東北大震災+原発惨事の時の菅直人首相と、新型コロナパンデミックでの安倍首相の行った行動の比較を分かりやすく書かれた本です。
災害発生時の深刻度は、原発惨事の方は短期X巨大マグネチュード、一方新型コロナの方は長期X大マグネチュードだと思いますが、国民の命をどう守るか、被災者をどう救済するか、国民にどう寄り添うか、一方、強制的な行動抑制など、危機時の責任者は決断し実行しなければならない場面になります。
そういう時に、二人の行動は現実にはどうだったのか。
行動の事実を、その時々の状況と共に比較する事ができます。
判断は、読者がすべきですが、二人には明らかに国民に対する向き合い方が違っていたことが良く分かりました。
コロナ禍になってから安倍政権、菅義偉政権の会見を沢山見てきましたが、うすうす感じていた事を明確に書いてくれており、おもわず頷いていました。
部分を写すと、
「記者会見における安倍政権の情報発信を振り返ると、①政権の「成果」を誇示する。②政権の「責任」ははぐらかす。③政権の「責任」が生じた場面では、「誤解」などの言葉を使い、国民全体を含む他者に責任を押し付けるーーという特徴がうかがえる。」
菅直人政権が最高だったと言うつもりは全くありませんが、客観的にみて、本当の日本国の危機だった原発惨事時に、安倍首相ではなく菅直人首相だったことは良かったと感じます。
当時、あれだけの本当の国難だったにもかかわらず、同じ民主党内からも政府の対応の足を引っ張る動きが出たこと。マスコミもそれに輪をかけて困難を克服していく事を第1にせず、憶測や観念的な批判の大合唱をした事。 私は、あまりに異常な政治とマスコミだと感じていました。
先日読んだ中村哲さんの本でも明快に書かれていましたが、この体質は、今も変わっていないのだろうなと悲しい気持ちです。
尚、この本では、明確な書き方はされてませが、どの国でも首相や大統領が病気で辞める時には、医師団からの説明発表があるのが当然です。安倍首相の2回目の退陣では、安倍氏が自身で体調が悪いと言っただけで、医師団からは一切ノーコメントだったと思います。
安倍氏が今も自民党の中で、権勢をふるっているらしいニュースを聞くと、「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉を思い出します。