2019年1月27日日曜日

【心と身体】集中力

昨夜の大坂なおみ選手の全豪オープン優勝の試合、日本中の人が見ていたのではないでしょうか。

素晴らしい結果を成し遂げられました。


その試合の中で、スゴイと感じたのは第3セットでの集中力。

精神的に崩れかけて終わった第2セット。その後のトイレブレークから帰ってきたなおみ選手は完全な無表情な人物に変身していました。

もう勝敗や歓声を意識するのではなく、とにかく目の前のプレーだけに集中する。上手くいってもミスになっても、終わった事は気にせずに次に絶対勝つと集中する。

そういうメンタルに完全に移行して帰ってきた様に見えました。


一喜一憂しない事で、彼女の実力が本当に安定して発揮されて、相手を圧倒したのだと思います。心で自ら縛っていた身体の動きを開放できたのでしょう。

21歳で、そこまで出来るというのは本当にすごい事だと思います。
この大舞台のトイレブレークで、大坂選手は一周り成長されたのだと思います。
すごい武器を手に入れた。


彼女の姿を見ていて、思い出したのは バレーボールのオリンピック出場の可否がかかった予選試合での当時の眞鍋ジャパンの選手の姿。もう後が無いギリギリの試合の状況で、彼女達も無表情のチームになり、音一つしないシーンとした雰囲気がコートを満たしました。

そんな状態になると、相手がアメリカでもブラジルでも、打たれた強烈なスパイクでも絶対にレシーブしてしまう日本チーム。普段とは違うスーパーレシーブの連携が突然の様に現出しました。

打っても打っても拾われてしまう。相手チームはだんだ自信を無くすと同時に、不気味に感じていたのだと思います。人間相手ではなく、あたかも超高性能の機械相手に戦っているのではという印象でしょうか。


人間は、本当に集中して心による呪縛を外す時は、こういう状態になるのだと改めて感じました。

2019年1月19日土曜日

【本】「聴く力」磨けば人生うまくいく! 船見真鈴 マガジンハウス

私が定年を迎える前、なんで定年の日の夜で突然 自分の商品価値(サラリーマン収入など)が落ちるという社会システムになっているのだろう。と向け場の無い怒りを感じでいました。心が荒れるという状態。

転職を狙った活動を色々行い、履歴書を作って自分の社会人人生を振り返る時期でもありますが、その経験を否定されている気がしたのかもしれません。

そんな時に、とても嬉しく感じた時間、そこから心が軽くなった時間がありました。

それは、ある人が 履歴を見ながら私のやってきた事の話を熱心に聞いてくれたこと。わずか30分間ぐらいだと思いますが。

自分の人生を(ある瞬間でも)興味を示してくれて、理解してくれた。という事が、本当にカタルシス効果を生みました。

それが、ずっと記憶にあったので、「傾聴」という事に興味があり、この本を読んでみました。

色々な事が書かれていますが、気になったポイントは話を聞く時に、
「さえぎらない」
「否定しない」
「アドバイスしない」
という3つの”ない”を大切にして、最後まで相手の話を聴くという事。

又、話の最後には「話してくれて、ありがとう」と、ひと声添える事。


今度は、誰かに同じ体験を提供してあげられれば良いなと思います。

【本】わたくしたちの旅のかたち 兼高かおる、曽野綾子 秀和システム

兼高かおるさんの訃報を聞き、とても悲しく思いました。

私が子供の時から大学を出るまで、「兼高かおる世界の旅」はいつもとても興味を惹かれる番組でした。

就職したての新人研修の時に各新人が自己紹介し、その時に尊敬する人物を言う事になっていました。私は兼高かおるさんと言った記憶があります。皆はケネディだ、エジソンだ、両親だ という様な感じで言っていましたが。

それぐらい、私には憧れの人でした。当時、もう50歳台になられていたのかと思いますが、いつも海外を颯爽と、かつ日本の礼儀正しさを体現しながら、世界の色々な階層の人達と接していく姿がテレビを通して、とてもまぶしく感じられたのを覚えています。

芥川さんとの上品かつきれいな日本語でのトークも、日本の良き伝統文化を聞いているようでとても心地よかったです。

多分、当時の多くの日本人は「兼高かおる世界の旅」を見て、海外に憧れを持ったのではないかと思います。

この本は、曽野綾子さんも海外に沢山 出ておられるとの事で、お二人の子どもの頃から、海外に出ていく所、そして現在までの経緯や思い、気づきなどが対談の形で書かれています。

これを読むと、久しく忘れていた当時の日本や日本人についても色々と思い出されました。

戦後、プライベートな海外旅行が出来る様になったのは、ジャンボジェットが登場して海外旅行代金が大幅に引き下げになった1970年代から。

当時の海外団体旅行を引っ張ったのは、農協のツアーですね。

数年前の中国からの旅行者の「爆買い」がニュースになりましたが、当時の農協の団体ツアーも爆買いツアーだった様に聞きました。

多くの日本人が初めて海外に旅行で行き始めたのです。同時に世界の人も、はじめて日本人観光客を見たのでしょう。

私も70年代の終わりに、格安チケットを買って大学の休みを使ってアメリカ旅行に行きました。学生がアルバイトのお金を貯めて海外旅行に行けるとう時代になったのですね。

チケットを買ったのはH.I.S.という旅行代理店でした。今は大規模になられましたが、当時はまだビルの1室を借りてやっている小さな代理店でした。
大韓航空の格安チケットを買ったら、オーバーブッキングでその便に乗れませんでした。
そんな時代。

アメリカ内もレンタカーを借りて内陸の方へ何日も走ると、泊まった安モーテルの受付の人から生まれて初めて日本人を見た、なんて言われた事も思い出しました。

本に話を戻します。
彼女らは何年にもわたり海外と日本を行き来してきたので、日本と海外のこの数十年の変容を目の当たりにしてこられました。

例えば当時の日本では、ご近所は殆ど顔見知りで、悪い人なんかいませんでした。そのつもりで海外に出ますと少々ショックを受けます。ニューヨークで聞いた話ですが、ある日本人が道を歩いていたら、目も前で老婦人が転んだそうです。そこで駆け寄って「大丈夫ですか?」と体に手を触れたら、いきない「泥棒!」と叫ばれてしまったそうです。
ただし、アメリカも50、60年代は、人の善意を素直に信じられました。

今は、日本もアメリカも、治安悪化や人への警戒心が非常に高くなったとの事。

面白いのは、一年の半分を海外で暮らし英語が堪能な兼高さんでも、日本でカタカナ表記の言葉がやたら増えて、しかもそれを短く省略してしまう。例えばコンビネーションを「コンビ」と省略するから、なんのことやら意味が分からない。馴染みのない英単語も増えて、”少しは英語がわかっているつもりでしたのに、日本に帰ってくると知らない単語がたくさん。わからないことだらけで、わたくし、まるで国から見捨てられた気分でした。”との事。


日本では英語圏で一般には使わないような単語を、「知識人や専門家」は使って流行らせているんですね。

それ以外にも、お二人の経験されてきた世界と日本の違いなど、沢山 面白可笑しく、又、彼女達の人柄がにじみ出る様な感じで語られています。

活字も大きく読みやすいですし、「兼高かおる世界の旅」を当時好きだった視聴者の方にお薦めの1冊です。

2019年1月4日金曜日

【本】銀河系惑星学の挑戦 松井孝典 NHK出版新書

古代の暦から始めて、現在の先端の惑星研究までを分かり易く説明してくれる本です。

面白いと思った点をいくつか書いておきます。

古代メソポタミアで紀元前7世紀に新バビロニア王国を建国したカルデア人は1日を24時間に区切り、7日で1週間という単位を作り、日曜から土曜までの名前をつけたのも彼らで、それが現在に至るまで人類に受け継がれている。
カルデア人は見つけた惑星を遠い順に土、木、火、日、金、水、月と並んでいると考えた。


1960年代までは天体は望遠鏡で見る存在で、そこから天体運行やしくみなどを考察する「惑星学」の時代でした。アポロ計画によって、人類は初めて天体(月)の物質を持ち帰り分析を始める事が出来、「惑星科学」が始まりました。

「惑星学」の時代の地質学では、現在の地球に起きる現象が、過去の地球でも起きていたとして歴史を解釈しようとする「斉一説」という考え方です。アポロで月の海(黒っぽい部分)と高地(白っぽい部分)の物質を調べた所、高地の斜長岩は月が誕生した当初にドロドロに融けた「マグマオーシャン」という状態がなければならない事が分かりました。

この概念は斉一説にはありませんでした。もう一つがクレータが隕石衝突によるものだという事が分かり、原始の地球に火星サイズの巨大な天体が衝突し、その「破片」が月になったというジャイアント・インパクト仮説が現在はもっとも有力視されています。

この様に、ある時に天変地異が起きて、それまでの自然が劇的に変化するという「激変説」で語るのがあたり前になりました。 アポロ計画の科学史における意義は、ガリレオの望遠鏡に匹敵するほど重いといっても過言ではありません。


隕石などの衝突の時には、衝突蒸気雲が起こりますが、それと同レベルの衝突を実験室で行った所、6550万年前ユカタン半島に落ちた隕石により、大量の酸性雨が起こり、それが恐竜絶滅の原因になったのだろうという仮説もできました。

一方、1969年オーストラリアのビクトリア州マーチソン村に飛来した隕(46億年前に出来た)石には地球起原ではない生体に必要なたんぱく質を構成するアミノ酸や核酸塩基が多く付着していました。地球が誕生する以前に宇宙には生命の萌芽があったと見る事もできるでしょう。


これ以外に、太陽系外の惑星の探査方法や星の一生についてなど分かり易く説明されています。久しぶりに宇宙に思いをはせたい方にお勧めの本です。

2019年1月1日火曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る37  低ランニングコスト

最後に、低ランニングコストを実現する為に考えた事を記します。


*家のメンテナンス費用を抑える

屋根:
耐久性のあるガルバニウム鋼板を使う。
これは、地震対策で屋根重量を軽くし、家の重心を下げるという事と、雨水タンクにコケ等有機物のある水を極力入れないという狙いも兼ねています。
屋根形状も単純で、施工しやすく(施工費安く)、壊れにくく、もし壊れても安く修理できる切妻屋根で考えます。入母屋や天窓は雨漏り等故障を起こしやすいので付けません。


外壁、内壁:
無機質の素材を使う事で、長寿命かつ、メンテフリー、もし傷付けてもあと塗り補修が出来る様に考えます。


水回り:
さや管ヘッダー方式にする事で、将来の配管更新での作業コストを減らせる様にします。


設備:
停電対策という面もありますが、電動や機械式の装置には必ず寿命があり、メンテや修理、交換が必要になります。ですので、低ランニングコストという意味でも極力手動の物を考えます。

例えば電動シャッター等を何か所も付けると、便利ですがモーターには必ず寿命がありますので、いずれ交換や修理が必要になります。
10年毎の修理交換に1台10万円かかるとしたら、家に5台あると、10年毎に50万円かかるという事。80歳や90歳の年金生活でこういうまとまったお金が必要となるのは大変です。

暖房も、最もエネルギー効率が高く、冷暖二役できるのでエアコンだけ(各階に1台のみ)としました。断熱をしっかりしておけば、使用時も軽い省エネ運転で済みます。


建物躯体:
前述している高断熱と透湿工法で柱等へのダメージを最小化します。


*生活費

光熱費:
電気代、ガス代等 マンション時代にくらべて大幅に少なくなりました。


医療費:
室温が安定しており、屋内温度差も少ないので身体への負担は相当減っていると感じます。健康面が向上する事で、医療に係る費用が減ると思います。

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まだまだ家創りには、建築途中の事や、外構の事など検討すべき事がありますが、それらは個別の事情で大きく変わって来ると思いますので、割愛します。


このシリーズはかなり分量の多い記事になってしまいましたが、私の経験が家創りを考えておられる方々の参考になれば幸いです。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る36 安心 バリアフリー

老後に備えたバリアフリーも最初から組み込んでおけば安心です。


*つまずき対策

部屋の扉を上吊り引き戸にすれば、床面に鴨居のないフルフラットな入口にできます。階段は筋力が衰えても大丈夫な蹴上の高さとして20㎝未満にします。


*ヨロヨロ対策

ヨロヨロしても大丈夫な様に、手摺や腰掛を設置します。家具が、支えになる所はそれを活かします。
お風呂の浴槽はクレイドルタイプとしました。
節水型のラウンドタイプに魅力を感じていたのですが、ショールームで実際に入ってみてラウンドタイプでは身体がハマリ込んでしまい、非常に立ち上がり難いと感じました。勿論 お湯が入っていれば全然 問題ないのだと思うのですが、万一の事を考えました。


*認識力対策

照明のスイッチの大きさにメリハリのあるタイプに。デザイン的にも優れているのと、二つならんだスイッチに大きさの違いがあると、どっちを通常押したらよいかの認識がしやすいです。
場所によっては、人感センサー付きの照明を使うと安心です。


*介護対策

介護が必要になる時の為に、風呂の扉は大きく開く3枚引き戸にします。
寝室とトイレは極力近くの間取りを考えます。夜中にトイレに行くときに便利です。