2年前に見に行ったセザンヌ展でのメモが出てきたので、その時の感想を書いてみます。
乃木坂の新国立美術館でのセザンヌ展に行きました。
セザンヌの父親はは金持ちだったようで、20-21才で父の放っておかれた別荘の1階のインテ
リアを彼が手を挙げてやらせてもらったらしい。4枚の春夏秋冬の大きな垂れ幕の様なサイズの絵
を描き、飾ったとのこと。
若々しさが出ていてとても気持ちの良い4枚の絵(イラストと言っても良いかもしれません)でした。
どれも、女性が1人立ったり、座ったりしています。春の朝の空の下、夏も陽光の下、秋は夕日の
下、冬は星空の下で。
歳を取るにつれて印象派と呼ばれる画風になって来ます。私は印象派という言葉の意味を今まで
あまり考えていなかったのですが、これらの絵を見ていて分かった気がしました。
昨日見たダ・ビンチ派の絵は細密に描くことで、質感、情感、一瞬の動きを表現しようとしていまし
た。それに比べてセザンヌは対象物を見てセザンヌの持った印象を記録しようとしている様に思え
ます。興味のある所は細かく描くが、そうでない所はボカしたり、省略したりします。
さらに歳を取ると、輪郭から描くのではなく色の印象をならべていくと結果として輪郭が現れてくると
いう描き方になっている様に思えます。
セザンヌ展に来ている観客の一人が連れの人に「セザンヌはあり得ない情景が自然に見える様に
描く画家だ」と説明していました。その一つの例として、静物画で書かれているテーブルの上の皿
の上のリンゴを指して、皿の角度がありえない傾きをしているとのこと。
でも、私はセザンヌはセザンヌとして一番スッキリする構図になる様に皿の下に何か物を挟んでワ
ザと傾けた配置を作って描いたのではないかと思う。練習用に描いているのだからワザと不思議
な形を描こうとしたとは思えません。それよりも、リンゴ、オレンジの造形のどの面を見せたいかと
いう構図を追及していたのでしょう。
セザンヌの絵は写真で言う 望遠ピント、周辺ソフトフォーカスフィルタ、覆い焼き、パンフォーカス、
モザイク などの効果が使われています。色々と工夫したんだという事が良く分かります。
画家の人生を感じられる面白い展覧会でした。
若いセザンヌの春夏秋冬は、又 いつか見てみたいと思いました。
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