集牧後のいきものがかりは、自分達が何をどう考えているのかをいろいろな場でOpenにしようとしている様です。
水野さんが色々なSNSで発信したり、吉岡さんや山下さんが個々にラジオ番組を持ったり。
そんな中の一つで、アレンジャーで有名な亀田誠治さんといきものがかりの3人の4人で一つの曲を作っていく過程(コロナ禍なので、Zoomで相談しながら)を「今日から ここからプロジェクト」として公開されています。
プロがどうやって曲を作っていくのかが、コンセプト決めの段階から、メロディ、詞、歌い方、演奏の仕方などの決めていくステップがドキュメンタリの様に見ることができます。
普段 知る事ができないプロの曲作りのプロセスやコダワリを見れるという非常に貴重な機会です。
吉岡さんの言い方では、彼らの内輪を「覗き見」できます。
コロナ禍で苦しむ世界の人に寄り添いながら、前に向けるような普遍的な曲を目指したという彼らのスタンスが良くわかります。
いきものがかりの曲は、色々なシーンに当てはまるものが多いと以前から感じていましたが、ここまで明確にそれを目標に作っていたんですね。
完成した曲は日比谷音楽祭で公表されたとの事。
途中で、各員がメロディを出し合ったり、詞をディスカスしながら決めて行ったり、という場面が沢山あり、各々のキャラクタの違いも良くわかりました。
吉岡さんは、ライブ舞台の上と変わらず、明るくてまっすぐな感じ。ちょっとセンス良く他のメンバーをオチョクったりするのもそのまま。歌を歌う上では、本当に真剣に向き合っておられます。
水野さんと山下さんは、スタイルの違いを感じました。
水野さんは曲という商品作りをしていて、山下さんは作品作りをしているという印象です。
私自身、メーカーで数十年 商品企画や製品化、営業などやってきましたが、水野さんを見ているとメーカーの物作りとよく似ているなあと感じます。
お客(聞き手)の潜在ニーズや状態を調べたり考えて、それに対してどういう物事を提供していくのが良いのか。
お客(聞き手)も色々な層の人がいるので、ニーズや事情が異なる。それでも、共通項として売れる(心に響く)商品とは何かを突き詰めていく。
そして、それはどうしたら作れるのか、どのタイミングで出すのが良いのか。
お客様から見てのメリット・デメリットは何か。
競合との闘いの中での差別化点は何かなど。
勿論、儲かる事は最重要です。赤字では商品とは言えませんから。
沢山の人に普遍的に届けようとすると、具体性よりも抽象的または、皆が勝手にイメージをしてくれるような暗示的な表現にするのは一つの技術になります。
水野さんはメーカーの商品企画をしても、良い商品を作られるのではないでしょうか。
タイアップ曲等は、明確なターゲットに合致するような曲作り(商品作り)が必要ですから、水野さんのアプローチがハマリますね。数々のヒットも納得できました。
一方、山下さんはもっと私的な感覚から、多くの人にも共感を得られるように考えていっているという様に思えます。具体的シーンや口語的表現が入るのも、できるだけ具体的な心情を伝えたいからなのかな。
共感できる人には、本当に刺さるようなインパクトが出るのだと思います。
今までのいきものがかりは、3人の全く別なキャラが組み合わさって、幅の広い楽曲が提供できていたという事、あらためて実感できました。