2018年12月31日月曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る35 安心 天災対策

安心に対して検討した事を挙げてみます。


*地震対策

耐震強度:前述しましたが、その土地のハザードマップで推定されている震度に耐えられる構造(=倒壊しない)にしておきます。


家屋損傷:
それでも、家屋損傷は可能性があります。一番多そうなダメージは外壁へのクラック等になると考えました。クラックが入ると、そこから雨水が侵入して雨漏りになったり、構造体の腐食に繋がったりします。
そこで、外壁は通気構造にします。透湿工法では、そとん壁という外壁材を直接付けてしまうというやり方もあるとの事ですが、通気構造にする事で、たとえクラックが入ったとしても雨水は通気層から排水されるので内部構造に悪さをする可能性はかなり低くなります。
屋根の雨漏りの場合も、グラスウール等の断熱材だと、水が付くと断熱性能が落ちるとの事ですが、セルローズファイバーならば吸水しないので問題ありません。


断水:
断水になると、飲み水は備蓄と市営の共同井戸がありますが、最も困るのはトイレだと考えました。トイレを選定する時には、メーカーに強制的なバケツ放水等でも流せるかを確認しました。
流す為の水は、風呂水を溜めておく事以外に雨水タンクの設置も有用です。これは、庭の水やりや打ち水にも使えます。使っても雨さえ降れば勝手に再充填されるので重宝です。


火事:
火事は内側から起こすものと、外からの類焼の場合が考えられます。
内部からについては、火を使うのは台所のコンロのみ。暖房もエアコン暖房だけにして火を使わない様にします。
外からの類焼対策は、隣家との距離を出来るだけ取る事、雨戸や隣家との間に植栽をして窓からの火の進入を抑えます。外壁は燃えない無機の材料とします。
断熱材のセルローズファイバも自己消火性があります。もしも燃えた時にでも、有毒ガスを発生させない様にウレタン等の石油化学物質は極力持ち込まない様に考えます。
地震時に自動でブレーカーを落としてくれる装置もあるのでそれを使うのも良さそうです。


家具転倒:家具の固定方法を最初から考えておき、転倒止め金具が付けられる様に壁を事前に補強しておきます。


*停電対策

室内環境:
冬は高断熱と太陽熱を活かし、夏は日射遮蔽と排熱、夜の冷気(があれば)を活かす。必要に応じて基礎部分の涼風を取り入れる事も。


装置:
できるだけ電動を避けて、手動の物にする。特に迅速な避難が出来るかのポイントにもなる窓部は電動シャッターではなく、手動の雨戸にしています。


*情報途絶対策

TVはケーブルではなく、アンテナで。電波状態が良ければ、平面アンテナを屋内設置にするととても安心だと思います。


*台風対策

雨戸の設置。軒の長さ等も、強風でめくれない事を考えて決めます。大雨には水勾配をきちんと取るのと、排水側溝などが詰まっていないかの確認をします。
自転車も、なるべく家の壁に沿って駐輪できる様に考えます。


*雷対策

異常気象に伴って、ゲリラ豪雨など雷の発生頻度が高まってきています。雷が半径数キロ以内に落ちると、そこからサージ電流が電線等を伝って入ってきて、電子機器(パソコンなど)が壊れてしまう事が起こります。対策として、分電盤に雷サージ装置を組み込んでもらいます。
又、光通信のケーブルからもサージは入りますので、光ケーブルのONUに雷サージ対応が付いたプランにします。


*非常口

各部屋、最低2方向に逃げられる様に間取りと窓の大きさ等を考えておきます。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る34 実際の住み心地 快適性その他

前述以外の快適性に関係する要素は以下のように考えました。


*防虫
網戸を開けないで窓を開け閉めできるオペレータハンドル窓の採用と、断熱材のセルローズファイバーに入っているホウ酸の効果。床もフクビフォームの上下にホウ酸を散布。

それらにより、虫は殆どシャットアウト出来ています。たまに、外に干した洗濯物に付いて1匹ぐらい入ってきてしまうぐらいで、すぐに駆除できます。
虫を気にしなくて良いのは助かります。ベープなどは全て不要になってしまいました。


*音
外部からの音の侵入は、窓ガラスでは防ぎきれませんが、少し音量を落とす事はできます。それに加えて雨戸とカーテンを閉めればかなり小さくなり、近くにバス通りがあっても気にせず眠る事ができます。

ペアガラスの窓に内窓を付けて二重窓にした所は、さすがに外音が殆ど気にならないレベルに落ちます。断熱効果も高いし、最強の窓という気がします。

ピアノを置いた部屋は、隣家に向かう壁の窓は上記二重窓にしました。他の窓は遮音カーテンを閉める事で、外への音漏れはかなり小さくなり大丈夫。


家の中は、ある程度音が伝わる様にして家族お互いの気配を知る事ができる様にしました。壁は音の反射を高くする事で、音楽プレーヤーなどの音の響きも豊かになりました。


*空気
シックハウスガスは、天然素材を使う事とホルムアルデヒド吸収分解石膏ボードや漆喰壁を一部採用する事で、発生させない、又は、もし発生しても吸着・分解する様にしました。

漆喰は強力な脱臭機能と高アルカリの殺菌作用があるので、いつも無臭で清浄な空気に保たれます。


【本】気象学入門 古川武彦、大木勇人 講談社ブルーバックス

空を見ていると、毎日毎時 違う顔を見せてくれてとても面白いのですが、どういうしくみでそれが起こっているのかをちゃんと知りたくて読んでみました。

面白いと思った点を書いてみたいと思います。


雲の出来方。積雲は、多くの場合、日射により地表面のある部分が周囲より温められて軽くなると、地上付近から泡のように上昇する空気のかたまりの中でできます。泡のような空気をサーマルと呼ぶ。


教科書で空気の組成は「窒素78%、酸素が約21%」と習いますが、これは乾燥空気の場合。
実際は水蒸気を含んだ空気になるので、組成率はかなり変化する。水蒸気は空気を構成する気体として酸素に次ぐ3番目の気体である。
又、窒素の分子量28、酸素32に対して、水蒸気は18しかないので、水蒸気を含んだ空気は軽くなる。


発生したばかりの積雲は輪郭がはっきりしており、輪郭がぼやけた積雲は消えつつある雲。晴天時の積雲は時間が経つと消滅するのが殆どで、雲ひとつひとつの寿命は短く、せいぜい数十分。


水面から11km上空が対流圏界面になっており、積乱雲などは上に成長していっても、11kmで頭打ちになち横に広がる。


雨には、塩粒が核となって降る「暖かい雨」と、氷晶が核となって降る「冷たい雨」がある。氷晶が雪に成長し、地上の温度が高いと雪が融けて雨になる。地上の気温が2度以下程度だと雪で降って来る。


10㎜の雨量というと大したお湿りではない感じだが、これが雪で降ってくると体積が膨らむので地上何センチもの積雪になり交通混乱になりかねない。


地球のエネルギー収支(地球に入って来る方向のをプラス、出ていくのをマイナスとして)

太陽からの放射を+100とすると、地上に吸
収されるのは+49.地表や雲などからの反射
で宇宙に帰っていくのが-31.
太陽エネルギーを大気が吸収するのが+20.
地表から大気への熱放射は-102.
宇宙への放射は-12.
水の蒸発潜熱と伝導で大気に-30.
大気から地表への逆放射は+95.
大気から宇宙への放射は-57.

これで平衡状態になります。

雲や氷河等の増加があると、そこから宇宙へ反射するエネルギーが大きくなるので、寒冷化が加速されて「スノーボールアース」が起こったという歴史があると考えられる。


温室効果というと二酸化炭素を思い出すが、実は温室効果が最も大きいのは水蒸気。
二酸化炭素の増加による温室効果の増強はわずか。とこが、それによって少し気温が上がると、地表からの水の蒸発が盛んになり大気中の水蒸気量が増え、その温室効果でさらに気温が上がるというフィードバックが働く。


砂漠では昼と夜の温度差が大きいのは、空気が乾燥しているため。
昼の熱は、砂の間の空気で断熱されて表面だけに溜まり空気を高温にする。夜は、水蒸気が少ないので温室効果が少なく、放射冷却が進むから。


天気予報。
以前は予報官が予報していたが、今は大気を格子に区切って、各格子に温度、気圧、風向、風速、水蒸気量、水滴や氷晶の量 などのデータを入れて数値で大気を表現し、各格子点がどう変化するか数値計算していく。
2007年からの全球モデルでは、鉛直方向に60層、水平方向に20km四方に分けた格子を使っている。

数値計算に使われる法則や方程式は、気体の状態方程式、質量保存の法則[空気の密度]、大気の運動方程式(3方向)[気圧、温度、風の方向、ベクトルを入れて]、エネルギー保存の法則、水分の時間変化[水蒸気量、雲の水量]等ので、非線形の複雑系。

予報官の仕事の重点は、注意報や警報を発する判断になってきている。

これ以外に台風や高気圧・低気圧、偏西風などの話も盛りだくさんです。
気象に興味を持っている人にお薦めの1冊です。


2018年12月30日日曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る33 実際の住み心地 パッシブハウス コンセプト

果たしてパッシブハウス コンセプトは実際の生活で本当に効果を出すのか?が興味津々で暮らし始めました。


結論から言うと、効果があるし楽しい。但し、自然が相手なので自然と共に生きる気持ちが必要と思いました。


冬の晴天の日は、本当に効果的。
朝、日の出の空を見て、晴天になりそうな事を確認すると、今日は暖房を使わなくて良いなと思います。太陽の光を部屋に取り込むのが楽しい。
明るく、十分に暖かい部屋が自然に出来てしまいます。


東京の晴天率は

1月前半 80%以上、後半 60-80%
2月前半 70%、後半 50-70%
3月 40-60%
4月 40-60%
5月 30-60%
6月前半 10-60%、後半 10-40%
7月 前半20-30%、 後半 30-60%
8月 40-60%
9月 30-60%
10月 30-60%
11月 前半 50-70%、後半 60-80%
12月 前半 60-80%、後半 70-90%

という感じですので、

冬は晴天が多く、太陽熱を利用するパッシブハウスコンセプトは成立します。

昼間に室温が十分に温まっていれば、夜は雨戸、カーテン等と閉めればそれほど大きな温度変動はありませんので大丈夫。

曇り、雨、雪の日は太陽熱を得られないのですが、暖房をつけるか、衣類を少し余計に羽織るかなどをすれば大丈夫です。


夏は、本当に日光の遮蔽の徹底が重要です。
前述しましたが、南は通風雨戸などが大活躍します。平年では、夜はある程度外気が下がるのでそれを取り込む事で、自然の冷房に出来るのですが、今年の異常気象では夜風が使えませんでした。

そいう意味では、パッシブハウスコンセプトが成り立たない年も出るという事ですが、断熱と湿度コントロールは出来ているので28度等でも気持ちがよいし、扇風機があれば十分涼しい感じになります。それでも、もし涼しさが足りないと思う時は、弱く冷房をつける事で大丈夫です。


春、秋は室内にそよ風を取り込み楽しむ事で、気持ちの良い毎日を過ごす事ができます。


この暮らしを始めてから、天気の動向に非常に関心が高くなり、空を見上げる事が多くなりました。太陽と雲に非常に親しみを感じる様になりました。


【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る32 実際の住み心地 明るさ

部屋に日光の明かりが十分に入ってきて、明るい室内というのは住み心地に大きなプラスになります。気持ちが良い。

その為に、各居室の2面は窓を設ける事が基本にしました。それによってまずは十分な明かりが取り入れられます。

又、壁も出来るだけ白っぽく明るい色にする事で、反射した光が部屋の隅にまで回ってくれます。


窓には、通風、明かり取り、借景、音、防犯など色々な機能を考えていく必要がありますが、場所毎により明かり取りを重点にする窓とか、通風を重視する窓とか役割の優先順位を考えると整理しやすくなります。


リビングダイニングの東面に設置した高窓は明かり取りがメイン。ですから開けられないFIX窓に割り切りました。


パッシブハウスのコンセプトでは夏の南窓は日射遮蔽する必要があるので、明かりは東西北の窓で確保する必要があります。

この窓がある事で、朝陽が射し込みまるでフェルメールの絵の様な感じになりました。
又、その窓からは天を見上げる事になるので、型ガラスでも青空を感じられ心地良い席になりました。


2階のトイレは、北面の高い位置に出来るだけ大きな窓を設けました。これも十分に光が入り、とても気持ちの良い空間になります。トイレの窓は開閉が必要ですが、オペレータハンドルにしておけば高い位置の窓でも操作ができます。


温湿度に加えて、朝 日光で部屋が明るいという事も、爽やかさを感じる大きな要素だと住んで分かりました。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る31 実際の住み心地 風

そよ風は、本当に気持ちのよいものです。


今回の家は、春から秋にかけて南風が吹きます。よって、南の窓から入った風を上手く北の窓から出すことができれば、良い風を室内に吹かす事ができます。


とても役に立ったのは、台所に設けた勝手口用の通風ドア。風の通る面積を自由に変えられるし、ドアの下部と上部が開くので幅広い感じの流れになります。朝起きて、最初に南窓と北の通風ドアを少し開けると一日とても気持ちの良い風が通ります。


東西には、南風をキャッチすべく南向きに開く縦すべり出し窓を地窓として設置しました。狙いどおり、ここからも良く風が入ります。


地窓というと雨に強く、地面近くに開口面積を大きく取れる横すべり出し窓を用いるのが常識です。しかし、横すべり出し窓は風をキャッチする力は非常に弱いので、風の方向を良く見て使う必要があります。


1階の窓から2階の北窓に風を流すという事も、間取りで空間連結をしておけば可能です。

兎に角、対面の壁に窓を用意する。という事が最も効果的です。


夏は日射遮蔽をしなければなりませんが、通風雨戸が大活躍してくれます。日射遮蔽しながらある程度明かりも取り込め、風も取り込めます。一人3役を果たしてくれます。


窓について、一つ気を付けなければならない事があります。それは窓を開ける方向。
例えば、縦すべり出し窓だと、右開きにするか左開きにするかという点。

隣家との関係をも良くみておく必要があります。折角 窓を設けても、隣家の目を気にして開けられないという事にならない様に、窓の形式や開ける方向等に気をつける必要があります。

2018年12月28日金曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る30 実際の住み心地 湿度

この家の場合、湿度は窓を閉め切った場合、殆ど部屋の中で変化しません。

設置している温湿度計で、昼間に風を通すために窓をあけている間は、室内湿度はかなり上下します。しかし、夜窓を閉めるとエアコン暖房を停止しても、値が安定し、そのまま朝までほとんど変化しません。


真冬、暖房機も加湿器も何も置いていない私の寝室は、50~60%に自然に収束します。

外は非常に乾燥しているので、窓を開けると一気に室内湿度は下がりますが、しばらくするといつの間にか湿度が上がり安定ゾーンに収まります。


リビングダイニングは大きな空間で少し様子が変わりますが、ほぼ45~50%で安定しています。加湿器はなく観葉植物が一鉢あるだけの状態でです。


調湿が働いているのだと思います。
冬の過乾燥を避けたいと思っていたのですが、それがほぼ実現できています。


梅雨時も、リビングでの湿度は55-65%で自然に安定しています。


結露も基本無しです。


調湿力が高いので、風呂の戸を開けて出来るだけ水蒸気を室内に出す様にしています。壁に吸い込まれていきますので、それでも室内はいつもカラッとしたままです。
雨の日に、室内干しをしてもいやな匂いがせずに乾きます。


冬の寝室で、湿度が50%あると例え18度ぐらいの室温になった場合でも、あまり寒いとは感じない事を体感しました。ベッドから出るのが億劫という事は一切ありません。


又、夏の寝室では、湿度が60%台ならば28~9度でも眠れます。これはダイキンが最近宣伝している「新28度」というやつですね。
エアコンを切っても自然にこの湿度帯になるというのはありがたい事です。


湿度が快適ゾーンにあると、空気が爽やかに感じます。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る29 実際の住み心地 温度

南関東(東京)で北海道仕様断熱+パッシブハウスコンセプト+無垢材の家の実際の住み心地はこんな感じになります。


冬は、

一番初めに実感するのは、夜 雨戸とカーテンを閉めて寝ていると、殆ど温度が下がらない事。外は霜が降りるような1-2度の外気の夜でも1,2度ぐらいしか室内の温度は下がりません。


又、ハダシで暮らしていても大丈夫。床は杉の無垢材で、床暖房等は一切していません。
杉は断熱力が高いので、例えば立っていれば自分の足の裏の熱が逃げないので冷たく感じません。檜床の部分では少しヒヤリとします。

さらに、日光が当たった床部分は真冬でもほかほか暖かい。


窓際が本当に寒くありません。
殆どの窓がYKK APの330という窓にしましたが、窓のすぐそばで何かしていても真冬でも寒いと感じた事がありません。


カーテンが付けられない大窓はは430という製品を使いましたが、狙い通りコールドドラフトは全く起こりません。


330の方は、大きな掃き出し窓では朝カーテンと窓の間の床は少し冷たくなっています。少しは冷気が出来ているのだと思いますが、生活上は全く気になりません。

一か所、台所の通風勝手ドアは310というアルミとプラのハイブリッドサッシで断熱が少し弱い製品を使いましたが、ハニカムスクリーンを内側に設けた事で断熱がしっかり出来ています。


真冬でも、晴天の日は太陽熱が射し込むので、無暖房の部屋でも4-5度室温が上がります。日光がストーブ替わりに十分なります。

そして、日光の当たる場所に居ると、本当に「陽だまりの暖かさ」を室内で楽しむ事ができます。


曇りや雨・雪の日は陽が射さないので昼間は、レースのカーテンしかしていない窓から少しずつは外に熱が出るので、室温が下がります。ただし、下がり方は急激ではなく、徐々にという感じです。


そいう時は、各階にあるエアコン暖房とサーキュレータをかけますが、低い設定温度ですぐに空間は温まります。

エアコン暖房の効きが良く、定常稼働させていても温度変化が少ないので間欠的に動いている感じです。


尚、同じ室温20度でも、エアコン暖房で出来た室温20度と、太陽光を取り込んで出来た室温20度では太陽光によるものの方が心地良い気がします。
太陽光のエネルギーが床や壁に蓄積されてその表面温度が上がる事で体感温度は20度を超えてているのでしょう。

但し、何日か20度をずっとキープする様にエアコン暖房をかけていると、壁も温まりますので太陽光と同様の体感温度になってきます。

又、壁表面の温度が高ければ、窓を開けて冷たい空気が入ってきても体感温度はそれほど寒いと感じません。


夏は、

軒、庇に加えて、南窓は通風雨戸や緑のカーテンで日射遮蔽を行います。
東西の窓も遮熱LowEガラスに加えて、窓の内側にレースカーテンなどを設置します。

昼の日射遮蔽をしっかりすれば、室温は大きく変化しません。夜が25度程度まで外気が冷えれば、それを取り込んで家を冷やすという事ができるのですが、今年は夜も30度近い外気でしたのので7,8月はエアコンを1台 28度の設定でつけました。
冷房も良く効きますので、間欠運転をしていました。夜は冬同様に、冷房を切っても室温はあまり変化しません。

2018年12月26日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る28 太陽熱の取得と遮蔽

断熱をした上で、太陽熱の取得と遮蔽についてヒントを再度整理をしておきます。


冬の太陽熱の取得で気を付けておくべき点は、

・南に大面積の窓を設ける。

・南窓は日射取得型のLowEガラスにしておく。

・南窓の前は日光をなるべく遮るものが無い様にする。例えば、植物の葉やベランダの壁等が意外と光を遮る。

・外からの視線が気になる時は、型ガラスが可能ならば型ガラスを使い昼はレースカーテンをしないでおく。

・東西の窓でも熱取得を狙うならば南と同様に日射取得型のガラスにするが、通常は遮熱型にしておく方が良さそう。

・北面の窓は熱採取目的では考えない。

・曇天や雨の場合は熱の取得は期待できないので、その時は室内の熱を外に逃がしにくい様にカーテンや、カーテンが付けられない窓はガラスの断熱性を上げておく。

・壁や床の熱容量を可能な限り増やしておき、昼の日光の熱をそこに貯める事を考える。


夏の日射遮蔽で気を付けておく点は、

・出来るだけ東西は遮熱型のLowEガラスとし、その上で、窓の外で遮蔽する事を考える。

・夏前後の日射がどういう角度で各窓に入って来るかを調べておく。

・南面は軒や庇を使い、出来るだけ直射日光を窓に入れない様にする。

・南に植栽を植えられるならば、落葉樹にすると夏は遮蔽、冬は光を通すことが自然にできる。

・それに加えて、ヨシズやスダレ、緑のカーテンか、通風雨戸(YKK APではなぜか「かんたんプチリモ雨戸」という名前になっている。スリットシャッターや外付けブラインドでも良い)の様な斜めからの光りを遮る事がのできる遮蔽物を考える。

・スダレやシェードを使う事を考えるならば、最初から軒下にそれらを止めるフックを設置しておくと良い。

・窓内側のカーテンに遮熱効果はあまり期待しない。

・日射遮蔽をしすぎて部屋の中が暗くなる事が心配な場合は、高窓を軒下等の場所に作ると直射日光は入らず明かりは取り入れる事ができる。

2018年12月25日火曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る27 体感温度という観点で

室内環境の作り込みに関しては、室温と体感温度の違いを意識して、抜けが無いかを確認すると良いかもしれません。


体感温度は衣服以外に、室温(気温)、風速、湿度、輻射熱(壁。床、天井、窓ガラスやサッシの表面温度、日光)によって変わると言われています。


ネットでは(室温+壁の温度)/2が体感温度という表現を見ます。これが正確なのかは分かりませんが、壁・床・天井・窓のしっかりした断熱が基本事項になります。その上で、窓から差し込む直射日光を受ける所は、冬は陽だまりの暖かさが感じられます。


湿度は汗の蒸発に対応するので、低温時に乾燥しているとより寒く感じますし、高温時に湿度が高いとより暑く感じます。よって、冬は乾燥しすぎない様に、夏は高湿にならない様にする事が重要です。


風は、窓からの風はどこから入って、どこに抜けて人に当たるかをチェックします。
家の外で吹いている風を取り込む場合と、外は風とは関係なく屋内で温まった空気を2階の北窓から逃がして、それを補う様に1階の窓から外の空気を取り込む(重力換気と呼ぶ人もいる様です)ことで作る風があります。

又、窓を閉め切っていても屋内での対流による風(コールドドラフトや暖房や空調による空気の動きなど)が起こらないか、起こるとしたらどこかをチェックします。


体感温度とイコールではないかもしれませんが、熱中症警告に使われるWBGT(暑さ指数=湿球黒球温度)という指標もあります。温度、湿度、輻射を使った指標なので、温度計値や相対湿度よりも、より体感温度に近い動きをする指標と言えそうです。
生活上は室内でもWBGT値は気にしておくのが良さそうです。

2018年12月24日月曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る26 容量(熱、調湿)を上げる

今まで、断熱や通風について書いてきましたが、温湿度を安定化させるためにもう一つ手を加える事ができればもっと良くなります。


それは家の熱容量や調湿容量を増やす事。
容量とは貯蓄しておける量の事。


例えばバケツに開いた穴から水がもれるとバケツの水位はどんどん下がっていきます。でも同じ大きさの穴が風呂桶に開いていて、同じ量の水が漏れて行っても、風呂の水面は非常にゆっくりとしか下がっていきません。
これは、出入りする水量に比べて貯蓄してる総水量が大きいので、全体のレベルは変動を受けにくくなるという事です。


これが、熱に関しても、調湿に関しても起こります。


熱容量というのは蓄熱可能量という言い方でも良いかと思います。石造りや土壁などは温まりにくく冷めにくい熱容量の大きな物質です。物質の種類毎の比熱に質量を掛けたものが熱容量になります。よって、比熱の高い材料を使えば容量を上げる事ができます。

残念ながら、木材はそれほど比熱が高くありません。書籍等では土間を作れとか、家の中に石壁を作れば、、などというものがありますが、皆がそれを作れるわけではありません。


調湿に関しても、調湿できる容量が多ければ湿度が安定します。又は、乾いたり湿った空気が外から入って来ても、窓を閉め切れば自然にマイルドな湿度状態に調整されていきます。これも、調湿力のある建材ができるだけ部屋の空気に近い所に多くあれば良いという事になります。


この二つの容量アップをあまりコストを掛けずに標準的な材料でできないかと考え、(湿気の)吸放出せっこうボードを通常のせっこうボードの上に2重貼りする事にしました。吸放出ボードが室内側にきます。


石膏ボードは安い一般建材ですが、比較的 比熱が大きく質量もある。又、その中で吸放出ボードという種類も標準的に売っています。
石膏ボードの2重貼りは大工さんからみても違和感のない作業ですのでコストパフォーマンスが高いと言えます。


これを付加する事で、単なる北海道仕様より少し快適性を向上させられる事が期待できます。デメリットは壁厚がその分厚くなります。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る25 高断熱の具体化7 玄関と勝手口

窓と同様に、外と出入りする所として玄関ドアや玄関窓と勝手口ドアがあります。

これらは面積も大きく、断熱を忘れてはいけません。

とかくデザインで選んでしまいがちな玄関ドアですが、玄関ドアにも断熱ドアというグレードがあり、断熱力を見ながら選ぶ必要があります。

ただし玄関室という感じに、内側にもう一つ戸を設ける場合は、それが簡易エアロック的な働きも期待できるので、それも併せての断熱レベルを考えても良いと思います。


勝手口のドアも同様色々な種類がありますが、こちらは通常のドア以外にガラス戸や通風ドアという選択もあります。

台所は窓が少ないので、通風ドアは採光と通風を自在にできるという意味で便利です。


但し、通風ドアは断熱性が少し落ちます。今は 進化しているかもしれませんが、その時はハイブリッドサッシの物しかなく、それでは北海道断熱レベルには届かない可能性があります。

その場合は、そこの内側にハニカムスクリーンという断熱カーテンを付加して総合の断熱性を確保するという事が考えられます。


テラスドアも同じで、断熱性能に注意して選びます。通風でなければ高断熱のドアが用意されています。

2018年12月22日土曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る24 高断熱の具体化6 窓

窓カタログを見ると色々な形に目が行きます。
メーカー側は一生懸命断熱性能を説明しようと書いていますが、なかなか分かりずらい。


アルミサッシの引き違い窓しか使った事が無かったのですが、タテすべり出し窓、ヨコすべり出し窓、上下窓など、色々な種類があるという事に驚きました。


ショールームに何回か行く内に、だんだんとそれぞれの特徴が見えてきます。
カタログも、細かい文字で書いてあるガラス性能表などのページも大事だという事が分かりました。


ショールームには冬や夏をシミュレートした各種窓の実演サンプルが並んでいます。
それ以外にも、騒音をどれだけ抑えるのか、網戸はどうやって取り外すのか、オーニングはどんな感じか、勝手口用のドアはどんな具合、玄関ドアはどういう種類があるのか、雨戸やシャッターはどれぐらいの速さや重さで開閉する事になるのか等と見所が満載です。

例えば、冬の寒さをどう遮れるのかを実演している窓を良く見ると、YKK AP型番で言って310と330では断熱性が相当違う事が実感できました。けれども、330でも仔細に見るとサッシの下の方では少し冷たさが伝わっていました。これが430になると冷たさが全く無くて、ナルホド違うと感心しました。


網戸の開け閉めをしなくても良い窓には、オペレータハンドルのすべり出し窓という物があります。


窓カタログには、断熱性以外に遮音性というのが仕様欄に書いてあります。
窓の大きさもタテヨコの組み合わせで出来ないものがあるのは要注意。使えるガラスも真空トリプルが選べるものと選べないものなどの注書きもされています。


ガラスは、可視光透過率というのがどれだけ透明で明るいかという事を示し(数が大きい方が透明)、熱貫流率で断熱性能熱が出ています(数が小さい方が熱を通さない)。


たてすべり出し窓は外の風を取り込むのが得意だが雨が吹き込むかもしれない。よこすべり出し窓は多少の雨が降っても入ってこないが、風は取り込みにくい。
430は断熱性能は良いが、選べる窓のタイプは少ない。


等々。 とても1回では理解できません。
説明員の方に教えていいただくのが良い様です。

窓は本当に重要なので、適材適所を慎重に選ぶ必要があります。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る23 高断熱の具体化5 窓

窓は方角ごとに考える必要があります。


南は、パッシブハウスコンセプトでは冬は太陽熱を取り込む重要ポイント。夏はその逆に太陽熱が入らない様に考える必要があります。

ここは冬をベースに考えます。夏の日射遮蔽は色々なやり方が考えられますから。
基本は、大きな開口面積になる様に窓を配置します。そして、ガラスは日射熱取得型のLow Eタイプ。


同時に、夏の日射遮蔽はどうするかも考えます。ポイントは窓ガラスの外側で日射遮蔽する事。窓の内側で遮蔽しても熱は家の中にこもってしまいます。

方法の第1は庇や軒、ベランダなどで直射日光が部屋に差し込むのを防止する事。

どれだけの長さの軒や庇を出したらよいかは、緯度から計算する事もあるでしょうが、私の場合は、家を建てた場合に差し込む光の具合を丸清さんがシミュレーション映像で見せてくれました。

春夏秋冬の朝から夕方まで時間毎にどういう光が各部屋に差し込むのかを何度も何度も見ました。冬の陽がどれだけ部屋の中の方まで差し込むかも重要なポイントです。
又、構造的に出せる軒や庇の長さはここまでという条件もありますので、それを勘案しながら決めていきます。


物の本には、夏至の日中太陽高度がこの角度だから軒はどれぐらい、、という様なロジックで書かれているのも多いですが、夏至以外、真昼以外の太陽はもっと低い高度からの陽射しになりますので、それだけ考えていてもナンセンスと思います。

斜めからの光の遮蔽には、庇等に加えて、スダレやシェードを掛けたり、ヨシズ、又は、緑のカーテンも良いです。


東と西は”朝日”、”西日”が射し込むので、これも気を配る必要があります。
朝日はすがすがしい印象。西日は暑いという印象がありますが、現実は朝日も西日も差し込むエネルギーは同じ様な物です。

南と異なるのは、光が絶対に横から差してくるので軒や庇では防御できない事。
一方で、隣家の影も大きく影響しますので、隣家の影もいれたシミュレーション映像を見ながらどの位置に窓を設けるか考えていきました。

良く言われるのは、西の窓は小さく、少なくする方が良いという事。昼間で温まった部屋に、さらに西日のエネルギーが射し込まれると暑く感じます。高断熱の家ならば、東も西も日射遮蔽型LowEガラスがお勧めです。


北は、一番 明るさ等が安定している方向。
明り取りなどに北窓は使えます。又、排熱口として2階の北窓は重要です。出来るだけ高い位置に窓を持っていくのが良い様です。それによって明かり取りにも、排熱にも良い働きが期待できます。
1階の北窓は日陰の涼しい空気を夏には取り入れられるかを考えます。


あと、方角ではないですが冬に関しては、コールドドラフトというものも考える必要があります。例えば階段や吹抜けの上の大きな窓など、冷気が入ってきて冷たい空気が降りてくるという現象。
これがあると冷たい風が室内に入ってきてしまいとても気持ち悪い様です。
そいう所は、もう一段断熱性能の高い窓にしておくのが良さそうです。

2018年12月20日木曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る22 高断熱の具体化4 窓

窓メーカーもこの数年でかなり断熱化に舵を切ってきた様で、だんだん世界並みの高性能窓の方向の商品が出始めてきているとの事。


断熱に関連する事としては、LowEガラス、ペアガラス、トリプルガラス、真空ガラス、封止ガスもアルゴンだクリプトンだと色々なワードが出てきます。
従来からある、二重窓(内窓)という物もあります。


最初はペアガラスと二重窓の区別が良く分かりませんでした。複層ガラスという言葉も出てきます。ややっこしいです。


サッシにもアルミ、ハイブリッド、プラ、木製と種類があります。サッシとガラス種(含むLowEコート)とガラス間のスキマ間隔、封止ガスの種類などの組み合わせで性能が変わります。

サッシの断熱性は、熱伝導率の順番で木、プラがハイブリッドやアルミよりかなり良くなります。


ガラスは間に空気層をどれだけ作れるかという事がキーで、シングル、ペア、トリプルガラスの順で断熱が良くなります。
トリプルやペアガラスは同じガラス厚でも空気層の厚みが厚い方が断熱が良く、空気層よりもアルゴンガス層、クリプトンガス層、真空の順で断熱が良くなります。


二重窓はガラス間の空気層の厚みが大きくとれるので有利。でも、開け閉めは面倒。
又、トリプルガラスなどになるとガラスの総重量が重くなり、窓の開け閉めが重い。


LowEガラスは熱の放射を通したり反射させたりして、外からの熱を取り入れるタイプと、できるだけ取り入れたくないタイプの2種類があります。


断熱という見地で最も有利なのは木製サッシ+トリプルガラス(LowE)+真空+二重窓化となります。


日本の窓の標準品としてはYKK APとLIXILの売っている物が流通量が多いと思いますので、この2社の窓を見に行きました。


カタログ上の性能は、両社ともかなり高性能の窓を用意しており、あまり優劣がつきません。でも、実物を見ると網戸に関する考え方がかなり両社で異なっており、私にはYKK APの方がメンテ性も良いと感じられたので、YKK APの窓で検討を進める事にしました。


YKKには430シリーズという超高性能を謳っている物と、330シリーズというプラサッシの普及高性能窓、ハイブリッドサッシの310シリーズなどがあります。性能が上がるに従い値段も上がります。特に430はまだ流通量も少ない様でした。


北海道仕様の断熱レベルを持たせるのに、必要な最低レベルはどこか?という観点で調べて行き、330シリーズのペアガラス、中空層16㎜、アルゴンガス封入、LowEというものをベースに考えて行く事にしました。
場所によっては、他のグレードも組み合わせます。

2018年12月19日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る21 高断熱の具体化3 窓

窓を考えました。家創りの中で窓が最も頭を悩ませた所です。


熱が外に逃げるのも、外から入って来るのも窓部分が最も比率が大きいと言われています。実際、以前住んでいたマンションのアルミサッシ窓は、冬は窓際だと寒さを感じて近寄りたくないと思っていました。


又、窓は明かり取りのキーになります。
さらに、風の取り込み、風景(インテリアの一つとしての借景)、プライバシー保護。
そして、窓と玄関は防犯上の最大ポイントであり、災害時の避難経路としても見る必要があります。
外騒音の防止や、楽器などの家の中からの音の洩れも窓がキーになります。


窓は1つで何役もさせなければいけないので、本当に難しい。
でも、家の快適性の成否は窓に大きくかかっていると思います。


YKK APやLIXILのショールームに何度も通い確かめながら、少しずつ勉強していきました。

2018年12月18日火曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る20 高断熱の具体化2

同時に間取りや内壁の作り方を考えます。

壁等(外皮と言う)の断熱が良くなれば、家じゅうの部屋を連結して大空間にすれば家の中の温度差を小さくする事ができます。

暖房や冷房をする場合でも、効率よく家全体に効果をいきわたらせる事ができヒートショックを無くしていけます。


具体化方策としては、出来るだけ仕切り壁や廊下を減らす事。動線も短くできます。

又、各部屋の戸は引き戸にしました。
ドアだと閉め切ってしまう事が前提になりますが、引き戸だと閉める、開けるに加えて、好きな大きさで開けておくという事ができます。これにより、空間連結をしやすくします。(引き戸はこれ以外に、バリアフリー対策や通風効果にも好影響を与えます)


吹抜けや階段室で1階2階の空間を連結したり、そこに内窓を設けるのも効果が期待できます。目隠しが必要な所はロールカーテンを使うなど、出来るだけ空気の遮断を少なくします。


家の空間は小さい方が一括暖房や冷房には効率が良い面もあり、できるだけコンパクトな作りにしたいと考えました。前述した天井断熱は、そいういう意味でも良い方向です。

2018年12月17日月曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る19 高断熱の具体化1

北海道レベルの断熱を、特別な建材や建て方ではなく、低コストの標準的な建材と建て方を使い実現する方法を考えました。


まずは、断熱材。基本 セルローズファイバーを使う事に決めて、それで北海道レベルを実現する厚みの計算をして見た所、壁では122mmだと出ました。


工務店の丸清さんの建てられる標準的な柱の太さは120mmですので、この柱にビッシリセルローズファイバーを入れてもらえればほぼ達成可能となります。


上方の断熱は、屋根断熱ではなく天井断熱としました。
これは、地震対策での重心を下げるという効果の他に、天井断熱では、天井の上にセルローズファイバーを吹き積もらせるだけなので、断熱厚さを非常に低コストで増やす事ができるというメリットがあります。


天井断熱で北海道仕様をセルローズで行うには220㎜の厚さが必要という計算になりました。丸清さんの標準よりは厚くなりますが220㎜を超える厚さにする様にお願いしました。

気を付けなければいけないのは、天井に吹き積もらせる場合は、だんだん沈降するので沈降後に220㎜を達成する様に吹込み時はそれを見越した厚さで吹き込んでもらう必要があります。


床は、セルローズファイバーでも可能と言われていますが、設計士さんより過去の経験から、時間が経つとどうしても垂れ下がって断熱性能が落ちてしまう事が懸念されるとの事。
そこで、セルローズと同様に天然材料から作ったフクビフォームという断熱材を使う事にしました。
これも北海道仕様の厚みとしてもらいました。

2018年12月16日日曜日

【本】「皮膚をゆるめる」と痛みは取れる 福井勉 ビタミン文庫

副題が ひざ、腰、首、股関節の痛みに効く! 革命的テーピング術

テーピングというと、スポーツ選手の姿を連想しますが、これはテーピングで身体の不具合を治そうという物。


以前、柔術の話の中で皮膚のたるみを取って技をかけるという様な話を聞いた事があり、自分の手首などでたるみを取って引っ張った時と、たるんだ状態で引っ張った時での自分の反応を見てみたりした事がありました。

緩んだ状態から力を入れると、たるみがとれた時にショックがあり、そこでその力に逆らおうとする反応が出ました。
一方、先に手首を触って軽くたるみをとった状態で力を入れると、抵抗反応がなくスッと相手を動かす事ができる事を体感しました。

それ以来、皮膚のたるみの活用方法や手法があるのではないか?という興味があり、この本を手に取りました。


身体が動く時には、かならず皮膚の動きが連動して起こります。
肘を曲げると、腕の表面と裏面では皮膚が逆に動きます。

この動きが何らかの事で制限されていると、痛みやそれ以上曲げられないなどという状態になるとの事。

それを、テーピングで正しい皮膚の動く方向性を出してやり、悪い癖や動きを矯正するという物。

皮膚の動きの原則というのがあるとの事

・シワが寄る所から、皮膚が突っ張る所
 に向かって皮膚は移動する
・動かしにくい箇所周辺の皮膚は動きが
 小さい
・高齢者より若い人の方が動きは大きい
・皮膚の動きを補助すれば関節や筋肉の
 動きはよくなる

なるほど。

これは面白い手法です。
手軽だし、実際に自分で色々試してみたくなりました。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る18 断熱レベル設定

実際の家創りでは費用対効果を考えながら、どういう断熱レベルにすべきかを決めて行きました。


地理的条件も考えながら、パッシブハウス的効果を得られるギリギリの線を探がします。


日本国で推奨されており、2020年から義務化がされる次世代省エネ基準という物があります。

南関東ではQ値=2.7,UA値=0.87という物。これは、過去の断熱基準よりも厳しくなっていますが、世界の常識から比べると恐ろしく甘い数値と言えます。


例えば、米国でそれに相当するのはQ値=2弱となります。日本では東北基準でQ値=1.9です。
ドイツはもう少し寒い国なので、南関東と同じ条件地域はありませんが、Q値=1.49というのが義務化されていると聞きます。


こういう日本の状況を憂えて、業界でHEAT20という自主尺度も作られたとネットで知りました。G2というのが目指すレベルとの事。
私の土地の場合はUA値=0.46(Q=1.6相当か)になります。


日本は住宅の断熱レベルという事では世界に何歩も遅れを取っていて、将来日本ももっと厳しい方向に規制が動く事になると思います。


特に2020年以降は、断熱が悪いと中古価値も損なわれる事になるでしょう。
逆に断熱レベルが高い家は、リセールバリューも高くなるのではと思います。


一方、パッシブハウスで要求される断熱(家丸ごとを1台のエアコンだけで快適に暮らせる)はかなり厳しいレベルが要求されますが、各階1台のエアコンで快適に暮らせるレベルというのは東京地区で第1種換気ではUA=0.47という事が書かれた本を見つけました。
40坪の家で、南面に大窓・軒がある前提です。


次世代省エネ基準では北海道仕様がUA値=0.46に合致します。


という事で、北海道仕様レベルの断熱とパッシブ手法で作れば私の所では良さそうだというのが目標になりました。

2018年12月15日土曜日

【本】神、この人間的なもの なだいなだ 岩波新書

著者の なだいなださん は精神科医であり、作家でもあります。

なだいなださんは、無宗教の人なのだと思いますが、宗教と精神科医の関係を、二人の人の対話という形式で表現しています。


読んで う~ん と考えてしまいました。


三大宗教のキリスト、仏陀、ムハンマドは、なぜ一神教を唱えたのか。どうして「奇跡」を起こしたのか。キリストは何故 処刑されたのか。

弟子たちにはどういう心理的な動きが起こったのか。その後の教団はなぜ&どう変化していったのか。


という事を心理学の立場で説明しています。


無宗教の私には、そういう事だったのか、とても分かり易いと感じましたが、これも一つの解釈という見方をしないといけないのだという心の声もします。


多分、各宗派の信者の方々からは、違う感想が出るのでしょう。


宗教とは何か? 科学と宗教の関係は? なぜ一神教なのか?という疑問を抱いている人には、読まれる事をお勧めする一冊です。


なだ氏の主張は、三大宗教の始祖は絶対神の下で全ての人は平等という事を説きたかった。部族間戦争や権力闘争、格差の弾圧などからの離脱を狙ったものだった。
でも、弟子の時代や現代でも元に戻ってしまってきている。

始祖から後で作られていった宗教は、集団帰属感を得る為の事が多くなり、離脱の思想が伝わっていない。
愛国心や愛社精神なども形を変えた部族意識。

人間はそこからどうしても抜け出せないのか?という投げかけと感じました。

う~ん。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る17 パッシブハウスという考え方

「パッシブハウス」という言葉は、今回の家の検討をするまで全く知りませんでした。

アクティブは積極的で元気がある印象の単語であるのに対して、パッシブは受け身で消極的という単語の印象を持っていましたので、「パッシブハウス」と初めて聞いた時は、あまり魅力的に感じませんでした。


でも、中身を知ったら興味が湧いてきました。


パッシブハウスジャパンという組織があり、代表理事の森みわさんの記事からの引用ですが、

”パッシブハウスは、太陽からの熱を取り入れ、風を通して流すというエネルギーの出入りを重視して設計。近い考え方に「高断熱高気密」がありますが、こちらは魔法瓶のように熱の出入りがなく保温のみの状態。
パッシブハウスでは、あくまで自然なエネルギーの流れを活かすという点が違います。

省エネや光熱費の減少は基本ですが、快適で健康に暮らせるという健康メリットが大きいです。しっかりと断熱をすると外気の影響を受けないので、床や壁、天井、窓壁の表面温度が整い、部屋の中の温度ムラが無くなります。その結果、余計な対流がなくなると、身体に負担がかからないようになり、エアコンの温度設定や風量が抑えられて過乾燥などからも解放されます。”

との事。


ホームページに行くと「欲望つめ放題、なのに、世界レベルで本質的にエコな家。おまたせしました。日本の皆さん。それ、技術で叶えます。 それがパッシブハウスです。」と出ています。ドイツが発祥の考え方です。


非常に簡単に言うと少ないエネルギーで快適に暮らせるように、断熱を高め、太陽熱を上手く取り入れたり遮ったりする家です。

1台のエアコンで家じゅうが快適に暮らせる事を実現します。

太陽熱も、南側の窓とそれ以外の窓で性能を変えたり、庭がある場合は南は落葉樹で夏の日差しを遮り、冬は葉っぱが落ちるので太陽熱を自然に沢山取り込める様にする。夏は夜間の涼しい空気を利用する等の工夫をしていきます。


パッシブハウスと認定されるには、どれだけ省エネで暮らせる家の性能があるかを計算して指定基準のクリアが条件です。

エネルギー基準が満たされれば、どんな種類の断熱材や工法を使っても良いのです。


日本でも既に何軒もパッシブハウス認定を受けた家が作られ始めています。

但し、有名なあるパッシブハウスでは壁の厚さが確か40㎝ぐらいもあるとの事。
従来の木造軸組みの柱は10.5cmか12㎝の太さなので、それよりもずっと厚い壁を作って達成している。やはり少し特別な作り方をしないといけなさそうです。


でも、南関東の気候ではもっと緩い断熱でも快適に暮らせるレベルはあるだろうし、これに透湿工法を組み合わせて行ける可能性があると考えました。
このパッシブハウスの方法は、電気機器に頼らないで快適性を追求するという事に使えそうだと考えました。

2018年12月13日木曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る16  湿度を考える

温度とペアで湿度についても考えておく必要があります。

湿度は人に与える影響は、もしかしたら温度より大きいのではという気がします。


同じ高温下でもカラッとしているのと、ムシムシしているのでは不快度が全く異なります。皮膚から汗が蒸発が出来れば、自在に体温調節が出来るからでしょう。


関連して、体感温度も湿度に大きく影響をうけます。

最近 エアコンのコマーシャルで言われている新28度というのは28度でも湿度が高くなければ快適ですよ。という意味ですし、冬で室温が低くても湿度が高ければあまり寒く感じません。


でも、実際にありがちなのは夏や梅雨時は家の中も高湿になって、冬は過乾燥になるという真逆の傾向。
これを起こさせにくくしなければなりません。

湿度は、結露=カビや腐りの発生にもつながりますので、建物の寿命も縮めてしまいます。


湿度のコントロール方法として、ポピュラーなのは加湿器と除湿器(含むエアコン)、換気システムですが、今回はできるだけ電気を使わずに調湿する事を考えます。


その為にも既に書いた、セルローズファイバーや、無垢材等の調湿性のある天然素材の多用を行います。

でも、同様の建てかたをされたお宅を拝見すると、それだけではまだ調湿性が足りそうもないという印象を受けました。

もうひとひねり出来ないか?と考えました。

2018年12月12日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る15  快適温湿度 熱環境を考える

快適な暮らしには、快適な温湿度環境を作る必要があります。

まずは温度ですが、温度の元となるのは熱なので、それを考えました。


住宅のパンフレットやチラシ等を見ると、「高気密高断熱」とか次世代省エネ基準とか必ずセールストークに書かれています。

少し詳しく書く会社は、Q値だUa値だと書いています。


最初は何が何だか分かりませんでした。
でも、だんだん慣れてくると、結局は家の中の熱(暖かさや涼しさ)をどれだけ外に漏れない様にするかという事を言っているにすぎない事が分かりました。


以前使われていたQ値という指標も、最近使うUa値も考え方は同じです。(C値はスキマの面積を表すので少し違います。)


熱の逃げやすい場所としては、窓、壁、屋根、床になります。


海外ドラマを見ると、真冬でも家の中で半袖で暮らしてるのが出てきます。年中 同じ格好で暮らせるというのが憧れの生活なのかもしれません。

でも、私にはそれが快適生活には思えません。
外出する時は冬の寒さや夏の暑さに耐える様に身体を慣らす必要があります。

家の中でも冬は長袖、夏は半袖で四季を感じながら暮らして行くのが自然で快適な生き方だと思います。勿論、暑すぎたり、寒すぎるのはダメですが、季節にあった快適温度帯が作れれば良いと考えました。


それを実現していく為に、断熱性能や排熱のしくみ等を考えていきます。


Q値やUa値という数値は、断熱材を厚くしたり、窓を小さく、少なくする等をすれば作っていく事はできます。床面積が大きければQ値は小さくなる、等の計算上のマジックも有ります。


一方で、断熱材を厚くすると壁も分厚くなりコストが上がる。窓を小さくすると部屋が暗くなる。窓が少ないと風通しが悪くなる。等のデメリットも起こってきます。


これらのバランスをどう作っていくのかがポイントになります。


世の中では、無暖房無冷房で暮らせるという言われる断熱レベルがあります。でもそれには非常に厚い断熱材の層を設ける必要もあり、コストが高くなります。
工務店さんの標準の木造軸組み工法ではなく特別な作り方を加える事になってしまうと考えます。


私は前提として停電や燃料が停止された状態でも過ごしていける家を考えるという事にしていますので、そういう状況下で冬は太陽の熱(ストーブ何台分もの熱量がある)をどう活かすか=陽だまりの暖かさをどう屋内に取り入れるか。夏の暑さの中でも、自然の力で少しでも涼しい空気や風を取り込めるか=木陰の涼しさを持ち込めるか。を考えました。


もしも、井戸があれば年中一定の熱源、冷却源になりますので、これらの悩みはかなり簡単に解消できるかもしれませんが、残念ながら井戸はコストや大きさから断念しました。


熱の伝わり方には、伝導、対流、輻射という3つのルートがあり、断熱では伝導と対流をコントロールする事が出来ます。
輻射は体感温度にも大きく影響し(体感温度は室温と壁の温度の真ん中になると言われています)、役にも立つし、害にもなりうるので良く考える必要があります。

2018年12月11日火曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る14  天然素材 内壁・天井

壁も天然素材を使いたいと考えました。

最低必要な機能は透湿性能を持たすことですので、ビニールクロスは使いません。
ビニールは石油化学物質でもあります。


前述の山本順三さんに話を伺って、壁紙にチャフウォールというホタテ貝の殻から作ったものを塗ると、透湿性に加えて、臭いも取ってくれるとの事。汚れても簡単に自分で筆で上塗りすれば良いとの事でした。


確かに、体験館の空気は良い感じなのを実感しました。但し、触った時にはザラザラ感があり、もしも小さな子供などがこすったら擦りむいてしまうかもという気がしました。


壁紙はオガファーザーというドイツで一般的な天然素材の物に決めました。
透湿性があり、調湿性塗料を上に塗れば張替え不要、表面で静電気が起きないので埃を引き寄せないとの事。


又、実際に住んでおられるお宅訪問で、壁を漆喰にされているお宅がありました。
そこは、猫も飼われているのですが、一切臭いがしません。又、猫が壁をひっかいても傷がつかないとの事。漆喰なので白くてとてもクリーンな印象も受けました。


漆喰はお城や土蔵で使われているという位のイメージしか持っていなかったのですが、調べてみると無機材ですので不燃性や徐々に硬くなっていく事、調湿性、ホルムアルデヒド等の有害物質の吸着分解、強アルカリなのでウィルスなどに効果、表面つるつる(塗り方に依る)という様な事が言われているのを知りました。

ですが、塗り壁ですので、施工費は高くなります。


そこで、場所毎にどういう壁にするかを決めていきました。

2018年12月10日月曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る13  天然素材 無垢材

次は、「気持ち良く、健康」の具現化について書いていきます。

大きく分けて、天然素材を使う事と、温湿度、そよ風の取り込み方、音、明るさ、防虫、室内空気などが関係してきます。

色々な事項を、電気に頼らずに同時に成立させていくという事を探していきました。


まずは、天然素材について。

シックハウスという事が以前に大きな社会問題として取り上げられました。新建材からホルムアルデヒド等が出てきて、それが身体に悪影響を与えるという話だったと思います。

その後、ホルムアルデヒドを出さない建材が多く普及してきています。
丸清さんはそういう建材の使用に加えて、ホルムアルデヒド吸収分解せっこうボードを標準に使っています。


私は仕事で関連の事を調べたりしていた事もあり、化学物質が人間にかなり大きな影響を与えると思っています。

ホルムアルデヒドを出す物質は勿論の事、石油化学物質もなるべく使いたくありません。

石綿の様に、法律上安全とされている物質でも後日危険性が判明するという事がこれからもあるでしょう。だから、出来るだけ天然素材を使いたいと考えていました。


天然材で作られた家では、疲れた脳が回復しやすく、身体も活動的な状態になり、睡眠の質も向上するという九州大学での実験結果も出ています。


折角、木造構法で作るのですから「木のぬくもり」、「木のやさしさ」を感じられる様にしたいと思いました。


「木」は経年変化を楽しめるという事もあります。又、調湿性と断熱性があります。よって、木(無垢材)を使う事で温湿度環境を整える効果も期待できます。


木が家の中で露出するのは、柱と床になります。特に、いつも身体に触る床は重要です。


ネットや本で無垢材の床について情報収集すると、各樹種による特徴が色々と書かれています。色、傷つきやすさ(硬さ)、冷たく感じるか(断熱性)、肌触り感など。


傷つきにくさと冷たく感じるかは相反する所があり、全てを満たす答えは無いのだと知りました。
誰だって傷はつけたく無いし、冷たいのも御免だと思います。でも、優先順位をつけて決めていく必要があります。コストもあり、施主の悩み所です。


私の場合は、工務店さんが自社の製材所で国産天龍材の檜と杉を扱われており、その10㎝角ぐらいのサンプルを1週間貸してもらい触りまくりました。厚さは1.5cmと3㎝のもの。

踏んだり、撫でたり、匂いをかいだりしました。檜は匂いはすばらしく、杉は踏んでも触っても感触がすばらしい。最後に、冷凍庫で凍らせた保冷材を板の上に置いて反対側に冷たさがどう伝わるか断熱性の実験をしてみました。

すると、圧倒的に杉の方が熱が伝わりにくいと感じました。数十分経っても厚さ1.5㎝でも裏面が冷たくなりません。


同じ温度の金属と木を触って金属の方が冷たく感じるのは、人体からの熱の移動スピードが早い(沢山熱を汲みだされてしまう)からと言います。
そういう意味で、杉板は足を置いても、熱がその接触部分から逃げていかないのであまり冷たさを感じません。
檜は無垢材の中では断熱性が高い方ですが、少し冷たさを感じますし、踏み心地も硬くてつらいと思いました。


後日、合板でもやってみると非常に冷たい。寸法精度は高いのでしょうが、明らかに無垢材とは違う思想の材料という事が分かります。

断熱性は木材中の気泡の多さできまるので、断熱性が高いほど柔らかく傷つきやすいのですが、このテストをしているのと平行して、床を無垢杉にされたお宅を2軒 拝見し、確かに傷つきやすいが、小さな凹みなどはスチームや水で修復もさせられるし、傷は生活の歴史だと思っているとのお話をお聞きして納得しました。
又、実際の床も見せていただいて違和感ありませんでした。


最終的に、ハダシでも気持ちよく、冷たさも感じにくい杉材(水周り以外)にする事にしました。厚みは実験の結果で差が出なかったし、その下に合板も敷くので耐力的にも大丈夫と判断して1.5㎝としました。


実際に住んでみて、気に入っています。兎に角、肌触りが良いので本当にハダシの生活です。スリッパは使いません。
適度に柔らかさがあるし、冷たさを感じにくいので、床に直に座るのも有りです。寝転ぶ事もあります。 

夏場や梅雨時も床はベタベタしません爽やかです。

2018年12月8日土曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る12 地震対策 耐震設計レベルを考える

地震の記事を読むと、震度xとか、少し専門風に書いてあるものは何百ガルの加速度などという書き方をしている物もあります。


本家本元の気象庁のドキュメントを見ていくと、震度(揺れの大きさ)と加速度(ガル)の関係は、地震の周期(秒)によってある関係を持っていると定義されています。


横軸に周期、縦軸に加速度と置いて図を書くと、震度Xというのは1~2秒の周期のあたりがもっとも加速度が小さく、周期がそれより短くなっても、長くなっても加速度は上がるというVの字のような形になっています。
よって、例えば地震の加速度は、揺れの周期と共に語らなければ意味がありません。


一般に木造の耐震設計3というのは600ガルに対応できる様に設計すると聞きます。
これは1~2秒周期では震度7の一番揺れの少ないレベルに相当します。よって、それより下の震度6強はその周期ならば倒壊しないという事ができます。


一方、家には共振周波数があり、木造の家では0.5~2秒が最もダメージを与えやすいキラーパルスと呼ばれています(1~2秒と書いてある本も多い)。

ところが、1秒未満例えば0.5秒の短周期では震度6強は800ガル程度まで加速度は上がる可能性があるという定義になっています。
つまり、耐震強度3は1秒未満の短周期では震度6弱までしかカバーできていないかもしれないと思いました。


という事もあり、耐震強度3の設計に加えて、制振ダンパーも追加する事にしました。


制振ダンパーはオイルを用いるタイプを使い、近くの断層に於ける過去のズレの方向を見て、丸清の河内さんが断層に乗り上げる動きと断層に沿って滑る動きの両方に対応すべくダンパー配置を考えて設置してくれました。


効果計算ではエネルギー耐力が約1.25倍となりましたので、600x1.25=750ガルまで対応できるのでは考えました。

これで0.5秒周期でも震度6強はほぼカバーでき、1~2秒帯では余力を持つ事が想定できます。又、2度目、3度目の余震についてもダンパー吸収がありますので有利に働くでしょう。
表層地盤の倍率分を吸収するという意味でも期待します。


これで、震度6強が来ても倒壊はしないだろうという目途が立ちました。勿論、損傷はあると思いますが、それが致命的にはならないし、比較的簡単に修理できる様に壁構造等は考えます。
ここまでやっても、ダメだったらあきらめもつきます。


但し、一つだけ住み手の立場としては残念な事がありました。それは、制振ダンパーはメーカーを信じるしかないという事です。

例えば10年毎に一々壁を崩してオイルが漏れていないか等は調べられません。
昨今、免震ゴムや制振ダンパーを偽って出荷していたという様なニュースをいくつも聞きます。今回使ったダンパーは、それらとは異なるメーカーで、10年保証(耐久は50年以上)と言っていますが施主としては、確かめる術が無いので、「おまじない」程度に考えておかないといけないのかもしれません。


河内さん経由でメーカーからダンパーの試験結果報告書を取ってもらいました。
あるストレス条件での品質確認結果という事は分かりましたが、なぜそのストレス値なのか、肝心な平均何年で劣化するとか、又は平均何ガルx何回で 故障するという様な信頼性の数字は出てきませんでした。(工業製品で言うMTTF等ですね。)
この辺りは、もっと合理的な品質保証のしくみが出来ると良いと思いました。


2018年12月6日木曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る11 地震対策 家の形を考える

九州地震の調査を見ると、幾つか特徴的な事があります。

倒壊が多かったのは、瓦屋根の家、1Fと2Fで共通壁が少なかった家。

損傷では、最初の揺れは耐えても、第2弾の本震でやられた物も多い。

免震構造のビルでも、想定より大きな揺れがくるとゴムやダンパーの可動範囲を超えて周囲にぶつかりダメになりそうだった事。

全壊は少ないが、半壊や壁にヒビ等はかなり多い事。

等々。

これらの情報を下に、

1.家の形は出来るだけ立方体(サイコロ)形状に近づける。
⇒揺れに強いし、断熱効率にも良い。総二階。

2.屋根は軽くし、重心を低くする。
⇒軽い屋根材を使い、太陽光発電や太陽熱温水などを上に置くことはしない。又、断熱も屋根断熱ではなく天井断熱とした事も重心を少しでも低く押さえる事に寄与しています。

3.耐震設計は3とする。

4.壊れにくく、修理もしやすい(出来るだけ単純な)屋根の形にする。
⇒切妻屋根。

5.壁に、もしもクラックが入っても重大事態にならない様にする。

事を決めました。

構造体は鉄骨方式や壁工法が有利なのは分かっていましたが、透湿工法との相性が悪いので木造軸組み工法で上記1~5を指針に作る事にしました。

木造軸組みでも、TIP構法などの半柔構造(と思う)のやり方もありましたが、今回は通常の方法で作る事にしました。


又、間取りも1Fと2Fの壁共通性を意識する事と、何かあった時に必ず各部屋2方向には逃げられる道を確保するようにしました。

2018年12月5日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る10 地震対策 危険度を調べる

次に、地方自治体(私の場合は、当該市、近隣市、東京都)のハザードマップ、防災計画を調べます。ハザードマップもネットで読めますので便利です。


地震時の震度予想や、洪水地域か否か、火事が起こりやすい所か否か などが分かります。
私の場合は、近くに大きな断層が通っていて、首都直下地震のいくつかあるケースの一つに数えられており、地震が起こると震度6強が予想されるという事が分かりました。


又、数年前の九州の大地震の調査結果から、表層地盤は地震の震度を増幅する可能性があるという事が言われ始めている事を知りました。


そして、国の防災科学研究所のWebに、各地の表層地盤での増幅率が出ているのを見つけました。私の土地の場合はx1.2~1.4の増幅率でした。


ハザードマップの震度6強という表示は、この増幅率が組み込まれているのか否なのかが良く分かりませんが、ハザードマップが作られたのは九州地震の前の様ですので、組み込まれていないという前提で考える事にしました。


後ほど書くと思いますが、震度6強というのは相当に強いレベルです。
震度は7までしか区分けがなく、7は上限のない無限大の揺れまでが入ります。
そういう意味で震度6強というのは科学的に示せる最も大きな地震のレベルと言えます。

2018年12月4日火曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る9 地震対策 土地を調べる

いよいよ、具体的な話になります。

まずは、その土地がどういう処なのかを調べました。

昔はどういう使われ方をしていたか。

水田や沼があった所などは液状化の可能性がある様な記事を読んだ事がありました。
そこで、ネットの古地図で昔(と言っても明治ぐらいかな)はどうなっていたのかを見ました。

ラッキーな事に、桑畑でしたので一安心。

もし、液状化の可能性があると地盤改良をしなければならなくなります。

とは言っても、実際に建築をする前に地盤調査もしました。

スウェーデン式(SWS調査というらしい)というやり方で地盤を調べる事が一般的と言われていますが、設計士さん、工務店さんからのアドバイスとして、SWS調査は誤差が大きく、本当は不要なのに地盤改良が必要と言われる事があるとの事。


SDS調査(スクリュードライバーサウンディング)ではトルクも調べるので土質も分かり、判定を誤る確率は低くなるとの事。
値段もそれほど高くなかったので、SDSでもお願いをしました。


結果、地盤改良は不要。又、地下のどれぐらいの深さからどういう地質に変わっているのかも知る事ができました。


又、大きな書店に行き、国土地理院発行の1万分の1地形図も買いました。これには、2m毎の等高線が書かれているので、土地の高低差を読み取る事ができます。

地震とは異なりますが、もし、大雨や洪水になったら、水はどちらの方向に流れるのかもイメージする事ができます。

2018年12月2日日曜日

【本】忍者はすごかった 山田雄司 幻冬舎新書

著者は三重大学の教授の方。ちゃんと学術的に調べて書かれているのだと思います。

「万川集海」という最も大部な忍術書が伝わっているとのこと。


それによると、忍者は「黒装束で素早く動き、手裏剣を打つ、、」というイメージは作られた物で、本当の姿は全然違ったとのこと。


「忍び」の最も重要な職務は敵方の状況を主君に伝える事だったため、生き延びて戻ってくる必要があった。その為、生きて生きて生き抜く事。サバイバル術に長けた者。それが忍びだった。


色々な技術もありますが、それと同時に人から秘密を引き出す為のあの手この手の技術が重要。


それら「忍術」は非常に具体的で、現代でも十分通用するものが多そうです。


一つの例では、

ある家に侵入したいと思うのなら、その家の前をしばしば通り、あつるときにはその門の前で仮病を発し、門前で休んでその家の下人に薬や水を頼み、しばらくして病気が治ったようにふるまい、家の中に入ってよくお礼を言って知人となって、一旦は帰る。

後日 届け物を持って丁寧に礼を述べて親しくなるようにする。その時には、まずはその家の子供をほめ、奥方に贈り物をし、次に下人に贈り物をすれば、主人は非常に喜び、気を許して深い話もしてくれるようになる。


もう一つ、こんな話も

師が上手な弟子に、「大きな瓶を盗んで来い」と言った。弟子は「なかなか日中に大きな瓶を盗んでくることは難しい」と言うので、師は「行って取ってこよう」ということで、瓶屋に行って買ってきた。

弟子たちはこぞってこれを笑った。そのとき師は言った。

 「だからお前たちは下手というものなのだ。瓶を取ってこようと思うと、一途に瓶ばかりに心がいってしまう。私はそのあたりで小さい猪口を十ばかり盗んで袖に入れ、これを売って大きな瓶を買ってきた。すなわち色を替える術なのである」


皆が考えつくような方法では、対策がとられていて忍びこむことはできません。相手が考えないような方法を駆使することによって意表を突き、初めて忍び込むことができる。


「忍法」の本、色々 読んでみたくなりました。