2018年8月30日木曜日

【本】富士山大噴火と阿蘇山大爆発 巽好幸 幻冬舎新書

表題からして、また恐怖を煽るサスペンス風の本かと思ったら、最初から世の中の危機を叫ぶ”専門家”をロジカルに批判する所から始まる本でした。

火山の噴火、どういうメカニズムで噴火が起こるのか。日本はなぜ特異なのかを色々なデータで示してくれます。

噴火予知には、日本の多くの山に2人ぐらいの研究者(火山のホームドクター)を配置して常時観察していく事を提案されています。

有珠山の時は、それが上手く働き前日までに対策を打てたため死者ゼロが出来たとの事。

日本の活火山は沢山あるが、富士山が噴火した場合、東京都はほぼ全域、千葉も半分ぐらいは降灰が2cm以上になるというハザードマップが作られています。

降灰の影響(気象庁)は、
 道路:5㎝程度で通行不能に
 鉄道:1㎝で信号機故障、10㎝で運行不能
 航空:0.5㎝ぐらいで空港閉鎖
 電力:1㎝で停電・供給不能
 水道:1㎝で断水・供給不能
 農作物:0.5㎝で稲作被害、1.1㎝で収穫不能、10㎝で回復に数十年
 森林:1㎝で50%被害。10㎝で壊滅的被害
 健康:1㎝で呼吸器異常
 家屋:30㎝全壊30%
との事。相当大きな影響が現れます。

でも、著者が本の後半で示しているのはこれら火山噴火とはケタの違う大規模な巨大カルデラ噴火の危険について。

北海道の洞爺湖、摩周湖などカルデラ湖ですし九州の鬼界カルデラ他多数のカルデラ噴火跡がある。

例えば阿蘇山近辺で巨大カルデラ噴火が起こると道南まで5㎝以上の降灰が予想でき、日本列島がほぼ全体に大きな被害、1億人が生活不能者になってしまう可能性もあるとの事。

巨大カルデラ噴火は100年に1%の確率という事だが、過去 日本で何度も起こっている事で必ず起こる。

著者は、そうなった時にどういう対応を取れば良いのか、どうしたら予知(地下深くのマグマ溜まりの状況検出)が出来る様になるのか分かっていないと述べて、若い人も含めて研究・考えていく事を要望されています。


私は、「福島原発の電源喪失」という事が大問題になった事を考えると、列島全体の電源喪失になる巨大カルデラ噴火がいつ起こるか分からない日本に置いては、原発などは全く動かしてはいけない装置だと感じました。

逆に、地熱は地下のマグマのエネルギーを引き出す方法があれば、日本は一挙に資源大国化と、噴火鎮静が出来るかもしれませんね。

本書は「日本の不都合な真実」だと思います。

2018年8月26日日曜日

【本】睡眠のはなし 内山 真 中公新書

表紙裏のPR文の所に「睡眠学入門の決定版」とありますが、本当に多岐にわたる睡眠に係る疑問を教えてくれます。

その中で、ソウダッタノカと思った所を書いてみます。

睡眠にレム(Rapid Eye Movement)睡眠とノンレム睡眠があるというのは聞いていましたが、目的が違うという事。

レム睡眠は、眼球が素早く動くのでレムと名前が付けられましたが、猫ではヒゲがピクピクする事も。

睡眠前半に深いノンレム睡眠が多いが、これは睡眠をとる前に何時間起きて活動していたかに影響される。
一方、レム睡眠の出現は、早朝に最も多く出現するというように体内時計のリズムに支配されている。

レム睡眠は夢を見る睡眠。ノンレムと違う特徴がある。

・脳は起きている時に比べてほんの少し機能が低下し
 た程度の状態。
・レムの間は、身体の感覚入力を遮断する。音にも
 反応しない。
・全身の筋肉の緊張が著しく低下して弛緩している。
 脊髄のレベルで脳からの運動指令が絶たれた状態。
 その為に、夢を見ている時に動こうと思っても動
 けない状態を体験する事がある。これがひどく
 なったのが、金縛り。医学的には「睡眠麻痺」。
・脈拍、呼吸数は増加し不規則になり、呼吸が浅く
 なる。
・陰茎あるいは陰核の持続的勃起が生じる。瞳孔は
 小さくなる。
・ほとんどの場合、夢見を体験していて、起こされ
 た時の目覚めが良い。

レム睡眠の意義は、主に骨格筋の緊張を積極的に抑制する事で身体を非動化させ、外部の昼夜のリズムに合わせて運動器を休める事。又、覚醒に向けて脳機能のウォーミングアップをしている状態。

ノンレム睡眠には、まどろみ期、軽睡眠期、深睡眠期の3段階がある。

深い眠りの時の特徴は、

・起こされると、ぼんやりした状態から脱するの
 に時間がかかる。
・瞳孔が開いているので、無理やり起こされると
 しばらくの間まぶしくて目を開けていられない。
・呼吸が深くなり、すやすやと寝息をたてる状態。
・寝汗が継続的に出て、内部体温を下げる。=
 脳の温度を下げて休ませる。
・鮮明な夢を見る事はない。
・成長ホルモンが活発に作られる。

ノンレム睡眠の意義は、主に脳を休ませる事にある。
長時間覚醒していればいるほど、脳は疲弊して、その後の深いノンレム睡眠が増加する事が分かっている。

レム睡眠は筋肉を休める為のものなので、爬虫類などにもあるが、高等生物になると脳を積極的に休める仕組みが必要になりノンレムが発達した。

身体が休むレム睡眠の時には脳は目覚めていて、脳が休むノンレム睡眠の時には、筋肉は完全に休まないというシステムは、眠っている時の無防備な時間を最小限にするという利点があったのではないかと考えられる。


冬眠。実は、人間にも、冬眠する哺乳類と同様の身体機構が生まれつき備わっている。食欲の秋。
秋は感傷的になりやすい=不活発状態になる。


体内時計のしくみ。脳の奥の視交叉上核という神経細胞群が体内時計として働いている。

時計機能を担うタンパク質が作られる。
このタンパク質がある程度多く製造されると、フィードバックで製造過程が抑えられるいう仕組みが時を刻む機能の中核。

タンパク質が作れられて多くなり、ある量まで達すると製造は抑えられ、タンパク質が減り始める。
今度 ある量まで減るとまた製造が活発化して量が増える。このサイクルが約24時間なのだ。


眠りと記憶と忘却

久しぶりに野球のバッティングをするとなかなか打てない。どんなに一生懸命に練習してもその最中には効果が上がらない。
しかし、2~3日練習を繰り返していると、ある時突然にうまく打てる様になっている。
ピアノでうまく弾けない所を集中的に練習する。その最中はそれほどに指が運ばなかったのが、次の日になるとうめく弾けるようになっている。
こんな経験は、スポーツが好きな人、楽器を演奏する人にとって思い当たることと思う。

ハーバード大の研究チームは、新しい技法を身につけるためには、覚えたその日に6~8時間眠る事が欠かせないという研究結果を発表した。

習得しようとする技能によって、練習による向上度に差はあるが、練習後に十分睡眠をとる事で手続き記憶は強化され、練習した以上に技能が巧みになっていくことを示している。
そして、技能の複雑さが増すほどに睡眠後の技術向上度は大きくなり、さらにこの睡眠中の技能向上度は苦手な動作ほど大きくなるという。
瞬間的な記憶を保持しておく作動記憶の課題を用いて睡眠をとることで成績が著しく向上することを明らかにした。



猫のレム睡眠中枢を部分的に破壊すると、金縛り状態を起こす機能が失われる。そうすると、レム睡眠(=夢を見ている?)中に、身構える動作や獲物にとびかかる動作、威嚇する動作などを示す。
生まれた時から実験室で飼育されてきた、つまり捕食行動を必要としない環境で育った猫であるにもかかわらず。

レム睡眠中には、動物も人も危機に対処する行動をリハーサルし、いつでも行動できるよう練習しているという。そうであれば、私たちの夢が心地よく縁起の良いものでなくていいのだと納得できる。

加齢に伴う朝方化
歳をとるとだんだん早起きになってくる。
これは加齢により体内時計が全般的に朝型化していくるため。青年期は女性に比べて男性は夜型傾向が強いが、45歳を超えるころから男性が朝型化していき、55歳くらいになると女性と男性が逆転し、男性の方が朝型になる。夫婦の場合、朝型化の起こっていない妻がそれに合わせた生活をしようとすると、入眠障害になる事がある。

睡眠障害

レストレスレッグス症候群(むずむず足症候群)ドパミンの働きの低下による。ドパミンの働きを助ける薬物や、鉄分を補う事で解決する事あり。

周期性四肢運動障害(睡眠中に、何かを蹴るような感じで脚が勝手にピクンと反復して周期的に動いて目が覚める)。これもドパミンの働きがが低下して起こる。


以上。それ以外にも、沢山の睡眠に関連する話がこの本には満載です。

今まで生きて来て、なんとなく 難しい課題に直面した時に、一所懸命考えても考えがまとまらない時に、一晩寝たら翌日は良いアイデアが閃くという事を何度も実感していました。

この本で、睡眠中に確かに情報処理や整理、分析が行われているという事が分かり合点がいきました。

2018年8月19日日曜日

【本】睡眠で人生が劇的に変わる生体時計活性法 神山潤 講談社+α文庫

睡眠が人間にどう影響しているのか、どうしたら良いのか、世間で常識と思われている嘘を含めて教えてくれます。

その中で、幾つか面白いと思った点を書き出してみます。

日本の大学生が男女とも世界一なのは、睡眠時間の短さ。

メタボ対策に、睡眠時間を入れるのは世界の常識。
日本は「メタボ対策で食事と運動」を推奨しているが、睡眠については政府もマスコミも全然触れられない。
日本のメタボ対策は世界の非常識。

寝不足も寝すぎも肥満になる。
睡眠時間7~8時間がメタボ対策になる事は、調査・研究で明確になっている。

あと、日本で「は成長ホルモンは22時~2時の間に寝ると出」るような事を言われるが、実証されているのは、何時に寝ようと寝入ってすぐの深い眠り時に成長ホルモンは分泌される。

「午後は食後なので眠くなる」と言われる事も多いが、大多数の人は午前も午後も、2時~6時の間は眠くなるという事が分かっている。
よって、午前10~12時は最も能率をあげられる時間帯。

時差ぼけ。東に向かう方が、西に向かうのよりも時差ぼけがつらい。

それは、東に向かうのは”早起き”を身体に要求しているのと近いから。西に向かう時は”夜更かし・朝寝坊”をするのと同じ事になる。

誰しも、夜更かしよりも早起きの方が大変と思う。これが時差ぼけの東と西の違い。

日本は国、企業、教育の場でも、「睡眠時間を削って頑張る」事は良い事の様に言われる。これは、悪しき習慣。

海外では、皆が十分な睡眠をとる事を政府を含めて推進している。その方が、効率が良いし、健康にもなる。

日本では、「寝不足で働いた気になっている人」が多い。本当は効率が悪く、能力が落ちているのに。


サマータイムのデメリット。
実際にサマータイムを導入している国は、その前後でどういう事が起こったのかを調査している。

イギリスでは導入直後 交通事項は10%近く増えた。西ドイツでも6%。カナダも8%。

サマータイムで良い事があるという試算は誰かが頭(前頭葉)で考えた理想なだけ。
現実のヒトは周期24時間の、頭(前頭葉)よりももっと根源的な生体時計(視床下部)と脳幹部によって生かされている動物。

サマータイムを導入した結果、生体リズムが崩されて、健康に障害が起こる事も報告されている。

睡眠時間の短縮、睡眠の質の低下、抑うつ気分、自殺など。


動物は、脳の一部を眠らせる物もいる。

イルカやクジラは脳の半分だけを眠らせている時、片方の目を開けその反対側の大脳半球だけ起きている。

アヒルも並んで寝る時、列の両端のアヒルは、列の外側の目を開けている。両端以外のアヒルは両目を閉じている。

人生がうまくいく睡眠術

①ヒトは寝て食べて、はじめて活動できる動物。
②ヒトは朝は光を浴びて、昼は活発に動いて、
 夜は暗い所で眠ると、心身の調子が良くなる
 ようにできている。
③睡眠時間さえ取ればいつ寝てもいいという事
 は必ずしも皆には当てはまらない。
④短時間のうたた寝はその後のパフォーマンスを
 高める。
⑤ヒトは午前中に心身の活動のピークがあるよう
 にプログラムされいる。
⑥ヒトの脳に備わっている生体時計の特徴を知っ
 て暮らした方が心身の為に良い。

睡眠衛生の基本
①朝の光を浴びる
②昼間に光を浴びる
③しっかり手を振って歩く
④規則的な食事をする
⑤夜には光を浴びない

との事。
もっと詳しい説明が本書に述べられています。

2018年8月14日火曜日

【実家の片づけ】12.建屋の取り壊し

ゴミ出しが終わったら(この時点で多分、何か月もかかっていてヘトヘトになっていると思いますが)、解体を依頼する事になります。

私の場合は、工務店経由で解体業者の人に頼みました。

解体には、重機が使われるので、それらを入れられるスペースの確保や、埃や音が出るので近隣のお家に事前の説明と、ご挨拶をして回ります。

ここでも、解体後の廃棄物の処理はトラックの台数で費用が決まりますので事前に出来るだけ家具等を粗大ゴミで減量しておくのが重要です。

プラが混ざっていると廃棄しずらいので、出来るだけプラも先に処分しておきます。

取り外しができない家電などはそのまま取り壊してもらいます。

物置も同様です。

規模にも寄るのでしょうが、戸建て1軒の取り壊しは200万円位はかかりました。

【実家の片づけ】11.家具

ここまで来たら、いよいよ大詰めです。

家具はリサイクルショップに売れるないか? という甘い期待があるのですが、それらで買い取ってくれる可能性のあるのは、10年以内に買った高級(名の通った)家具など。

実家に残されている、数十年使った物は買取り対象に殆どなりそうもありませんでした。

但し、江戸や明治時代かの古箪笥はアンティークとしての価値の出る物もあるので、古物商に見に来てもらうのが良いかもしれません。

古箪笥は店舗のインテリアなどに使われるニーズがあるようです。

それ以外の家具は、粗大ゴミとして、コツコツ出していくのが最も安く済ます方法。

廃棄業者に来てもらうと、トラック1台でx万円とかに直ぐなってしまうので、嵩張る(空箱のような)家具の始末では割りに合わない気がしました。

できるだけ、頑張りましょう。

【実家の片づけ】10.衣類、布団など

これらも、記憶につながる事が多い物たちです。

和服等 欲しい人があれば差し上げたり、自分が使いたいと思うものは取り分けておきますが、それ以外は全て処分すると腹を決めます。

意外と新品の物も出てきたりもしますが、大抵 型が古い。

公共団体やNPOなどで衣類回収をしている所があれば、そこに送るのも良し。

あとは、燃えるゴミの日に涙を飲んで(?)出していきます。

布団や毛布、絨毯、座布団等は粗大ゴミとして出す必要があります。

数量や大きさ(縛った後の)を調べて、粗大ゴミの申請をします。

ベッド、マットレスでは扱いが違う事がありますので、該当地域の分別処理の方法を調べて対処する必要があります。

布団を丸めて縛ったりするのも意外と重労働。重いですし。

計画的に進める必要があります。

2018年8月13日月曜日

【実家の片づけ】9.食器

食器も沢山残されています。

両親が新婚当時からのほぼ全ての物が台所や食堂の棚などの奥にあります。

食器を見ると、家族皆で茶碗蒸し食べたな、とか、正月には少しかしこまってお屠蘇を飲んだなとか当時のシーンが思い出されます。

写真や手紙などとは又違う、もっとリアルな記憶を呼び起こしてくれます。

味や、笑い声、親兄弟の服装や当時のテーブルやコタツの風景なども目に浮かんできました。

昭和の中旬にはフルーツポンチを家でやる事が流行っていたのでしょう。ポンチのセットがあったり、(そう言えば2-3回だけ使われていた事を思い出しました)

時代に密着した記録物です。

小皿、箸、ナイフとフォークコップなど、日常品であればあるほど子供の時の記憶が呼び起こされます。

これらの記憶のキーになる品々を俺の判断で捨てて良いのか?

又、心の中の葛藤が起こります。

でも、心を鬼にして、「ノスタルジーには浸らないぞ」と決めて進めます。

食器には、陶製、木製、金属製ガラス製のものがあります。

私の市の資源回収のしくみを読むと陶製食器や、金属製調理道具の無料回収をしていましたので、出来るだけ、そこに持ち込む様にしました。

ナイフなどは危険物として出す必要があります。

ガラス製のものは燃えないゴミとし出しました。

有名ブランドの新品食器があればリサイクルショップなどに売る事も可能かもしれません。


気を付けなければならないのは、貰い物等だと思われる木箱に入った食器類。

それらは貴重な価値ある物の可能性はあります。説明書きなどがあれば良く読んでみる事がお勧めします。

価値がありそうな場合は、木箱ごと残しておいて、骨董屋や古物商に売れる事があります。


注意が必要なのは、戦争中などにもらったであろう金杯、銀杯など。

金も銀も日常 あまり接する機会が無いので、なんだ銅やアルミの盃か、、とか思って処理しない事。

盃以外にも金銀製の食器がある可能性あります。

良く説明書を読んだり、どういう金属か明るい所でしっかり見る必要があります。

気を付けて作業を進めて下さい。

【音楽】薬師丸ひろ子さん

NHKのBSで薬師丸ひろ子さんのコンサートの番組を見ました。

懐かしい曲が沢山というのも嬉しいのですが、それ以上に嬉しいのは、歌い方が昔と殆ど変えずに歌ってくれている事。


インタビューの中で言われていましたが、その曲をもらった時に感じた、曲を作ってくれた人の思いを、そのままいつでも伝えたい。という気持ちが良く分かります。


そして、薬師丸さんの歌は、本当にいつも丁寧に歌っているとも感じます。


番組で振り返ってみると、色々な素晴らしい作曲家の人が書いている曲が多い事が分かりました。


楽曲提供者から見ても、薬師丸さんの姿勢は嬉しい事なのではないでしょうか。


伸びやかに、ゆっくりと聞きやすく丁寧に歌ってくれる各曲。


歌で人生の応援をしていきたいと考えておられるのではないかなとも感じます。


私には昭和の良質な面を思い出させてくれる貴重な歌い手さんです。


今でも、良い曲と出会えば、新しいスタンダードと言える歌を生んでいける方だと思います。


水野良樹さんあたりが、薬師丸さんの声質・歌いを生かす曲を作ってくれたら素晴らしい歌が出来るのではないか という気がします。

2018年8月11日土曜日

【本】日本人はるかな旅 NHKスペシャル「日本人」プロジェクト編 NHK出版

テレビで日本列島に南から黒潮に乗って人が渡って来たのでは、という検証で手作りボートを作り台湾(違ったか?)のあたりから人力で沖縄諸島に行けるか?という実験をしていました。


所が、黒潮の流れが強く、それを乗り越えるのは大変で、簡単ではないという事が分かったとの事。


それに触発されて、黒潮と日本人に関する事をもう少し知りたくて、本書を読みました。


私の知らなかった事が色々。

・7万年かあ1.4万年前までの氷河期では、高緯度
 地方に氷河が発達した事で海面が100mほど下が
 っており、今のマレー半島やボルネオ島、ジャワ島、
 スマトラ島などを含む広い海ののエリアがスンダ
 ランドと呼ばれる大きな陸地であった事。

 そこに住んでいた人々が、氷河期が終わり海面
 上昇=陸地減少に伴って各地に動いて行った事。

 その流れによりフィリピン辺りから琉球諸島へ
 同じ人種・文化が渡っていったと考えられる事。


・その人達が鹿児島に 上野原遺跡 と呼ばれる
 9500年前という日本で最も大きな定住集落を
 作った事。 しかし、その時代は縄文時代と呼
 ばれる年代で、まだ畑作をしらないので定住は
 難しいと考えられている時。その中で、一種の
 生活革命である「定住」を先駆けて実現してい
 た事。(その頃の鹿児島は、ちょうど温暖化の
 途中ですばらしい植生のエリアになっていた
 らしい)


・縄文文化と言われているが、琉球を含めて南
 から来たその文化は土器の模様は縄目ではなく
 貝で作った模様が付けられていた事。


・上野原遺跡は何千年も繁栄していたが、ある時
 突然終わった事。


・鹿児島の南 竹島のあたりの海底には、「鬼界
 カルデラ」と呼ばれる直径数十kmに及ぶ非常に
 巨大な火山噴火の跡があります。

 その鬼界カルデラが6300年前に大噴火を起こし
 ました。その噴煙や火砕流は九州にも押し寄せ
 て、それが上野原の壊滅になりました。


・縄文時代の日本列島(九州から北海道に至る
 まで)には、いわゆる縄文人と呼ばれる人
 が住んでいました。彼らは上野原に住んで
 いた人達と同じ南からきた人達が広がって
 いったものでした。

 彼らは顔つきは、四角く立体的で、目鼻立ち
 がくっきりしていて、口元が引き締まっており、
 背は低いが、四肢の末端が長く、筋肉質で、
 運動能力に優れていた。


・一方、北からきて中国・朝鮮方向から来た人
 達が後に入って来る。彼らは厳寒の気候に対応
 して、胴長短足の体形と皮下脂肪が多くのっぺ
 りした顔立ちを身に着けていた。農耕文化も
 もっていた。彼らが2300年前位に山口県あた
 りから日本列島に進入し(渡来人)、瀬戸内海
 から近畿地方へと拡散していき、弥生時代と
 なった。

・その結果、在来縄文人の子孫集団は、日本列島
 の両端の北海道と沖縄に分断されてしまった。
 北海道に残った集団がアイヌの人々となり、
 沖縄に残った集団が琉球人になったが、
 本土人は渡来人の影響がかなり強く(2/3程か)、
 アイヌは縄文人の影響が極めて強く、琉球人は
 その中間(半分半分か)と推定されている。

などなど。


今まで気が付きませんでしたが、言われてみると確かに沖縄出身の女優さんは彫が深い方が多いような気がします。

思わず、自分の顔を鏡でみてしまいました。

2018年8月5日日曜日

【実家の片づけ】8.コレクション

人により親がコレクターで何かのジャンルのコレクションをしていてそれが残っている事もあると思います。

私の親の場合は、一時 住んでいた事もあるネパール国について、色々な資料、民芸品、古くからの地図、写真、本、など現地でしか、しかもその時代にしか手に入らない物が、本棚1架分ありました。ネパールが王国だった頃の物も多く入っていました。

親の気持ちが入って集められた品々なので、単なるガラクタとして処理するのは忍びないという気持ちになります。

そこで、ネパールを研究対象としている先生のいそうな大学の図書館に寄贈できないか等を聞きました。

残念ながら、答えはNo.
そういう寄付本の管理は工数がかかるので嫌だという事か、その先生がご興味を持ってくれなかったという事。

最後は、通常の品物として廃棄処分をしなくてはなりませんでした。

時間が十分にあるならば、もっとニーズを探したり、ネットオークションに出してみる等の方法もあったのかもしれません。

こういうコレクションは、同様の興味を持っている人を見つけて引き継いでもらう事ができれば気持ちも楽になると思います。

【実家の片づけ】7.写真

昭和を生きてきた両親は、カメラの普及、進化とも連動して生きてきています。

2眼や白黒の戦前や戦後時代。カラーが出だした昭和中旬。コンパクトカメラの普及で、どこのお父さんも家族写真を沢山取り始めました。
家族のハレの日は、必ず撮って。家族アルバムに貼ってある。

そして、フィルム付きカメラ流行る時代では一人数台のカメラを使ったり、どこかに行った時に、現地で買って使ったり、と何でも写真を撮る時代。

DPE屋でくれるミニアルバムに何でもプリントを入れて、ミニアルバムが沢山溜まっていく。

次に、デジカメも出てきて。パソコンも覚えなくっちゃという事になり、ここでアナログ派とデジタル派に分かれたり。

デジタル派は画像をフロッピーに入れたりCDに入れたり、DVD、BDに、、

動画も8㎜フィルムでムービーを取りはじめ、テープ式のビデオ、そしてデジタルビデオとカメラが進化。

今はスマホで写真も動画も撮影する人が多いと思いますが、実家の片づけに於いては上記の進化に伴う数々の記録の蓄積と対面する事になります。

昭和を生きて来た世代は、写真好き。
非常に沢山のプリント等が残っています。
あらゆる旅行の写真、家族写真、仕事上の写真。

一応 全て目を通します。
自然や建物などだけが映っているのは捨てやすいですが、親や親せき家族などが映っている写真は捨てにくい。先祖のものもある。

そこで、どうしても残しておきたいものだけ。
自分の思い出用に取っておくが、あとは心を鬼にして燃えるゴミにします。

ネガフィルム(プリントの元となるデータ)も沢山出てきますが、これも廃棄。

連動して、額や写真立ても非常に多く出てきます。1-2個ならば残しておいても良いのですが、それ以上の物は廃棄に困ります。
ガラス板付きなどは特に燃えないゴミで出せるものと、粗大ゴミとして出さなければいけない物など分別します。

心理的な辛さという意味では、家族等が映った写真を廃棄と決める時は、かなり躊躇が生まれます。

「どうしても残したいものは10枚残す。」などと決めて選別すると、乗り越えていく事ができました。

動画の方は、音声も入っているので更に廃棄は心情的に難しく。できるだけ、これらは残す事にしました。


今の現役世代が亡くなる頃は、写真も動画もネットに保存されている、、という事になっている可能性あり、こういう苦労?はこの昭和を頑張った世代特有の物だと思います。
そういう意味では、出来るだけ残しておく方が良いのか、、とも自問自答しながら進めました。

古い写真のデジタル化などは、とても手間がかかるので、選択肢から私は外しました。