表題からして、また恐怖を煽るサスペンス風の本かと思ったら、最初から世の中の危機を叫ぶ”専門家”をロジカルに批判する所から始まる本でした。
火山の噴火、どういうメカニズムで噴火が起こるのか。日本はなぜ特異なのかを色々なデータで示してくれます。
噴火予知には、日本の多くの山に2人ぐらいの研究者(火山のホームドクター)を配置して常時観察していく事を提案されています。
有珠山の時は、それが上手く働き前日までに対策を打てたため死者ゼロが出来たとの事。
日本の活火山は沢山あるが、富士山が噴火した場合、東京都はほぼ全域、千葉も半分ぐらいは降灰が2cm以上になるというハザードマップが作られています。
降灰の影響(気象庁)は、
道路:5㎝程度で通行不能に
鉄道:1㎝で信号機故障、10㎝で運行不能
航空:0.5㎝ぐらいで空港閉鎖
電力:1㎝で停電・供給不能
水道:1㎝で断水・供給不能
農作物:0.5㎝で稲作被害、1.1㎝で収穫不能、10㎝で回復に数十年
森林:1㎝で50%被害。10㎝で壊滅的被害
健康:1㎝で呼吸器異常
家屋:30㎝全壊30%
との事。相当大きな影響が現れます。
でも、著者が本の後半で示しているのはこれら火山噴火とはケタの違う大規模な巨大カルデラ噴火の危険について。
北海道の洞爺湖、摩周湖などカルデラ湖ですし九州の鬼界カルデラ他多数のカルデラ噴火跡がある。
例えば阿蘇山近辺で巨大カルデラ噴火が起こると道南まで5㎝以上の降灰が予想でき、日本列島がほぼ全体に大きな被害、1億人が生活不能者になってしまう可能性もあるとの事。
巨大カルデラ噴火は100年に1%の確率という事だが、過去 日本で何度も起こっている事で必ず起こる。
著者は、そうなった時にどういう対応を取れば良いのか、どうしたら予知(地下深くのマグマ溜まりの状況検出)が出来る様になるのか分かっていないと述べて、若い人も含めて研究・考えていく事を要望されています。
私は、「福島原発の電源喪失」という事が大問題になった事を考えると、列島全体の電源喪失になる巨大カルデラ噴火がいつ起こるか分からない日本に置いては、原発などは全く動かしてはいけない装置だと感じました。
逆に、地熱は地下のマグマのエネルギーを引き出す方法があれば、日本は一挙に資源大国化と、噴火鎮静が出来るかもしれませんね。
本書は「日本の不都合な真実」だと思います。
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