2023年5月8日月曜日

【縄文時代】 本 日本列島四万年ディープヒストリー  森先一貴  朝日新聞出版

 こういう本を待っていました。


私や妻が学校で習った時は、縄文時代は殆ど原始人の様なイメージで語られていたように思います。妻は、縄文人はマンモスを狩って暮らしていたのでは、、という認識でした。


でも、実用性よりも美術性を追求したとしか思えない縄文土器の数々や、同時期のシュメール文明やインダス文明、古代中国文明などが既に都市文明を作っているのに、日本だけ原始人は無いだろうというモヤモヤがずっとありました。



この本で、地球の変化と地域特性で、さまざまな形態の文明が世界で起こってきたことと、日本(縄文)の特徴はこうして作られた。縄文はある面では、世界に先駆けるような暮らしがあったようだという事、西欧や中国などの大陸性の視点とは異なる視点が必要だという事も良く納得できました。



この数十年の各種の研究で、地球環境は約1万1千年前より以前は、驚くほど頻繁に、しかも急激な気候変動が地球で何度も起こっていた事が分かってきています。


この気候変動があると、植生もそれに伴う動物たちもどんどん変化をせざるを得ず、そうなると、人類も「定住」は出来ず、移動式の暮らし方で狩猟や採取をしていく必要があっただろうとのこと。


気候が暖かく安定してきた1万1千年前から、世界で「定住」が始まった事が分かってきている。


「定住」といっても、地域特性によって継続的に食料を得る仕方は変わることになり、同じような植生が広がる大陸では、農耕・穀物栽培が始まる。

日本は、亜熱帯であり、かつ四季の多様性に伴い、動植物も季節により豊かな変化を起こす。よって、それらの多種の食材を獲得する事で定住を始める事ができた。もちろん、ドングリなどの栽培もおこなっている。


穀物栽培で定住するようになると、協力して耕作するなど規模を追うことになり、組織のしくみや、統率の仕組みなどが生まれてくる。人口も貧富の差なども。。 権力争いや戦争も。。


縄文は、採取型の定着が多いので、数十人単位での定住型になっていた様子。

土器に限らず、石器(石包丁や矢じり、槍なども)も精密加工されたものも出土されていて、当時から日本人気質?が垣間見られる。

非常に大きな建築物などの痕も発見された。


大陸型の政治や戦争の文明とは異なった種類の文明が、縄文にはあったのではないかと思われる。


又、これらの事が分かってきたのが1980年代以降との事なので、我々世代は教わらなかった事も納得できました。


この本は、もっと面白い事満載です。日本人のルーツを考える上でも、お薦めの一冊です。