どにどっぷりハマって暮らしていました。
中学ぐらいからは、創元SF文庫でEEスミスなどSF本を読みふけっていました。それらの時代に埋も
れてしまった名作についてもおいおい書いて行きたいのですが、今日のポイントは日本の作家 火
浦功さんです。
日本のSFも色々なジャンルや作家の方たちが昭和からおられますが、その中でスチャラカ系という
か、コメディ系というか、独特なジャンルがあります。海外でもそれに近いノリの作家はいますが、
火浦さんは日本語とその文化を徹底的に面白く表現してくれます。
例えば、「丸太の鷹」という本の「帰ってきた一本刀土俵入り」という話の出だしは以下の様に始ま
ります。
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現実は、四つ角で待ち伏せていて、不意に蹴りをいれてくる。
現実に蹴られると、とても痛い。
「私は、後頭部を蹴られました」
世田谷区在住、マンガ家のとり・みき氏(実名)は、その時の経験を、次のよーに語っている。
「とても痛かったです」
ことほどさように、現実とゆーのは、油断のならない存在なのである。
さて。
1988年2月14日の日曜日。
名探偵山本辰吉は、下北沢の路上で、現実と遭遇した。
現実は、梅沢のバーサマそっくりの格好をしていた。
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至る所にパロディが散りばめられているのですが、日常をこんなに面白く書けるすごい才能の方だ
とずっと思っています。
みのりちゃんシリーズ、ガルディーンシリーズ、高跳びレイクシリーズなどなど、沢山のコミカルSF
シリーズを書いているのですが、どれも未完。なんか中途半端でいつの間にか途切れているという
不思議な作家です。
遅筆、原稿落としの達人という事をキャラクタにしている人。でも、その文才に対する根強い隠れフ
ァンが沢山いて、いつ続編や新作を出してくれるのか??と心待ちにしているのではないでしょう
か? 私もその一人です。
火浦さんをネットで検索すると、本当は色々な作家が分担して書いていたバーチャル作家だという
話も出てきますし、今では漁師をしているという噂もあるし、、本当に実在の作家なのか自体が謎
に包まれています。
実在の人物かバーチャル人物かは問いませんが、この文才でぜひ新作を出して もっと笑わせて
もらえないかと思います。
火浦さんの本は80年代の物が多く、今ではもう本屋では売っていませんが、図書館で借りる事が
できると思います。
お気楽な娯楽本を読んでみたい、、という方にはお薦めです。