2014年12月31日水曜日

【本 心と身体】透明な力 木村達雄 文春文庫

以前 数年間 心身統一合気道を習っていました。


そこで、心の置き方一つで身体の動きが全く変わる事を知って、それ以降 心を身体の関係にいつ

も興味を持っています。



この本は、合気の本流である大東流合気武術の創始者 武田惣角氏とその技を継ぎ、かつ超え

た、昭和の傑出した武術家 佐川幸義氏の発言録です。 文庫になっています。



「体に触れただけで相手が吹っ飛ぶ」と言うと受け側が自主的に跳ぶというヤラセと通常は思われ

ます(世の中の武術演武と言われているものの中でそういうのが多い)が、この佐川氏の技はその

言葉通りの物だったとのこと。これは、色々な人の証言もあり、確かな様です。



師匠の武田惣角氏も魔法としか思えない技を使った事が、明治の史実として伝えられています。



その佐川氏は、本当にストイックに練習と工夫を重ねてその奥義に至ったし、80歳になってもまだ

進化の途中だったという事。 


スポーツとは違い、生き死にを前提とした武術の追求。



どいういう考えを持って修行に臨まなければならないのか、何十年もかけて培う力の重要さなど、

武術に限らずあらゆる事に通じる人生訓が詰まった話に感じます。

しっかり生きるとはどういう事なのかを知らされる思いです。



こんな魔法の武術が日本には有るのか、という興味本位で読んでも面白いですが、達人の厳しい

生き方を知るという事でも価値ある内容だと思います。  お薦めの1冊です。



佐川氏がもしもまだ生存されていたなら、私はきっと入門を願っていたと思います。

【美術】セザンヌ

2年前に見に行ったセザンヌ展でのメモが出てきたので、その時の感想を書いてみます。


乃木坂の新国立美術館でのセザンヌ展に行きました。


セザンヌの父親はは金持ちだったようで、20-21才で父の放っておかれた別荘の1階のインテ

リアを彼が手を挙げてやらせてもらったらしい。4枚の春夏秋冬の大きな垂れ幕の様なサイズの絵

を描き、飾ったとのこと。



若々しさが出ていてとても気持ちの良い4枚の絵(イラストと言っても良いかもしれません)でした。

どれも、女性が1人立ったり、座ったりしています。春の朝の空の下、夏も陽光の下、秋は夕日の

下、冬は星空の下で。



歳を取るにつれて印象派と呼ばれる画風になって来ます。私は印象派という言葉の意味を今まで

あまり考えていなかったのですが、これらの絵を見ていて分かった気がしました。



昨日見たダ・ビンチ派の絵は細密に描くことで、質感、情感、一瞬の動きを表現しようとしていまし

た。それに比べてセザンヌは対象物を見てセザンヌの持った印象を記録しようとしている様に思え

ます。興味のある所は細かく描くが、そうでない所はボカしたり、省略したりします。


さらに歳を取ると、輪郭から描くのではなく色の印象をならべていくと結果として輪郭が現れてくると

いう描き方になっている様に思えます。



セザンヌ展に来ている観客の一人が連れの人に「セザンヌはあり得ない情景が自然に見える様に

描く画家だ」と説明していました。その一つの例として、静物画で書かれているテーブルの上の皿

の上のリンゴを指して、皿の角度がありえない傾きをしているとのこと。



でも、私はセザンヌはセザンヌとして一番スッキリする構図になる様に皿の下に何か物を挟んでワ

ザと傾けた配置を作って描いたのではないかと思う。練習用に描いているのだからワザと不思議

な形を描こうとしたとは思えません。それよりも、リンゴ、オレンジの造形のどの面を見せたいかと

いう構図を追及していたのでしょう。



セザンヌの絵は写真で言う 望遠ピント、周辺ソフトフォーカスフィルタ、覆い焼き、パンフォーカス、

モザイク などの効果が使われています。色々と工夫したんだという事が良く分かります。



画家の人生を感じられる面白い展覧会でした。

若いセザンヌの春夏秋冬は、又 いつか見てみたいと思いました。



2014年12月28日日曜日

【本】囲碁はボケ予防の妙手  金子満雄 河出書房新社

著者は脳神経外科の医師で、2万人以上の痴呆患者の治療を行ってこられた方。


痴呆の90%以上は脳を使わない事で起こってくる廃用型痴呆とのこと。


囲碁は、脳を活性化する事にとても効果がある。

調べた2つの老人囲碁クラブの人には痴呆の人が全く居なかったとのこと。


又、軽い痴呆の人も、若い時にちょっと囲碁を知っていた人に、囲碁をしてもらうと脳が再活性化し

て痴呆状態が正常に戻ったりする。


診療するときに、過去に囲碁の経験の有無を聞き、少しでも知っていたら囲碁療法を行う事を考え

るとのこと。


囲碁で上達するには、若い時からやっている事が重要ですが、囲碁の石取りゲームをしていくだけ

でも効果があるとのこと。


幾つになっても、始めて遅くないという事ですね。


小中学校などで、囲碁・将棋のやり方を1時間づつでも良いので教えておけば、将来の日本の痴呆

問題はかなり解決できるかもしれませんね。 

【本】ミロのビーナスはなぜ傑作か? 高階秀爾 小学館101ビジュアル新書

パリに行った折、ルーブルを2,3時間ですが見る事ができました。

本当は、1週間ぐらいかけてジックリ見たい芸術の宝庫ですが、駆
け足で歩き廻りました。最初に行ったのはミロのビーナス像。
そして、モナリザやナポレオンの戴冠式やフェルメールの絵画など
有名どころを見ました。


雨の日でしたが、沢山のお客さんが来ていてまるでデパートの売り
場を歩き廻っている様な錯覚を覚えました。

ビックリしたのは、お客さんがフラッシュなど焚きながらカメラ撮
影をどんどんしている事。絵画はバリアの無い生のままの展示なの
で、絶対に短波長の光が悪い影響を与える可能性があると思えます。
作品の前で、カンバスを立てて模写をしている人もいました。学芸
員なのでしょうか?

思いもよらないOpenな展示です。


ミロのビーナスは古代ギリシャ美術というコーナーにありました。
何人もの人が回りを囲んで近距離で見ています。とても魅力的だと
思ったのですが、そのコーナーにある他の展示像もミロのビーナス
に劣らないと感じるものが沢山ありました。

「ミロのビーナス」がなぜ、特別扱いされるのかが正直分からなく
なりました。

そこで、この本を読んでみました。


古代エジプトなど他の像は大抵が直立不動の姿か、わずかに片足が
前に出ている程度の動きの物なのに対して、ミロのビーナスは左足
に重心を乗せて、右足は自由な動きをし、胴体もひねってS字型と
なっているが重心線はしっかり出来ている(コントラポストと呼ぶ
そうです)立ち方になっています。

それにより、とても自然で自由度の高い姿勢が表現できているとの
こと。又、非常に緻密な衣服の表現。 これらが、西洋美術のそれ
からの美の手本になっているとのこと。

「傑作」なのではなく、「基準」なのだという説明です。


成る程と思いました。


その後に描かれたのミケランジェロの作品や、ボッティチェリの絵画
などの人物もコントラポストの立ち方をしています。

この本では、絵画でもギリシャ神話に関連する作品を詳しく説明して
くれます。神話のどういう部分をどう表現しているのか、初めて理解
することができました。


又、それらの絵画はルネッサンス時に沢山書かれている様ですが、面
白い事にそれ以前は同じテーマでは着衣している主人公が、ルネッサン
スでは裸で書かれている物が多いとのこと。

それは、ギリシャ神話で出てくるそのシーンにかこつけて、女体画を
画家が描きたかったから(逆に、女体画を書くために、そのシーンを
持ち出した)とのこと。

これにも、成る程!と膝を打ちました。


今まで、なんとなく好きだったミケランジェロの デルフォイの巫女、
リビアの巫女の絵も背景を知ると違う側面が光りだして見えます。

芸術とは面白いものです。


ギリシャ・ローマを題材にした美術に興味のある方にお薦めの一冊です。

2014年12月20日土曜日

【文房具】システム手帳のダイアリー

毎年、この時期になると翌年のダイアリーシートを買いに行きます。


システム手帳を使い始めて20年以上になるかと思いますが、何時もどの形式のダイアリー

シートにするか、店頭にある全種類を見ては悩みます。


でも、結局この5年 選び続けているのは

Bindexの「 2週間ダイアリー時間メモリ入り横ケイ[031]」です。



見開きで2週間分が一目で見れるのが実に便利。

又、各日毎に朝から夜までの時間メモリが付いているので、会議時間帯に線を入れて、会議名、

会議室を書くのに丁度良いのです。

予定表管理としては、これが一番使いやすい様です。



会議の内容は、ダイアリとは別にメモ用のページを沢山入れていて、そこに書いて行きます。



文房具屋で 「2週間ダイアリー時間メモリ入り横ケイ[031]」を買う度にいつも何でこんな紙が700円

以上もするのか? 自分でプリントすれば簡単に出来そうなのにと思います。知的財産で守られて

いるのですしょうか? 手帳自体もバカに高いですよね。



システム手帳のページは、もっと工夫とデザイン性を入れてバラエティに富んだ物を売り出せば需

要が出来るのではないかと思います。



ちなみにシステム手帳に書き込む筆記具は、これもプラチナ プレスマン シャープペンシル速記

用に決めています。250円ぐらいのシャーペンですが、0.9mmの2B芯を入れて使うと書きやすくて他

のものには切り替えられません。消しゴムが着いているのも助かります。


字は大きくなってしまいますが。。。



システム手帳の悩みは、すぐにパンパンに膨れ上がってしまうこと。


外出中の待ち時間などでは、過去のメモを読み返して、もう不要と思ったページはドンドン破いて

行くことにしています。それでも長期間気になるテーマがあると、ついつい溜めてしまいます。



以前、100円ショップでこの6穴A6シートを入れられるバイブルサイズのリングファイルを買った事が

あり、そこに残しておきたいページを移すという事をしていました。その後、このファイルを追加で買

いたく、探しているのですが、どこにも見当たりません。

ニーズは多いと思うのですが、、、 



システム手帳って他の人ははどう使っているのでしょうか?気になります。







2014年12月16日火曜日

【旅行】12月のフランス

パリには、フランクフルトからICE(列車)で移動しました。

ICEは新幹線みたいなもので、4時間弱で着きました。

かなり飛ばして走りますが、回りの景色が雄大なのであまり早いという感覚はありません。



フランスではパリまであと数十分という所でも、地平線まで畑が続いているという風景が多く、

大きな国だなあと感心しました。



フランクフルトは平均気温が1度ぐらいでしたが、パリは最高気温は7-9度もあり日本と同じぐら

いの寒さの感じでした。



ICEはパリ東駅という所に着きます。パリは中央駅(各線一つの駅に集まっている)というのではな

くて、複数の駅がパリ市内にあります。

私はパリ東駅からパリ北駅へ歩いて移動しました。10分もかかりません。但し階段もあるので重い

トランクの人は大変かもしれません。



北駅からはパリ郊外への色々な線が出ています。ドゴール空港から電車で来ると着くのも北駅で

す。ガイドブックでは物騒な所という書き方をされていますが、オジサンには別に普通の場所でし

た。荷物は地下階にあるコインロッカーに入れました。大きなロッカーでトランク複数個を入れられ

ます。



郊外に行くには、RERという列車もありますが、古びた通勤電車という感じです。夕方はサラリーマ

ン、サラリーウーマンが沢山乗ってきます。これはこれで便利ではありますが、RERではなく、フラ

ンス国営のSNCFという線に乗れるならば、その方が安心かも知れません。



私はポントアーズにSNCFで行きました。ビックリするほどカラフルでキレイな電車で、天井やイス

下などもカラー照明されていて、その色も変わって行きます。芸術の街パリという感じを堪能できま

した。


凱旋門やシャンゼリゼ、ルーブルなど有名所はガイドブックのままですが、見て回ろうとするとかな

り歩きます。石畳の上を歩くので、とても疲れます。ウォーキングシューズなどで行くのが良さそうで

す。(防水撥水のもの)



街中にマクドナルドもあり、私は端末で注文したのですが、店員さんはフランス語でしか言ってくれ

ないので、分からなくて自分のトレイが目の前で10分以上も放置されたままになってしまいまし

た。注文票を見せても知らんふりさせれてしまう。

マクドで注文するときは、必ず対面カウンタで注文するのがフランス語が分からない人には確実な

様です。


2014年12月15日月曜日

【旅行】12月のドイツ

本当に久しぶりに海外出張に行ってきました。

10年ぶりぐらいのドイツ、20年ぶりぐらいのフランスでした。

12月に欧州を訪れるのは初めてでしたが、気が付いた事を旅のヒントに書いてみます。



日本からはフランスのドゴール空港経由でミュンヘン空港に行きました。

ドゴールでの乗り換え時に、機内でもらったミネラル水のペットボトルをそのままバッグに入れてい

たら、X線で引っかかってその場で回収箱に捨てさせられました。


機内でもらった飲み物は、機内で飲んでしまいましょう。



飛行機の中で、映画など沢山見れます。ついつい調子にのって、12時間のフライト中に4-5本の

映画を見てしまい、全く寝ませんでした。

欧米に行く飛行機で全く寝なかったのは初めてでしたが、それはそれで、到着してから夜よく眠れ

たのでOKかなと思いました。



ドゴール空港の乗り換えラウンジに両替があるので、そこで昔 米国出張して残っていたドルをユ

ーロに替えました。クレジットカードでのキャッシングも出来ます。羽田では、円からユーロへは替

えられるのですが、ドルからの両替はしてもらえませんでした。



空港からは、電車で市街近くの駅前ホテルへ。


気温は1度ぐらいでしょうか。それなりに寒いですが、風がなかったためか日本を出る時の服装+

セーター+手袋で十分でした。機内は温かいので、後で重ね着できるセーターを手荷物として持っ

ていると重宝します。


ホテルについてたのは夜9時過ぎですが、近くのビアレストランを教えてもらい行きました。空席多

く、予約無で全然OK.



あまりお腹はすいていなかったので、ソーセージとビールを頼みました。

それで、十分な量です。



ドイツのホテルの部屋はどれも、暖房がしっかりしているので寒い思いはしません。

今回の出張は軽量化の為にパンツなどは毎晩自分で洗うという事にしているので、今回はスチー

ムの温度設定を少し上げて使いました。 ヘアードライヤは部屋についているので、それで洗濯物

をあらかた乾かしてから、ホテルのハンガーを使って部屋に一晩つるしておくとしっかり乾きます。



ドイツのホテルは中~低価格のビジネスホテルはシャワーだけの所が多いと思います。

でも洗面台は大きいので、手洗い洗濯は可能です。お湯も出ますし。石鹸はホテルのを使います。



ドイツの朝食はいつも楽しみです。ゴマパンもチーズも、ハムも美味しい。

ドイツというとソーセージの印象が強いですが、正直ソーセージは日本で食べても同じ味という気

がします。でも、パン、チーズ、ハムは日本とは別物です。



ドイツパン(丸っこいの)は、ナイフでハンバーガーの様に半分に割って、そこに具をのっけて食べ

るのがドイツ流。確かにそうすると食べやすい。


移動は基本的に電車を使いました。

少し古い「地球の歩き方」などを見ると、電車のチケットを買ったら、ホームにある打刻機で日時等

を打ってもらう事と書かれていますが、今回は全て自動販売機で切符を買ったら、すでに日時がプ

リントされていました。そのまま、電車に乗りました。途中で検札に来てもそのチケットを見せたらO

Kでした。

チケットを買ったら、日時が入っているか確認するのが良さそうです。



電車はほぼ事項通りに動いていました。但し、時々 ストライキの発生する時もあるとの事で表示

などは気を付けてみるのが良さそうです。

社内アナウンスは全部ドイツ語だったと思います。



街のサンドイッチ屋(沢山ある)でサンドイッチ買って食べたりしましたが、トイレは有料(0.5ユー

ロ)が多いです。0.5ユーロコインはいつも持っているのが安心です。

ドイツ人を見ると、柵を乗り越えてトイレに入って行く人もいましたが、それは足が長いから出来る

事で、日本人にはまたぐのは大変と思います。



12月の街は広場にクリスマス用品を売っている屋台が沢山出て、とてもキレイな賑わいです。食

べものも売っています。屋外は冷えるので、グリューワイン(ホットワイン)の屋台で1つ買って飲む

と、心も体も暖まります。4ユーロでした(2ユーロを容器代としてデポジットされ、容器を返したら戻

ってきます。だから最初に払うのは6ユーロ)。



ミュンヘンからフランクフルトへは高速鉄道(ICE)で移動しました。

が、ミュンヘン駅で列車に乗り込んで指定席にいると、突然 電気が消えてしまいました。

車両故障が起こったようで、回りの客があわただしくトランクを持って出て行きます。

急いで降りて、ホームに居た人に聞くと、次のフランクフルト行きの列車はxx番線だ走れ!!との

こと。必死に走りました。


ドイツの中央駅の構造は、電車が行き止まり式のホームに着きます。そしてホームの長さは半端

ではありません。印象では500~600mはあるのではないでしょうか?

違う番線に行くには、そのホームの端の連絡通路を通る必要があります。私のいた車両は先頭だ

ったので、その長いホームをトランクを引きながら5分以上も走る事になりました。



トランクは小さ目で、引きながら走れる位の走行性の良いものが良さそうです。



別便はパンパンの満員になりましたが、しばらくすると降りる人も出てきましたので座れました。こ

の辺は日本の新幹線自由席で席を確保するノリでやっていれば大丈夫です。



フランクフルトの街も、基本はミュンヘンと同じ。

街をトランクをゴロゴロしていこうとすると、意外と凸凹の多い石畳が多いので、キャスタが壊れそう

になります。なるべく大きな車輪のトランクが良いようです。



ビールは色々な種類がありますが、私にはPil(ピルスナー)というのが、日本の生ビールと同じ感

覚でおいしかったです。


フランクフルトでは、朝 明るくなるのは8時頃でした。

空は曇りか雨か、時々雪。防水靴で行くのが良いです。

又、雨は冷たいので、防水性のある帽子もあると便利です。


とりとめなくなりましたが、旅のTIPS情報です。