2020年10月29日木曜日

【音楽】ピアニストの表現力

 最近、その軽妙で明るい文体に惹かれてピアニスト中村紘子さんの本を読んでいます。

昨日読み終わったのは 「どこか 古典派」 中村紘子 中央公論新社 でした。


その中で、チャイコフスキーコンクールの審査員をした時の話が色々と書かれています.

毎日何時間も100人を超えるエントリー者のピアノ演奏を聴いて採点していくとの事。


審査員の耳からすると、正確なだけの機械的な演奏や、平板な演奏、癖のある演奏など非常に多様なピアノ弾きがいる。本当に素晴らしいのは一握りという様な感じらしいのです。


私は小学生でバイエル等のピアノの初歩の初歩だけ習った事があり、弾けはしないけどピアノ自体にはなんとなく親近感を持って生きてきました。


特にショパンはいいなと思っていました。


そして、自分比較で考えているので、CDになっているピアノ演奏はなんでもとても上手だと思って聞いていました。

近所の音楽学校の生徒さんのコンサートなども、すごいなすごいなと感心していつも見ていました。



でも、この本を読んで コンクールに出るような人ででもそんなに違いが出るの? と疑問に思い、家にあるショパンのCDを何枚か聞き比べてみました。そういう聞き方をしたのは私にとっては初めてです。


中の1枚は中村紘子さんのCDでした。



そして、ビックリ。 

分かりやすいので小品の「子犬のワルツ」を数枚のCD聞き比べたのですが、全く違う。



同じ譜面で引いているはずなのに、こんなに違う弾き方になるのかと驚きました。


中村紘子さんのCDを聞いた後では、図書館から借りていたCD(ピアニストが誰かは知りませんが)の演奏がなんて単調なんだろうと思います。


中村さんの奏でる音がカラーなら、他のCDの音はモノクロみたいです。


素晴らしいと感動したのと同時に、マズイ これは色々な聞き比べにハマってしまうかも。今までは何を聞いても上手いと思えていたのが、そうじゃなくなってしまうかもとも思いました。



ピアニストに限らないと思いますが、同じ楽譜を使っても表現力の違いというのはこんなに大きくあるんだな。。と今更ながら再認識です。



全然別件ですが、中村さんはコンクール以外でも色々な審査員をされていたらしく、昔昔に国際的美人コンクールの日本代表選考の審査員をされた時の話にとても面白い話がありました。


中村さんは審査員初体験で、どう選んだらよいのか全然分からないと悩んでいたら、主催者側から色々アドバイスをもらったとの事。


例えば、第1次審査では

「とにかく、背の高い人を選んでください。世界大会では少なくとも170センチ以上でないと見栄えがしないのです」。 


本選では、

「誰か気に入った人は見つかりましたか?」

「ええ、ほら、あの人」

「あ、〇〇県出身の人ですが。確かに一番魅力的ですが、彼女はやめていただけませんでしょうか。もし優勝すると、今後国際大会までの1年間というもの、しょっちゅう東京に呼ぶことになり、経費の点で大変なのです。」

「では、あの人はどうでしょう」

「ああ、確かにあの人も二番目にきれいです。でも、彼女もやめていただけませんでしょうか」

「まあ、どうして?」

「家庭に問題がありそうで、私どものとしては、スキャンダルはさけたいのです」、、、



今は、勿論こんな事は無いとおもいますが、当時の内幕はこんなんだったのか、、と ある意味納得。


中村さんの本は知らない色々な世界をのぞき見させてくれて、そういう意味でも面白いです。


2020年10月17日土曜日

【原発】家庭で簡単に出来る原発反対の意志表示

 福島原発の廃液を海に放出していくという政府の考えのニュースが出ています。


私は原発は止めたほうが良いと思ってきました。福島災害の後は止めていかなければいけないと思う様になりました。 でも、それは頭で考えていただけで、具体的な行動としては選挙時に原発反対の候補者に投票するという事しかしていませんでした。


でも、個人がもう少し積極的に反原発の意志を表示できる方法がある事が分かりました。

それは、電気を原発以外の発電所を使った電力会社から買うように変更するという事。



私は今まで、ずっと東京電力を使ってきていました。

でも、今は再生可能エネルギーを電源とした電力会社が幾つもあって、単に電気の契約をそちらに変えるだけで自宅で使う電気を再生可能エネルギー起源の電力に切り替える事ができます。


ガス会社等が電気も一緒に契約してくれたらお得ですよという宣伝を良くしています。

経済メリットをうたった、売り込みだなと聞き流していました。


でも、電力会社を変えるという事で、脱原発の方向に行けるのならばそれはアリなんじゃない?と妻に言われて目からウロコが落ちました。


そういうやり方があったか!と。


電力会社を変えると言っても、工事などは不要です。

電線は今まで通りの東電系の電線を使いますが、流す電気の源を再生可能エネルギー発電所に切り替えるという事です。これは契約の変更だけでOK.



ネットで「再生可能エネルギー電力会社」等で検索すると、意外と沢山の選択肢がある事が分かりました。

内容もバラエティに富んでいるので、その中で自分に会うものを選んで契約すれば良いという事になります。



私は生協がやっている パルシステムでんき にしました。

別に生協の宅配を使っていた訳ではありませんが、なんとなく企業系よりも親近感を感じる事と料金が現在の東電と変わらないという事で選びました。

ネットを見ると、パルシステムの組合員でないと契約できないという記述があって、入会バリアが高そうに思いましたが電話で聞いてみたら宅配は使わないで電気だけの使用でも組合員になる事が出来る。組合員になるときに1000円の供託金(脱会すると戻ってくる)は出す必要がありますが、それ以外は、料金は電気代のみという事が確認できたので契約しました。東京電力への通知もパルシステム側からやってくれます。


契約を変えても、日常の生活は全く今までどうりです。

損も不便もなく原発反対の意志表示ができるので、もっと早くからやればよかったと思います。


2020年10月9日金曜日

【生活】趣味のボランティア

 新型コロナの関係で、在宅リモートが多くなりました。

運動不足+ちょっと窮屈な感じの生活ですが、オンライン生活ならではの楽しみもだんだん見つけられるようになってきました。


前にも少し書きましたが、その一つがずっとやらなくっちゃと気になっていた「ボランティア」活動。


災害でサッと動いて助けに行くボランティアの人の活躍をニュースなどで見ると、自分もしないといけないのではないか。と焦りに似た思いが起こります。 頭では、行けば良いんだと分かっていても、その一歩がなかなか踏み出せない状態がずっと続いてきました。


でも、たまたま 国立天文台が市民参加のボランティア(ゲーム?)のGalaxy Cruise というのをやっている事を知り、参加を始めました。


すばる望遠鏡で撮った非常に沢山の遠方にある銀河の形を分類するボランティア。


きっと、人間が分類したデータを教師データにして、ディープラーニングにつなげてゆくのでしょう。自宅のパソコンで、参加できるボランティアです。


小学生の時には、アポロの月面着陸をテレビで見て大興奮し、宇宙大好き少年でした。

しかしその後数十年。宇宙とは縁遠い生活をして、その気持ちをすっかり忘れていました。


でも、このボランティアで 又 宇宙に興味がモリモリと湧いてきました。趣味の事をしながら、ボランティアにもなるという一石二鳥です。



分類の為に次から次と出てくる銀河の画像を見ていると、本当に多様な銀河がある事を実感します。


これらが、CGではなく実在の実写という事に深い驚きと感動を感じます。



「天の川が消える日」 (谷口義明著 日本評論社刊) を読むと、銀河も時間共に変化していく様子が良くわかりました。


星を生み出しつつある若々しい渦巻銀河や、もう老成の域にある楕円銀河など。又、銀河と銀河の衝突でにより、ゆがんだ銀河にも沢山 すばる望遠鏡の画像で出会います。


宇宙と言うと、暗く広大な真空空間にポツンポツンと星があるのが当たり前。天の川も空にあるのが当たり前。という様に思って生きてきましたが、それらは たまたま現時点の地球の周りはそういう環境だという事。人間の感覚では悠久ですが、宇宙の感覚からするとどんどん変化が起こりつつある途中らしい事を知りました。


とても具体的でショッキングなのは、40億年後ぐらいにはアンドロメダ銀河が天の川銀河と衝突になっていて、その時代に夜空を見上げると 非常に大きくアンドロメダが迫っていることが肉眼で見えるようになる。その後 衝突が終わると もしかしたら夜空は曇り空の太陽を見るみたいな感じになってしまうかもしれないとの事。


ネットで「アンドロメダ 衝突」と画像検索するとNASA等が作った沢山の予想図が出てくると思います。



今まで、言葉の上では ダークエネルギーや暗黒物質、アインシュタインの宇宙項などの単語は知っていましたが、全然 自分とは関係のない世界と思っていました。

でも、宇宙の実際の銀河の多様な状況を見ると、それらの言葉にも違和感がなくなりました。


ちょっと人生観も変わった気がします。


趣味のボランティアでも。一歩踏み出すと、新しい世界が見えるなあ と思いました。

面白いです。