本屋や図書館に行くと本当に、面白いと言うか混乱していると言うか、言いたい放題なコーナーがあります。
例えば、健康関係の所。
ある本は肉を食べましょうと主張するし、別の本は肉はダメ野菜を食べましょうと主張。ダイエットも、思いつく限りの色々なダイエット方法が咲き乱れている。
一体 どれを信じたら良いのか分からないという状態。多分、一つ一つの本で主張している方法は、ある前提条件を満たす人には有効なのでしょう。それを万能の様に謳う事で販売部数を上げようとするからこういう事になる。
住宅関連はもっとエグくて、快適やエコな住宅を作るには、この工法が一番。こういう断熱方法が良い。という本が沢山出ています。
それも、健康コーナーの本と違って、他の人の本の内容や、住宅メーカーの主張をこき下ろして、自分の方法が一番と言い合うという印象です。
これらは、著者が工務店主や地方のハウスビルダーだったり、建築資材を作っている会社の関係者だったり、ある工法を応援しいる(多分 金銭的な繋がりがある?)マスコミや研究者だったりする事が多いので、自分に有利な宣伝も狙ってという構図が多いからなのでしょう。
上手に書かれていて、表題につられて1-2冊を読んだ読者は、すっかりその主張を信じてしまい、xx信者の様になって数千万円の家を買ってしまう、、という事があるのではないかと思います。
又は、色々と読めば読むほど混乱してしまう。
私も、実家の建て替えをいつかするかも知れないと考えて、その手の本を図書館で借りて 沢山読みました。
専用のノートを作って、ナルホドとその時に思った部分をメモしていったりしました。
図書館なので、少し古い本も置いてあり、結露をどうする?から始まって、高気密・高断熱だ、断熱でも外断熱だ、内断熱だ、両方だ、地下熱利用に微気候、エアサイクルにOMソーラー、無垢材に漆喰、耐震、免震、制震構造、ベアガラスにローeガラス、トリプルガラス、サッシ材質、2x4・木造軸組・RC等々、本当に色々な主張に翻弄されてしまいました。
結局、頭の中が疑問でイッパイになってしまい、実際に見に行って体験して、出来れば著者とも話をしてその実態を知るしか整理が出来ないと思い、コレは良いかもと思う所には出かけて行きました。
部分、部分を取ると、各々の人の主張には、納得できる所があります。又、本ではとても素晴らしそうに見えても、現場に行ってみると、実態はそうでもなかったり、本に書かれていないデメリットに気づいた事も多くありました。
この活動の中で、山本順三さんの本とも出会いました。
従来の冬の室内が寒い家や3-40年ぐらいしか持たない家を「獣宅」と呼んで批判している過激な表現の本です。
この人は工務店や資材屋というよりも断熱作業を請け負う業者の人。
この人の言っている事は、他の人が言っており、この時代で正解(政治的にも)と思われている「高気密・高断熱+強制換気 で健康エコ住宅を作る事が重要。」という考えからすると異質な理論、考え方です。
発想の原点は結露を止める。
その為には、断熱材+防湿材で水蒸気の移動を止めるのではなく、水蒸気が通過できる断熱材で壁を作る事で、結露を無くし、冬は暖房機、夏はクーラー無しでも暮らせる温度・湿度が極端に変動しない屋内空間を作る。
同時に、防音、シロアリ・ゴキブリを寄せ付けない、耐火性能も作る。さらに、通常の化学系断熱剤では、火災時に有毒ガスが発生する事があるが、それも発生させない。
(でも、それを実現するには、高度な施行技術が必要との事。)
山本さんのロジックを是として読むと、私の読んだ沢山の本の中で、唯一 矛盾を感じなかった本です。
でも、本の内容を鵜呑みには出来ないので、実際にこの工法で建てた体験館(山本さんが生活している自宅)を、夏の暑い時と、冬の寒い時に訪問しました。
確かに冬は無暖房で寒くなく、空気の清浄感が高い事、非常に静か、気持ちの良い家という事を実感しました。
夏は確かにクーラーはついていませんでしたが、扇風機は回しているので、日射制御はもう一工夫かなという印象はありましたが。
でも、山本さんが本で書いている事がほぼ実現されている印象でした。
山本さん、かなりのアイデアマン+Do it yourself を地で行く方で、様々な工夫を実験している事も良く分かりました。
勿論、この本の工法が万人にベストかどうかは分かりませんが、少なくとも私の価値観にはピッタリはまりました。
家を建てる時には、ぜひこの工法を前提に自分の工夫を加えていければと思っています。
家を建てよう、家が寒い、音がウルサイと思われている方には、一読をお勧めします。