、とても気持ちの良い所だったとの事で、その設計事務所を調べました。


そこはジョイ設計事務所さんという所で、早速 私のコンセプト「気持ちよく・健康」、「安心」、「低ランニングコスト」の説明資料を持って会いに行きました。


突然の問い合わせにも関らず、とても気さく且つ親身になって相談に乗っていただけました。


間取り案も含めて何度もディスカスを重ね最終的に、耐震構造をいれた木造軸組み方式でセルローズファイバーを用いた透湿工法とパッシブハウス手法を組み込むという方針を固めました。


その方針の下、天龍材の檜と杉の製材所を自社で持ち木材を熟知し、セルローズファイバーの扱いにも慣れている。そして、昔から長く地元で続けてこられている工務店の丸清さんに施工をお願いする事にしました。


丸清さんは、以前もジョイ設計さんと一緒に仕事をした事があって、大工さんチームも含めてその実力が良く分かっているので安心との事でした。


木造の作り方では2x4等の壁構造方式も考えましたが、地震にはかなり有利ですが、そこで使う板は合板になりますので透湿性が低く、湿気の吸排出が阻害されるので検討から外しました。

2018年11月28日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る6 どうやって実現?

どうすれば具現化できそうかというヒントが得られた所で、どこにお願いすれば良いのかを探しました。


施主から見て、家を作る時の選択肢は以下の4つに思えました。

・大手ハウスメーカー:
標準やオプションから選んで買う。なんとなく安心。

・中小ハウスビルダー:
そこが持つ特徴を生かしながら、施主の我儘も少し聞いてもらいながら作る。近くに希望の技術を持つ会社があれば良いが、、

・地元の工務店:
施主が自己責任で決めていって建てる。自分一人で全部考えられるかちょっと不安。

・設計事務所+工務店:
施主の希望も加味し、デザイン性も入れてもらいながら作る。相談しながら作れるのは良いが費用は高そう。


まず、一番身近な住宅展示場を回りました。

大手ハウスメーカーの大きく豪華なモデルハウスが立ち並んでいます。ついつい、インテリア等に目を奪われがちですが、ここは気を引き締めてコンセプトを満たせるメーカーがあるか探していきました。


各社、得意領域が異なり特徴があります。


でも、私のコンセプトを全て満たす所は見つけられませんでした。


例えば「性能」を売りにしているメーカーでは、Q値が1を切る事や、地震に強い点は良いなと思いました。

確かに2重の断熱、トリプルガラス窓などを使うとの事なので良いQ値になりそうだし、4x6の壁工法なので地震に強いという事もうなずけます。24時間全熱換気で室内環境がかなり安定する事も期待できそうです。

豊富な資料で説明されるので、理系のお客さんなどは好きになりそうだなと思いました。


耐震、断熱や室内環境という点は私の希望を満たしています。


でも、暮らし方に関する考えの根本が私とは異なると感じました。


Q値は素晴らしいのですが、それを達成するためにウレタン断熱材が使われています。
今年あった倉庫火災の死亡事故でも分かる様に、ウレタンは青酸ガスが出るので万一を考えると、私は使いたくありません。


窓も年中閉め切りを前提としたコンセプトと見受けられました。標準で網戸が付いておらずオプションです。
又、庇が付いていません。窓ガラスで太陽熱を外からも内からも遮断するので不要という考え方だと思いました。


つまり、密閉空間にして、その中を装置を活用して快適環境を作っているのだと思いました。例えれば、宇宙船やオフィスビル的な考え方かな。
装置が多くなればなるほど、メンテや交換などがつきまといます。


北海道から暖かい地方まで、どんな土地ででも快適環境を提供するというのは商売としては良い方法だと理解できます。施主は手軽に快適空間を得る事は出来ます。

でも、私の「健康で安全、自然なそよ風の涼しさや陽だまりの暖かさを感じる。停電でも快適環境が自然に作られる。」という希望とは真逆の発想だと思いました。


私の要望は一般的ではないのかな、という印象を得ました。

こういうコンセプトに対応する中堅会社も近くに見つからず、「設計事務所+工務店」で答えが作れないかを考え始めました。

2018年11月27日火曜日

【本】バナナを逆からむいてみたら アーチャン・ブラーム 主婦の友社

副題 人生の視点を変えるレッスン

著者は、理論物理を学んだイギリス人の仏教のお坊さん。

人間 心の持ち方(視点の置き方)一つで 生き方が変わる事を伝えようとしている本です。


面白いなあと思う話が沢山でています。

例えば、

ドイツで講演をした時、一人の青年が悩みを訴えてきました。

彼の人生は失敗の連続でした。だから「今は、毎日がまるで、どんよりした冬の日の様な感じです。」そして「幸せになるチャンスが来ても、それを追い払うクセがついてしまった」とも言います。

つまりは、「自分は幸せに値しない人間だ」と無意識のうちに思い込んでしまっているのです。

私は彼に「幸せになるライセンス」を書いて手渡したのです。
彼はそのライセンスをとても大切にしてくれました。こころの底からありがたがってくれたのです。額に入れ、壁に掛けました。

彼は喜びを拒否しなくなり、幸せを素直に受け入れられるようになしました。
こうして、沢山の問題が彼の心の中から消えたのです。

「幸せになるライセンス」

 この書類を所持する者は、
 いかなる理由があるにせよ、
 あるいは何ら理由がないにせよ、
 何の障害もなく、
 幸せになる権利を永久に有することを
 公認されているものとする。
 何人もこの権利を侵害してはならない。

  アーチャン・ブラーム


別の話では、

 愛する人が、
 あの世に旅立とうとするとき、
 その死を受け入れることが、
 最後のプレゼント。

との事。

本人は「私自身、穏やかに死ぬ覚悟はできています。でも問題は、家族や親類、親友が私の死を認めてくれないことです。」

「お母さん、お母さん、死なないで! 元気になってよ! お願いだから!」

死にゆく人たちが一番苦痛に感じるのは、この種の言葉なのです。

死を認めてあげることこそ、死期の迫った人に対する「最高の愛情表現」だからです。


32の話が出ています。

表題の"バナナを逆からむいてみたら"というのも、先っぽから剥く方がうんと簡単に剥けるとの事。

本当に、視点を変えると違う世界が見えてくるかもと思わせてくれる一冊です。

2018年11月26日月曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る5 キーポイントを考える

実際に希望の具体化を考えていく時に、最も難しいのは何かな? と考えました。


例えば耐震性を得る方法等は 構法、材料、手法など色々既に分かってきているので、何とかできると思いました。


一方で簡単な答えが見つからなかったのは、停電下を前提としても(電気器具に頼らない)健康・快適に暮らせるという事だと思いました。


温湿度、特に湿度のコントロールが難しいポイントの様に感じました。

湿度は結露だけでなく、体感温度や、体調にも影響を与えそうです。一方で、そのコントロールが上手くいけば、健康面にも、家の寿命にも良い影響が出るはずです。


真夏や梅雨時の停電生活では高湿度だとそんなに高温でなくとも熱中症になる危険が高く、命に係わります。

体感温度も湿度が大きく効き、気温が少し低くても湿度が高ければ暖かく感じますし、気温が高くとも湿度が低ければ涼しく感じます。


湿度を自然に調整する方法として、「調湿」という考え方がありました。


周りが高湿時は湿気を吸収し、低湿時は放出する事で、空気の湿度を安定化させる材料があります。


例えば自然素材(木や珪藻土などの天然の材料)。それらの調湿容量(湿度を貯蔵できる総量)が大きいほど湿度変化を少なくする事ができます。


探していくと最も分かり易く書いてあったのが、山本順三さんの書かれた本。


南関東では、木造住宅にしてセルローズファイバーという断熱材を用いる事で、調湿性を活かせる家が作れるのかもしれないと思いました。


早速、山本さんのお宅(体験館)にお邪魔して、セルローズファイバーとはどういう物か、それを用いた実際の山本さん家はどんな具合かを確かめに行きました。


すると、セルローズファイバーを使うと調湿性以外にも、防火性、火事の時に有害ガスを出さない、虫を寄せ付けない、遮音性等のメリットが分かりました。


さらに、セルローズファイバーから家の外に水蒸気を吸放出させる(内壁から外壁まで水蒸気を通すことを考えた)「透湿工法」も必要で、南関東ではそれも実現できそうな事も分かりました。


勿論 断熱性は高く、真夏炎天下の小屋裏(屋根裏)でも無冷房で気持ちよく昼寝ができる事を体感しました。これは断熱と低湿の両方が効いての効果だと感じました。

又、真冬に(夏と冬にわざと2回訪問しました)暖房を入れていなくても、かなり暖かい事を確認しました。


但し、セルローズファイバーの施工にはスキルが要求される事と少し価格が高いのがデメリットの様です。


セルローズファイバーで、色々な課題がクリアできそうな感触です。


同時期に「パッシブハウス」という考え方がある事も知りました。


パッシブハウスは太陽の熱や自然な風を上手く活用して、快適、低ランニングコスト、長寿命のエコ住宅を創る手法だという事が分かりました。

2018年11月24日土曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る4 情報を集める

次に、実現手段を探していきます。

まずは、情報を集めました。


家を建てるかもと考え始めた時から、近くの図書館に行って色々な住宅や建築に関する本を借りて読み出しました。


最初は「いい家~」的な物から、各種素材について、間取り、建築方法、結露、バリアフリー、耐震方法、実際の震災被害、植物、伝統建築、エコ住宅、パッシブハウス、太陽光発電、太陽熱利用、井戸利用、雨水利用、夏を涼しく暮らす方法、インテリア、エクステリア、空調設備、住まいと健康、シックハウス、火災時の安全性、地域の気象、地球温暖化が日本の気候に与えていく影響、雷の影響、人種と感じ方(体感温度等)、、等々 だんだんと範囲が自然に広がっていきました。


私の使っていた図書館は便利で、複数の図書館が連携しており、それらの所蔵図書一覧を家からWebで見て予約できます。

毎週5冊づつぐらい借りていきました。図書館は無料ですので、中身をザっと見てハズレだと思ったらすぐに返却すれば良く、多くの情報を得ていくのにはとても効率的です。


勿論 新刊本や雑誌は色々な書店で立ち読みもさせてもらいました。その場合は新宿紀伊国屋などの専門書も多くそろえている大書店に行く様にしました。

建築の本は一般読者向けの本と、工務店さん等の作り手向けの本とがありますが、その両方を見る事で理解できる事も多かった気がします。


一つのテーマに関して、出来るだけ違う視点や立場から書かれた本を複数冊読む事で、メリット・デメリットを公平に知ろうとしました。


ネットでの情報収集も当然しますが、出ている記事はさらに慎重に考えないと危険(メーカーや他人が言っている事を、裏も取らずに述べている物が非常に多い。又は中立独立を装った書き込み等が多い)な気がしました。


気になった情報は、可能ならば現物を見に行ったり、著者と話しに行ったりしました。

そうやって、使えるかもしれない知恵や、外してはいけないポイントなどがうっすらと見えてきた気がします。

こういう情報収集と勉強は、建て終わるまで続いていきました。

2018年11月23日金曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る3 冷静な目も

前記3つの希望の具体項目を実現化していく時に、一つ一つ単独に考えるのではなくいつも全体を意識しながら、複数の課題を同時に解決できる道は無いかを考えて行こうと思いました。


何時でも、全体をまず考えてその中で個別の事を考えていく事にしました。


もともとケチな性格なので、”1粒で2度おいしい”や”一挙両得”などという言葉が大好きなので、出来れば、それを狙います。


所で、間取りに関しては、家族構成や住み方イメージにより大きく変わると思いますし、家創りを考える時に最初に 最も楽しく悩む部分ではないかと思います。

建て主の個性と事情が出る所ですが、前述した希望項目を実現できそうかを頭に浮かべながら検討すると良いですね。


ちなみに私の場合、間取りに関連しハッとさせられた事が一つありました。


私は各階1台だけエアコンを設けるが、各部屋へエアコンを付ける事は考えていませんでした。そういう事が不要な家を目指したいと考えていました。又、ベランダも不要と考えていました。


でも設計士さんから、この家は将来 売りに出すという可能性もあるか?と問われ、その場合、世間一般常識では各部屋にエアコンが付く事と、ベランダがあって2階で洗濯を干せる事が望まれると言われました。


終の棲家を建てるという気持ちだったので悩みましたが、売って現金化するという事もあり得ると考えて、最終的にベランダを設け、各部屋にもエアコンを取付可能な様に配線・穴工事等はしておく事にしました。


冷静な目で、色々な将来の可能性を考えておく事も重要なようです。

2018年11月21日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る2 希望項目のブレークダウン

いよいよ希望項目のブレークダウンです。

「気持ちよく、健康」とはどういう状態かをイメージしてみました。

 明るい部屋
 四季を楽しめる
   陽だまりの暖かさや木陰の涼しさ
 そよ風と木の感触
 年中快適温湿度
 空気清浄・臭いない
 外の音がうるさくない
   内の音が外に洩れない
 家族が和やかに暮らせる
 青空や日の出を楽しめる
 結露やカビがない
 年を重ねると味が出てくる
 庭仕事ができる
 虫が入ってこない


「安心」は、

 ヒートショックにならない
 防犯がしっかり出来ている
 地震で潰れない。圧死等にならない。
 災害時 すぐに逃げられる。
 災害時 長期停電になっても暮らしてい
              ける。(熱中症や凍えたりしない)
 災害時 断水になってもトイレに困らない。
            (飲料水は市営の井戸で入手)
 災害時 情報遮断されない。
 シックハウスにならない
 火事になりにくい
 万一、火事になっても有害ガスが出ない
 落雷があっても関連被害を受けにくい。
 大雨でも水はけが良い。
 雑草抜きでヘトヘトにならない。
 老後(体力の衰え)の対策が出来ている
 家族が気配をお互いに感じられる
 (何かあっても直ぐに気が付ける)
 介護が必要になっても、介護しやすい
 家が長持ちする


「低ランニングコスト」は、年金だけでも暮らしていける様に

 低光熱費
 低メンテナンス費用
(家のメンテ費、設備の修理買換え費)
 低水道費
 低医療費
 低交通費


希望を具体的にブレークダウンする時は、とにかく欲張りに上げていくのが良いと思います。

具体的にありたい姿が書き出されていると、知恵が出しやすくなります。

2018年11月17日土曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る1 大枠の整理

ここからは、私が狙いを実現する為にどういう事を悩んで、どういう風に決めて行ったかという具体的な話になります。


世の中には「作り手側」からの情報があふれていますが、「買い手側」からの情報は少ないので、私の経験がこれから家創りをしようと考えている方の参考になれば良いなと思います。


まずは、実現したい希望をもう少し具体的にブレークダウンして書き出しました。

そういう整理は、自分の為の頭の整理でもありますし、ハウスメーカーや設計士さんなど他人に思いを伝えるのにも非常に有用だと思ったのです。


最初は、大枠の整理です。

住む予定の家族は誰と誰で、それが向う数十年後までにどう変わりそうか。


どういう住み方をしたいのか。

例えば、知り合いを沢山呼んでワイワイできる家にしたいとか、穏やかに暮らしたいとか、趣味を充実させる事をしたいとか、、


あとは、制約条件です。

資金額、移住するスケジュール、建てる予定の土地の建蔽率や容積率は?、防火地区か?、音の環境は?、陽当たりは?、隣家に対しての制約(高さ制限や日射など)があるか等々。


私の場合、

夫婦で住んで時々子供達が帰ってきて泊まれる。お客を沢山というよりも、年とっても穏やかに暮らしていける家にしたいと考えました。

家を考える時に、間取りは誰でも最初に考え始める所だと思いますが、イメージが無くて間取集の本など眺めても、私は目移りするだけでどうしらた良いのか全然考えがまとまりませんでした。

でも、どういう住み方をするかがイメージできればかなり考えやすくなります。
前記の整理をしてから見直すと自分にとって何が良いかが段々分かってきました。


土地の制約条件は市役所等で調べました。

最後に資金の面からの制約は、大きな家にはしない。
特注品は使わず普及している標準的な建材や装置、手法を使っていく。
という事を決めました。

2018年11月14日水曜日

【家 住み手が書く】希望をかなえる家を創りたい3

結果から言うと、狙いとしていた事が、ほぼ思った通りに実現できた事を実感する毎日です。


明るい部屋で、いつもサラサラかつ暖かい木の感触に囲まれ、臭いのない澄んだ空気。

外気に急激な温湿度変化があっても、室内環境はいつも穏やかに落ち着いており、家中のどこでも温度差が殆ど無い。

昼はそよ風を楽しみ、夜も防犯性を保ちながら涼しい風を取り入れられる。

地震など災害に強く、万一の長期停電でも健康的な生活環境を確保できている。

老後に備えバリアフリー。家族の気配をお互いに感じて暮らせます。

ガス代、電気代も大幅減。


出来てみると、「爽やかで、頼もしい」と感じられる家になりました。


机上でいくら計画しても、実際に住み始めるまで不安でしたが、欲張りな希望でも知恵を出して取り組めばリーズナブル(標準的な建材の組み合わせで)に実現できる事を実感しました。

2018年11月13日火曜日

【家 住み手が書く】希望をかなえる家を創りたい2

家を創るにあたり、何を重要とするかコンセプトを決める必要があります。

コンセプトによって、作り方も変わるのだと思います。


私の場合は、

①健康・快適に暮せる
②地震など天災があっても安心して暮せる
③自分たちが老化していっても暮せる
④年金生活でも暮せる。

キーワード的に言うと

「気持ちよく・健康」
「安心」
「低ランニングコスト」

な家という事になりました。


家に対する想いは人それぞれあると思います。例えば、部屋数の多い家、レンガ作りでオシャレな家とか、リスニングルームのある家とか、エコな家とか、、 。


私の場合は、デザインや楽しみ重視よりもまずは基本性能が高い家という志向と言えます。


「想い」が整理できれば、あとはそれをどう実現していくかという事になります。

もしも、“ゼロエネルギーハウスにしたい”というのが最大のポイントと考える人がいたら、、太陽光発電パネルという重量物を載せても大地震で壊れる心配の無い丈夫な工法(例えば鉄骨構造等)を前提にして考えていくという事になるでしょう。

“とにかく手間をかけずに”という事が重要だと、大手ハウスメーカーのプランを選ぶ事になるでしょう。

色々な材料や工法がありますが、各々メリットとデメリットがありますから、何を狙いたいかを明確にする事が必須になると思います。


ボンヤリ住宅展示場に行ってインテリアやデザインの印象で契約しない事が重要と思いました。


狙いたい事が、どういうレベルで、どういう方法で実現できるのかを展示場の各メーカーに聞いて回ったりすると、だんだん情報が集まってきます。


私の場合、実家の土地が有名な活断層の近くにあり、今後30年の間に80%確率で起こると言われる首都大地震では強く影響を受けると思われます。

よって、「大地震でも生命が危険にならない事」と「大地震に関連して起こる長期大停電下でも生きていける事。」を前提に置いて、前記①~④の狙いを成立させる道を探していく事にしました。


2018年11月12日月曜日

【家 住み手が書く】希望をかなえる家を創りたい1

空家になっていた実家を建て替えて移住する事に決めました。

私は今まで、中古マンションを買った事はありますが、家を建てるという事は無く、全くゼロからのスタートです。

試行錯誤で創って行った中で考えた事を書いてみようと思います。

あれこれ悩む事もありましたが、基本的には自分の希望を具体的に実現していくというワクワクした楽しみが一杯でした。

そういう楽しさもお伝えできればいいなと思います。


まず、どういう家にしたら良いのか考え始めました。


私の住まいに関する経験で、これはイヤだなと思った事が何点かありました。


寒い家:

実家は40年以上前に2x4という方式で建てた家でしたが、冬が寒い。部屋の中で吐く息が白くなります。朝ベッドから起きるのが苦痛。そこで、エアコン暖房をつけて寝ると、喉がガラガラになってしまいました。


結露とカビ:

マンションに住んでいた時に、アルミサッシ廻りや冷蔵庫の後ろの壁などカビがビッシリ生えてしまった事がありました。


陽当りの悪い部屋:

直近の17年間住んでいたマンションの部屋が、斜面に建っていたので、すぐ目の前に土の斜面があり、リビング含めて部屋が暗くて、昼でも電灯を点ける必要がありました。


虫や生き物が入る家:

そのマンションの部屋は庭付きだったのですが、部屋の床面が地面とほぼ同じ高さで、ハサミムシやアリなどが入ってきました。ある時は蛇まで入ってきました。
これは辛い。


こういう事は無い家にしたい。 というのが最初に頭に思い浮かんだ事です。

さらに、阪神大震災の時にちょうど関西で暮らしていて、その恐さを肌で感じましたので、地震対策はしっかりする必要があるとも強く思っていました。


取り敢えず、家造りってどいう事なのかを知る為に図書館で30冊以上の関連本を借りて読みました。


その中で気が付いたのは、殆どが設計事務所の人や、工務店の社長、建材メーカーの人、ハウスメーカーの人、建築学者が著者という事。

つまり、「作る側の人」が書いた本ばかりだという事です。

しかも、素晴らしい家が自分の提唱する方法ならば実現できる。他のxx方式にはこういう欠点がある、、、という様な内容が非常に多い様に感じました。

そこにはその方法で住まわれている人の感想やアンケートなども出ていますが、「以前に住んでいた家に比べて素晴らしい。快適」という声ばかり。


うがった見方をすれば、本という形をとって、ライバル工法をこき下ろし、集客しようとしている様にも見えます。


この傾向は、ネット上の情報も同様で、自分に都合の良い所(セールスポイント)だけを謳っている情報が建築関係は本当に多い気がしました。一般ユーザーを装った、サクラ ブログやサクラ 口コミと思われるものも多い気がします。


勿論、良心的かつ公平に書こうとされているのが感じられる本もありますし、建築は一つの地方工務店で多種多様な経験を持てるはずもないので、自分から見てベストと思っている方法を善意で勧めていると見る事もできます。

でも私の結論は、建築分野に於いては本やネットなどに書かれている事を鵜呑みにして信じる事はしないで、自分で考えて納得できた事だけを採用していこうと決めました。

とは言っても、私には専門知識がある訳では無いので、学校で習った物理・化学などの知識と、実際に現物を確かめて感じるという行動、さらに、出来るだけ多角的なメリット・デメリット情報を収集して考えていく事にしました。

2018年11月11日日曜日

【本】2001年宇宙の旅 アーサー・C・クラーク ハヤカワ文庫

なんで今どき「2001年宇宙の旅」?と思われるでしょう。
1968年に映画が大ヒットした非常に有名なSFです。

1968年といえばちょうどアポロ計画でアポロ8号が人類史上初めて有人飛行で月を回ってきた時期。翌年の69年にアポロ11号でアームストロング船長が月面に1歩を踏み出しました。

つまり宇宙に全世界の関心が集まっていた時期の作品です。

コンピュータもIBMのSYSTEM/360というメインフレームという中央処理で何でもこなすシステムが普及始めていて、これからは何でもコンピュータで制御していける世界になるのではという気運が高まっていました。パソコンは70年代にならないと出てきません。

私も当時小中学生で、映画を見てちょっと難しいけれど、とにかくスゴイ映画だと強く感動した事を今も鮮明に覚えています。

宇宙ステーションや無重力の世界はこんななのかという面白さと同時に、HAL9000という艦載コンピュータとの音声応答を使ったスリリングな対決に恐怖を覚えたのと、最後のワームホールの所はよく意味わかんない、、 という印象でした。

今回、たまたま立ち止まった書棚にこのシリーズが並んでいるのを見つけて、思わず手にとってしまいました。

映画は見たけれど、本は読んでいなかったのです。

大抵、映画と同じ題の本は映画の後にノベライズされた物だから大して面白くない、、というのが一般的な私の認識でした。

でも、この本は違っていました。

「2001年宇宙の旅」はこの小説を書きながら、そこから映画のシナリオを作っていったとの事。

小説を映画ではメディアの特性で、演出すべき所が違いますので、小説とは粗筋も含めてアレンジが加えられている事が分かりました。(映画はビジュアルと音がとても大事ですしね)

元となるこの小説はとても面白く、ぐいぐい引き込まれてしまいます。読み始めたら止められない感じ。

読んで初めて、「2001年宇宙の旅」という話は映画を含めてどういう全体像だったのか分かりました。

2018年という今、この本を読んでみると、モノリスやワームホールはまだ小説の世界だと思えますが、AIコンピュータとの闘いについてはあと5~10年でこういう危険が本当に起こって来る実感があって、新たな衝撃を受けました。

この数年 急激に進化しつつある機械学習(AI)は、その特徴が今までのプログラミングとは異なり、AIの出した答えがどういうロジックで出されたかが人間には分からない、解析できないという事。

教育データを沢山 読み込ませても、AI側がどういう解釈をして理解しているのかが分からない。

誰かが、知らない間に別のデータを学習させていたら、それがどう組み込まれてしまっているかもわからない。

でも、きっとIoTと騒ぎながら、企業や政治家はAI機能に全部任せれば安心・便利・お得 です。という方向に社会を進め様としていくのでしょう。

ユーザーはAIの出す答えに慣らされて、自己判断能力がどんどん奪われていく。
でも、AIを悪用する者は必ず現れるし、善意でもAIが誤解する場面や判断できずにフリーズする場面は必ず出てきます。

以前に書いた 人造マンモス のDNA改変技術では人間の脳を持ったドーベルマンやシャチ等も出来てくるかもしれません。

技術と営利主義、自己主義だけが暴走していくと、この先とても生きにくい世界になってしまいそうで、とても恐ろしさを感じました。

この本が50年も前に書かれているという事もスゴイ。

今こそ「2001年宇宙の旅」本は読むのに良い時期なのかもしれません。

続編の2010年宇宙の旅等もあるので、順次読んで行きたいと思います。

2018年10月16日火曜日

【本】マンモスを再生せよ ベン メズリック 文藝春秋

この本は、今年の7月に発売された翻訳本です。

読んでいて、非常に恐しくなりました。怒りも覚えます。

ハーバード大学で現在進行中のプロジェクトの「ノンフィクション小説」です。

ハーバードの天才教授ジョージ チャーチ氏とその研究グループが主人公。バイプレーヤーとして韓国のファン ウソク生命工学研究所所長が登場します。全て、実在の人物です。

大まかなストーリーは、ヒトゲノム全読み取りプロジェクトを推進、成功させたチャーチ氏が、最新の遺伝子工学を用いて、アジアゾウをベースに、絶滅したマンモスの性質を発現する人造細胞を作り、新マンモスを創り上げようとして推進しているプロジェクトの話です。

つい、数ヶ月前も 現実のネットニュースでこのプロジェクトの話題が日本でも流れていました。

新マンモスを作り、温暖化により永久凍土が溶け始めてメタンガスを大量放出するツンドラを、地面を踏み固める事等で地温を下げてメタン放出を回避しようという「氷河パーク」構想の為との事。

韓国のファン氏はES細胞の論文ねつ造事件で、大きく評判を落としたが、今はクローン犬ビジネスを10数年前から始めている。そして、ロシアで発見された保存状態の良いマンモス死体から細胞を取り、マンモスをクローン再生させようと現在取り組んでいるとの事。

この本が、フィクション小説ならば昔のジュラシックパークを読んだ時の様な、非常に面白いスペクタクル小説として楽しめると思います。

ですが、これは「ノンフィクション」。

チャーチ氏の業績は、ノーベル賞級の科学界にインパクトを与える内容なのだとは思います。ただ、彼がやっているのは 人造細胞⇒人造生物 を作るという事。
(「合成生物学」と言うらしい)

いみじくも彼が言っている様に、遺伝子を読むのではなく、彼は遺伝子を書き、組み込むのが仕事との事。

人に移植可能な臓器を持つ豚を作るという応用も研究しているとの事ですが、このマンモスプロジェクトは全くニュータイプの動物を作りそれを野に放して野生化させようという物。

不妊の蚊を作って、マラリア予防をしようという様な取り組みは既に世界で行われていますが、それらは人間の為。

でも、この新マンモス創造プロジェクトは、新生物を作る為の行動です。”温暖化対策の為”というのは自分達が研究開発をするための「大義名分」なだけに見えます。

韓国のファン氏の話も、私には同じぐらいのショックでした。

既に、クローン犬が商業的に作られて売買されているとの事。 
亡くなったペットを悲しむセレブから注文を受けて、500~1000万円/匹程度でクローンを作って売っています。

有名なバーブラ・ストライサンドさんはクローン犬2匹を飼っている事を公表しているらしい。

今年の1月 中国ではサルのクローンが作られて、人間もクローンできる技術レベルになったと公表されました。

でもきっと、非公表でクローン人間も既に出来ているのではと感じられます。どこかの国はやっていると思います。

チャーチ氏、ファン氏を 私はマッド科学者だと思いますが、たとえ彼らが存在しなくても、きっと他の誰かが同じ事を始めるのだろうと思います。
そういう時代になって来ていると考えなくてはいけません。

この本の解説を 東京工業大学の准教授が書いていますが、彼はこの本に書かれている行間のとてつもなく大変な実験に感心したり、最先端科学だとして「この現代生物学の光と闇との両面を自分事として考えることが、合成生物学という新たな時代に否が応でも突入する人類の幸福につながると信じている。」としています。

彼はゲノム合成国際プロジェクト(Genome Proj.-write)に参画し、チャーチ氏とも面識があるとの事で、遺伝子を「書き込む」研究をしているらしく、

この流れを止めようとはせず、光と闇を分かっていながらも進めようとする 科学自己中心主義だと思いました。

過去も、こういう考え方が 核兵器や、化学兵器、ネット闇社会を作ってきていると感じます。 

この本を読んで、 またか という想いと、「可能だが、やってはいけない」と止められる理性を今回こそは働かせないといけないという危機感で 気持ちが重くなってしまいました。

人間がこんな領域に踏み込んでも良いのか、、、マッドサイエンスなのではないか

多くの人に読んで、知ってもらいたい本です。

2018年9月30日日曜日

【本】沖縄生活誌 高良勉 岩波新書

沖縄にはまだ行った事がありません。
ニュースやバラエティなどで沖縄の事を聞く事は多いので、一度は訪れてみたいと思っています。

戦争、青い海とサンゴ礁、独特の文化や食べ物、縄文、政治に苦しめられている事、言葉など 沖縄という名前からは沢山の切り口が連想されます。

そこに住む人はどういう気持ちで、どういう風に暮らしているのか知りたくて、この本を読みました。13年前の本なので今は更に変化しているのだと思いますが、近代史や伝統も含めて沖縄の人の気持ちを少し知る事が出来た気がします。

琉球から連なる歴史の中でたまたま今は「沖縄」という立場になっているという理解が必要だと感じました。

正月から12月まで、季節季節の伝統行事等を含めてどういう楽しみ方、過ごし方をして来たのかがつづられています。

幾つか思った事を書きだしてみます。

日本復帰前と後では、伝統行事などがかなり変わってきてしまっている。

家族や知り合いをとても大事にして、助けあって生きていくしくみがあった。

それらは、地理上 日本、中国、米国などに植民地化されて圧政に耐えてき(自治・自立を奪われてきた)た歴史から生まれた知恵なのだろうと感じる。

基地問題を語る章の中に、沢山の米軍起因の事件や事故が多く、”その被害者の圧倒的大多数は、子どもであり女性たちなのです。
もし、「今日の日本は日米安保条約や在日米軍基地のおかげで繁栄している」と言う人がいたら、その人は沖縄の女性や子どもたちを米軍の生贄にしてきた歴史的事実を直視すべきです。”
”これでは。「沖縄差別政策」の表れだと批判されてもしかたがありません。”
という文があり、心に刺さりました。

一方、八重山諸島は近代にブラジルなどと同様に「開拓団」が派遣されて開かれていったとの事。

又、宮古諸島は沖縄島の琉球王国に併合されていったという歴史があり、近年まで宮古出身者は「宮古差別」に苦しめられてきたとの事。

人間というものは、差別の連鎖構造がどこまでも続くのだろうか、、と思わざるを得ません。

沢山の風習やそれに連動する食べ物や唄、踊りなどが紹介されています。

例えば、エイサー。
今は日本全国で踊られていますが、元々は沖縄のお盆行事の一つだったそうです。

”お盆につきものなのが、青年団によるエイサー踊りです。男子青年は歌・三線や太鼓と踊り、女子青年は踊りという役割構成でした。青年団はムラ中の家を一軒一軒廻り、その庭で祖霊をなぐさめ一家の繁栄を祈り、踊りを奉納するのです。したがって「仲順流れ」と「酒二合」の曲による踊りが必ず演じられました。
そのお礼に、青年団は各家庭からお酒と餅やご馳走をいただいていました。”

それ以外にも、島唄や沖縄芝居などもその背景が良くわかります。

この本を読んで、本来は南国の楽園として暮らしていけれても良いはずの沖縄諸島ですが、哀しさが先に立ちます。

誰かに不都合を押し付け合うのではなく、もっと皆が生きやすい社会に日本は進化変化させてていければと思います。

2018年9月23日日曜日

【本】緑の哲学 農業革命論 福岡正信 春秋社

「わら一本の革命」の内容をもう少し分かり易く、具体的に書いた本だと思いました。

農業を「経済」の商品と見る世の中の考え方が道を踏み外す大本になっていると喝破されています。

福岡さんを知りたかったら、まずはこちらの本から入るのが分かり易そうです。

【本】わら1本の革命 福岡正信 春秋社

世界の砂漠を粘土団子で緑化して、各種の賞を受賞された人という事を知って、福岡さんの本を読んでみました。

不耕起栽培を徹底して追及し、米と麦を無肥料、無農薬、不耕起で大量収穫できる手法にたどり着いた方です。

麦わらを地面にバラ撒いておいて稲を栽培し、収穫前に麦の種もバラバラと撒いていく。
刈り取った稲からでた稲わらを今度は地面に撒き、そこで麦を育てる。麦の収穫の前に稲の籾をバラバラ撒き、、 という事を繰り返していくらしい。

クローバーで地面を多い、窒素も根粒菌で土に入れていく。

福岡氏は、農薬や肥料やトラクタなどを使う「科学的農業」は、自然の力を阻害する悪い環境を作り、それへの対症療法ばかり追いかける間違ったやり方だと断じています。

人間が自然をコントロールするのではなく、人間は自然の一部だという事で生きるのが正しいという思想。国民が全員小さな農業をして、自分達の食べる分だけ作るという事を提唱しています。

私には全く違和感のない話でした。

農業というよりも、人類の生き方について真正面から問う本だと思います。

【美術】ミケランジェロと理想の身体

上野の国立西洋美術館で企画展示されている表記展示を見てきました。

国立西洋美術館は以前から大好きな美術館で何回も訪れた事があります。

特に、常設展のロセッティやルノワールの絵画、ロダンの考える人等はお気に入りでした。

今回は、企画展を見てから常設展という順番で回りました。


いきなりミケレンジェロの彫刻群を見て、その肌のすべすべ感、筋肉や脂肪、筋・骨の表現に圧倒されました。

硬い大理石を削ってこういう造形を作れるという事にまず感動。

彫刻を360度グルリと回り、表も裏も、見上げたり近づいたりしてジックリ見ました。

その技術の高さ、精緻さに加えて、圧倒的な迫力や存在感が伝わってくる事にビックリしました。

殆どは男性の裸姿(子供から老人まで)の彫刻の数々です。筋肉の表現という意味では男性の方が興味深かったのでしょうか。

理想的な美しい顔の彫刻という所では、男にも女にも見える中性的な顔が作られていました。

ルーブルで見た、古代ギリシャのミロのビーナス等も美しさや精緻さはかなりな物でしたが、このミケランジェロの像からは、「力」や「勢い」、「動き」が感じられます。

時々、ミケランジェロが描いた絵画も展示されていますが、やはり2次元のものと3次元のものでは伝えられる迫力が全く違うという事をとても良く感じられました。

ミケランジェロが、「自分は彫刻家であって画家ではない」と言っていた意味がハッキリ分かりました。

ミケランジェロの「デルフォイの巫女」は私の最も好きな絵画の一つですが、ミケランジェロはそれを本当は彫刻で作りたかったのではないかと思います。

これを見てしまってから常設展に行くと、ロダンの像が粗っぽい作品に見えてしまいました。絵画達も、2次元の限界を感じるだけの見学になってしまいました。

恐るべしミケランジェロの彫刻。

この企画展を見てしまった事が、今後の自分にとって幸せだったのか(今後 絵画を楽しめなくなる?)悩みつつ帰ってきました。


2018年9月21日金曜日

【本】幕末・維新 井上勝生 岩波新書

大河ドラマ「西郷どん」がいよいよ大詰めになってきました。

そこでの各出来事の描き方が、史実とかなり異なる筋書に演出されている様に感じて、図書館でこの本を借りて読みました。

日本人は幕末や明治維新は学校で習いますが、どういうつながりや意図でそれらが行われていたのかは、当然ながら明治新政府の視点からの歴史を教わっている事になります。

又、一般の人は小説や劇、ドラマ等で幕末・維新のあたりの話を沢山聞かされていて、坂本竜馬や西郷隆盛などアイドルの様に刷り込まれているキャラもあります。

小説やドラマは作者は人気を呼ぶためのフィクションの演出をしている事が多いと思いますが、その作品があまりに有名になってしまい、その小説に感化された次世代の人が、それを信じてドラマを作ったり、、という連鎖が起こり、いつの間にか人々の間にそれが真実の常識かの様に定着してしまうという事が、TVや映画、ネット情報などが普及した近代では頻繁に起こっている様に思われます。

それに、輪をかけているのは政府や企業などがしかける世論誘導、市場喚起の為の情報刷り込み。

この本は、学校で習ったりドラマで見せられて作られてきた幕末・維新の構図を、ガラガラと崩壊させて、本当はどうだったのか?と考えさせられる本と言えましょう。

攘夷を強行に主張しながらも、幕府や周りの人の圧力に弱く、勅令内容が左右にブレる孝明天皇。

勤王と言いながら、偽の詔勅を天皇の威を借りたり、軍事圧力やクーデターで朝廷を脅迫して従わせようとする政治家志士や公家。

実は外国からの植民地化の意思が弱かったにも関らず、それを強大な海外からの危機と煽り立てる手法。

そこには、実にドロドロとした政治駆け引きと偶然の差配が重なった結果としての歴史があるという事が分かりやすく書かれています。

もしかしたら、明治新政府とならずに徳川慶喜大統領制による国の運営が続くという事になっていたとしても、それはそれで今の日本とあまり変わらない姿になっていたのかもしれないという気にもなります。

歴史に関して、誰の話が真実なのかは判断できませんが、この本に書かれている姿は、今の日本の政治家や企業がやっている事と余り変わらない姿であり、リアリティを感じます。

NHKの大河ドラマは、今の日本では日本史の知識を大衆に植え付ける媒体である事は間違いないと思いますので、多様な説の番組を作ってくれれば良いのにと思ってしまいます。(少なくとも、明らかな嘘演出は止めて欲しい)

元となる脚本が無いとドラマは作れないのだと思うので、司馬遼太郎と異なる史観での娯楽ヒットコンテンツを誰かが作らないといけないのでしょうが。

2018年9月16日日曜日

【マーケティング】コードブルー 

この夏 コード・ブルーの劇場版が上映されてヒット中です。

私もこの番組は大好きなので、公開すぐに見に行きました。

大きな映画ホールでしたがギッシリの満員。
本当に老若男女という観客で、すごく愛されているんだなと感じました。

公開前に、若手フェロー達の日常という短い番組を毎日放映したり、主要キャストがバラエティー番組に出たりして、フジテレビが力を入れて盛り上げようと仕掛けていました。

私はそういうプロモ番組は見なかったのですが迷い無く映画館に足を運びました。

見え透いたプロモは、ドラマが折角作ってきたリアル感や誠実感を 損ねてしまう気がして、下手な広報宣伝という印象を持っていました。

映画は内容が濃いし、よく伏線も考えられていて面白く、大ヒットを続けているとの事。

見終わった後、きっとこのドラマ・映画の続編が作られるとしても数年先なのかな、、寂しいなという思いを持ちながら帰りました。

1ヶ月経って、忘れかけていた時。エンドロールの完全版をHPで公開したというニュースが飛び込んできました。 

藤川。冴島結婚へのビデオメッセージの拡大版です。

それが良く出来ていて、各メンバーの性格をしっかり思い出させる。今も彼らは実在して活動している 感を持たせる出来でした。

特に、緋山先生の存在感は凄い。

どうしても、彼らにもう一度会いたくなって昨日 再度 映画が見に行ってしまいました。

人生で同じ映画を2回見に行くというのは初めての経験です。

上っ面な宣伝よりこのエンドロール特別編公開は、愛されているキャラ、世界にもう一度 会いたい、、という気持ちを起こさせるスゴイ効果を発揮したと思います。
映画館も満席でした。

マーケティング手法としても、素晴らしいと感嘆しました。きっと、この作品と世界感を本当に愛している人だから出来たのではないでしょうか。

2018年9月9日日曜日

【本】激甚化する水害 気候変動による水害研究会 日経BP社

この本は2018年3月発刊の本です、

つまり、今年(2018)の夏前の大雨や、台風の強風による災害、北海道の地震による表層崩壊などが起こる前に書かれています。

この本で これから起こっていくであろうと予測していた事が、ほんの数ヶ月の内に次々と起こっているのを見る事になりました。

地球温暖化はこの100年位(1880-2012)で0.85度上昇している。
このままいくと1950-2100年での気温は最大4.8度上昇するだろうと国連IPCCで報告されている。

IPCCの気象予測シナリオに基づいて21世紀末の日本を予測すると、

・滝の様に降る雨(降水量50㎜/時 以上)の年間発生回数は、
 全国平均で2倍以上となる。
 現在ではほとんど観測されない様な、年最大日降水量が例年
 の様に出現する。

・台風は、現在では見られない強度まで発達する。最大風速67m/s
 を超えるような極端に強い台風については、その数と最大強度
 が顕著に増大すると共に、日本に上陸する直前でも中心気圧が
 880hPa以下、最大風速70m/s以上を維持するものも予測される。

・これらの気象予測に基づき河川流量を検討すると、治水計画の
 の基本となる流量を示す基本高水を超える洪水の発生頻度が
 約1.8~4.4倍になる事が予測される。

温暖化に対して、「緩和策」と「適応策」という考え方がある。

「緩和策」は温室効果ガスの排出削減と吸収源の対策で、例えば
・省エネルギー対策、・再生可能エネルギーの普及拡大、
・CO2の吸収源対策、・CO2の回収・貯蓄 など

「適応策」は影響への備えと新しい気象条件のの利用策として、
例えば、・渇水対策、・治水対策、・洪水危機管理、・熱中症予防、感染症対策、・農作物の高温障害対策、・生態系の保全などとなっている。

緩和策と適応策の両輪で進める必要性がIPCCでも強く位置つけられている。

本書での提言としては、全体最適の視点で「適応策」をハードとソフトの両面で進めていく事を訴えている。

そのためには5つのポイントを持った社会を作る事が必要との事。

①冗長性、代替性を持つ
  2重化、3重化、バックアップシステム
②何が起きても壊滅的被害に至らない
  堅牢性
③粘り強く復元可能な
  「防ぐ」に加えて「いなす、そらす、かわす、逃げる」
④融通が利き順応性をもった
  複数の手段やネットワークを臨機応変に再編成できるよ
  うな順応性。コミュニケーションやソフト対策。
⑤安全・安心を与えてくれる
  危険に関する正確な評価とリスク分析、客観的で科学的
  な情報の提供など。

以上

2018年9月2日日曜日

【日本人】どんどん家畜化?

土曜日に秋葉原へ電子パーツの買い出しに行きました。

近頃の秋葉原は、歩くだけでとても精神的に疲れるので行きたくない街です。

駅前からメイド服を着た若い娘が店の宣伝や客引きをしている。

エロコンテンツを売っている店の多い事。

胸が異様に大きい美少女(?)の絵がいたる所にあふれている。

歩いている男は、小太りのオタクファッションでいかにも独身っぽい人が多い(若くない人も多い)。

幼児風ファッションや、長い髪+厚化粧な女性たち。

池袋などに行くと、人混みの凄さに人間酔いみたいな感じで気持ちが悪くなりますが、秋葉原のあまりでは「欲望」がむき出しの雰囲気に気持ちが悪くなります。


性欲は食欲と同じに、本能です。
商業的に食欲を刺激するコマーシャルや誘導など今の日本に溢れかえっています。

それと同様に、いつの間にか商業的に性欲刺激をする事が、今の日本では大っぴらに行われすぎているのではないかと感じます。

昔もアダルトというジャンルは勿論ありましたが、それらは小さな子供達の目には触れない様な配慮がされていた様に思います。

今は、コンビニでもエロ本が沢山並べられているし、ネットの世界ではもっと氾濫しています。タチが悪いく、プッシュ型で無理やり見せつけてくる手法も目に余ります。

少なくとも未成年には、そういう情報を浴びせない社会にできないのかと思います。
又は、商業側はこういう魂胆で大人は操ろうとしているんだという事を教えるのは必須に思います。。

秋葉原を見ていると、「人に迷惑かけなければ、刹那的に、又は自己中心的に生きて何が悪い」と開き直っている人間がどんどん増えている様に感じてしまい疲れるのだと思いました。

商業的な操作の波に乗せられて若い人がどんどん家畜動物化(与えられた餌を食べて太って、飼育者を儲けさせる道具になる)されている様な気がして心配です。

2018年8月30日木曜日

【本】富士山大噴火と阿蘇山大爆発 巽好幸 幻冬舎新書

表題からして、また恐怖を煽るサスペンス風の本かと思ったら、最初から世の中の危機を叫ぶ”専門家”をロジカルに批判する所から始まる本でした。

火山の噴火、どういうメカニズムで噴火が起こるのか。日本はなぜ特異なのかを色々なデータで示してくれます。

噴火予知には、日本の多くの山に2人ぐらいの研究者(火山のホームドクター)を配置して常時観察していく事を提案されています。

有珠山の時は、それが上手く働き前日までに対策を打てたため死者ゼロが出来たとの事。

日本の活火山は沢山あるが、富士山が噴火した場合、東京都はほぼ全域、千葉も半分ぐらいは降灰が2cm以上になるというハザードマップが作られています。

降灰の影響(気象庁)は、
 道路:5㎝程度で通行不能に
 鉄道:1㎝で信号機故障、10㎝で運行不能
 航空:0.5㎝ぐらいで空港閉鎖
 電力:1㎝で停電・供給不能
 水道:1㎝で断水・供給不能
 農作物:0.5㎝で稲作被害、1.1㎝で収穫不能、10㎝で回復に数十年
 森林:1㎝で50%被害。10㎝で壊滅的被害
 健康:1㎝で呼吸器異常
 家屋:30㎝全壊30%
との事。相当大きな影響が現れます。

でも、著者が本の後半で示しているのはこれら火山噴火とはケタの違う大規模な巨大カルデラ噴火の危険について。

北海道の洞爺湖、摩周湖などカルデラ湖ですし九州の鬼界カルデラ他多数のカルデラ噴火跡がある。

例えば阿蘇山近辺で巨大カルデラ噴火が起こると道南まで5㎝以上の降灰が予想でき、日本列島がほぼ全体に大きな被害、1億人が生活不能者になってしまう可能性もあるとの事。

巨大カルデラ噴火は100年に1%の確率という事だが、過去 日本で何度も起こっている事で必ず起こる。

著者は、そうなった時にどういう対応を取れば良いのか、どうしたら予知(地下深くのマグマ溜まりの状況検出)が出来る様になるのか分かっていないと述べて、若い人も含めて研究・考えていく事を要望されています。


私は、「福島原発の電源喪失」という事が大問題になった事を考えると、列島全体の電源喪失になる巨大カルデラ噴火がいつ起こるか分からない日本に置いては、原発などは全く動かしてはいけない装置だと感じました。

逆に、地熱は地下のマグマのエネルギーを引き出す方法があれば、日本は一挙に資源大国化と、噴火鎮静が出来るかもしれませんね。

本書は「日本の不都合な真実」だと思います。

2018年8月26日日曜日

【本】睡眠のはなし 内山 真 中公新書

表紙裏のPR文の所に「睡眠学入門の決定版」とありますが、本当に多岐にわたる睡眠に係る疑問を教えてくれます。

その中で、ソウダッタノカと思った所を書いてみます。

睡眠にレム(Rapid Eye Movement)睡眠とノンレム睡眠があるというのは聞いていましたが、目的が違うという事。

レム睡眠は、眼球が素早く動くのでレムと名前が付けられましたが、猫ではヒゲがピクピクする事も。

睡眠前半に深いノンレム睡眠が多いが、これは睡眠をとる前に何時間起きて活動していたかに影響される。
一方、レム睡眠の出現は、早朝に最も多く出現するというように体内時計のリズムに支配されている。

レム睡眠は夢を見る睡眠。ノンレムと違う特徴がある。

・脳は起きている時に比べてほんの少し機能が低下し
 た程度の状態。
・レムの間は、身体の感覚入力を遮断する。音にも
 反応しない。
・全身の筋肉の緊張が著しく低下して弛緩している。
 脊髄のレベルで脳からの運動指令が絶たれた状態。
 その為に、夢を見ている時に動こうと思っても動
 けない状態を体験する事がある。これがひどく
 なったのが、金縛り。医学的には「睡眠麻痺」。
・脈拍、呼吸数は増加し不規則になり、呼吸が浅く
 なる。
・陰茎あるいは陰核の持続的勃起が生じる。瞳孔は
 小さくなる。
・ほとんどの場合、夢見を体験していて、起こされ
 た時の目覚めが良い。

レム睡眠の意義は、主に骨格筋の緊張を積極的に抑制する事で身体を非動化させ、外部の昼夜のリズムに合わせて運動器を休める事。又、覚醒に向けて脳機能のウォーミングアップをしている状態。

ノンレム睡眠には、まどろみ期、軽睡眠期、深睡眠期の3段階がある。

深い眠りの時の特徴は、

・起こされると、ぼんやりした状態から脱するの
 に時間がかかる。
・瞳孔が開いているので、無理やり起こされると
 しばらくの間まぶしくて目を開けていられない。
・呼吸が深くなり、すやすやと寝息をたてる状態。
・寝汗が継続的に出て、内部体温を下げる。=
 脳の温度を下げて休ませる。
・鮮明な夢を見る事はない。
・成長ホルモンが活発に作られる。

ノンレム睡眠の意義は、主に脳を休ませる事にある。
長時間覚醒していればいるほど、脳は疲弊して、その後の深いノンレム睡眠が増加する事が分かっている。

レム睡眠は筋肉を休める為のものなので、爬虫類などにもあるが、高等生物になると脳を積極的に休める仕組みが必要になりノンレムが発達した。

身体が休むレム睡眠の時には脳は目覚めていて、脳が休むノンレム睡眠の時には、筋肉は完全に休まないというシステムは、眠っている時の無防備な時間を最小限にするという利点があったのではないかと考えられる。


冬眠。実は、人間にも、冬眠する哺乳類と同様の身体機構が生まれつき備わっている。食欲の秋。
秋は感傷的になりやすい=不活発状態になる。


体内時計のしくみ。脳の奥の視交叉上核という神経細胞群が体内時計として働いている。

時計機能を担うタンパク質が作られる。
このタンパク質がある程度多く製造されると、フィードバックで製造過程が抑えられるいう仕組みが時を刻む機能の中核。

タンパク質が作れられて多くなり、ある量まで達すると製造は抑えられ、タンパク質が減り始める。
今度 ある量まで減るとまた製造が活発化して量が増える。このサイクルが約24時間なのだ。


眠りと記憶と忘却

久しぶりに野球のバッティングをするとなかなか打てない。どんなに一生懸命に練習してもその最中には効果が上がらない。
しかし、2~3日練習を繰り返していると、ある時突然にうまく打てる様になっている。
ピアノでうまく弾けない所を集中的に練習する。その最中はそれほどに指が運ばなかったのが、次の日になるとうめく弾けるようになっている。
こんな経験は、スポーツが好きな人、楽器を演奏する人にとって思い当たることと思う。

ハーバード大の研究チームは、新しい技法を身につけるためには、覚えたその日に6~8時間眠る事が欠かせないという研究結果を発表した。

習得しようとする技能によって、練習による向上度に差はあるが、練習後に十分睡眠をとる事で手続き記憶は強化され、練習した以上に技能が巧みになっていくことを示している。
そして、技能の複雑さが増すほどに睡眠後の技術向上度は大きくなり、さらにこの睡眠中の技能向上度は苦手な動作ほど大きくなるという。
瞬間的な記憶を保持しておく作動記憶の課題を用いて睡眠をとることで成績が著しく向上することを明らかにした。



猫のレム睡眠中枢を部分的に破壊すると、金縛り状態を起こす機能が失われる。そうすると、レム睡眠(=夢を見ている?)中に、身構える動作や獲物にとびかかる動作、威嚇する動作などを示す。
生まれた時から実験室で飼育されてきた、つまり捕食行動を必要としない環境で育った猫であるにもかかわらず。

レム睡眠中には、動物も人も危機に対処する行動をリハーサルし、いつでも行動できるよう練習しているという。そうであれば、私たちの夢が心地よく縁起の良いものでなくていいのだと納得できる。

加齢に伴う朝方化
歳をとるとだんだん早起きになってくる。
これは加齢により体内時計が全般的に朝型化していくるため。青年期は女性に比べて男性は夜型傾向が強いが、45歳を超えるころから男性が朝型化していき、55歳くらいになると女性と男性が逆転し、男性の方が朝型になる。夫婦の場合、朝型化の起こっていない妻がそれに合わせた生活をしようとすると、入眠障害になる事がある。

睡眠障害

レストレスレッグス症候群(むずむず足症候群)ドパミンの働きの低下による。ドパミンの働きを助ける薬物や、鉄分を補う事で解決する事あり。

周期性四肢運動障害(睡眠中に、何かを蹴るような感じで脚が勝手にピクンと反復して周期的に動いて目が覚める)。これもドパミンの働きがが低下して起こる。


以上。それ以外にも、沢山の睡眠に関連する話がこの本には満載です。

今まで生きて来て、なんとなく 難しい課題に直面した時に、一所懸命考えても考えがまとまらない時に、一晩寝たら翌日は良いアイデアが閃くという事を何度も実感していました。

この本で、睡眠中に確かに情報処理や整理、分析が行われているという事が分かり合点がいきました。

2018年8月19日日曜日

【本】睡眠で人生が劇的に変わる生体時計活性法 神山潤 講談社+α文庫

睡眠が人間にどう影響しているのか、どうしたら良いのか、世間で常識と思われている嘘を含めて教えてくれます。

その中で、幾つか面白いと思った点を書き出してみます。

日本の大学生が男女とも世界一なのは、睡眠時間の短さ。

メタボ対策に、睡眠時間を入れるのは世界の常識。
日本は「メタボ対策で食事と運動」を推奨しているが、睡眠については政府もマスコミも全然触れられない。
日本のメタボ対策は世界の非常識。

寝不足も寝すぎも肥満になる。
睡眠時間7~8時間がメタボ対策になる事は、調査・研究で明確になっている。

あと、日本で「は成長ホルモンは22時~2時の間に寝ると出」るような事を言われるが、実証されているのは、何時に寝ようと寝入ってすぐの深い眠り時に成長ホルモンは分泌される。

「午後は食後なので眠くなる」と言われる事も多いが、大多数の人は午前も午後も、2時~6時の間は眠くなるという事が分かっている。
よって、午前10~12時は最も能率をあげられる時間帯。

時差ぼけ。東に向かう方が、西に向かうのよりも時差ぼけがつらい。

それは、東に向かうのは”早起き”を身体に要求しているのと近いから。西に向かう時は”夜更かし・朝寝坊”をするのと同じ事になる。

誰しも、夜更かしよりも早起きの方が大変と思う。これが時差ぼけの東と西の違い。

日本は国、企業、教育の場でも、「睡眠時間を削って頑張る」事は良い事の様に言われる。これは、悪しき習慣。

海外では、皆が十分な睡眠をとる事を政府を含めて推進している。その方が、効率が良いし、健康にもなる。

日本では、「寝不足で働いた気になっている人」が多い。本当は効率が悪く、能力が落ちているのに。


サマータイムのデメリット。
実際にサマータイムを導入している国は、その前後でどういう事が起こったのかを調査している。

イギリスでは導入直後 交通事項は10%近く増えた。西ドイツでも6%。カナダも8%。

サマータイムで良い事があるという試算は誰かが頭(前頭葉)で考えた理想なだけ。
現実のヒトは周期24時間の、頭(前頭葉)よりももっと根源的な生体時計(視床下部)と脳幹部によって生かされている動物。

サマータイムを導入した結果、生体リズムが崩されて、健康に障害が起こる事も報告されている。

睡眠時間の短縮、睡眠の質の低下、抑うつ気分、自殺など。


動物は、脳の一部を眠らせる物もいる。

イルカやクジラは脳の半分だけを眠らせている時、片方の目を開けその反対側の大脳半球だけ起きている。

アヒルも並んで寝る時、列の両端のアヒルは、列の外側の目を開けている。両端以外のアヒルは両目を閉じている。

人生がうまくいく睡眠術

①ヒトは寝て食べて、はじめて活動できる動物。
②ヒトは朝は光を浴びて、昼は活発に動いて、
 夜は暗い所で眠ると、心身の調子が良くなる
 ようにできている。
③睡眠時間さえ取ればいつ寝てもいいという事
 は必ずしも皆には当てはまらない。
④短時間のうたた寝はその後のパフォーマンスを
 高める。
⑤ヒトは午前中に心身の活動のピークがあるよう
 にプログラムされいる。
⑥ヒトの脳に備わっている生体時計の特徴を知っ
 て暮らした方が心身の為に良い。

睡眠衛生の基本
①朝の光を浴びる
②昼間に光を浴びる
③しっかり手を振って歩く
④規則的な食事をする
⑤夜には光を浴びない

との事。
もっと詳しい説明が本書に述べられています。

2018年8月14日火曜日

【実家の片づけ】12.建屋の取り壊し

ゴミ出しが終わったら(この時点で多分、何か月もかかっていてヘトヘトになっていると思いますが)、解体を依頼する事になります。

私の場合は、工務店経由で解体業者の人に頼みました。

解体には、重機が使われるので、それらを入れられるスペースの確保や、埃や音が出るので近隣のお家に事前の説明と、ご挨拶をして回ります。

ここでも、解体後の廃棄物の処理はトラックの台数で費用が決まりますので事前に出来るだけ家具等を粗大ゴミで減量しておくのが重要です。

プラが混ざっていると廃棄しずらいので、出来るだけプラも先に処分しておきます。

取り外しができない家電などはそのまま取り壊してもらいます。

物置も同様です。

規模にも寄るのでしょうが、戸建て1軒の取り壊しは200万円位はかかりました。

【実家の片づけ】11.家具

ここまで来たら、いよいよ大詰めです。

家具はリサイクルショップに売れるないか? という甘い期待があるのですが、それらで買い取ってくれる可能性のあるのは、10年以内に買った高級(名の通った)家具など。

実家に残されている、数十年使った物は買取り対象に殆どなりそうもありませんでした。

但し、江戸や明治時代かの古箪笥はアンティークとしての価値の出る物もあるので、古物商に見に来てもらうのが良いかもしれません。

古箪笥は店舗のインテリアなどに使われるニーズがあるようです。

それ以外の家具は、粗大ゴミとして、コツコツ出していくのが最も安く済ます方法。

廃棄業者に来てもらうと、トラック1台でx万円とかに直ぐなってしまうので、嵩張る(空箱のような)家具の始末では割りに合わない気がしました。

できるだけ、頑張りましょう。

【実家の片づけ】10.衣類、布団など

これらも、記憶につながる事が多い物たちです。

和服等 欲しい人があれば差し上げたり、自分が使いたいと思うものは取り分けておきますが、それ以外は全て処分すると腹を決めます。

意外と新品の物も出てきたりもしますが、大抵 型が古い。

公共団体やNPOなどで衣類回収をしている所があれば、そこに送るのも良し。

あとは、燃えるゴミの日に涙を飲んで(?)出していきます。

布団や毛布、絨毯、座布団等は粗大ゴミとして出す必要があります。

数量や大きさ(縛った後の)を調べて、粗大ゴミの申請をします。

ベッド、マットレスでは扱いが違う事がありますので、該当地域の分別処理の方法を調べて対処する必要があります。

布団を丸めて縛ったりするのも意外と重労働。重いですし。

計画的に進める必要があります。

2018年8月13日月曜日

【実家の片づけ】9.食器

食器も沢山残されています。

両親が新婚当時からのほぼ全ての物が台所や食堂の棚などの奥にあります。

食器を見ると、家族皆で茶碗蒸し食べたな、とか、正月には少しかしこまってお屠蘇を飲んだなとか当時のシーンが思い出されます。

写真や手紙などとは又違う、もっとリアルな記憶を呼び起こしてくれます。

味や、笑い声、親兄弟の服装や当時のテーブルやコタツの風景なども目に浮かんできました。

昭和の中旬にはフルーツポンチを家でやる事が流行っていたのでしょう。ポンチのセットがあったり、(そう言えば2-3回だけ使われていた事を思い出しました)

時代に密着した記録物です。

小皿、箸、ナイフとフォークコップなど、日常品であればあるほど子供の時の記憶が呼び起こされます。

これらの記憶のキーになる品々を俺の判断で捨てて良いのか?

又、心の中の葛藤が起こります。

でも、心を鬼にして、「ノスタルジーには浸らないぞ」と決めて進めます。

食器には、陶製、木製、金属製ガラス製のものがあります。

私の市の資源回収のしくみを読むと陶製食器や、金属製調理道具の無料回収をしていましたので、出来るだけ、そこに持ち込む様にしました。

ナイフなどは危険物として出す必要があります。

ガラス製のものは燃えないゴミとし出しました。

有名ブランドの新品食器があればリサイクルショップなどに売る事も可能かもしれません。


気を付けなければならないのは、貰い物等だと思われる木箱に入った食器類。

それらは貴重な価値ある物の可能性はあります。説明書きなどがあれば良く読んでみる事がお勧めします。

価値がありそうな場合は、木箱ごと残しておいて、骨董屋や古物商に売れる事があります。


注意が必要なのは、戦争中などにもらったであろう金杯、銀杯など。

金も銀も日常 あまり接する機会が無いので、なんだ銅やアルミの盃か、、とか思って処理しない事。

盃以外にも金銀製の食器がある可能性あります。

良く説明書を読んだり、どういう金属か明るい所でしっかり見る必要があります。

気を付けて作業を進めて下さい。

【音楽】薬師丸ひろ子さん

NHKのBSで薬師丸ひろ子さんのコンサートの番組を見ました。

懐かしい曲が沢山というのも嬉しいのですが、それ以上に嬉しいのは、歌い方が昔と殆ど変えずに歌ってくれている事。


インタビューの中で言われていましたが、その曲をもらった時に感じた、曲を作ってくれた人の思いを、そのままいつでも伝えたい。という気持ちが良く分かります。


そして、薬師丸さんの歌は、本当にいつも丁寧に歌っているとも感じます。


番組で振り返ってみると、色々な素晴らしい作曲家の人が書いている曲が多い事が分かりました。


楽曲提供者から見ても、薬師丸さんの姿勢は嬉しい事なのではないでしょうか。


伸びやかに、ゆっくりと聞きやすく丁寧に歌ってくれる各曲。


歌で人生の応援をしていきたいと考えておられるのではないかなとも感じます。


私には昭和の良質な面を思い出させてくれる貴重な歌い手さんです。


今でも、良い曲と出会えば、新しいスタンダードと言える歌を生んでいける方だと思います。


水野良樹さんあたりが、薬師丸さんの声質・歌いを生かす曲を作ってくれたら素晴らしい歌が出来るのではないか という気がします。

2018年8月11日土曜日

【本】日本人はるかな旅 NHKスペシャル「日本人」プロジェクト編 NHK出版

テレビで日本列島に南から黒潮に乗って人が渡って来たのでは、という検証で手作りボートを作り台湾(違ったか?)のあたりから人力で沖縄諸島に行けるか?という実験をしていました。


所が、黒潮の流れが強く、それを乗り越えるのは大変で、簡単ではないという事が分かったとの事。


それに触発されて、黒潮と日本人に関する事をもう少し知りたくて、本書を読みました。


私の知らなかった事が色々。

・7万年かあ1.4万年前までの氷河期では、高緯度
 地方に氷河が発達した事で海面が100mほど下が
 っており、今のマレー半島やボルネオ島、ジャワ島、
 スマトラ島などを含む広い海ののエリアがスンダ
 ランドと呼ばれる大きな陸地であった事。

 そこに住んでいた人々が、氷河期が終わり海面
 上昇=陸地減少に伴って各地に動いて行った事。

 その流れによりフィリピン辺りから琉球諸島へ
 同じ人種・文化が渡っていったと考えられる事。


・その人達が鹿児島に 上野原遺跡 と呼ばれる
 9500年前という日本で最も大きな定住集落を
 作った事。 しかし、その時代は縄文時代と呼
 ばれる年代で、まだ畑作をしらないので定住は
 難しいと考えられている時。その中で、一種の
 生活革命である「定住」を先駆けて実現してい
 た事。(その頃の鹿児島は、ちょうど温暖化の
 途中ですばらしい植生のエリアになっていた
 らしい)


・縄文文化と言われているが、琉球を含めて南
 から来たその文化は土器の模様は縄目ではなく
 貝で作った模様が付けられていた事。


・上野原遺跡は何千年も繁栄していたが、ある時
 突然終わった事。


・鹿児島の南 竹島のあたりの海底には、「鬼界
 カルデラ」と呼ばれる直径数十kmに及ぶ非常に
 巨大な火山噴火の跡があります。

 その鬼界カルデラが6300年前に大噴火を起こし
 ました。その噴煙や火砕流は九州にも押し寄せ
 て、それが上野原の壊滅になりました。


・縄文時代の日本列島(九州から北海道に至る
 まで)には、いわゆる縄文人と呼ばれる人
 が住んでいました。彼らは上野原に住んで
 いた人達と同じ南からきた人達が広がって
 いったものでした。

 彼らは顔つきは、四角く立体的で、目鼻立ち
 がくっきりしていて、口元が引き締まっており、
 背は低いが、四肢の末端が長く、筋肉質で、
 運動能力に優れていた。


・一方、北からきて中国・朝鮮方向から来た人
 達が後に入って来る。彼らは厳寒の気候に対応
 して、胴長短足の体形と皮下脂肪が多くのっぺ
 りした顔立ちを身に着けていた。農耕文化も
 もっていた。彼らが2300年前位に山口県あた
 りから日本列島に進入し(渡来人)、瀬戸内海
 から近畿地方へと拡散していき、弥生時代と
 なった。

・その結果、在来縄文人の子孫集団は、日本列島
 の両端の北海道と沖縄に分断されてしまった。
 北海道に残った集団がアイヌの人々となり、
 沖縄に残った集団が琉球人になったが、
 本土人は渡来人の影響がかなり強く(2/3程か)、
 アイヌは縄文人の影響が極めて強く、琉球人は
 その中間(半分半分か)と推定されている。

などなど。


今まで気が付きませんでしたが、言われてみると確かに沖縄出身の女優さんは彫が深い方が多いような気がします。

思わず、自分の顔を鏡でみてしまいました。

2018年8月5日日曜日

【実家の片づけ】8.コレクション

人により親がコレクターで何かのジャンルのコレクションをしていてそれが残っている事もあると思います。

私の親の場合は、一時 住んでいた事もあるネパール国について、色々な資料、民芸品、古くからの地図、写真、本、など現地でしか、しかもその時代にしか手に入らない物が、本棚1架分ありました。ネパールが王国だった頃の物も多く入っていました。

親の気持ちが入って集められた品々なので、単なるガラクタとして処理するのは忍びないという気持ちになります。

そこで、ネパールを研究対象としている先生のいそうな大学の図書館に寄贈できないか等を聞きました。

残念ながら、答えはNo.
そういう寄付本の管理は工数がかかるので嫌だという事か、その先生がご興味を持ってくれなかったという事。

最後は、通常の品物として廃棄処分をしなくてはなりませんでした。

時間が十分にあるならば、もっとニーズを探したり、ネットオークションに出してみる等の方法もあったのかもしれません。

こういうコレクションは、同様の興味を持っている人を見つけて引き継いでもらう事ができれば気持ちも楽になると思います。

【実家の片づけ】7.写真

昭和を生きてきた両親は、カメラの普及、進化とも連動して生きてきています。

2眼や白黒の戦前や戦後時代。カラーが出だした昭和中旬。コンパクトカメラの普及で、どこのお父さんも家族写真を沢山取り始めました。
家族のハレの日は、必ず撮って。家族アルバムに貼ってある。

そして、フィルム付きカメラ流行る時代では一人数台のカメラを使ったり、どこかに行った時に、現地で買って使ったり、と何でも写真を撮る時代。

DPE屋でくれるミニアルバムに何でもプリントを入れて、ミニアルバムが沢山溜まっていく。

次に、デジカメも出てきて。パソコンも覚えなくっちゃという事になり、ここでアナログ派とデジタル派に分かれたり。

デジタル派は画像をフロッピーに入れたりCDに入れたり、DVD、BDに、、

動画も8㎜フィルムでムービーを取りはじめ、テープ式のビデオ、そしてデジタルビデオとカメラが進化。

今はスマホで写真も動画も撮影する人が多いと思いますが、実家の片づけに於いては上記の進化に伴う数々の記録の蓄積と対面する事になります。

昭和を生きて来た世代は、写真好き。
非常に沢山のプリント等が残っています。
あらゆる旅行の写真、家族写真、仕事上の写真。

一応 全て目を通します。
自然や建物などだけが映っているのは捨てやすいですが、親や親せき家族などが映っている写真は捨てにくい。先祖のものもある。

そこで、どうしても残しておきたいものだけ。
自分の思い出用に取っておくが、あとは心を鬼にして燃えるゴミにします。

ネガフィルム(プリントの元となるデータ)も沢山出てきますが、これも廃棄。

連動して、額や写真立ても非常に多く出てきます。1-2個ならば残しておいても良いのですが、それ以上の物は廃棄に困ります。
ガラス板付きなどは特に燃えないゴミで出せるものと、粗大ゴミとして出さなければいけない物など分別します。

心理的な辛さという意味では、家族等が映った写真を廃棄と決める時は、かなり躊躇が生まれます。

「どうしても残したいものは10枚残す。」などと決めて選別すると、乗り越えていく事ができました。

動画の方は、音声も入っているので更に廃棄は心情的に難しく。できるだけ、これらは残す事にしました。


今の現役世代が亡くなる頃は、写真も動画もネットに保存されている、、という事になっている可能性あり、こういう苦労?はこの昭和を頑張った世代特有の物だと思います。
そういう意味では、出来るだけ残しておく方が良いのか、、とも自問自答しながら進めました。

古い写真のデジタル化などは、とても手間がかかるので、選択肢から私は外しました。

2018年7月29日日曜日

【本】家庭菜園の不耕起栽培 水口文夫 能文協

家の庭で小さな家庭菜園を始めようと思いました。

今まで野菜作りや植物育成など全くやった事が無いので、何をしたら良いやら分からないので、図書館何冊か本を借りた中で、コレだ!と思ったのが本書です。

「不耕起栽培」とは、その名の通り畑を耕さないで栽培するという方法。

畑で野菜作りと言えば、耕して、肥料をしっかり、農薬もというのが普通の(科学的な?)やり方かな、、とずっと思っていました。でも、人工的な肥料や農薬は使いたく無いという気持ちも強くあります。

一方で、「奇跡のリンゴ」の木村さんの様なやり方もあるのかしら、、とも思いましたが、「奇跡」という表題が付くのだから普通の人がやってもダメなのかな とも考えていました。


この本は農業指導員の方が書かれているのですが、野山の自然に近い状態を作る事で、植物や土地の生物系の生命力や免疫力を高めて、最終的には肥料も薬もいらない栽培を作るという物。


野山の植物は耕さずに、肥料も無いのに実をつけて健康に育っていますから、、、


どうして不耕起栽培が成り立つのか?、どうしたら収穫も上げて行けるのか? どういうルールで植物を接したら良いのか? などが丁寧に説明されています。

コレだ!と感じて、それ以降もう何回も読み返している私のバイブルです。

考え方は非常にシンプル。


早速、庭に畑領域を区切って、この不耕起栽培が出来る状況を3年後に作るべく、実施始めました。

まずは、土作りから。

緑肥作物を植えました。
今は畑にエンバクがわさわさ茂ってきました。

土中に根を沢山作り、地上部の葉や茎は有機物マルチに使っていくつもり。
ミミズが自然に集まってくるような環境にまで持っていければ成功です。

時間はかかりますが、畑にかける手間を最小にでき、かつ無農薬で活力にあふれる作物が出来るというズボラな私にはピッタリの手法です。


3年後が楽しみです。

2018年7月22日日曜日

【心と身体】定年すぎてフォークリフト免許取得

仕事の都合があって、フォークリフトを運転できるように講習(学科と実技試験あり)を受けました。


61歳。
乗用車は20年近く乗っていましたが、運転が好きな訳でもなく、娘の幼稚園卒園送り迎えが無くなった年に廃車にして、この18年ちかくはハンドルを握っていない。
眼も網膜剥離を患って、左右アンバランスな視力だし、暗い所では見えにくくなる。当然 老眼で小さい文字も見えない。

注意力も落ちてきていて、日常も一度に2つの事は出来ないし、忘れてしまう。有様。


本当に合格できるのだろうか???という不安を抱きながら、講習に向かいました。


平日のコースですが、8人の受講生。

当然、私が最長老。平均 40歳ぐらいでしょうか。


大型トラックのドライバの方や、実は無講習で少しフォーク動かしていたんだ、、という人など。


学科は、教室でテキストを1日説明受けて、夜にテスト。 これは、なんとか満点。(殆どの人が満点か1問間違えぐらいでクリア)


実技は、3日間。


今年の夏は記録的な猛暑。気温36度。

実技は体育館の様な屋内コースで行う教習所(雨が降ったら嫌だなと、こういう教習所を選んだ)。

1時間毎に休憩が入るが、屋内コースから外に出ると気温36度の外を涼しいと感じ(微風があるので)てしまう殆ど「ゆでガエル」状態。ボーとしてしまいます。


初めて触るフォークリフト機は、いかにも重そうで、しかも簡易な作りの運転席。

乗用車と異なり、後輪操舵かつほぼ90度まで曲がるタイヤ。
重心支点と駆動を前輪で行う。
リフトアップダウンレバー、チルトレバーなど、初体験の事がイッパイ。

ポピュラーではあるが、危険の多い重機なので、指さし点呼や、この位置でハンドルをどれだけ切るか、確認していく手順など、チェックや覚えて行く事が多い。


これをボーっとした中でやるのは、本当に覚えられない。
覚えたつもりでも、実技中に ポッカリと忘れて頭の中真っ白になってしまう。。



2日目の最後に、最終試験コースの練習をしたが、ドライバーの運ちゃんたちは7分台ノーミスで出来る所を、私は14分かつミス多数。

最終試験は10分以内という制限もあり、減点法で採点されるとの事。 
本当に どうしよう、、、と思いながら帰りました。

都合で2日間教習所に行けない日があるので、そこで何回もイメージトレーニングを繰り返す。


最終日。午前と午後に試験コースの練習を4回。
イメージトレーニングの効果もあり、なんと7分を切って、ほぼノーミスで出来る回も出てきました。


最後に、審査員と1対1での実技試験本番。
あれだけ、練習したのに、最後の方で勘違い動作をしてしまい大焦り。ダメか~と思いましたが。 減点はされたがなんとか合格。

(後で聞いたら、受講者の98%は合格するとか、、)

合格・不合格 という事よりも、40歳台の人と比べてあまりに不甲斐なくなっている自分にガックリきた講習でした。


年を取るというのは、こういう事か、、という事を良く自覚できました。

とは言え、運転資格はとれたので、時間がかかっても安全を確認して必要な作業に使っていきたいと思います。


一方で、年に合ったやり方をすれば、まだまだ色々な事ができる可能性はあるなとも感じた1週間でした。




【本】世界のエリートがやっている最高の休息法 久賀谷亮 ダイヤモンド社

”「脳疲労」がすぐ消えて、頭が冴える”という副題がついています。

イエール大で学び米国で18年診療してきた精神科医が著者。

疲労には「身体の疲労」と「脳の疲労」があるとの事。

以下 序文

身体を休める事 をすれば休息になると大抵の人は思い込んでいます。
でも、それだけでは回復しないのが脳の疲れ。

脳には脳の休め方がある。

米国では精神医療は大きく変わりつつある。

薬物療法は日本ではかなり一般的だが、米国では避けられる傾向にある。
脳を一つの臓器として扱う脳科学の発展により、薬物ではなくTMS磁気治療などで、副作用のある薬に頼らなくても心の不調を改善できる目途がたってきている。

もう一つが瞑想。ただのリラクゼーションではなく瞑想が脳によい変化をもたらす事が実証的に確認されている。

この本は主に瞑想ベースについて書いていく。


脳は身体の消費エネルギーの20%を使う「大食漢」。
でも、その大半はデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)という脳回路に使われている。

これは、意識的な活動をしていない時に働くベースラインの活動で、自動車のアイドリングの様なもの。

このDMNの活動を抑える脳構造を作っていかないと、あなたに真の休息は訪れない。

それをしていくのが、「マインドフルネス」(瞑想などを通じた脳の休息法の総称)。

スティーブジョブズの瞑想は有名ですが、グーグル、フェイスブック、シスコなどでも導入が進んでいる。

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本書は 米国のビジネス書によくあるスタイルの小説風物語でその導入法や効き方などを書いてあります。

簡単に言えば
過去や未来をクヨクヨ心配するよりも、「今、ここ」に集中する事。
というの様。雑念なども無くなって行けばDMNも下がる。

実施方法例は、
・身体意識・呼吸に注意を向ける。
  座っている時だけでなく、動いている時も。全身を意識スキャンする。
・何度も同じ雑念が出たら
  「もう十分!」と捨てる。例外を考える。賢者の目線で考える。
   良し悪しで判断しない。原因を探る。
・他人へのマイナス感情があるとき
   感謝する。愛情・慈しみを 心の中でフレーズを唱える。

など。


これらの事は、昔から色々な所で言われてきた事ですが、「脳疲労」という新しいキーワードを作ってまとめたという感じでしょうか。

欧米人には新鮮なのかな。。。?

2018年7月7日土曜日

【本】ラテンに学ぶ幸せな生き方 八木啓代 講談社+α新書

「ラテン系」な人と言うと、なんだかお気楽でノー天気な人というなんとなくネガティブな印象と、人生を楽しむ術を知っているというポジティブな印象が私の中では同居しています。

でも、実際に「ラテン」の人とはどいういう考え方や性質の人、振る舞いなのかはちゃんと知っていませんでした。

この著者は歌手・作家・エッセイストという多面的な顔を持ち、メキシコと東京の2拠点を行き来して暮らしている方との事。

読んでみると、人生に対するスタンスが今の日本(東京?)と真反対だけど、もしかしたら少し前までの日本もラテン系の考え方をかなりしていたのが、いつの間にかギスギスの競争、自分本位の社会になってきてしまったのではないかという気になりました。

沢山の ハッとする事が書かれているのですが、煎じ詰めると、ラテンの人達は「人と人のつながり」「家族」を人生で最も大切な事と考えている。


例え貧乏や弾圧を受けて困っても、仲間や家族とのつながりを信じていられるのでそれらにも負けずにポジティブに向かっていける。という事でしょうか。


連動して、経済的に成功する事よりも、人と人の繋がりを豊かにする事の方が価値があるという考えになるようです。


日本は非常に高い自殺率になっています。
それに比べてラテンの国の自殺率は桁違い少ないのが実情です。

生活満足度も高く、少なくとも日本人やアメリカ人よりは、ぶっちぎりに「幸福に生きている」という事はまぎれもない事実のようです。統計を見るまでもなく、ラテンアメリカに暮らした経験のある人なら、明らかにその事を体感しています。


面白い話が紹介されていました。

ブラジルで紹介されているイソップ童話は以下の様になっているそうです。
抜粋します。

’冬になって食物が無くなると、キリギリスはアリを訪ねます。
「私が汗水流して働いていた時にあなたは何をしていたの?」
アリの意地悪な問いに、キリギリスは答えます。
「私は歌ってみんなを楽しませ、元気づけていたのよ」
それを聞いた、働くことしか知らず、生きる喜びを感じた事のなかったアリは反省し、
「では、これからは踊って暮らしましょう」
とキリギリスを迎え入れて、食物を分けて一緒に踊りながら、楽しく冬を越したのです。’


この話を聞いて、なんだ、ただのご都合主義じゃないか、これじゃ怠け者用擁護じゃないか、なんて思う方もいらっしゃるかもしれません。

けれど、このアリは、決して自殺なんて考えないでしょう。歌うのも他人を楽しませるにも立派な仕事。そして、地味に孤独に働いてばかりいた人も、ちょっとした発想の転換で、一緒に幸せになれるという、ある意味 ずっと現代的な教訓がここにはあります。

そうです。ラテンの社会では、人を楽しませたり、感動を与えたりする事は、立派な仕事として認められているのです。

との事。


又、こんな例も出ています。

日本では、「お金が無いから結婚できない。」という話があるが、ラテンでは 「お金がないからこそ、あるいは就労状況が不安定だからこそ、結婚して二人分の収入で、生活費をシェアする方が現実的」と考えています。

個人主義で自己完結しないといけない日本。人との絆がセーフティネットになっているラテン。


軍事独裁政権を倒していくのも、音楽と歌によって国民が力を集結するという例も多いとの事。


この本を読みながら、ラテンの生き方にどんどん魅力を感じていく自分を発見しました。


もっともっと、ラテンを知りたい、浸かってみたい。

面白い本です。

2018年7月4日水曜日

【自ら人体実験】白髪が黒くなってきた

何年も前に、花粉症が夫婦共に植物性乳酸機で治った事は書きました。

その時に、食べ物は身体に大きな影響を与えるのだという事を痛快しました。

今回、再び 夫婦揃って白髪が黒くなりつつなって、びっくりしています。

それもこの半年ぐらいで。

妻は染めるのを止めたら、真っ白な白髪になっていて、50歳代にも関らず電車で何度も席を譲られてしまう、、という状態でした。


私も年々白い部分が増えて、過半は白髪という感じでした。


それが、徐々に黒くなりつつあります。


明確な事は分かりませんが、この半年であてはまるかなと思われる要因はお米。

この半年は3食とも玄米を食べる様にしています。

玄米にしたら、お通じの量が毎回とても多くなって、体内の毒だしや腸内細菌の活発化が実感できます。


これによって、白髪も黒くなってきたのでは??
という推測をしています。

理屈は分かりませんが。。


一般には自然な老化現象と思われている色々な身体変化も、食べ物によって大きく変わるという事もありそうです。

【定年】還暦過ぎて自転車を始める ビレッタの乗り心地

定年の60過ぎて、エコに暮らそうと考えて駅までの通勤に自転車を使う事にしました。

自転車は20年ぐらい乗っていません。
乗った事があるのはママチャリのみ。

折角だから、近くを色々走り回れるものをと考えました。


クロスバイクにしようかと考えていたのですが、写真を見た妻から、「三角フレームの自転車は60過ぎて変」というクレームが付き、結局 少し走りを意識したシティサイクルにしました。

ブリジストンのビレッタという車種。


バーハンドルに、それと同じぐらいの高さの細いサドル。6段変速。


これだけで、ママチャリとは乗る姿勢が全く異なります。

タイヤも細めなのか、27インチだからなのか、初めて跨ってこぎ出してびっくり。


ハンドルはフラフラするし、車体もぐらぐら。
止まろうとしても足がつま先立ちになるのでとても不安定。

あれれ、自転車ってこんなに難しい物だったっけ? と思いつつ、家に乗って帰りました。

それから1週間、近所を走ってみるのですが、

 お尻が痛い、
 車体はふらつく、
 横を車が通るととても怖い。
 狭い通路を通れる気がしない
 ブレーキをかけると倒れそうになる(実際に倒れた)
 膝を車体にブツケル事が多くて痛い。

など。とても恐ろしい乗り物という印象。

特に、ブレーキで停止する時に安定した形で止まれないのが本当に怖い。


という事で、自転車屋へ持っていき、サドルを停止時に足裏が地面に付くまで下げてもらい、ハンドルも釣り合うように下げてもらいました。
但し、ママチャリとは違って、漕ぎ出したら自然と前傾姿勢になるというのはそのままです。

そうすると、安心して止まれる。ペダルを漕げる。
ハンドル操作にも余裕が出来る。お尻もサドルの後ろにわずかに乗せるだけにしたら痛くなくなりました。

という事で、問題なく乗れる様になりました。


そうなると、ママチャリとの違いが良く分かってきました。

ママチャリはゆっくり安定して低速走行するにはとても向いている自転車。ビレッタは、低速よりも中速の方が安定して走る自転車と思います。

実際、ビレッタで走っているとママチャリを幾つも追い越していく事になります。

クロスバイクまでの速さは出ませんが、前かごやチェーンカバー、泥除けなどもフル装備で、ママチャリとは一味ちがう走りが出来るというのは、とても実用的でバランスの良い自転車だと感心しています。乗り心地はとても快適です。

点灯虫という自動点灯ライトもかなり明るくて満足です。

馴れると中々良い自転車。シニアにもとっても良いと思います。


2~3駅程度の距離ならば十分これで行くことができます。

風を感じて走る事が気持ちよくて、バスに乗る事が殆ど無くなりました。

60過ぎても、自転車ライフを始めるのは遅くないです。お勧めです。

少年時代の忘れていた世界を思い出す様な気がします。




2018年7月3日火曜日

【実家の片づけ】6.本

書棚に本が大量に残っている場合も多いと思います。

本でまず思いつくのは、古本で売れないだろうか? 思い入れのあるものは、どこかに寄贈できないだろうか? という事かも知れません。

ブックオフ等に売るには外観がキレイな事が必要になります。そういうのがあれば、手間を惜しまなければ出す事は出来るでしょう。

でも、買取価格はとても安いのでお金の期待はしない方が良いでしょう。

貴重本と思われるものがある場合は、古書屋(例えば神田などの)さんに声をかけると家まで買取に来てくれる事があります。

但し、注意が必要なのは本の価値は新品で買った時の値段等には寄らないという事。

江戸時代以前の本などは古物としての価値が在ると思いますが、単なるxx全集とかいうだけでは価値として認めてもらえない事もあるようです。

一方で、古い時刻表や地図などはマニアックな世界で需要があるらしく高く買ってくれたりする場合もあるようです。

何が中古本として価値を認めてもらえるのかはシロウトには非常に難しいので、古書屋さんを呼ぶならば、本や雑誌、時刻表など何も廃棄しない状態で呼ぶのが良さそうです。

古書屋さんが物色して価値の有るものだけ買い取って(又は持ち帰って)行きますので、多くの本は残されるかもしれません。

又、特別なジャンルや対象に対して収集されたコレクションなどは、図書館などに寄贈出来ないか?と考える事もあると思います。

地元の公立図書館や、近くの大学の図書館、そのジャンルに関心の深そうな図書館などで、寄贈本を受け付けるかを問い合わせると良いと思います。

私の場合は、問い合わせましたが、残念ながら間に合ってます(寄贈本は管理が大変と受け止められる様子)との返事をもらいました。

残った本達は、自治体の本雑誌の無料回収の時に出すか、大量にある場合は古紙回収業者に無料で引き取ってもらうという事も在り得ます。

古紙回収業者は、家の横にトラックを乗りつけてきて、その荷台に本をどんどん投げ入れていきます。2階の本は2階の窓から投げ下ろして入れていきます。

その光景は、本達が悲鳴を上げている様で胸が痛みました。

とは言え、本棚が空になると1ステップ実家始末の工程が進んだ感覚になります。

【実家の片づけ】5.手紙類

書類を見ていると、きっと膨大な手紙やハガキが出てくるのではないかと思います。

昭和を生きた人(自分もそうですが)は、連絡は電話か手紙。メールなどは1990年代になってから一般に普及しましたので、昭和の時代にはありません。

まずは、古い年賀状の束から廃棄していきます。
その次は封書や一般のハガキになりますが、出来るだけ家族間の物か他人との物かを分けます。他人との物も親の交友関係などが分かって興味深くはありますが、よほど残す必要があると思うもの以外は割り切って廃棄していきます。

家族間のものは、親や先祖との記録なので、かなり吟味しながら廃棄していきます。

昭和以前の手紙は手書きの物が多くて、人のぬくもりを感じられるので廃棄するには抵抗感がありますが、単なる感傷ではないか? 5年、10年先で読み返すか?等を自問しつつより分けていきます。
心が痛みますが、誰かが決断必要と腹を決めて進めます。

手紙・ハガキはプライバシーそのものですので、廃棄に当たってはシュレッダーの様に細切れにするか、先日の書類と同じ様に箱詰めにして焼却ゴミとして出します。

2018年6月14日木曜日

【実家の片づけ】4.大事な書類

明らかに不要=ゴミと分かる物の一掃が出来たら、次に進みます。

親は昭和の戦前育ちで、生きている間に、戦争の窮乏生活も、高度成長時代のモーレツ時代も、手書きからワープロ、パソコンへの移り変わりも、白黒写真からカラー写真、デジタル写真への進化も通過してきています。

ですから、古い時代の物では。手書きの手紙や日記、色々な印刷物がファイルして取ってあり、膨大な書類の山があります。

まずは、今後にも関係が出そうな重要書類(例えば権利書関係や、不動産の登記や売買に関する書類。著作権や保険、税金関係など)がどこにあるのかを探します。

どこにファイルが仕舞ってあるか分からない時は、片っ端から読んでいくしかありません。

それを探していく中で、「既に用済みで廃棄すべき書類、ちょっと注意して内容吟味して廃棄を考えるべき書類。
当面 残しておくべき書類。」を出来るだけ分別していきます。

この書類を読み込んで探していく作業はかなり膨大で大変です。

でも、客観的・ビジネスライクに判断していける部分が多いので頑張ってやっていきます。

書類廃棄するには、近所のスーパーあたりから段ボールの空箱をもらってきて、そこに詰めていく。そして、燃やすゴミの回収日に出すと外の人にも中身を見せずに燃やす廃棄が出来ると思います。

書類を詰めると意外と重いので、箱に詰めて、箱ごとゴミ回収袋に入れて出しました。

重要書類は、もちろん区分けして別保存しておきます。

2018年6月6日水曜日

【実家の片づけ】3.ウォーミングアップ

関係者が各々持っていきたい物を持ち出したあとは、いよいよ 整理作業に入ります。

まずは、心と身体のウォーミングアップとして、明らかに要らない物を捨てていきます。

その地域のゴミ収集の情報を見て、どういう分別をすれば良いのか把握。

分別毎の袋や段ボール箱などを決めて、そこに 今の状況では冷静に見たらゴミという物を収集していきます。

空箱とか、書けないボールペンとか、古い包み紙、カン など、昭和育ちの「もったいない」世代(私もそうだけど)は本当に色々な物を残しています。

それらは、どんどん資源ゴミ等として出していきます。

古くて錆びたカンヅメなどの食料品なども出てきたりしますが、それらも廃棄していきます。

少量の食用油やはちみつ等の液体等は箱の中にいらないタオルなどを敷いてそこに吸わせて燃えるゴミで出したり等等 意外と工夫が必要です。

灯油は、ガソリンスタンドまで持っていき廃棄処理してもらいます。

この作業をするには、押入れの中や引き出しの中など一通り見る事も必要なので、何処にどんな荷物があるのかを詳細に把握できるというメリットもあります。

これだけでも意外と大変ですが、どんどん大きな袋で回収車に出していくと家の中はスッキリしてくるし、なんとなく掃除している=良い事をしている感覚で前向きな気持ちになる事が出来ます。


2018年5月13日日曜日

【実家の片づけ】2.関係者の気持ちの整理を兼ねて

取り壊しに関して、関係家族で基本合意が取れたら、次の具体的なステップに進みます。

まずは、実家にある物を出来るだけ全部ザっと見てどういう種類の家財があるか、文書や本、食器なども含めて、家族各位と深い関係のありそうな物があるかなどを把握します。

実家ですので、既に独立した兄弟の持ち物等も当然残っているでしょうし、亡くなった親父の遺品として残すと良さそうなものや、これは家族の誰が持っていた方が良いか、または廃棄する判断をしてもらう必要があるか等を見ておきます。

価値のある物などは、相続的な観点でも見る必要があります。

大体の感じが把握できたら、残った母親や、兄弟に一度に同じ日に実家に集まってもらい、取り壊す前提で、各自が持って行きたい物を持って行ってもらいます。必要ならば、相談して誰が持つかを決める事もします。

ここでは、「これはとても懐かしく、思い出が詰まっている物なので、私は今の家には持って帰れないけど、残しておいてよ。」という話が必ず出てくる事。

そういう話は膠着状態になってしまうので、必ず最初に「皆が持って帰らない物は、全部廃棄するから」というスタンスを明確にする事。

言っている自分自身も、これは懐かしいから残しておきたいな、、と思う物が多いと思いますが、ここで、心を鬼にしないと、次へ進んで行く事ができません。

この、関係者全員が一同に集まって、各自が欲しいと思う物を持って帰るというステップを行う事が本当に重要だと思います。

ここがクリアできれば、次は、自分との闘いになります。

2018年4月22日日曜日

【実家の片づけ】1.構想段階

父が他界し、母が施設に入って空家になっていた実家を、たたむ事にしました。

構想から取り壊しまで、初めての事で、色々と迷いながらの作業でしたが、ポイントになったと思う事を書いてみます。


最初に行った事は、関係者の理解を得る事。

登記上は母が所有者なので、母の了解を得る事。
人生と、思い出が沢山詰まった家なので言い出すのも辛い気がしました。

状況を十分に説明した上で、何回かに分けて確認をしました。

人間 その時は良いと言っても、一人でじっくり考えると、違う感情が湧いてきてやっぱりイヤだという事は起こり得ますので、3回ほど時間を置いて確認をしていきました。

並行して、姉・兄への説明と同意取りを行います。

父が遺言で不動産の相続の仕方なども方向性を示していてくれた事も大きく、母も姉も兄も了解・同意してくれました。

でも、この実家は私自身も何年か住んでいた思い出の場所であり、父母の記憶と密接に結びついた建物なので、たたむという決断を最初に自分の中で決断するまでに、葛藤がありました。

これは、ノスタルジーではなく将来を見た合理的判断は何かという事を自分に言い聞かせて、信じ込ませる事が必要でした。

税金の事、維持するとしたらしなければならない事、自分たちの今後の生活変化の見通し。
土地と建物関係、どういう選択肢が考えられるかなどなど、、調べ・考えて結論を出しました。

ここが、第1の関門。
親兄弟の同意を得るのが第2の関門ですね。

2018年3月3日土曜日

【本】欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 奥田昌子 講談社ブルーバックス

次の3つの中に間違った健康法があります。分かりますか?

①骨を強くするために牛乳や乳製品をつとめて摂取している
②筋肉をつけて基礎代謝を上げる為、ジムに通い始めた
③糖尿病予防やダイエットのために炭水化物(糖質)をひかえている

じつは、すべて間違いです。正確に言うと欧米人には有効でも、日本人には効果が期待できません。

というショッキングな話から始まります。

体質は遺伝と環境がからみあうとの事。一卵性双生児でも、両方がそろって同じ病気になる確率は意外なほど低い。

一方、病気にも「お国柄」があり、日本は皮膚がんはオーストラリアやニュージーランドと比べると発症率が100分の1しかない。アトピー性皮膚炎は日本は韓国や香港の3倍くらい多い。結核の発症率は欧米の4倍高い。胃がんは北米の7倍。などなど。

米国では、色々な国からの移民が多いので、人種による体質の違いをふまえて、それぞれの人種に最善の医療を提供するための人種差医療が行われている。

日本人、こんな健康法は意味がないの章では、

頑張って筋トレしても、”やせ体質”にはならない。
オリーブ油を使い過ぎると生活習慣病に
牛乳って必要?日本人の骨粗鬆症発症率は米国白人の半分
赤ワインを飲んでも害のほうが多い
ヨーグルトを毎日食べると食物アレルギーを発症することも
夏バテを恐れてしっかり食べれば太るだけ

などマスコミが垂れ流している欧米流の各種健康法が日本人には合わない事も多いとのこと。

さらに、糖尿病、高血圧、脂質異常症と動脈硬化、胃がん、大腸がん、乳がん、を個別に日本人の体質について説明されています。

面白いと思う事が沢山書かれていますが、ひとつ 肉食中心の欧米人と日本人では体温が違う。肉食だと、肉に含まれるタンパク質による「食事誘発性熱産生」によって体内で活発に発熱します。その為、夏でも基礎代謝が下がらず非常に暑がります。
日本では体温が37度以上になると熱があると言いますが、米国では38度以上とのこと。

食に関しては、カロリーよりも脂肪が日本人にはポイントとの事。和食が日本人の体質に合っている事が良く分かりました。

簡単には内容を紹介しきれませんが、テレビの健康番組を見るよりも もっと有効な事を知るのに良い1冊です。

2018年2月23日金曜日

【空家の実家】植物との闘い3

他の庭木もノビノビと成長している様で、2本ある柚子の木はバケツ何杯分もの実をつけました。

バラを含めてトゲのある木々も、大きく枝を伸ばして庭が歩きにくくなりました。

ふと見ると、笹(細い竹?)が。
これは所かまわず生え出そうとし、太くなると大ごと、成長もバカみたいに早いので、地面に小さいのを見つけると、必死で抜いたり折ってしまったりしました。
でも地下茎から始末する事は出来ないのでイタチごっこ。

ついに根尽きて、造園の方にお願いして庭木を根こそぎ切って撤去してもらいました。大きなヒマラヤ杉はチェーンソーで切って、クレーンで吊るしてトラックへ。直径30cm以上の切り株が残りました。


庭の真ん中に父がバードウォッチングしようと巣箱を付けた木が1本あるので、それだけ残して他の木は全て撤去。
中央の木も取ってしまうと、完全に「売り土地、売家」という風情になってしまうので、売るために切ったのではないぞという自分自身の意思表示の積りでもあります。

秋でもあり、庭がガラ~ンとして風がひゅうひゅう通り抜けるうそ寒い空間になってしまいました。

今まで緑あふれる、生命あふれる空間だった所が墓場の様に。

仕方が無いのですが、実家が一日にして異様な家 に化してしまいました。

でも、これで植物との闘いはひとまず安心に。

切ってみて、植物=生命の存在感がいかに大きかったのかが良く分かりました。 

植物は戦う相手ではなく、共存する相手だった事を痛烈に感じました。

翌年、ガラ~ンとした庭は、また一面雑草の海に。

近隣への迷惑を考えて除草剤等は使わないと決めていたので、雑草との闘いは果てしないですね。

一本 残した木は、周りのライバルがいなくなったので、急に成長が早くなった様です。

大きく枝を伸ばし、存分に葉っぱも茂らせだしました。

闘いはまだ続きますが、山場は超えたのでこの話はこの辺で。

2018年2月21日水曜日

【空家の実家】植物との闘い2

4ヶ月毎の草刈りを2年続けました。

つる草は非常に成長が早いので、取っても4ヶ月すると又、色々な木々やフェンスに絡みつき伸びてきます。

ただ、空中や高い位置にあるので、かがまなくても良く、体重をかけて引っ張れば、面白い様に取れてきます。

つる草が取れると、それまで日光を横取りされていたり、締め付けられていた木々が、皆 嬉しそうに元気になります。

そうすると、それらが伸びてきて、、、

ドクダミ等の地表や地下に根を這わせていきどんどん広がる植物は厄介です。

ドクダミは千切ると臭い液を出して報復をしてきますし。始末におえません。

散々 悪口を言いながら、草取りをしていきます。

そんな事をしていたら、いつの間にかヒマラヤ杉が大きく伸びてしまい、道路の電線に引っ掛かりそうになってきてしまいました。

困りました。

2018年2月20日火曜日

【空家の実家】植物との闘い1

父が他界し、母が姉の近くに移り、実家が空家になりました。

それにまつわる事を少しずつ書いてみようと思います。

郊外にある築40年の戸建ての家。
家からは2時間弱の距離にありますが、勤め先の方向とは近いので2ヶ月に1度程度 金曜日などに泊まりに行きます。

日頃、雨戸を閉めて空家にしているのですが、人が住まない家は本当に急激に衰えてくる事を感じます。

泊まった時に空気を入れ替えると家も深呼吸をして喜んでいる様に思えます。


梅雨時になると、面倒で足が遠のいてしまったのですが、しばらくして市役所から警告書が送られてきました。

近隣からの苦情により、という書き方ですが、庭の雑草などがひどく野生化して荒れており、鳥などの巣になる恐れがある。
至急対処しないと、ヤヤコシイ事になるぞ。

という様な物。

晴れた休日に、一人で実家に行き狂暴化した雑草や庭木、蔦類などの征伐をしました。


植物も、人の気配が無くなると、とたんに本当に狂暴化します。

広くもない庭ですが、一日格闘して、かなりの量の草や枝葉を取りました。

ポリ袋だと大袋で10個分はあるぐらいの体積です。

それらをカーポートのコンクリの上に広げて干すことで少しでも減量を図ります。

ただ、困った事には、そのゴミを出せるのは月に2回、決められた日だけとの事。

途方にくれます。


その時は仕方無いので、コンクリの中央に山積みにして自然に枯れて行く事を狙って帰り、後日ゴミで出せる日の前日に泊まりに行き、出しました。

ただ、植物の力は恐ろしく、3ヶ月も経つと又 以前のジャングル状態に戻っており、同じ事を繰り返す必要があります。



馴れない作業で、腰も悲鳴を上げますし、バラなどトゲのある植物には散々な目にあわされ傷だらけ。

自分が庭を作る時は、絶対にトゲのある植物は植えないと固く心に誓いました。

そして、何よりも何時まで続く戦いか終わりが見えない事に絶望感を覚えました。 

恐るべし、植物。
恐ろしい空家の庭。

2018年1月30日火曜日

【本】コンクリート なんでも小辞典 ブルーバックス 講談社BOOK倶楽部

コンクリートは、よく聞く名前ですが、どういう物なのか、実は良く分かっていませんでした。

固まるしくみから、どうして強くなるのか。

何となく、水で練って流し込んで乾燥させると固まるという印象をもっていました。
でも、乾燥だと雨で濡れるとどうなっちゃうの??  何も分かっていなかったという事ですね。

この本を読んで、コンクリートは水和反応という化学変化で固まるという事が分かりました。だから、反応をしっかりさせる為に、コンクリートを打ったあとはなるべく湿気を増やしたり、水分が乾燥しない様に気を付けるとの事。印象と正反対でした。

面白いと思ったのは、鉄筋コンクリート。
普通は、全く性質の異なる物質は温度変化も違うのですが、鉄筋とコンクリートは熱膨張率がほぼ同じなので、温度でダメージは受けないとの事。感心しました。

日頃 建設現場を何気なく見ていましたがこれからは、コンクリートをどう扱っているのか、興味深く見る事ができそうです。

2018年1月21日日曜日

【本】ナノカーボン ナノ学会 近代科学社

木炭や活性炭、カーボンブラックなどの昔からの炭素の活用がありましたが、20世紀後半は炭素繊維や生体用カーボンなどのニューカーボンの世界が広がり、さらに21世紀に入ってナノカーボンという世界が追加されつつあります。

ノーベル賞の頃は、フラーレン、ナノチューブ、グラフェンなどの単語がニュース上を舞いますがそれらはその後どうなっているのか?

フラーレンはサッカーボール型のC60が有名で誰でもその絵を見たことがあると思います。
でも、今はあまり話を聞かない。

世界的には5年程で研究者がナノチューブに移ってしまったとの事。
ただし、日本では地道に研究を続けている方がおり、人工光合成など色々な成果が生まれそうになっている。

グラフェンは炭素の薄い原子1層の膜。
黒鉛をセロテープで剥がしたら1層を作れたという事で、色々と実験が出来る様になった事で研究が進んでいる。

その膜の端面についてがホットな話題との事。

膜の端と端を繋がったのがナノチューブだし、丸く繋げたのがフラーレンといえる。

もっと複雑な形としてエキゾチックナノカーボンという世界も出来つつある。ピーナッツみたいな形など面白い形も。

そして、爆轟法ナノダイヤモンドという量産可能な方法が出てきて、注目を浴びているとのこと。

炭素は基本的な元素ですが、これほど次々と新しい面を見せてくれるものも珍しいもの。

これからも、まだまだ発展していきそうです。

一つ面白いなと思ったのは、サッカーボールを何重にも入れ子にしたようなカーボンナノオニオン。

応用として太陽熱貯蔵に向いているとのこと。

「直径ミクロンオーダーまで成長させた結晶性カーボンナノオニオンは、黒色のサラサラした粉末で、太陽光を広い波長範囲にわたってよく吸収すると予想される。常温付近で、ナノオニオンの内部回転自由度が失われ、振動の自由度はもともときわめて小さいので、太陽光を吸収すると光エネルギーは効率よく電子励起エネルギーに変換される。
低エネルギー3重項準位が無数に存在するので、膨大なエネルギーを貯蔵することができる。」

これを練り込んだカーテンで、冬の昼の熱を夜まで溜めておけるようになると使えそうですね。

2018年1月19日金曜日

【音楽】たまに聞きたくなる曲

いつもは、通勤帰りの電車の中は本を読んだり、スマホでニュースを見たり、調べ物をする事が多いのですが、疲れた1週間が終わる金曜日の帰りには、たまに音楽を聴きたくなる事が年に数回あります。

今日がその日になって、ユーチューブで懐かしい曲をいつの間にか聞いていました。

・タニア タッカー
  Hello, Mr.Sunshine
・イングランド ダン&ジョンフォード
  Keep your smile
・ドナ サマー
  Hot stuff
・トワエモア
  虹と雪のバラード
・カーペンターズ
  ベストアルバム

ジャンルもゴチャゴチャでとりとめの無曲の集まりですが、私にとっては学生時代に自宅でピアノを叩きながら歌った思い出の曲達で、それを聞くとホッとしました。

リラックスしたい時に聞きたい曲は人それぞれだと思います。

もっと色々な曲を演奏したりしていたのですが、なぜかこれらが無意識に登ってきました。

きっと、私の心の波長と共振する部分があるのでしょう。

面白いものですね。

ああ、そういえば アレも久しぶりに聞いてみたいなと探して聞いたのは、

・ナンシー シナトラ
  These boots are Made for Walkin'

前にも書いたかもしれませんが、ベースがこれほど主役を張るポップスを知りません。
私の青春時代よりも前の歌手ですが、ラジオ英会話の中で曲がかかり、とても興味を持った1曲です。

なんとなく、豊な気持ちで帰宅できました。

2018年1月8日月曜日

【本】体にいちばん快適な家づくり 岡本康男 講談社+α新書

この本は2004年発刊ですので、13年も前に書かれた物です。
でも、今 時点で最新本ですと言われても通用する様な内容です。

技術や物理をしっかり分かった人が書いているなと感じられます。著者が工学部出身という事で合点がいきました。

狭い自分の経験やアイデアの中での話ではなく、科学的(物理的)にこういう理由でこう考えるという事がフラットに分かり易く書かれていて、しかも、今ホットな話題になりつつあるパッシブハウス的な内容も実体験して織り込んでいる。
素晴らしい先覚的な本だったのだと思います。

勿論 細かい点では、この10年で建材や窓も進化していてズレている所はありそうですが、基本の考え方は現在でも納得がいきます。

ハイブリッドソーラーシステムのフランチャイズをされている協会の会長さんという事なので後半は、それの優位性の説明が多くなるのは仕方ありませんが、ハイブリッドソーラーというしくみは、工学的にも良く考えられたシステムに思えました。

(太陽熱温水器や関連設備にも寿命はあると思うので、そういう意味でライフサイクルコストはどうなのか?という素朴な疑問はありますが)

新築を考えられている方は、一度 読んでおくと取れた家造りのポイントをバランス良く理解する事ができると思います。お勧めの一冊です。

2018年1月7日日曜日

【住宅】日本民家園

川崎市にある日本民家園という古民家を集めた野外博物館に行きました。

3つ程、面白い話を聞けましたので記します。
茅葺の古民家が沢山展示されています。又、幾つかは囲炉裏に火を燃やして、上がり込んで温まる事もできて、その民家が活躍していた時を感じる事もできます。

①屋根に花が咲く
江戸末期に日本を訪れた外国人の手記を見ると「江戸の町は清潔で美しい。日本人は庶民も皆花を愛でる人種だ。屋根の上にまで花を咲かせている。」という様な趣旨の事が書いている人がいます。

屋根に花? 少し前に流行った屋上緑化??
と少し不思議に思っていましたが、今回茅葺屋根の構造を学習して合点がいきました。

茅葺屋根は三角屋根のてっぺんの所は両側から積んできた茅の穂を織り込んでつなぐのですが、そこがほつれたり、雨に耐える様に棟というカバーをします。

棟の作り方は地方により色々あるとの事ですが、その中に、芝をはって菖蒲を植えるというのがあります。

芝の根が深く茅葺のなかに降りていく事で茅がほぐれてしまうのを止めるとの事。
菖蒲も同じ狙いです。屋根の上に植物を意識的に植える。よって、花も咲く。

②雪国の冬は、家の外壁の周りに茅で外套をまとわせる。厚さ10cmぐらいの茅の壁を作って、家の外壁との間の空気層もあるので、断熱と雪の吹込みを防止するとの事。

季節に応じて、付加断熱をしたり外したりする。
パッシブライフをしていたんですね。

③越中五箇山の秘密の塩硝
豪雪地帯にあった合掌造りの家は、高床になっており、囲炉裏の床下は土管の様な物が地面まで降りている。
当時、その家(村)では、囲炉裏下の地面を掘って、そこにヨモギや麻の葉、蚕のフンなどを混ぜて埋めて発酵させて、塩硝という火薬の原料を作っていたとの事。

特別なバクテリアにより、堆肥ではなく塩硝が作れるとの事。

この塩硝作りは、極秘の仕事でよそ者が来ない様に人里離れた隠れ里で作られていたとのこと。

鉄砲の火薬作りは、信長、秀吉、家康が独占していたとの事だが、加賀藩は独自にバクテリアを入手して隠れ里で塩硝を造り、それを城にて炭等と混ぜて黒色火薬を作り、裏で商売していたとの事。
加賀百万石はこうして作られたらしい。

ちなみに、秀吉は刀狩りはしたが、鉄砲狩りはしなかったので、当時の日本の各地に鉄砲は沢山出回っていたとの事。
それらに、専売の火薬を売って儲けようとしていたのだろう。

隠れ里にするために、川にも橋は掛けずに、渡る時は粗末な籠に人を載せて手動ロープウエイ方式で一人一人運んでいたとの事、その籠の展示もありました。


古民家も、そこに当時暮らしていた人達の事をリアルに想像しながら見ていくと、とても面白いものでした。