眼球の奥の面に通常はピタリとついている網膜が剥がれてきてし
まう というある意味分かり易い状況です。
網膜剥離は非常に不思議な映像が見えたりと、非日常的な事が多い
ので、 別の機会に詳しくは書きたいと思いますが、その中でも
非常にびっくりした事があります。
手術後治療の一環として、眼球で一番多くの体積を占める硝子体
に気体を注入して、その泡の浮力を使って網膜を眼球の奥面にく
っ付けるという方法がとられました。
私は、手術後1週間ぐらいガスが身体に吸収されて無くなるまで、
ずっとドーナツ枕にうつ伏せになり顔を上げてはいけません。
とにかく泡を目の奥の方に位置させないといけないのです。
トイレに行くときも、ずっと下を向いたままです。
不便です。退屈です。
ベッドの上のドーナツ枕に顔を埋めているのですから光は目に入って
こないのですが、何日かすると白い少し揺れ動く円がハッキリ見えてきました。
何かと思うと、それが泡なのです。身体を少し動かすと、それにつれて円が
動きます。しかも、日に日に円が小さくなのです。
学校では、人が見れるのは、光を網膜が感じるからだと習いましたが
物理的接触でもイメージを見る事ができるという事を知りました。
自然はスゴイ!、色んな技を用意してくれるな。と、とても感動してしまいました。
通常の視力を失って初めて知った世界でした。
もしかしたら盲目の方は、身体の触覚を活用して、健常者が想像するより
も非常にクリアな映像を得ているのかも知れないと思いました。