2021年6月6日日曜日

【人生】逝き方はピンピンコロリが理想ではなかった

 つい最近、母親が亡くなりました。


老人ホームでの最後になりました。95才以上の年齢なので、長寿と言ってよいでしょう。


老人ホームに入っていたのですが、新型コロナ禍の影響で1年以上も会いに行くことができませんでした。


ある日高熱が出、診てくれたお医者からは、余命が短いと言われました。。


食事も殆ど取らない様になってきて、胃ろうなど延命処置をするかと問われ、兄弟全員同意の上で延命処置はしない事にしました。本人も以前にそういう希望を述べていました。


その翌週、兄弟が一人ずつ ホームを訪れ各々20分ほど会う事ができました。


水分も口から飲む事をしなくなっていて、ゼリー飲料(Qooなど)を使って少しでも水分を口から採らせようとホームのスタッフの方ががんばってくれていました。

病院に入っていたら普通は点滴をされてしまう状態だと思います。


すっかり枯れてきているという感じです。


そして、1週間後、静かに苦しまずに逝きました。


ホームのスタッフの方の話では、前日には微笑んで、ハミングしていたとの事。


死亡の連絡を受けて、駆け付けましたが、全く苦しそうな表情はありませんでした。


今までは、なんとなくピンピンコロリが憧れの死に方の様な気に私はなっていましたが、肉親の自然で枯れるような老衰死に立ち会って、人間の本来の死に方はこういう事なのではないかと強く思いました。


人間は口から水分を摂れなくなると、1~2週間で亡くなるとの事ですが、こういう亡くなり方は徐々に身体の各機能を弱めていって止めるという事になるので、苦しんだりする事がなく、眠るように静かに亡くなる事が出来るそうです。 

本人の意識は、現世とあの世の境界をまどろんでいる感じです。


でも、点滴をされると身体機能の低下した状態に無理やり水分を注入するので、溺死のような感じの死になり、本人もかなり苦しい。


老衰死は、本人が苦しまない事に加えて、家族とも別れができます。又、家族側も徐々に弱る推移を見、自然な死として受け入れる心づもりが出来ます。苦しまない死は、遺族にとっても救いです。


母の場合も、天に召される時が来たんだなと自然と納得できた気がします。


そうなると、死は悲しい出来事というよりも、安らかに次のステップへ進んでいくんだと感じられました。


飢餓、脱水しての死は、自然が与えてくれた恵のメカニズムだと思います。それが、たとえ外から見ると苦しそうに見えても、、、


枯れる様に亡くなる老衰死が、私は最も望ましい死の形だと思うようになりました。

0 件のコメント:

コメントを投稿