立花氏の本を読むといつも、私の持っている個別知識の点と点の間の埋めてくれる情報を教えてくれると感じて面白いです。
今回の本は1996年に東大で行った講義録という事ですが、立花氏が亡くなる前月に発刊されています。最後の新刊本。
内容はかなり盛沢山だが、一貫しているのは、全世界は進化(変化)の途中であるという視点が重要という事。
物質も進化中、生物も進化中、人類も進化中 という意識で過去・現在・未来を見る。
立花氏が何かの結論を出そうとしているのではなく、その視点につらなる事柄、人物を紹介していく。
特に テイヤール・ド・シャルダンという、神父でありながら古生物学者で科学哲学者の人を紐解く中で、科学と宗教との関係や、彼の考える人類の今後の進化について紹介してくれる。
彼の考え方が、ガイアという思想や、アシモフの小説、EEスミスの小説などにも影響を与えているのかなと感じました。
現在の日本の政治などを見ていると、良き時代を取り戻せ 的な発想でいる人、 過去の歴史に学んで繰り返さないように進化させていきたいという発想でいる人、という点は、同時代に生きていたネアンデルタール人(力で戦う)とクロマニオン人(知恵で戦う)を見ているように感じる。
人類も進化をしていかないといけない。旧人は消え去る事は歴史が教えてくれる。
シャルダン氏は人類の次の段階は、個々人皆が繋がって有機的に、人間中心から人類中心へ変わるだろうと言っている。
科学も精神も手を取り合って進化していくとのこと。
この100年間の通信や放送技術の進化や、の今のネットを使ったSNSなど、科学技術は名違いなくその方向に動いている。
人間も徐々にそういう行動にうつりつつあるように感じる。
地球温暖化対策などは、全地球視点・全人類で未来を考えて行動するという良いキッカケになりつつあるようにも思える。
この本を読んで、地球温暖化対策の取り組み方次第では、個別のナショナリズム政治ではなく、全地球政府というような形に進化させていく事ができるかもしれないという希望を感じられました。