2015年1月18日日曜日

【本】「ミケランジェロの世界」 平松洋 新人物往来社、 「神のごときミケランジェロ」 池上英洋 新潮社

昨年から美術への興味が再開しています。


私の好きな絵「デルフォイの巫女」はミケランジェロがバチカンのシスティーナ礼拝堂の天井に描い

た1000平米にもわたる壮大な絵画群の一部です。



ずっと天井を見上げながら描き続けた天才の努力に驚きます。



彼の作品で最も有名なのはダビデ像ではないでしょうか? ミロのビーナスに代表されるギリシア

ローマ時代の芸術と15・16世紀のミケランジェロの作品が1000年以上の時間を隔てても、全く違和

感なく連続した作風と感じる不思議を想います。


ミケランジェロの人となりは、、、かなり難しい人だった様子。


ダ・ビンチとミケランジェロ、ラファエロは中学の歴史の時間にも習う名前ですが、ほぼ同時代であ

り、ダ・ビンチ50過ぎの時にミケランジェロは30才前ぐらい、ラファエロは20才ぐらいの、年齢関係に

なります。 そして、ダ・ビンチとミケランジェロは仲が悪かったらしい。



二人は寄って立つものが違うとのこと。芸術で何が一番かという議論に於いて、ダ・ビンチは絵画

を主張し、ミケランジェロは彫刻を主張しています。二人ともどちらの世界でも素晴らしい天才と思

えるのですが、そこには違いがあるとのこと。



ダ・ビンチ曰く「彫刻家は、色彩の微妙に違う変化を表現できない。しかし、絵画は全てを生み出せ

る。彫刻家の遠近法は少しも真実味がないが、画家の遠近法は遠くまで表せる。彫刻では透明な

物体を表す事ができない。光や反射する影や、鏡のように輝く物体も表せない。彫刻は科学ではな

く、それを作るものに汗と肉体疲労を生じさせる全くの機械的な芸術だ。絵画は彫刻よりも偉大な

精神的な表現であり、より偉大な技法である。」とのこと。



一方、ミケランジェロは「絵画は、浮彫に近づけば近づくほど良くなり、一方、浮彫は絵画に近づけ

ば近づくほど悪くなる。だから、彫刻は絵画を照らす灯火であり、二つの芸術の間には、太陽と月

ほどの違いがある」とのこと。



私には、ダ・ビンチは美術も出来る精密技術者(工学者)で、ミケランジェロは建築設計も出来る芸

術家という感じに思えます。



又、作品上に表現されている人物について、私にはミケランジェロの方の人物に魅力を感じます。

ダ・ビンチは写真の様な静止画。ミケランジェロは動きの躍動感や人柄を表現しようとしているに感

じます。


二人とも偉大な天才である事は間違いないですが、性格の違いを想いながら見ると又別な興味が

湧いてきます。



尚、大理石で作られたミロのビーナスは真っ白な印象ですが、実は作成当時は色が付けられてい

た彫像だという事が分かっているとのこと。青い眼だったらしい。このあたりの研究がもっと進むと

別の世界が見えてくるかもしれませんね。

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