2017年12月30日土曜日

【本】エコ・プラント B.C.ウォルヴァートン 主婦の友社

NASAが宇宙船や宇宙ステーション、宇宙基地等の密閉空間で生きていく為に、室内環境の汚染を植物で浄化できないかという事を研究してきています。

その研究を行ったのが、著者の博士。

研究の結果、植物の種類によって驚くべき効果を発揮するものがある事が分かりました。

検討した50種類の植物各々に、
 ①気化化学物質(VOC)の除去
 ②栽培・管理の容易さ
 ③害虫に対する抵抗力
 ④蒸散作用率
の4点を10段階評価して点数付けを行っています。

総合点の1位はアレカヤシ(コガネタケヤシ、ヤマドリヤシ)。
4項目の平均点が8.5の高得点です。
総合点の高い順には
カンノンチク、カマエドレア・ザイフリッ
ツィー、インドゴムノキ(ゴムノキ)と
なっています。

①と④に注目した場合、その両方で8以上を得
ているのは、
カマエドレア・ザイフリッツィー
ボストンタマシダ
ネフロレピス・オブリテラータ
アレカヤシ(コガネタケヤシ、ヤマドリヤシ)
ポットマム
ガーベラ
になっています。

これらは、観葉樹として自宅にも、贈り物にも良さそうです。

ちなみに、数字で示すと

      ①   ④
アレカヤシ 8   9
ポトス   5   7
シクラメン 3   5
コチョウラン3   3

になります。


ヤシとかシダとか、熱帯や亜熱帯で高い木の下であまり陽の当らない所で苦労してる植物達との事で、色々な技を身に着けている様ですね。

アレカヤシ4鉢あれば加湿器いらずという書き込みもどこかで見た覚えがあります。
乾燥対策にも使えそうです。


脱線ですが、ネットを見ているとサボテンなどのCAM植物は、夜に酸素を出すのではという様な書き込みがありますが、日本植物生理学会での説明では、砂漠の過酷な条件では、二酸化炭素は夜取り込み、昼の光合成は酸素を出さない循環的電子伝達反応をしているのではとの事、但し、”少しでも水があり、気孔を開くことができる環境(早朝など)では、酸素を発生してNADPHを生産し、光合成CO2固定の増加を図っていると思われます。”とのこと。

日本で育てるなら、過酷な環境ではないと思うので、昼の光合成時に酸素を出しているではないでしょうか。
蛇足でした。

2017年12月29日金曜日

【本】ファーブル博物記 植物のはなし 岩波書店

樹木や植物について、私はあまり分かっていないな、、と思う所があり、表記の本を手にとってみました。

実は、ファーブルは生まれて初めて読みました。
勿論「昆虫記」という超有名な本がある事は知っていましたが、昆虫にあまり興味の無かった私はそれも読んでいませんでした。

今回、植物の全体像が平易に分かるのではと期待して読み始めたら、面白くて、とてもスゴイ本だという事にビックリしてしまいました。

ファーブル本と小学生の時に会っていたら自然科学者を目指していたかもしれないなと思います。

生物の時間に植物について、師管や導管、被子植物や光合成など、部分部分の用語と話しは習って、受験用にも覚えた記憶があります。
又、街の本屋で良く売っている植物に関する手軽な読み物は、ちょっと変わった植物の話 等が多いです。

でも、この本は植物の「生き方=人生?」を説明してくれています。

医学書を読んでも、人間がどう生まれて成長して、先祖と関わりを持って次世代につないでいくのか等の人生は分かりませんが、それと同じ感じでしょうか。

私の中で、今までボンヤリと理解した積りになっていたが、この本でスッキリ腑に落ちた事をいくつか書いてみます。

幼児用の絵本では、一本の大きな木は幹に顔が書いてあって、葉っぱは髪の毛の様な絵が多いので、なんとなく樹木は一本で一つの生命個体という印象を持たれているのではないでしょうか?

ファーブルに依ると、樹木は枝一本一本が個体であり、樹木はサンゴの様に沢山の個体が集まった集合体であるとの事。

枝の元は芽なので、芽が一つづつ個体で重要。

種から芽を出して幹(最初の枝)を作り、そこから又 芽を出して枝を作っていきます。

植物は地下から水分と微量栄養分を吸い上げて、葉で太陽光と二酸化炭素を使って化学処理して、植物にとっての栄養食(=樹液)を作り、各葉、枝の樹液を下に流しながら、幹や根を成長させると共に、フィトケミカル(合成物)も作っていきます。

毎年 新しい枝を作り新しい葉を茂らせ、古い枝は葉を付けなくなり世代交代を行っていきます。

幹の真ん中は古い世代ですので、死んでいくのですが、それを柱としてその周りに新世代の層を毎年作っていく。

芽にも、枝を作り葉を茂らす役目の個体もあるし、花(=種)を作り違う土地に拡散していく為の役目の個体もあります。

そうやって、脈々と繋がって行く。
昔の日本の「家」制度の様な気もしますね。

この枝=個体 という考え方は、(以前神津さんの本の記事の時にも書きましたが)桜の開花が枝毎で違っている事と合致します。 ナルホド。と思いました。


別な話では、品種改良。

人間は、野生の植物を人間の役に立つように品種改良を重ねて現在の色々な果樹などが出来ています。

これらは、基本 挿し木や接ぎ木で増やれているとの事。その方法ならば、クローンと同じように元の木の性質をしっかり再現できるから。

それを、種を用いて植えなおす事を重ねると、木はどんどん先祖返りをして野生に戻ってしまうとの事。


酸素の話。

植物は昼は酸素を出して、夜は二酸化炭素を出すと学校で習いました。

それは、どうしてか?

酸素は光合成という仕事をした時に造られる物なので、光が当たっている時にしか発生しません。

一方、動物と同じで植物も生命活動をする為のエネルギーは酸素を燃やすことで得ています。

よって、夜中でも植物は酸素が必要になります。でも、光合成で作られる酸素の量の方が、生命維持で必要な酸素の量より少ないという事。

食料を作ってくれる農家の方も、自分の作業エネルギー用に食料を食べるというのと同じですね。

他にも、色々な事が詳しく平易に子供にも分かり易い様に書かれています。

ファーブルを読んだ事が無い方には、ぜひお勧めの1冊です。

2017年12月23日土曜日

【心と身体】オルゲーの生気候図など

住みやすい家の関係の記事や本を読んでいると、人間が快適に感じる温湿度の範囲について、オルゲーの生気候図やPPD,PMVなどという言葉や絵が良く出て来ます。

オルゲーの図は図としては分かり易いのですが、日本に住む我々が本当にこの図に合致するの? という疑問がやっぱり起きてきます。

街では、冬でも薄着をしている白人の人を良く見ますし、日本は高温高湿の夏と低温低湿の冬 というかなりキビシイ環境の土地ですので、それに順応した日本人の体質では、欧米人とは違う快適(又は、許容できる)ゾーンがあるのではないかと思います。

日本でも、雪国と関東では気候は違いますけど。

又、衣類の進化でも、この辺は大きく影響を受けそうですね。

この10年でヒートテックなども当たり前になってきていて、その前提での快適ゾーンは、、等の話もありそうです。

妻と夫でも体感温度が違う事も良くある話ですし、将来的には個人温調みたいな世界になっていくのでしょうか。
(ちなみに、家では熱帯夜の私の就寝時エアコン設定29度に対して、妻の部屋の設定は25度です)

とりとめの無い記事になってしまいましたが、気になりました。


【本】エコハウスのウソ 前真之 日経BP社

最近 自然の力を本当に生かした住まい作りに興味があり、色々な本を読んでいます。

建築の世界は、どの会社もみな口を揃えてエコです、高断熱高気密です、気持ち良いです。と言うので、家を買いたい、建てたいと思っている消費者には、全く何を信じたら良いのか分からなくなってしまう(殆どはそれを狙っているのではないだろうか、、)業界です。

消費者は、しっかりしたモノサシを持って業者の言う事を取捨選択、又は、怪しい所に突っ込みを入れて、「何を言わないでいるのか?」を把握していく必要があります。

この本は、そういうモノサシの一つを持たせてくれる、読みやすいし面白い本です。

著者は最近、色々な方と一緒に「あたらしい 家づくりの教科書」という本も出されていて、こちらの方はさらにモノサシを増やしてくれます。

家を買おう、建てようと思っている人は両方を読んでおくと良いとお勧めの本です。

2017年12月6日水曜日

【本】損したくないニッポン人 高橋秀実 講談社現代新書

不思議な本です。面白い本です。

得な生き方を探っていったら、結局は皆さん「損をしたくない」という事で行動しているという事が分かってきた。

それをべースに、どういう事を主婦など消費者側も、販売側も、経済学者も、宗教までも行われているのか、どういう心理でやっているのか。

そもそも、お金とは何なの? 不動産ではどういう事が起こるの?

又、「損」とは悪い事なの?「得}とは?

という根源的な話を、堅苦しい哲学風に語るのではなく、

主婦はどうやってポイント活用を図ろうとしているのか、どういうスリルを求めるのか、家電量販店でテレビを買う時はどうハメられていくのか、松下幸之助のPHPとはどういうロジックで、本当に消費者の為になるのか? 定価ってなんだ? 会計って? 日本一住みやすい街に魅力も活気も無いのはなぜか?  などなど、

かなり具体的に著者が体当たり的に話を聞きまわって考えた事が分かりやすく具体的に書かれています。

なんとなく、皆が無意識で感じていた事を表にだしてくれていて、なにかスッキリする不思議な本です。

読んでみないとわからない。
図書館で借りて読んでみるのが「お得」な本でしょうか。

2017年11月25日土曜日

【自然】光害 クリスマスイルミネーションへの違和感

私の住んでいるマンションでは、11月の声を聞くと、管理組合や自治会の役員の人達が毎年エントランス前の植物に、LEDランプのチェーンを付けて、夜は一晩中点灯。
クリスマスイルミネーションを行う。

駅前にもクリスマスイルミネーションが色々と設置されて、それはキレイ?な光景が始まる。

クリスマス前には戸建ての庭でも、そういうイルミネーションを付ける人がいくつも見られる。

昔は、自宅や、モミの木に豆電球をつけてクリスマスを祝うというのはあったが、LEDになってから、屋外の色々な所で、数ヶ月もLEDイルミネーションをそこここで見かける様になった。

私はそれを見ると、人間の驕り、人間による自然破壊に見えてしかたがない。


LEDを付けられた植物は、本来の太陽による生体リズムを絶対に壊される。光合成機能などはどうなってしまっているのか?

植物でも、暗い時間は睡眠のような休息の時間になっていたはず。それを、夜中LEDの光と熱にあてられて、不眠症ややけどになっているのではないだろうか?

「光害」という言葉がある。

もう20年ぐらいも前の事だが、新幹線に乗って大阪から東京に帰って来る時に、浜松の手前で、線路脇にメチャクチャ明るいショッピングセンターが見えた。

新幹線の中でビールを飲んですっかり良い気分になって、ぼんやり外を見ていた私は、その光(当時は蛍光灯だったのかもしれない)を見て、意識がハッとした事を鮮明に覚えている。

そして、この光は絶対に宇宙からも見えるなと確信した。

はっきり言って光のムダ使い。電力のムダ使い。
ぼんやり寝ようとしていた生物を起こしてしまう環境破壊。

それ以降、東海道新幹線を乗る都度、そのショッピングモールがどうなっているのかを観察する様になった。

今は、当時からかなり落とした輝度で照明している。それでも、人工衛星からは見えるのだろうとは思う。

人間にもサーカディアンリズムという物があるが、植物や虫にもそういう光による天然のリズムが絶対にあるハズ。

それらを、どんどん壊していくクリスマスイルミネーションや、不用意な街路灯など止めるべき時期に来ていると思う。

又は、もう少し進化させて、植物には影響を与えない波長でとか、人が近づいて来た時だけ点灯する等の方策を入れるべき。

「キレイ、キレイ」と幼稚に喜ぶのでは無く、自然と調和する道を検討すべき時代になってきている。

2017年11月13日月曜日

【本】自閉症感覚 テンプル・グランディン NHK出版

自らも自閉症を抱えながら、動物科学者として活躍する著者は。「自閉症感覚」は磨けば光るダイヤの原石だという。との事。

自閉症スペクトラムと最近は言い、思いものから、アスペルガーの様に軽いものまで含んで呼ばれているらしい。

高機能性の人は、言葉も仕事の能力も高い人が沢山いる。アインシュタインとか。

自閉症スペクトラムの人は、「通常」と言われている人と比べて、色々違った感覚を持つ事が多い。

テンプルさんは、どういう感覚を持って生きてきたのか、世の中で暮らすには、どういう工夫をしてきたのか。

「自閉症」と「天才」は生み出す遺伝子が同じなのではないか。以前は同じ症状を天才と呼んでいる事もあった。

自閉症の人は、社交は苦手だが、ある領域を緻密に細かく詰めていく事などは得意。

現在の科学技術の発展は自閉症の人達がいたから実現できていて、社交的な{普通の」人ばかりだと、こういう世界にはなっていなかった。

自閉症の子供にはどう接して教育していけば良いのか? 大人にはどうしたら良いのか?

とても、具体的に、自身の経験を描写しながら教えてくれます。

わが子にちょっと気になる事がある親御さんは読んで見る事をお勧めします。

もっと早く読んでおきたかった一冊です。

【ビジネス】銀行の仕事

先日、久しぶりに銀行に行きました。

送られてきた預金の出入りのダイレクトメールの読み方が分からなかったので仕事のスキマ時間に聞こうと思ったのです。

銀行のフロアに入ると、券売機の様な順番シートを出す機械があります。

その他の項目のボタンを押し、番号シートが出てきました。

又、その横にフロア係をされている行員の方がいます。その人にメールの読み方だけが知りたいのだが、と話しをしたが順番をお待ちくださいというのみ。

15分待っても、順番にならないので、頬杖ついて待っていました。

フロア係の人が、近づいて来て「もう少しお待ちください」との事。でも、カウンターの中の女性行員さんたちは、談笑したりもしている。。。

時間が無くなったので、そのまま出てきましたが非常に腹が立ちました。

なぜならば、メールの読み方など、行員のフロア係の方も絶対に分かるハズだし、カウンタの中の人も談笑せずに1分で説明してもらえる様な内容です。

慇懃無礼な 非効率な仕事の仕方に本当に腹が立ちました。

同じようなシステムはドコモショップなどでも見かけます。

何の為にフロア係を置いているのだろうか?
お客の内容によって、臨機応変にサバク事を何故させないのか?

私は、よっぽどの事が無ければ銀行窓口に行く気がなくなりました。

それにより、人員削減につなげようという銀行経営者の思惑なのでしょうか?

非常に 印象悪いですね。

【政治/本】日本はなぜ、「戦争ができる国になったのか」 矢部広治 集英社インターナショナル

「横田空域」という言葉は、どこかの記事で空域図を見た事があります。

日本列島の中央を太平洋から日本海まで横断する形で、東京、神奈川、埼玉、栃木、群馬、新潟、山梨、長野、静岡の上空の空は米軍の支配下に現在もあり、日本の民間航空機は米軍の許可がないとそこを通れ無いとの事。

非常にインパクトのある図で、本当にこんな事があるのか? でっち上げのデマなのではないか?と最初は思いました。日本の国土の上なのに。

皆さん、「横田空域」と検索してみて下さい。

東京都の知事の議会の発言の中で、「羽田空港の国際化や、さきに提案した羽田空港の再拡張の早期実現のほか、首都圏新空港の整備あるいは横田飛行場の民間航空利用と横田空域の返還など、首都圏の空港機能の充実を国に働きかけてまいります。」と出てきます。

本当にあるのですね。

この横田空域が何故あるのか? 日本国憲法は国際での平和主義を謳っているのに、何故自衛隊がいるのか? この前に行われた集団的自衛権が出来る様にすると、安倍政権が無理やり法律を通したのは何故なのか?

そして、ロシアが北方領土の返還の話に全く乗ってこないののは何故なのか?

沖縄や日本の各地に米軍基地があるのは何故なのか?

これらの疑問を、戦後 何が起こって、こういう現状になったのかを、この本は秘密解除になった公式文書等を使って明確化しています。

私にとって、初耳=知らなかった事が山の様にあり、でも、こういう流れならば、今まで漠然と違和感のあった殆どの事の辻褄が合うと感じました。

余りに 膨大な内容ですが、非常に平易に書かれているので、すんなり入ってきます。

本当は何回か読み返した方が良い本だと思うのですが、1回読んだ所で心に残ったポイントを記したいと思います。

敗戦時は、戦勝国側も国連の立ち上げようとする動きの真っ最中で、国連の理念を日本国憲法にも反映させようとマッカーサーは考えた。だから、あの様な書き方になっている。

そして、日本の占領終了後に駐屯するのは国連軍とし、それで日本を守る、日本が他の国を再度武力で攻撃するのを防ぐという2つの目的を果たすという構図であった。

そこに、朝鮮戦争が勃発し、ソ連が抜けていた間に、米国が国連軍として総指揮を取って北朝鮮を排除するという事に国連で決まった。

よって、日本に駐留しているのは米軍ではなく国連軍という位置づけ。そして、朝鮮戦争は、休戦という中途半端な形でこの60年来ている。まだ公式には休戦状態。よって、今も国連軍として米軍がいるという構図が続いている。

又、日本国憲法で平和を謳ったにも関らず、占領中にマッカーサーから警察予備隊や海上保安庁が命令されて作らされた。

これも、朝鮮戦争で軍人が出払った日本に置ける米軍基地を守るために警察予備隊は造られ、海上保安庁も朝鮮半島の海の機雷を掃海する為に組織され、現場に派遣された。

これによって、平和憲法の理念(戦力を持たず)は、矛盾を持つことになった。

しかも、米国は徐々に交渉や罠をしかけて、国連軍でない米軍も日本が支援しなければいけないという条約や密約を日本にむすばせた。

よって、現在も自衛隊は米軍基地を守るという事が第一義となっている。

又、米国が軍事行動を行う場合、日本の自衛隊は全て米軍の指揮下に入り、米軍の指名する者が総指揮を執る事が決まっている。

さらに、米軍は日本のどこを基地にしても良いという権利を持っている。

沖縄問題やオスプレイ問題の時に、よく「地位協定」という言葉が出てくるが、その中身を知っている日本人は殆どいないのではないだろうか?

又は、それは沖縄の話で、本土にはあまり関係の無い事と思っていないだろうか?

少なくとも、私はそうでした。

でも、前述の米軍との関係は、安保条約+地位協定+密約 で構成された公式の国と国の約束になっているとの事。

日本政府は、個別自衛権までは憲法の範囲だが、集団的自衛権は憲法違反になるからできないと、ずっと米国に抵抗してきた。

米国からは、いつでも米国の指示の下で日本の自衛隊も戦力として使える様にすべしとの要求がされてきており、安倍政権は憲法を無視する形で、その要求に日本を差し出してしまった。

ロシアからは北方領土を返還したら、米軍基地は置かないという約束が出来るか?と聞かれて、それは出来ないと答えた事で返還の話は暗礁に乗り上げているとの事。


この本は、当時、どの様な背景で、かつ、どの様な手口で日本が絡めとられてきているのかを緻密だが平易に教えてくれます。

私はこの話の裏取りはまだできていないので、時間かけならがして行きたいと思いますが、こういう裏舞台があるという事は、日本人は皆 知っておくべきだと思いました。

長くなってしまいましたが、それだけ衝撃のある本でした。ご紹介したのはホンのサワリですので、詳細は読んでいただく必要があります。

ぜひ、イデオロギーに関係せず、一度は読んでおくのが良いとお勧めします。

2017年11月5日日曜日

【政治/本】叩かれても言わねばならないこと。 枝野幸男 東洋経済新報社

枝野さんという人は、東日本大震災の官房長官という印象がとても強くて、かなりまじめで実直な人というイメージを当時持った記憶があります。

勿論、「直ちに人体に影響が出る事は無い」等の歯切れの悪い表現が多くて、フラストレーションは感じていましたが、彼自身というよりも、それをバックアップして情報を出すべき体制の方が不十分なんだろうなと感じさせるものでした。

その後の東電の二転三転する説明や、保安院、政府、政治家、有識者、マスコミの乱れる説明や報道にこの国の弱さが強くでたのを当時感じました。

今回の立憲民主党という動きでクローズアップされた枝野さんはどういう人なのかを知るためにこの本を読んでみました。

これは、震災の1年半後に出版された本です。

色々書かれていますが、気が付いたのは
・この人はイデオロギーよりも、現実的に
 考える人なんだなという事。
・平易な言葉で説明できる人でもありそう。
・視点は、新規事業開拓をして日本国を時代
 の変化(発展途上国が新興国に進化してく
 グローバルな流れ)に対応して生き残らせ
 ようと考えていて、企業人にかなり近い
 センスの人なんだという事。

本に書かれている一つ一つの具体案は現時点で見ると外れている物もあると思いますが、モノの見方の基本や、考え方は違和感が少ない人だなと感じました。

選挙の時に、「保守やリベラル」という構図ではなく、「上から政治か下から政治か」だと主張していたとの事でしたが、立ち位置はなるほど と合点がいきました。

多分、改憲や、経済政策等も自民党の現実路線派の人の考え方とかなり近い物を持っていると思われますが、それを、立憲主義(国民主権)を無視したやり方で勝手に決めて行うのはダメというスタンスなのだと思います。

政党の名前の立憲民主という、そのままの考えですね。

そういうスタンスを期待して投票した人も多かったのだと思います。

現実的なソリューションを提案できないで批判ばかり言うのはダメですし、従来事業の延長線上でしか考えられないのや、内向き争いばかりしている政治家もダメ。

新規事業はリスクがあって当然ですし、既存勢力からの強い抵抗と足の引っ張り合いもあると思います。

多くの人間は、もっと楽な方に日和見をしてしまう。様子見という言い方に隠れたりもします。

でも、ブレークスルーを仕掛ける人が成長には必要です。

経済面だけを見ると、第2次安倍内閣の最初の1-2年はそういう動きが見れた様に思います。

枝野さんは、良い人脈ネットワークを作れれば、変革をしていけるのではないかなと思えた1冊でした。

2017年10月23日月曜日

【政治】2017衆議院選挙

こんなに政治家やマスコミ(含むネット)にバカにされた選挙は見たことがありません。

野党の弱っているのを見て、突然の身勝手解散。

政策も理念も不透明にして、名前だけ声高に宣伝して出てきた希望の党。

それに全員合流だ、と急に言い出して突っ走った民進党代表。(前回の選挙で「民進党」に比例区で投票した人を完全に無視していますね)

それを、囃し立ててドラマに仕立て上げようとするマスコミ。

「希望」が単なる第2自民党だというバケの皮が剥がれだしても、「排除」という言葉だけを悪者に祭り上げてニュース仕立てにするマスコミ。

数日で急に立ち上げられた立憲民主党。党ってこんなに簡単に作れるんだ、、という驚きもあった。

憲法を変えると公約に入れても、それを議論しようとしない自民党(これは選挙時のいつもの手ではあるが)。絶えず、不安感を煽り立てる様に誘導しようとする安倍首相。

憲法改定を「憲法改正」と誘導するマスコミ。

まともに日本のかじ取りを任せられると思える党や人が殆どいないという悲劇。

これは、トランプやフィリピン大統領などが選ばれてしまうという現代の異常な流れに日本もドップリはまってしまっているのだと思えます。


あまりに多くの論理的や、中立そうな皮を被った宣伝や非難のタイアップ記事・ニュースが、ネット、TV,新聞にあふれていて、それらに大衆は弄ばれている。という事なのでしょう。
(特に日本人は、マジメな勉強家が多いので)

賢く腹黒い人間の手練手管に、知らないうちに誘わされている羊の群れという気がします。

有権者がしなければいけないのは、色々なメディアの記事を読んで勉強する事ではなく、行われてきた事実を冷静に見て判断していくという事だと思います。


例えば、今回 大躍進して野党第1党の議席数になったが、圧倒的な自民の数に比べて非常にマイナーであると感じられる様に報道されている立憲民主党。

ここに、投票した人は立憲主義をちゃんと行う国になって欲しいという思いで投票しているのだと思うのですが、選挙結果を数字で見てみると、73の小選挙区に候補を立てて(つまり73人立てて)、当選 28人(38%)、次点 37人(51%)、3位以下 8人(11%)となっています。

組織票支援や世襲地盤が余りない候補者が多かったと思いますが、立候補した候補者の89%が1位か2位の得票数を各選挙区で得たという事になります。

立憲民主党の候補者が居た選挙区では、多くの割合の人がその候補者に投票したという事。

小選挙区制は、組織票の多い人がどうしても当選していく確率が高くなる制度ですので、自民公明の議席数が多くなるのは、投票率が低ければ当たリ前です。

でも、民意は議席数で見るのではなく、投票数で見る必要があります。そういう意味では、立憲主義に戻したいと考えている国民の割合は相当高い事になります。


報道や記事を受け身で見聞きして受け売りするのではなく、身近な事実を確認していく必要がありそうです。

私は、TVニュースも、新聞も、ネットニュースや記事も、意見や解説の部分は全て疑いの眼で見るという事をこの数年の基本スタンスにしています。

残念ですが、そういう時代になってしまいましたね。

2017年10月14日土曜日

【本】羽根泰正の中国流で勝つ  羽根泰正 NHK出版 

囲碁の初学者の私にとって、中国流の布石は変化が多くて難しそうという想いと、カッコ良さそうという憧れが混じっていました。

でも、この本に出合って、本当に面白ろそう。ぜひ打ってみないと思えるようになりました。

この2ヶ月ぐらい。黒番の時は必ずこの高中国流で打つようにしています。

羽根さんの考え方に従って打つと、とても打ち易く、勝率も良いです。

中国流の本は何冊か読んだ事がありますが、色々な変化を紹介するというのが多くて、小手先の技を覚えていくというイメージがありました。

でも、羽根さんの中国流は、戦い方の戦略と割り切りが、本当にシンプル&ブレないのでとても分かりやすいです。

プロの棋士も、こういう考え方で挑戦しているんだという事を知れてとても面白かった。

羽根さんの強さは、布石だけではなく、中盤以降の攻めの上手さが光っていますが、その土俵に持ち込む為の羽根流中国流布石というつながりがとても良く理解できます。

布石を勉強したいと思っている囲碁の初心者の方に、とてもお勧めの一冊です。

2017年10月9日月曜日

【日本人の風習】通勤電車への乗り込み方

今まで何十年も朝の混んでいる電車に乗って来ました。

混んだ電車の乗り方は、皆さん各々のノウハウがあるのだと思います。

どのドアを狙うか、何処まで中に入り込んで立つか、吊り輪(最近は△が多いですが)はどう掴まるか、途中で降りそうな人をどう見つけるか、痴漢を間違われない様にするにはどうするか、座っていて席を代わる時はどうやるか、、等々。

今日はホームに並んで、電車に乗る時にどうしたら早く乗れるかについてです。

最近の電車へ、乗客の年齢層が上がってきていて座りたいのと、若い人もスペースを確保してスマホいじりたい、、等で、ドアが開いて乗り込む時に熾烈な先陣争いみたいな殺気立ったムードを感じる時が良くあります。

ドアが開いて電車から降りようとすると、ドアの両側で隙あらば今にも乗り込みたい気満々で中に向かっているホーム側の人が居て、ドアを通り抜けられる幅(空間)が1.5人ぐらいに狭められてしまい、降りる人がなかなか降りられない。
そして、まだ数人が降りる人が電車内にいるのに、その脇をすり抜けて乗り込もうとする人を多く見ます。

一歩でも早く中に乗り込んで、有利な位置を確保しようという自己中心的行動ですね。

その気持ち分かるのですが、実はその行動は逆効果、非効率。

大抵 ホームの階段付近は電車から降りる人が多く集まりますが、そこのドアでこういう事をやっていると、そのドアから降りる人の時間がかかってしまい、一つ横のドアから乗り込み始めた人に、自分の狙っている位置まで侵略(?)されてしまいます。

早く電車に乗り込むには、早く降りる人を全部出してしまう事が必要です。

そこで、

その為には、降りる時のドア前の通行幅をしっかり2人づつ通れる様に開けてやること。

それを試す為に、私はホームで階段に一番近いドア位置で、ホームの先頭(一番ドアに近くなる)順番を確保しました。

そして、電車が入構して止まる寸前に、ドア口の反対側に立つ事になる人が動くよりも、一歩先に踏み出して、ドア横で通行幅をしっかり確保できる様に直角に立ちます。

そうすると、不思議な事に、反対側に立つ人も自然にそちらサイドも直角の姿勢で立ってくれます。
何も打ち合わせしていない、見ず知らずの人ですが、こちらの意図を読んでくれるのでしょうか。

2人づつ降りる人が出てくると、今までかかっていた全員が降りるまでの降車時間が明らかに短くなります。感覚的には、2/3ぐらいになるのではないでしょうか。

そうなると、変に降りる人の脇をすり抜けて乗り込まなくても、十分早く乗り始める事が出来ます。隣のドア(降車人数が少ない)よりも早い。

この実験を、ほぼ3週間 やってみました。

驚くことに100%成功。

毎日、混んだ電車に乗り降りする人で、ホームの列の先頭に立てる機会のある人には、ぜひお勧めの方法です。 お試しあれ。

2017年9月16日土曜日

【美味しいもの】納豆に何まぜる?

納豆。ずっと愛してやまない相棒です。

衛生状態の悪い時でも、納豆を食べていれば大丈夫。O157も納豆を食べれば、納豆の繁殖力に負けて脅威にならないとか。

毎朝 1パック 食べています。

パックについて来ているタレを入れて混ぜる。
最後にカラシもいれて軽く混ぜてご飯にかける。

これが、ずっとこの数十年やってきた食べ方でした。
多分、そういう人が多いのでは?

子供の頃は、お袋はネギを入れてくれたりした事を思い出しました。

少し前のNHK「試してガッテン」で糸を引かせない食べ方として、お酢を入れるというのがありました。

早速やってみたら、それはそれで美味しい。家族はそれ以来お酢を入れて食べている様です。

でも私は別の方法にはまっています。

それは、甘酒を入れるというもの。

良く混ぜて糸を引いた納豆に、発酵させて作った甘酒をスプーン2~3杯入れて、混ぜる。

甘酒を入れると、甘みが付くのは当たり前ですが、大豆の食感もソフトになり、あの独特の匂いも消える様に思います。

一度、甘酒入れを試した後は、ずっと毎日そのやり方をもう数ヶ月続けています。これを味わってしまうと、カラシとタレを入れた納豆を食べた時は、刺激が強すぎ&辛すぎで、大豆の本来の味が味わえないな、、 と感じてしまいます。

ここで言っている甘酒は、アルコール飲料の甘酒(酒粕から作る)ではなく、米から作るノンアルコールの甘酒の方です。

甘酒を入手できる方には、ぜひ お勧めの食べ方です。

2017年9月6日水曜日

【日本人の風習】そんなに、閉まるボタンを押したいのか?

会社のエレベータは大きな籠で、動きがゆっくり目なのですが、相乗りすると殆どの人がボタン前に張り付きたがります。

そんな所に立たれたら、後から入って来る人が目的階のボタンを押しずらいのに。

そして、可能な限り早くトビラと閉めようと 閉ボタンを押そうとします。
何回も押す人もいます。

それだけで飽き足らずに、自分が下りる時に閉ボタンを最後っ屁の様に押して降りる人も何人もいます。

本人たちは、「素早く、合理的な動きをしている」「他の人も為の親切心」というつもりかもしれません。

私は、閉ボタンを押すことは殆どありません。
一番最初に籠に入っても、自分の目的階のボタンを押したらサッサと籠の奥に移動します。

開ボタンは押すことはします。乗り損ねそうな人がいた時は、ドアを開けて乗れるようにします。

その人は、明らかに乗りたいと接近してきているのですから。

エレベータのドアは何もしないと、ある短い時間で自動的に閉まります。それが待てないほど焦って生活している人がそんなに多いのでしょうか?

焦っている人が閉ボタンを押すことは理解できますが、あとは私一人しか載っていないのに、最後っ屁の様に閉ボタンを押して降りる人には、私は「余計なお世話だ」と思えてなりません。

皆が皆 焦って乗り降りしたいと思い込んでいるのでしょうか?

閉ボタンを押す人を見ると(殆ど毎回見ますが)、なんとなく「時間貧乏な人」という印象を持ってしまいます。

私の感覚は、日本人には珍しいのかもしれませんが、海外では こんなに閉ボタンを押す人をあまり見ません。

一度、閉ボタンを押さない という事をやってみると少し違った世界が見えてくるかもしれませんよ。

【美味しいもの】カールズ Jr. ハンバーガー

仕事の外出で、お昼を秋葉原で食べる事になりました。
ずっと、気になっていたカールズ Jrに行きました。

40年前の学生時代、40日程アメリカ旅行をしました。

前半は先輩と一緒にレンタカーを借りてカリフォルニアからテキサスまでアメリカ大陸横断気分で往復。毎日、日が暮れた時に通りかかった町のモーテルに泊まって旅をするというような感じでした。
当時は、日本人を初めて見たといわれた町などもありました。ホームステイもさせてもらいました。

後半は、一人でバスなども使ってカリフォルニアからシアトルまで西海岸を縦に走破。良い思い出でした。

ロスアンゼルスやサンディエゴは大好きな街になりました。

そんなLAで夕食に、カールズ Jrのスーパースターというハンバーガーを一個食べていました。

とても大きなハンバーガーで、あの当時の胃袋でも、1個食べれば十分満足できる量。
しかも美味しい。という記憶がありました。

多分 5~6晩の夕食はスーパースターだった気がします。

その後、ずっと気になっていたのですが、食べられる機会がありませんでした。

でも、数年前に日本に1店だけ秋葉原にお店を出したと聞きました。

やっと、やっと 訪れる事ができました。
お店はアメリカンテイストで、お客さんも米人が多い感じ。

ハンバーガーの種類も沢山あるのですが、スーパースターもちゃんと載っていました。

でも、注文する時に 思わずひるんでしまいスーパースターよりも小さいバーガーを頼んでしまいました。

でも、一口食べたら、この旨さだ! と40年前の記憶が鮮やかに蘇りました。

又、食べても食べても、まだまだある。というボリューム。

すっかり、満足できました。

次回はかなりお腹を空かせてから行ってスーパースターに挑戦したいと思います。

2017年7月31日月曜日

【本】いきものがたり 水野良樹 小学館

いきものがかりリーダーの水野さんから見たいきものがかりの辿ってきた道程。

「いきものがかり」は私の好きなグループです。
なんとなく懐かしく感じるメロディや、我々世代でも理解できる歌が多数。

コンサートのビデオを見ても、楽しめる。
本当に老若男女に受け入れられているグループだと思います。

私がちゃんと彼らを認識したのは、紅白での”帰りたくなったよ”を見た時。
そこからのファンですので、かなり遅れて来たファンですね。


最初は 吉岡さんの歌声が、感情がこもっていない平板な歌い方と思ったりしていましたが、なじんで来ると、曲毎に歌い方を変えて伝えようとしているという事が良く分かるようになりました。

世間のパフォーマンスや過剰な感情表現をするものにばかり接していたので、すぐには分からなかったのですね。

小田急線沿線ミュージシャンというのも親近感がわく理由かもしれません。

今年、放牧宣言をして休止中ですが、ベスト盤アルバムのHPには、そこに入っている各曲の当時のプロモ動画もリンクされていて、それを見て彼らの曲を色々研究中できます。

すみません。肝心のこの本についてです。

彼らのオリジンと、その後の駆け上がっていく姿、苦しんで、それを超えて、成長していく姿を、当事者ならではの生生しい語りで教えてくれます。

良く芸能人が出す、ゴーストライターが書いた本、ではなく本人が、生で書いた物としての迫力があります。

彼ら3人は、本当に運命共同体の戦友なんだという事が良くわかります。
誰が欠けてもいきものがかりでは無くなる。

各曲がどうして、生まれてきたのか、何を伝えたかったのか。各人はどうプロフェッショナル化して責任を果たそうとしているのか。等 
彼ら3人が本当に身近な知り合いの様な気になってきました。

彼らを見ていて感じるのは、色々考えながら、でも、とてもまじめに生きていこうとしている素直な姿勢です。

有名になって、周りの人からの接し方もどんどん変わってきているはずですが、いつも自分を見失わないで、自分達の信じる事や、一人の人として感じる事を大事にしているのだと思いました。

この放牧期間は、きっと彼ら一人一人に新しい気づきと想いを与えてくれるのだと思います。

成長して帰って来る日が楽しみです。

2017年7月27日木曜日

【本】遺伝子も腸の言いなり2 藤田紘一郎 三五館

*環境と遺伝子のただならぬ関係

・ガンの不安を抱えて生きるか、健康な身体にメスを入れるのか

ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳ガン発症を回避する為に両方の乳房の乳腺を切除する手術を受けたと告白手記を載せました。
このニュースで、日本の医学界はすぐに反応し、翌日の新聞では「乳房予防切除」を行える病院のリストをいち早く発表しました。
しかし、この様な手術は本当に「ガンの予防」なのでしょうか。
この論法だと、「ガンの完全な予防」は人体の主要な臓器をすべて取り除くことになってしまいます。

私(著者)は、ガンになりやすい遺伝子を持っていて、将来ガンになる確率が高いからといって正常な組織を摘出してしまうことには賛成できません。それには理由があります。

それは、遺伝子は親から受け継いだものだけを一生持ち続けるのではなく、環境によってある程度は、遺伝子の振る舞いを変えられる事がはっきりしているからです。

「遺伝子の振る舞いを後天的に変え、病気を予防する」。
これが私達にとって、自分自身で健康寿命を延ばすことのできる、画期的な方法となるはずです。


・セントラルドクマ説だけでは説明ができない

遺伝子が同じクローンマウスでも尾の形が異なったり、一卵性双生児やクローン動物、挿し木などでも環境によって個体差が生じます。

又、1960年代にハワード・テミンは、遺伝情報はRNAから逆向きにも流れ、DNAの情報が逆転写酵素の働きで上書きされる事を証明しました。
エイズウイルスの感染もこの逆転写酵素を用いて、感染細胞のDNAを乗っ取る事で完成するのです。


・ヒトゲノム解析でわかってきたこと

ヒトとチンパンジーでは98.8%のゲノムは同じでたった1.2%の遺伝子の違いしかありません。
近年の研究によって、生命のあり方をコントロールしているのは「環境からの信号」であることが大きいと分かってきています。
この信号を元に、転写因子と呼ばれる調節タンパク質によってコントロールされ、遺伝子が活性化したり、不活性になったりする、つまり遺伝子のスイッチがオン・オフされるということで説明できるのです。
最近注目されている「エピジェネティクス」(後天的遺伝子制御変化)がそれです。


・遺伝子の水平移動

遺伝子の水平移動は起こります。この事を考慮する事なく、遺伝子組み合え農作物を環境に導入すれば、どんな重大な結果を招くのか、モンサント社(世界の遺伝子組み換え食物市場の90%を誇るアグロバイオ企業)もそれを許しているアメリカも認識していないとは思えません。

実際に人間が手を加えた遺伝子が環境に広がり、他の生物の遺伝子にも変化を及ぼしているということが現実に起こっています。
例えば、遺伝子組み換えナタネからハマダイコンへの遺伝子拡散や、大豆とツルマメの交雑が指摘されています。
除草剤耐性を持つ遺伝子組み換え作物の摂取で、腸内細菌にその耐性遺伝子が伝播することが明らかになっています。

トウモロコシは大増産されて、牛の飼料にも使われていますが、もともと草を食べていた牛の胃はトウモロコシを消化しようとして酸性になります。
O-157は牛の中性の胃の中で穏やかに暮らしていたのが、酸性の環境に耐えられる様な遺伝子を獲得し、ベロ毒素を作る様に進化したのです。病原性大腸菌O-157が騒がれだしたのはこの20年程です。
牛に無理やりトウモロコシを食べさせた人間により出現したのです。


・日本人が取り入れた「海藻を消化する遺伝子」

実は私達の腸の中に、日本人が誇るすごいものがいる事が分かっています。フランスの生物学研究所チームの調べでは、海藻を消化する酵素は日本人の腸内にのみ存在しているとの発表がありました。
日本人が長い間、習慣的に海藻を使った料理を食べて海洋微生物を摂取する事で、腸内に住むとされる細菌の一種が、海藻を消化する遺伝子を取り入れることが出来たのではないかと考えられています。

遺伝子は環境の影響を受けて変化しますし、種から種へ伝搬して変わっていくものなのです。
「それなら、自分の意志で環境を変えれば、遺伝子も変えられるの?」と思った方、じつはそのとおりです。あなたの健康や幸せは、あなた自身が運命を握っていて、良い環境をつくる努力が、そのまま遺伝子の変化に直結してくるのです。


*エピジェネティクスの可能性は無限だ。

エピはギリシャ語の「上の、別の、後から」という意味を持ち、本来の遺伝情報の「上につく別の遺伝情報」や「後で獲得した遺伝情報」という意味です。そして、エピジェネティクスによって変化した遺伝情報の事を「エピゲノム」(後天性遺伝情報)と呼びます。

環境によりDNAを変化させられるしくみの一つがメチル化です。DNAは4種類の塩基からなりますが、そのうちのシトシンにメチル基がつき、5-メチルシトシンになると、遺伝子のスイッチはオフ状態になって動かなくなります。

もう一つの仕組みは、DNAがまきついているタンパク質のヒストンのアセチル化です。

これら以外に、最近興味深いものが発表されました。
愛情が遺伝子を変化させているのではないかという実験です。
又、摂取する食べ物によっても、エピジェネティックな変化が起こることが報告されています。

80才以上の50人を対象に、20代の頃の環境を再現した場所を作り、そこに50日間住んでもらうと、老化度を測る「皮膚圧=肌のはり」が30%以上の人で20代と同様の皮膚圧に戻っていたとのこと。

私たち生物をコントロールしていえるのは遺伝子だけではなく、環境でもあるという事を述べてきました。
進化の方向も、生活環境や腸内環境、物事の受け止め方といった「環境」が決めるということです。

つまり、「腸が変われば考えが変わり、考えが変われば遺伝子が変わり、遺伝子が変われば運命が変わる。」と言えるかもしれません。




この本では、最後に 実践! 腸思考法として10個ポイントが書かれています。


自分で環境を変えて、遺伝子の発現を制御したら色々面白い 自分の可能性を開花させる事もできそうですね。。。。


【本】遺伝子も腸の言いなり1 藤田紘一郎 三五館

藤田さんは免疫の第一人者。腸内細菌関連など腸にまつわる啓蒙本やエッセイ本を沢山出されています。酢タマネギなどでも有名ですね。

だだ、この本は今まで読んできた腸内細菌叢や腸のリズム、寄生虫などとは違った、もっと根源的は? 内容の1冊です。

腸と脳、遺伝子とその使い方について述べられています。私には なんとなく感じていた事をハッキリ言いきってくれる目からウロコの内容でした。

驚いた点を記します。

*腸と脳

・「恐怖」と「恐怖に対する不安」は分けて考える必要がある。

「恐怖」は、車でスピードを出しすぎてカーブを曲がる時に感じるもの。

「恐怖に対する不安」は脳が勝手に作りだした架空のもので、失恋したらどうしようとか、もしも試験に落ちたらどうしよう、、など風評被害もそうだし、それをあおる事でビジネスにする保険業やサプリ業界なども沢山ある。


・腸の声を無視して暴走する脳

マウスの実験:無菌マウスと正常マウスを比べると、無菌マウスの方が不安を感じている行動が多くみられる。
本来恐れる必要のない物に恐怖を感じる。

例えば、腸はより多くてバランスの取れた腸内細菌叢を欲しがっているのに、それに反して脳は自分の快楽だけを優先して、清潔徹底をやらせて腸内細菌を減らすような環境を作り上げてしまう。
現在の日本は、栄養状態も衛生環境も良いハズなのに、年間で3万人もの自殺者を出している。
対して、戦前の日本は腸内細菌の保有数が現在よりはるかに多く、自殺者は少なかった。

<藤田先生の例はすぐに腸内細菌に行ってしまいますが、 身体に悪いと分かっていても深酒する。太ると分かっていても甘い物を食べてしまう。
ゲームなど与えられた娯楽だけやっていたらダメと分かっていてもやってしまう、、等身体に悪いと分かっていても、”今日だけは”と言いつつやってしまう事って沢山ありますね>

精神面で、腸内細菌が重要な役割を果たしている事は先に挙げた無菌マウスと正常マウスの比較実験をはじめ多くの研究でも明らかにされている。

脳は私達が素朴に感じることだけを存在するように思わせ、短絡的な判断を下してしまいがちです。
聞き間違いや意思疎通のすれ違いなどで、怒りを感じたり悲しくなったり、それが原因でケンカしたりということがよくありますが、それも脳の単純な判断のせいです。


・脳はいいかげんなやつ

脳だけで考えることはいかにいい加減かを知るために、例を挙げると、

・このガンは手術で助からない確率は10%です。
・このガンの手術で10人中9人が治癒しています。

この二つはよく考えると内容的には全く同じ事をいっているのですが、最初の言い方だと不安を感じ、二つ目の言い方だと少し安心します。
言い方によって脳が勝手に不安を感じてしまうのです。

いとも簡単な事で脳は騙されやすく、偏った考え方をしやすい事が分かります。
ちょっとした質問の仕方や言い方で、脳はステレオタイプな考え方をしてしまいがちです。

最近、心理学でも「相手をおもいどおりに操る方法」のような本が売れていますが、脳の盲点を突いた方法をうまく使えば、簡単に相手を誘導することもできてしまうのです。


・野生動物はなぜ太らないのか?

とても空腹にしているサルにいつもの4倍(400g)のふかし芋を与えると、当然サルはガツガツと芋を貪るように食べますが、いつもの分量(100g)程度を食べ終えると、後は芋に見抜きもしなくなりました。
しかし、また同じように空腹にさせた後、ハチミツとバターを加えて蒸した芋を与えると、400gを超えて際限なく芋を食べ続けたのです。

これは、人間と野生動物は同じような満腹中枢を持っているのに、どうして人間は肥満になり、野生動物は太らないのかを探るための実験でした。
自然に棲む野生動物が普段食べている餌は、甘い辛いの味付けはされていません。
そういう人工的な味付けのないものを食べている限り、満腹中枢は正常に働くのです。

本来は狩猟民族であり、新たに農耕民族となった私達日本人は、タンパク質の摂取量が極端に低くなりました。
その代わりに糖質を大量に摂取するようになり、徐々に糖質を消化する能力も増してきたのです。

それはちょうど、人間が家畜化されてきたことになります。私達は脳が欲するままに、人間の味覚を刺激する食費んを次々に開発しました。
そして、そうした食生活は本来、脳をコントロールするはずの腸を傷つけることになります。腸が疲弊し、結果的にそれが肥満を誘導したばかりでなく、脳の暴走を許してしまい、頭人間ばかりを作ってしまったというわけです。
つまり、家畜化した人類の食生活が脳の暴走を導いたのです。


・心の病気は脳でなく腸が癒す

生物の歴史を遡ると、もともとは腸だけで立派に生きてこられたのです。問題は脳を作った事です。
おかげで私達は、不安や怒りなどを感じるようになってしまいました。
なぜ、何でもない事で不安を感じ、それが連鎖的に膨らんでいたのだろうかと考えてみると、「脳が勝手な思考をめぐらすからであって、腸でじっくりと現実を観察して気づけばいいんだ」と実感しました。


・腸内細菌叢があなたを太らせる

高食物繊維・低カロリー食で育ったアフリカの子供の腸ではバクテロイデス門に属する細菌が優勢だったのに対して、低食物繊維・高カロリー食で育ったイタリアの子供では、フィルミクテス門に属する細菌が優勢。
フィルミクテス門は太った人の腸内に多く存在し、高カロリー食を摂取する事で死亡の吸収効率が最適の状態に分解し、腸壁はぐんぐん脂肪を吸収します。

ワシントン大の研究では、太ったマウスから採取した腸内細菌を別のマウスに植え付けたところ、普通の体格のマウスから採取した腸内細菌を植え付けた場合と比べて、同じ量の餌を食べているにも関わらず、肥満になりやすかった。


・不安感のやわらげ方

文明社会で生活していると、腸内細菌が減少してきます。
その減少した腸内細菌を増やす様に努力することで、不安を和らげることが出来るという研究報告が最近、相次いでみられるようになりました。
私達が感じる不安は、腸内環境を整える発酵食品を摂る事で減らせるのです。

2につづく

2017年7月26日水曜日

【本】国際メディア情報戦 高木徹 講談社現代新書

著者は「ドキュメント 戦争広告代理店」を書いた高木さん。

政治の世界で、PR情報を戦略的に使う事が重要になって来ている事を、数々の例で教えてくれます。

・ボスニア戦争
・アメリカ大統領選挙 オバマの勝利
・ビンラディンとアルカイダ
・アメリカの対テロ戦争
・さまようビンラディンの亡霊
・オリンピック招致 日本が持っている「資産」

そして、PRが殆ど出来ていない日本に於いて。
どうしていったら良いのかについて。

現代の戦争は、世界世論で倫理上正義と思わせた方が勝ち。
という冷徹な現実を見つめる必要がある。

とのこと。

今の日本の旧制思考の政府は、下手な見え見えの強権国内情報操作をやろうとしていますが、ちゃんと国民を見て、世界に対して戦略的行動をしかけていくという様な事は期待できないですね。

考え方の違う人材=世襲でない人 が、政治をしていく事が必要ですね。

2017年7月21日金曜日

【本】本能寺の変 431年目の真実 明智憲三郎 文芸社文庫

著者は明智光秀の子孫。
企業の情報システム分野の仕事をしていたが、その経験を活かして「歴史捜査」を展開し、通常の歴史研究とは一味違う 証拠からの理詰めの推理を展開している。

2013年12月が初版の文庫ですが、これが出た時は歴史家の間ではかなり注目を浴びたものらしいです。

学校の歴史や、大河ドラマで見る本能寺の前後や、その後の秀吉や家康の動きで、なんとなくしっくりこない部分を感じていましたが、この本の説は、ナルホドこういう事だったのかもしれないな、、一般の人が知っていると思っている「歴史」は「誰かに作られた歴史」というのはよく有りそうな事と感じました。

面白い説です。

なんとなく、しっくり来ていなかったのは、
・百戦錬磨だったはずの光秀が、勝つシナリオ無しで
 クーデターを起こすはずがないのでは?
・秀吉の中国大返しは、やはりとても無理のある行動に
 思える。特に、姫路城で全ての金を皆に分配したとい
 うのは、なぜ?
・そんなに信長に恩義を感じていた秀吉であるならば、
 その後に織田家に対する冷遇は異常。最初から明確
 なシナリオがあった様に思える。
・千利休の殺され方が、やはり不自然。
など。

この本の説では、これらにツジツマが合う。

いつでも、どの国でも 流布される歴史は そのまま信じるのは危険と思いますが、日本史にもそれがあってもおかしくありませんね。

面白い本です。歴史好き、戦国時代好きの方にはぜひ読んでもらいたい一冊です。

2017年7月16日日曜日

【娯楽 映画】忍びの国

映画 忍びの国 を見てきました。
忍者好きなのです。

アクション特撮として、少林サッカーを見た時ののようなバカバカしさと面白さを感じました。

ただハッピーエンドでなかったのが残念。
ハッピーエンドなら面白い娯楽映画と迷わずに言えたろうにと思います。

少し中途半端なシリアス感が残念。

嵐の大野さん含めて役者の方はは良い味出してます。
知念さんの役はちょっと内容不透明で可哀想。
大野さんはこういうトボケタ役にピッタリですね。

史実も意識するなら、この合戦後に伊賀者は家康の所に逃げ込んで庇護され、本能寺の変の時の伊賀越えや、後の安土城火つけで借りを返したという所まで描くと良いのにとも思いました。服部半蔵にも繋げられないかな。。

これは、続編で作ってもらえると良いのに。。

楽しい愉快作である事は、マチガイ無しですね。

2017年7月15日土曜日

【本】なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか(3) 伊藤剛 光文社新書

・戦争のイメージ
一般の人は、映画やドラマ、ニュース映像などにより刷り込みがされている。

刷り込み自体は、常識や定説という形で色々ある。例えば信長の本能寺の変。明智光秀の個人的恨みから、、という様なイメージがドラマや小説などから作られているが、実際は違ったのではという、現在歴史家の間で議論になっている事などもある。

戦争では、ユダヤ人虐殺の「シンドラーのリスト」、ベトナム戦争の「プラトーン」などの映画がヒットした。
これで、その戦争を知った人も多いだろう。

でも、これらの「作品」を作るには巨額の金がかかる。それを回収できるようなスジダテでないといけない。
世界に発信される多くの戦争映画は、巨大な資本によってバックアップされた物であり、私たちが抱く戦争のイメージというのは、それらによって形成される。実際はかなり偏っていると言わざるをえない。


実際の最近の戦争では、無人機の使用が増えている。操縦しているのは生身の人間だが、操縦場所は戦地から遠く離れたアメリカ国内の空軍基地にあり、そこでは無人機パイロット達がモニター画面を見つめながら、キーボードやコントローラを操作する事で爆撃が行われている。
無人機パイロット達の日常は、「毎朝、基地郊外にある自宅で家族と食事を済ませ、マイカーで出勤。
フライトスーツに着替えて屋内にあるリモート操縦席に乗り込む。数時間のアフガンの戦場での偵察や戦闘を繰り広げ、勤務が終われば、そのまま子供のサッカーの試合観戦に出かけたりする」
サイバー戦争も同様。
この様に戦争の実態は、どんどん変化している。それを我々は知っておく必要がある。

・正義と平和は両立しないことがある
既に始まっている戦争を和平合意に持っていくには。(紛争解決人の伊勢崎さんの話)
「そもそも和平合意をする時に、争っている双方が「平和の価値」を見出して自ら銃を置くなんていう事は絶対にない。平和構築はそんな生易しいものではない。
国を破壊し、大勢の人間を殺し、生きたまま手足を切断するような、単に殺害する以上に残酷な事までした戦争を終結させるものは何なのか。
それは、武器を手放す事でどんな利益を享受できるのかという「利害調整」です。
僕が担当した武装解除も、人を殺した兵士たちに「恩赦」を与えていく行為です。
アメリカを批判するのは勿論簡単ですが、一方で少しでも早く戦争を終結させる方法が他にあったのかと言われれば、確かに無かったのだと思います。しかし、あくまで「正義」を犠牲にして作った「平和」なのです。」

・平和経済
軍事産業による戦争経済はあるが、平和産業や平和経済というものはまだ無い。防衛ではない「戦争予防産業」を作る事が必要な時代にきている。

以上

【本】なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか(2) 伊藤剛 光文社新書

・メディアの言う「公正中立」はメディアの専門用語
保田裕之氏の著書では、【報道するという行為自体がすでに主観的ではあるのだが、商品(報道、ニュース)が売れる(広く受け入れられる)為には、「中立性、客観的」という加工を施さなければならないのだ。
つまり、「中立性、客観的」という単語は、文章作成や情報加工する上での”技術的な問題”であり、一般的な「平等・公平」というような意味とは異なり「メディアの専門用語」として理解すべきものなのである。】
メディアの言う客観性は、数学や物理で言うものと全く異なるもの。

・「大衆」から「群衆」への変化
 群衆の定義:
  過激に走りやすい、衝動的である。暗示に弱い。
  同一化する。服従する。など

 同一化
 「おかしいな」と首をかしげつつも、思わず正しい判断
 を捨て、「間違った多数者の判断」に同調していく。又は、
 社会的な権威を持った少数者に頼る。(医者や弁護士、
 科学者など)

 服従の心理 ーー有名なアイヒマン実験ーー
 「記憶と学習に関する研究」に参加するという事でやって
 きた人を2人ペアにして、白衣の教授が1人を先生役、もう
 一人を生徒役に任命する。各々別の部屋に分かれて、先生
 役から生徒役に問題を出し、回答させる。生徒役は電極に
 繋がれ、回答を間違えたら先生役が電流を流すスイッチを
 押す。電流は弱から”危険・過激な電流”まで30段階のス
 イッチがあり、だんだん増やしていく。スイッチを押され
 ると、ある強さからは生徒役の苦しむ声や「もうやめてくれ」
 という声が先生役に聞こえる。(実は生徒役は全てサクラ
 で、電極は付けずに、声だけ出して演技している)。スイ
 ッチを押すのを先生役がためらうと、教授に押すように
 言われる。 実験の結果、約6割の先生役の人間が”危険な
 最大値”までスイッチを押した。
 これは、以下の理由が考えられる。
 ①人は権威(白衣を着た教授)から与えられた役割を果た
  そうとする。
 ②(教授との)約束に対する「一貫性」を持とうとする。
 ③自分で決定したことではない。という気持ちを持つ。
 この実験で、一定の条件下では「普通の平凡な市民」でも
 冷酷で非人道的な行為を行う事が証明された。

ただ、4割の人は実験の途中で降りた。こういう行動が出来る人が増えれば、「多数の判断」にしていく事が出来ると信じたい。

・平和を教育する。
歴史の「共有化」  2007年 ドイツとフランスでお互いの高校で「共通歴史教科書」が使われることになった。キッカケは、ドイツ・フランス友好条約40周年に両国の約500人の高校生たちが、時代に合った教科書を作る様に政府に提案した事。
両国から歴史専門家が数名づつ選ばれて完成させた。ドイツ語版、フランス語版とも全く同じ内容で、”特にユダヤ人虐殺のホロコーストについては、ドイツの視点だけではなく、世界がどのようにこの出来事に向き合っているのかが詳細に示されているのだという。
共通教科書を使っているドイツ人生徒は次のような感想を述べている「フランス人のものの見方が分かるので、相手をより理解できるようになりました。
相手の考えを理解すれば、戦争はより起こりにくくなると思います。
この教科書で学ぶことで2度と戦争が起こらないようになる、とまでは断言できませんが、相手への理解が深まるのは確かです。」


ヨーロッパでは、現在EU全体の共通教科書の実現に向けた取り組みも始まっているという。
これが出来た背景には、政治レベルでの良好な関係構築への努力があった。
平和教育に於ける国家の役割というのは、「教育レベル」で国民に何かを学ばせるかを決めることではなく、他国との関係を構築する「外交レベル」の方がより重要な意味を持っている。

以下 3につづく。

【本】なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか(1) 伊藤剛 光文社新書

カバーの本文抜き書きには、”もしも、 目の前に「戦争」と「平和」と書かれた2つのカードが並べられたとして、「どちらを選びますか?」と問われたら、きっと多くの人が「平和」のカードを選ぶのではないだろうか。
にもかかわらず、世の中から「戦争」がなくなったことは一度もない。  
戦争を始めるのはたいてい権力者ではあるが、それを拡大させていくのは私たち大衆心理の影響も大きいと思うからだ。そこに難しい政治的な知識や判断はきっとはたらいていない。”とのこと。


この本を読んで、戦争と平和に関して色々な気づきを得る事が出来ました。 気になった点を紹介したいと思います。


・言葉に対するイメージ
グーグル画像検索をすると、「戦争」は誰でも同じ様な戦闘や武力の画像が出る。殆どの人が同じ様なイメージを持つ。
一方、「平和」では鳩やピースマーク(日本と世界ではマークが違う)などが、バラバラ出て統一的なイメージが無い。


・「積極的平和」
世界では、”戦争だけでなく貧困や搾取、差別などの構造的な暴力が亡くなった状態”を意味する。
英語ではPositive peace.安倍政権の「積極的平和」は、彼は英語ではProactive contributorto peaceと言っている。逐語訳では率先して平和に貢献する存在となるが、欧米の軍事ではProactiveは「先制攻撃」のニュアンスで使われる言葉。日本国内向けと、海外向けで言葉のマジックを使い与えるイメージを変えている。<言葉の悪用ですね>

・昔から「権力者は言葉を言い換える」ことをしている。
侵略→進出 全滅→玉砕 敗戦→終戦 占領軍→進駐軍
福島第1原発事故では、
事故→事象 汚染水→滞留水 老朽化→高経年化
PKO派遣では
兵站→後方支援

・「遺憾の意を表す」というのを良く聞くが、
辞書によると、「謝罪」の意味は全く含まれていない。
個人的に残念 と言っているだけ。

・権力者の法則ー戦争シナリオの作られ方
戦争プロパガンダの共通法則
①我々は戦争をしたくない
②しかし敵側が一方的に戦争を望んだ
③敵の指導者は悪魔の様な人間だ
④我々は領土や覇権のためではなく、偉大な使命の為に
 戦う
⑤我々も誤って犠牲を出すことがある。だが、敵はわざ
 と残虐行為におよんでいる
⑥敵は卑劣な兵器や戦略を用いている
⑦我々の受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大
⑧芸術家や知識人も正義の戦いを支持している
⑨我々の大義は神聖なものである
⑩この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である

・「ナイラの証言」
イラク戦争の時、クエート政府が大手PR会社に金を払い、全くの作り話「ナイラの証言」を作った。これにより、アメリカは戦争に入っていった。

・権力者とメディア
ラジオの登場で瞬時に情報が伝わる様になった。
ヒトラーはメディアの影響力に早くから注目。
まず全国民1人に1台のラジオ所有を目指して受信機の生産に力を入れた。それを安値で提供。首相になった当初からヒトラー政策の中心にあったのは経済政策。
 高速道路などの大規模公共事業
 「各家庭にフォルクスワーゲンを」自動車産業を促進

ヒトラー就任後に失業率は激減。GDPも右肩上がり、さらに「歓喜力行団」と呼ばれる国民に様々なレジャーを楽しませる組織を作り、客船による旅行やコンサートなどを安い値段で提供した。そうやって国民の圧倒的な支持を獲得していく中で、ナチスの思想を広めていった。
 ラジオでは「何度も同じフレーズを連呼」し国民の頭に刷り込んでいく。
右腕のゲッペルスは軍にもプロパガンダ部隊を作り、多くの戦場で映画クルーの様に撮影、編集して、自国の映画館で上映させた。ゲッペルスの表現手法は「娯楽と感動」こそが人々を国家的行動に駆り立てるというもの。

・戦争にPRという商売がある。
CNNやNYタイムズ、米3大ネットワークなど国際メディアにいかに自らの主張を取り上げてもらうかの戦いをしている。

・PRと広告の違い
広告はCMや看板などの広報場所の枠を売る。PRはこの「枠」を使わずに、世の中にも情報を届ける戦略を考える。
事実に反する「ねつ造」はしてはならないが、メディアのニュースバリューの基準に照らして「情報を切り出す」例えば、ボスニア戦争で「民族浄化」という言葉を作って、セルビア人=悪 というイメージを人々に固定した。

以下 2につづく

2017年6月25日日曜日

【心と身体・本】サブリミナル・インパクト 下條信輔 ちくま新書

この本の説明書きは「現代社会は過剰な刺激に満ちている。
直接快楽を刺激する音楽と映像。
絶え間なくメッセージを投げかけるメディアやコマーシャル。
それらは私たちの潜在脳に働きかけて、選択や意思決定にまで影を落とすが、私たちはそれを自覚しない。」というもの。

著者は現カリフォルニア工科大学の知覚心理学の教授。
心身体の関係を分かりやすく説明してくれると共に、その関係を使った人心操作(操縦?)がどう行われつつあるのかを教えてくれます。

騙されたくないですから、彼らの手口を知るのは良い防御方法でしょう。

この本は非常に盛り沢山な内容ですが、その一部を書いてみたいと思います。

・習うより馴れろ
新しい事を習う時、最初は色々な動きを意識して身体を細かく制御します。
それは前頭葉が感覚野、運動野、連合野を使って行うのですが、だんだん馴れるとそのプログラムが小脳に移されます。そうなると、考えなくとも出来る様になるとのこと。
つまり、潜在意識で対応できる様になります。

人間の行動の多くは実は潜在意識が行っているという事は他の本にも書かれていました。潜在意識は人間にとって非常に重要な存在です。

・消費者は自由か
広告はだんだんと潜在意識に刷り込む事を狙うものが増えている。
簡単なものは、何度も見せるという事で刷り込みの条件つけをしている。

又、最近はお勧め商法も流行っている。(ネットなどでは、あなた向きのお勧め!というのが山の様に出てきますよね。私はキライです)
ここで問題なのは、お勧め商品以外には目が行きにくくなってしまう、つまり選択肢がやんわりと(しかし現実的に)狭められている点。
売りたい側に都合の良いように選択肢を管理制御しています。

テレビや新聞・雑誌などの紙媒体では、広告と記事や番組の中身が混じらせるボーダーレス広告やインフォマーシャル、ドラマーシャルなどもどんどん増えてきています。

現代コマーシャルの戦略は、「狭める」「誘発する」「気づきにくくする」の3つ。
これにより、消費者が自らの自由意志で企業側の望む選択をしてくれるという構図が見事に成立するとの事。


・政治に於いて 無意識への働きかけ
政治でも大衆誘導が沢山行われています。

例えば、自衛隊の海外派遣という具体的な問題を考えてみると、政府が国民の同意を混乱なく、すみやかに取り付けたいと考えたとします。
あえて中身が曖昧なままでも、とりあえずの大義名分に大筋の合意だけ取りつけてしまう。
そうすれば、細部や具体的な法整備にも合意を得やすくなるかもしれません。
そこには「最初のコミットメントに愛して後の行動の首尾一貫性を保つ」という潜在心理のルールが働くからです。
又、最近の米国では、セキュリティ=国防=愛国という反応図式が政治的に使われています。
イスラム原理主義=テロリストというステレオタイプと相まって、ますます戦略的に利用されている観があるのです。
繰り返しタイミングよくこのチャンネルに働きかけられると、この「愛国」反応図式はますます人々の情動・認知過程に刷り込まれ、思考や批判が停止してしまう恐れもあります。

虚構の恐怖や危機を煽り立てて、それが1週間後に誤報だったと撤回されたとしても、恐怖心を潜在意に刷り込む事には1週間で十分で、これらの怪しげな発言や情報が訂正されても完全に記憶から消え失せる事はなく、世論に一定の持続的影響慮力をもってしまいます。

日本でも戦後の世論は、理想主義的な平和志向がきわめて根強かったはずです。
特に平和憲法の維持「ノイローゼ」と、国防、自衛隊の海外派遣などに対する「アレルギー」が、失言と訂正の繰り返しの中で、いつのまにか効果的に「治療」されてきた経緯も思い出されます。

メディアは簡単に印象操作をする事も出来る。
政府とつるんでさらに効果的にあおりたてるもことも。

・快適という名の制御
現代の「快適」という言葉は「さりげない制御」と同意なのではないか。
実際、若い世代の政治に対する態度や、コマーシャリズムに踊らされていつると知りつつ受け身の自由を謳歌する態度。そういう態度を見ていると、こう思わないではいられません。
かくのごとく、「自由」は「快適」に取って代わられつつあります。かつて盤石の重石だった自由が、希薄化し拡散していくのです。

以上

この本は2008年出版の本ですが、現実はこの本で警鐘している通りに、さらに加速して進んでいる様に思えます。

露骨にマスコミも含めて世論操作しようとしている安倍政権やトランプ政権。北朝鮮も同様ですね。
ネットビジネスもどんどんエスカレートしている様に思います。

自分が見て聞いている情報が、心理操作されているものかを絶えず気にしながら暮らさなければならない社会というのは、本当に悲しいものだと感じます。

【本】宇宙少年 野口聡一 講談社

少年向けの本ですが、宇宙に出た時のとても素敵な印象が書かれていますので、抜き書きしてみます。

以下 抜粋

宇宙船のハッチを開けて、初めて宇宙空間へ泳ぎ出た瞬間。僕を包んだのはそれまで感じたことのない静けさでした。

宇宙には空気がありません。
空気がなければ、音もしません。
そういうことは知識として知っているけど、実際に宇宙に行き、本物の無音を経験してみると、想像以上の驚きが走りました。

「ここは命が存在しない場所だ」。そんなふうに、僕の身体は感じました。
本能が危険を察知し、シグナルを発しているのが分かります。
宇宙服を着ているから大丈夫だとはわかっていても、本能は反応するんです。

「音がない」ということ、ただそれだけのことが、これほど鮮やかに感じられるとは!
予測したり想像したりすることと、体感することとの間には、じつに大きな開きがあるものなのだと思い知りらされました。

知っているつもりでいたけれど、本当には知らないこと。世の中にはそういうことが山ほどあります。

僕は宇宙飛行士として長い間訓練を積んできました。
宇宙で撮影された地球の写真ももちろん何枚も見てきました。
ですから地球が美しいということは、写真を通してよく知っていたはずでした。けれども宇宙に出て気が付きました。僕は知っている「つもり」だったのだと。

 広い宇宙にぽつんと浮かんでいる、宇宙服を着た僕。その僕に向き合うように、地球はありました。 大きくて、丸い地球。
ゆっくり回転し、青く、白く、輝いている。ここの生命があるんだ!と主張しているような、力強さを。

命の気配がしない宇宙空間のなかで、地球だけが大きく光り輝き、生きているよと訴えているのです。

そのとき僕と地球は、対等な1対1の存在でした。
地球を見つめている僕と同じように、地球もまた、宇宙のただなかにひとりで存在している。

「地球さん、こんにちは」。僕はそう呼びかけたくなりました。
地球は僕と同じ、ひとつの命だ。僕も地球も、同じように宇宙に浮かんでいる。
そう実感したら、地球が親しい友達のように思えました。

ふるさとも、思い出も、家族も友達も、なにもかもがあの地球のなかにあるんだ。
僕はそこで暮らし、そこで死ぬ。僕は間違いないく地球の一部だ。
命は地球で生まれ、地球に戻る、、、。


こんなこと、わざわざ宇宙に行かなくてもわかる人もいるでしょう。
でも僕は、宇宙に出てみなければわかなかった。

地球が「いきもの」であることや、同時に広大な宇宙のなかのひとつの「もの」であること。
そして自分自身も地球に属する小さな「いきもの」で、宇宙を構成するひとつの「もの」であること。

地球をひとつの生命体として感じ、こんなふうにいのちを実感するなんて。
それは、頭で理解するというより、感じてわかる、という体験でした。

以上

最近、ネットで調べて、「何でも分かったつもり」になってしまいがちな事を自分でも感じていたので、この野口さんのみずみずしい体験記は、忘れていた事を思い出させてくれた気がしました。

2017年6月20日火曜日

【本】ブラックホール・膨張宇宙・重力波 真貝寿明 光文社新書

この40年程の間でも、新しい知見や考え方が起こっているので、科学雑誌などは一般の人には馴染みの薄い用語が飛び交っています。

「ビッグバン」などは経済用語にも転用されたりしていますが、インフレーション宇宙とか、超紐理論や11次元世界とか、ボゾン、重力波などなど。

新聞の科学記事などで、断片的には聞きかじっていても、一貫した流れの中で、それらの言葉や現象がどうつながって来ているか、私には良く分かっていませんでした。

この本は、そういう流れをアインシュタインの学生時代から始めて相対性理論から一般相対性理論へ、量子力学と合わさって、それが宇宙の新しい考え方や、実験、発見にどうつながって行っているのかが、物理や天文に少し興味のある人にとっては、とても分かり易く書かれてあります。

アインシュタインがなぜ、相対性理論ではノーベル賞を取れなかったのかの理由も分かりました。
物理の世界では有名な人達が、どういう人物でどういう役回りをしていたのかという物理史としても面白い読み物です。

学校で習った物理の話から、現代の宇宙論へ一貫した流れをや内容を理解したい人にお勧めの一冊です。

この本が出た翌年に、実際に重力波が初めて観測されました。

2017年度から、日本のKagraという高感度の重力波検出システムも稼働を始めます。

次の数年で、宇宙の本質についてどんどん新しい事が分かってきそうです。

そういう意味では、今 この一冊を読んでおいて理解しておけば、次の数年で起こるだろう科学の進歩を内容を理解しながら見ていく事が出来そうです。

【科学】まだまだ人間の知らない事ばかり

大学の恩師に久しぶりにお会いする事ができました。
そこで又、刺激的なお話を聞きました。

大学時は物理学科で学んでいたのですが、今回恩師から突然「地球は回っていると思うか?太陽の方が回っていると思うか?」と聞かれました。

勿論、地動説です。と答えましたが、「どうしてそう思う?」と重ねて聞かれると、ケプラーの法則で、、とか実測値で証明されているから、、とか教科書で習った知識でしか答えられない事に気がつきました。実感はないですよね。

中世の科学者もバカではなかった。世界中の科学者が天動説を唱えていたのは、当時の自然に対する各種の測定データが、天動説で考えた方が良く説明できたからだ。とのこと。

その後、測定技術等が上がって来て地動説に有利なデータが揃う事で、皆の考え方が変わったとのこと。

これは、私にとってはちょっと衝撃的な話でした。

言われてみれば、そうだろうな、、と思うのですが、今まで私は何となく中世の学者達は宗教的な思い込みでデータを無視した科学的態度が出来ていなかったと勝手にイメージを作ってしまっていました。

自然は、まだまだ人間の知らない事が沢山あって、現代の学者達が これが科学的な事実だ と言っている事も、鵜呑みにしてはいけない。新しい実験や試みによって、常識が覆る事が今でも、これからも沢山起こるだろうとのこと。

例えば、

去年、今年と 計3回の重力波が初めて検出がされた。
重力波の存在が確認できたという事は、素晴らしいが、実はそこで観察された重力波は太陽の数十倍質量のブラックホール2個が合体する時のエネルギーによる事が分かった。

一昨年までの現代科学の常識では、恒星が最後にブラックホール化した時は、太陽の10倍程度の質量が限界というものだった。

宇宙が出来て、ビッグバンのあと星が出来て、星の中で核融合が進み鉄までの元素がだんだんと作られる。

そして、超新星になる時に鉄以上の元素が作られるという順番で進んできている。

現在の太陽や地球は第3世代と言われていて、沢山の重い元素を持っている。
その世代(金属元素を持つ)だと太陽の10倍程度の質量のブラックホールしか作れないというのが常識だった。
天体観測でもそれぐらいの物しか見つかっていない。(銀河中心の超巨大なブラックホール等は別物)

という事で、重力波で観測されたのは初世代の恒星(水素とヘリウムぐらいの元素しかない時代)から出来たブラックホールが初めて観測された。

こういう人類初体験の様な事は、まだまだ起こっていく。新しい事実が見つかる度に、沢山の仮説理論は破棄されて、新しい仮説が考えられて行く。

とのこと。

人類の科学技術はかなり進んでいるという思い込みは捨てないといけないようです。

いつでも、事実は常識よりも奇なり。 かな。

2017年6月17日土曜日

【本】意識をめぐる冒険 クリストフ・コッホ 岩波書店

著者は、米国でマサチューセッツ工科大学(MIT)と並ぶ理系の最高峰大学のカリフォルニア工科大学(CALTECH)の生物物理学科教授でアレン脳科学研究所所長のコッホ氏。

意識は脳のどういう仕組みで起こるのかを、探求中。

350ページを超えるボリュームのある本で、話も沢山の話題が書かれているので、要約というのは難しいのですが、へー と感じたポイントを書いてみます。

コッホ氏は意識はニューロン群の結びつきが意識を生むと予想しています。

人間の脳には、非常に沢山のニューロンがあり、それらが複雑にネットワークを作っているのですが、殆どが意識に登らないで活動をつかさどっている。

眼で見ている物、聞いている音が意識にのぼるとは限らない事は皆感じているはず。
でも、それらの情報は脳にはインプットされている。

脳やニューロンの仕組みを調べる中で、特定の有名人にだけ発火するニューロンもあることが分かった。
その有名人の写真や、絵、声などにしか発火しなく、名前を見ても発火する。

数学を趣味とするエンジニアには、ピタゴラスの定理で反応するニューロンが見つかった。

人間の大脳は左右に分かれていて、脳梁でつながっているが、脳梁が切れた場合、左右の大脳に別々に意識が生じる。
だから、自分の左手と右手でジャンケンすると本人にはコントロールできなくなる事があるとのこと。

脳幹や視床組織がわずかに損なわれても意識は永久に失われる。

自分による自由意志での決定。は、本当に意思で決定しているのか難しい問題。

意識の上で決定したと思った時よりも前に、脳内ではその決定結果に向けた動きが観測される。
脳が決定している事を後追いで、自分の意志で決定したと感じている主観的な感覚。

情報間のネットワークが複雑になれば、意識は自然に発生する可能性があるのでは、だから、機械などにも意識が生まれるのでは という考えている人もいる。

一方で、原子や分子などの微小単位にも意識があるのではという説も、、

などなど。

そういえば、誰かと話しをしていて、自分の思っている事と違う内容を口走っている自分を発見する事があります。
その時は、エー 自分(の身体)はそんな風に考えていたのか。。と思ってしまう。

この分野は、面白そうですが まだまだ常識が変化していきそうに思います。

身体と心の関係   まだまだ深そうです。

2017年6月11日日曜日

【囲碁】気持ち良く学べて、打てる所

囲碁を楽しみながら、学んで行ける良い所に巡り会えるのは幸せな事ですね。

囲碁はルールは単純ですが、奥が深いので自分の実力が少しずつ上がると、同じ教則本を読んでも、今までは気が付かなかった新しい発見を得る事が多いものです。

当然、上手い人に教えてもらえれば、本を読むよりももっと多くの気付きを効率良く得る事ができます。

私は全く囲碁を知らない状況から学び始めました。

初心者、級位者にとって、街の碁会所はとっても入りにくい場所です。
高段位者がたまっている感じで、級位者は邪魔になるだけなのではと思ってしまいます。

勇気を出して、入って行って席亭さんに打ってもらって、アドバイスも頂けるのですが、「ココはこうした方が良かった」という事は教えてもらえても、系統的に一貫性を持った教育はしてもらえません。
又、なかなか質問も出来ません。

教えるプロではありませんので、当然ではありますが。
又、小さい時から囲碁をやってきた人はセンスで打っていて、ロジックで手を説明できない事もある様です。

そういう意味では、初心者や級位者は路頭に迷ってしまいやすい、、というのは言い過ぎでしょうか。

こういう事が「囲碁はとっつき難い」という印象を与える一因になっているのでは。

系統的に学べて、いつでも質問できて、置き碁だけでなく、同レベルの人と互先で本気の実戦をする事もできる環境を見つけられればベストです。

そういう意味で、知り合いの囲碁教室は初心者、級位者に理想的な環境を提供してくれています。

新百合囲碁学園という所で、子供クラス、女性クラス、初段を狙っていく大人クラスがあります。
http://web-asao.jp/hp2/shinyuriigo/

教えてくれるのが、早稲田大学囲碁会の現役学生でアマチュア8-9段格の強豪。

大人クラスでは、年間カリキュラムに沿った講義1時間、指導碁1局、クラスメンバー間のガチンコ対戦1局を行います。月2回の開催。

通っているのは、強くなりたい女性、定年後の楽しみに囲碁を学び始めた人、子供や父と打ちたいと学び始めたばりばりの現役社会人。と様々。

講義で習った事や、本で自習した事を指導碁やガチンコ対局の中で試してみる事や。その中での質問をどんどん聞いていく事も出来るとのこと。

いつでも参加できる。というのも忙しい人に向いているようです。
小田急線沿線の人はラッキーですね。

新百合囲碁学園では時々「ゼロから始める囲碁講座」というセミナーも開催するとのこと。

全く囲碁を知らない人も、そこから入門する事ができますね。

こういうシロウトが気楽に学べる場が、色々な所に出来てくると良いのですが。そうすれば、もっと囲碁が普及すると思います。

2017年6月9日金曜日

【音楽】癒す力

この2週間ばかり、プライベートや仕事でストレスの溜まる事が続き、すっかり疲れた倦怠感を感じながら、帰宅の電車に乗っていました。

通常は、本を読んでいるのですが、今日は文字を追うのもシンドイ心境。

ふと、心地良い音楽が聴きたくなりました。

ユーチューブで心が思いつくままに選曲しました。

クリストファー クロスの「ニューヨーク シティセレナーデ」。

聴いているうちに、心身の重しがいつの間にか取れているのに気が付きました。

続いて、イングランド ダンとジョンフォードの「キープ ユア スマイル」。
乾いたサウンドが元気を引き出してくれました。

〆は、八代亜紀の「おんな港町」。
どうしてこの選曲になるのか自分でも分かりませんが、独特の絶妙な八代節に感動。

きっと、過去の自分の楽しい記憶と結びついている曲達だったのでしょう。

人それぞれに、こういう自己回復できる音楽がきっとありますね。

音楽の力。改めて見直しました。

2017年6月6日火曜日

【本】きずなと思いやりが日本をダメにする 長谷川眞理子 山岸俊夫 集英社インターナショナル

社会心理学者と進化生物学者の対談本です。

最初にこの本を読むと、世間知らずの学者が好きな事を言っている と思う人もいるかもしれません。
でも、読み返して見ると 実はそうだったのか と感じさせる内容の本です。

気になった点をいくつか書き出してみます。

・「おばあさん」がいるのは人間だけ。

ヒト以外の動物では、繁殖能力の無くなったメスはその時点で寿命を迎えるのが通例。

ヒトは脳が大きいので、小さい未熟児の内に産む必要がある。(本当なら妊娠期間3年が妥当らしい)

ヒトは未熟児の上に、成長に時間がかかる生き物で、子育てに非常に手間がかかるので、母親一人で育てる様には出来ていない。
「おばあさん」や社会を含めて共同繁殖をしていく生き物。

つまり、”母性が足りない”とか政治家が良く言うお説教は意味を持たない。もともと、ヒトの子育ては「母性だけでは全く足りない」のだから。

政治は説教ではなく、共同繁殖できる仕組みを作るべき。

海外では、妊婦に話しかけ、激励し、安心させる役割の人がいる事があり、その人が付くだけで正常分娩率が一桁良くなる。

・少子化の原因
ヒトの一生のエネルギー分配は「自己投資」「配偶者選択」「子育て」の3つに分けられ、現代は女性の活躍の場が増え、自由恋愛も理想の相手を探したいとなっている。
となると、「自己投資」「配偶者選択」にエネルギー分配が多くなり、「子育て」に振り向けるエネルギーは少なくなる。
又、「子供のペット化」も起こっている。

今の官僚、政府、政治家は「心でっかち」の話ばかりしている。スローガンや説教ばかりを言っていて、それで問題が解決する様な事を言う。

彼らがしなければならないのは、お説教ではなく制度設計。

1950-60年代は、日本人の出生率は4ぐらいあり、人口爆発になりそうだった。それを止めるために当時の官僚達は「移民の奨励」「2DK住宅の普及」を進めた。

団地で家電製品に囲まれて暮らすのが文化的と宣伝し、ブームを作ってあっという間に出生率は2へ下がった。

お説教ではなく、こういう制度設計で現実を変えていく事が必要。

・脳はコンピュータとは異なる。
良く脳をコンピュータに例えて、何にでも対応できる万能の物を様に言う人がいる。

でも、脳はヒトの臓器の一つで、進化の過程で当時のヒトの直面した課題への対応する能力を獲得して来ているだけで、万能ではない。

その脳には、進化の過程で埋め込まれている(プログラミングされている)事がある。

ー「心の理論」
 相手には自分と同じ様な心があると仮定してして
 つい考える。
 人間社会はこれにより”心の読み合い”をお互いに
 する事で一種の安定状態を得ている。

ー「共感する力」
 相手の痛みをついシミュレートしてしまう。
 だから、いくら怒っても相手を思いっきり殴れない。
(このプログラムが壊れている人も世の中にはいて、
 残忍な事を平気でしてしまう)

ー「利他行動」
 集団生活をする事で、ヒトは生き延びてきた動物な
 ので、互恵的な本能がある。
 同時に、裏切り者を探知する高感度の本能もある。
 裏切り者を見つけたら、集団から追い出す。

ー「他人の眼」
 他人が自分をどう思うか考えてしまう。
 他の人と相対的に考えたり、先を考えたりして
 しまうので、絶望したりする。
 チンパンジーは絶望しない。

ー「集団内の空気を悪くしたくないと考える」
 日本の文化は「和」ではなく、ネガティブな協調性
 で事を荒立てない。荒立てると損する環境にある。
 日本の社会は いい子 を強制される。ビクビク系文化。

 でも、文化は環境で変わる。終戦の時は、1日で皆の
 言う事、考え方がひっくり返った。

 それも分からずに、「気配り」は日本の文化伝統など
 と本気で信じている人がいる。

ーヒトが理屈抜きで守ろうとする道徳律 
 <すべし/するべからず>
   ケア/危害
   公正/欺瞞
   忠誠/背信
   権威/転覆
   神聖/堕落
   自由/抑圧
 以上が進化の過程で刷り込まれている道徳律。

 これに、グローバル化の現在は、
   平等/差別
 が必要になっている。
 
数百万年の間で生き延びて、進化してきた脳のままで、この短い期間で何もかも変わってしまった現代の環境を対応しているというのが現実の姿。

そこを、よく認識すべし。

という感じ。

ヒトには刷り込まれている心の動き方があり、それに動かされているという事を知りました。

言われてみれば、凶悪犯なども肉体的には大したことは無くとも、「残忍な事が平気で出来る」という事だけで、周りに恐怖を与えるという事を納得できました。
 

2017年5月27日土曜日

【自ら人体実験】ビタミンCのメガドースその後2

ビタCを飲み続けていて、新たに実感した事があったので、書いておきます。

もう夏?? と思わせる高い気温の日々が始まりつつあります。

そうなると、冷房が至る所で動き出す。

先週、久しぶりに新幹線に片道4時間も乗る出張に出たのですが、そこで自分の身体の変化に気が付きました。

私は寒がりで、今までは夏でも長時間の新幹線に乗る時は上着が手放せませんでした。
いつも、人より1枚多く着込んでいる感じでした。

先週の出張時は、つい上着を忘れて家を出てしまいました。
その前日までは真夏日の様な気温だったのですが、その朝は気温も低く、新幹線の駅まで行く通勤電車に乗っている人はほぼ100%上着を着ていました。

これはヤバイかも、、と思いつつ、家に引き返す時間余裕が無いのでそのまま新幹線に乗ったのですが、意外と大丈夫という自分に気が付きました。

これは、今までの自分ではなくて、温度に対する抵抗力がついているという実感です。

寒暖に対する体温の調整能力が高くなっているという事でしょうか。

面白いものです。

2017年5月23日火曜日

【北朝鮮】原発とミサイル

北朝鮮のミサイル試射が本当に常態化しつつあると思います。

又、確実に制御と命中精度を上げてきているのも確かな様です。

核爆弾や核弾頭という言葉も沢山聞く様になりました。

安倍首相はサリンを弾頭につけて、、などという国民の恐怖心だけを煽り立てる事を言います。(サリン弾頭は軍事的には殆ど効果が無いというのが専門家の話の様です)

トランプ大統領は、核実験とICBMはレッドラインだ と線引きをしています。

一方で、日本では凍結されていた原発を再稼働させ始めました。

北朝鮮から見たら、トランプのレッドラインなど越えなくても、日本の原発を狙ったミサイルを多数打てば、原爆を落としたと同様の効果を日本に及ぼす事が可能になったと考えているのではないでしょうか?

原発再稼働は即止めて、核廃棄物や核燃料はトラブルに巻き込まれない保管に移す事が、国民を守るという行動になると思います。

防衛ミサイルをいくら拡充しても、全てのミサイルは迎撃できないのですから。

2017年5月20日土曜日

【定年再就職】見えてきた事

2月で定年を迎えました。

定年になって初めて実感した事が幾つかありました。

なってみて感じるのは、サラリーマンには転機であり、解放点であり、窮地でもあるという事。

今の世の中、年金が出るのはまだまだ先なのに、会社に再雇用で残ったとしても「ハイ あなたは来月から給料 ○分の1ね」と当たり前の様に言われてしまう。

社外で再就職しようとしても、シニアでは就職先の業種が本当に限られてしまい、どこに行っても再雇用とあまり変わらないか、それ以下の給与水準の提示しかない。

生活はどうする? 残りの人生はどうする?年金だ、税金だ、なんだかんだと一度に厄介な選択を沢山迫られる。

大変です。

私の場合は、基本モットーが「変化はチャンス」と考えているので、定年を機に残りの人生にに寄与して、自分としてもやりがいを感じられる新しい世界を切り開きたいと考えました。

ただ、定年の実感と焦りが出てきたのは、昨年の10月から。
あまりに、ボヤボヤしすぎていたのかもしれません。

自分の会社人生の履歴棚卸をして、書き出してみると、最初の7年ぐらいは品質関係の仕事、残りは商品企画とマーケティング、新規事業開拓などばかり。

リクルートやパソナ、産業雇用安定センターなどの相談員の人にも会いに行ってみると、「商品企画や新規事業の関係は、若い層しか求人ないですよ~」と一刀両断されてしまいます。
自分でも、もし新規事業を起こす時はきっと若者を集めるだろうなと思うので、そうなんだろうな、とある面納得。

私の場合、何十年もメーカーの仕事をしてきて、それなりに面白くはあったのですが、ずっと感じていたのは、もっと、ストレートに社会の為になる事を生きている証としてやってみたい。という気持ち。

そこで、難民や貧困層を支援するジャンルで仕事を探していきました。

国際支援をする国連の関連の仕事、JICA関連の仕事、私企業だけどそういう価値観で仕事をしている会社。などなど。

国際貢献に関しては、国際協力キャリアサイトへの登録やJICAの講演会等にも参加してみました。

国連関連の日本機関や、JICA、食料支援をビジネス化しようとしているベンチャーなどの職員募集に応募しました。

とにかく色々やってみて、就職応募に対する各組織の対応の仕方が本当にバラバラなのが良く分かりました。

キチンとした会社は、応募を受けた連絡と選考の合否の連絡をしてくれます。

この数年急上昇しているベンチャーのユーグレナ。
この会社は、高機能食品などで沢山名前を見る様になりました。
でも、会社の発足の狙いは、栄養満点のユーグレナを用いて、アジアの栄養不足児童を救いたいという事。

コンセプトに共感したので、応募してみました。
結果はNGだったのですが、その対応の良さには本当に感動しました。

応募受付連絡だけでなく、いつ頃選考が行われるのか、結果連絡も非常に丁寧です。
すっかりこの会社のファンになってしまいました。
こういう対応が出来る会社は、仕事の質も良いだろうと思いました。

逆に、ヒドイと思ったのは、国連活動に関連する日本の組織。私の好きな人物がその活動の日本大使をしているし、世界の困窮者に緊急支援をする重要な活動なのですが、その日本NPO法人は応募の受付連絡も結果連絡も何もありません。

JICAなどは募集時に、採用の時だけ結果連絡しますと明記されているので、納得は出来ます。

ですが、そのNPO法人の募集にはそういう前提は何も書いてありません。結果がどうなったのか?を質問メールしても全く返事もありません。

この組織は、国民から善意の募金を募る活動をしていますが、こういう不透明な仕事ぶりの組織には、私は今後はお金を託したくないと思いました。

組織により対応は様々で、その組織の体質がなんとなく分かる気がします。

私の再就職活動は、上記以外にスカウト系での話や、最近増えてきた派遣顧問の世界など色々と平行して展開していきました。

今後の20年ぐらいの間に、自分は何をしていきたいか。その為には、どう準備したら良いか、色々考えさせられます。

そんな事から、65歳以降は海外ボランティアにも行きやすい様に、QC検定の受験をしたりしました。

第2の人生は、自分で仕込んで作っていけばいいんだという当たり前の事が、やっと見えてきた気がします。

2017年4月22日土曜日

【資格】資格の品質が急上昇している QC検定2級

2月に定年となり、自分の経歴(入社後7年間品質管理の仕事をしていた)と関連付けられる資格として、3月にQC検定2級を受験しました。

この資格ならば、定年後に付け焼刃で取ったペーパー資格ではなく、実務経験もあるというスタンスで今後の就活等にアピールできるのではと考えたからです。


お蔭様で、昨日Web発表で合格を頂きました。

でも、あまりにドタバタ受験だったので、今後 受けられる方の為に、どういう事が起こったのかを記しておきます。



35年程前に、一度セミナーで勉強したことがある分野ですので、単語は覚えているのですが、特に統計分布や計算方法などはすっかり忘れていて殆どゼロからの再学習になってしまいました。

「お金をかけない」という基本方針で取り組もうとして、ブックオフにて360円で5年前の”2級直前実力テスト”なる本を買ってきて、休日に半分解いてみました。


何も復習をしていないにも関わらず、多分これで正解だろうという答えを選んでいったら、各章85%ぐらいの正解率でした。

これなら楽勝だろうと、すっかり安心してしまってその後放っておきました。

しかし、受験が近づいてきたので、試験3週間前に、一応 本屋で最新の問題集も買ってみました。(ラッキーにも、会社の補助金が使えました)

それを、解いてみたら、、、、、何と、ブックオフで買った古本とはダンチガイに難しくなっていて、全然解けません(特に統計手法)。


ヤバイと思い、日科技連の2級問題集(新しいもの)をもう1冊入手して、その2冊を平日の夜 少しずつ解いてみて、解けなかった所は、解答を見ながら自分用の参考ノートを作る作業を行っていきました。

ブックオフの中古本も含めて3冊を一通り解き終えたのは試験2日前です。復習する時間はありませんでした。


でも、やれる事はやったし、まあ大丈夫なのでは?という根拠の無い自信を持っていたのですが、試験前日の寝る直前に、問題集の最後の最後の所に実際の過去問が1回分載っている事に気が付きました。

その日はコンディションを整える為に、寝てしまい試験当日の朝、会場へ向かう電車の中でつり輪に掴まりながら、過去問を解いていきました。
駅についても解き終わらなかったのでコーヒーショップで続きを解きました。


感触としては、80%以上は正解できたかな。という事で、それは良かったのですが、問題量がこんなに多いという事をこの過去問で初めて知りました。時間との競争になると気がつきました。


会場に着くと、20-30代の人が多く、私の様な60才というシニアの人は誰もいません。


大学の教室での受験でしたので、入学試験の様に一人おきに座って机の上に時計と電卓、鉛筆を置いて時間を待ちます。

だんだん、緊張が高まってきます。


開始と同時に全問をパラパラと見て、答え易い問題から解く様にしました。


問題集等では、回答を○×で答える2択問題も多かったのですが、実際の試験は大問15-6問の内、2択はたったの1問。他は5択以上の問題ばかり。


周囲の人は一問目から解いている様で、1-2分のズレはありますが、そこここで同じ様な時間にページをめくる音がします。

私は違う問題から解き始めたので、周囲のページめくりの音に焦るという事はしないで済みました。


今回の統計手法は、問題集ではあまり出てこなかったカイ二乗分布を使うものが出て、テコズリました。勉強が手薄な所です。焦って、時間がどんどん無くなります。


あと1分で終了時間という時にも、まだ答えられていない問題があって、5問程は当てずっぽうでマークシートを埋めてしまいました。一応 埋め終わったと思って時計を見たら残り1秒。

でも眼を解答用紙に戻したら、大問1つ(枝問7問)をまるまるをスッポリ回答してしいない事に気が付きました。見落しです。

でもそこで、時間終了。

結局、時間を気にして焦ってしまい見直しも出来ずに、ケアレスミスを色々してしまった様です。やはり試験は怖い。


私の経験から、今後 QC検定を受けられる方へのアドバイスとしては、

①ケチって古い本は使うな。最新の問題集を使え。

②試験の時の時間配分と取り掛かる順番に気を付ける事。
 (事前に時間を測りながら過去問を解く事を5セット
  ぐらいしておけばコツが分かるのではと思います)

となります。


受験してから知ったのですが、QC検定 特に2級はここ数年で合格率が急速に落ちてきています。

2009年は合格率50%だったものが、2013年は40%、
2014年は30%、16年からは20%になっています。


これは、

・試験問題が以前より難しくなって(だから古本はカン
タンだった)いる事。内容は基本問題ではありますが。

・マグレや偶然を排除する問題形式に変えて来ている事。
(2択が殆ど無くなった事)

・合格判定点を本当に70%に上げてきているらしい。

という事の様に思えます。

主催者は、QC検定という資格自体の品質を向上させようとしているのでしょう。


QC検定の難易度についてネットや本屋での記述は以前の状況を前提に書かれているものが多く、簡単な部類として出ていますが、近年のQC検定は合格難易度はかなり高めの資格の一つにになってきているのではないでしょうか?


少なくともマジメに勉強しないと受からないと思います。


今回の受験を通して、QCから離れていた35年の間にISO9001シリーズが制定されていたり、シックスシグマや、品質工学などこの世界にも色々な波(トレンド)が起こったのだなと分かりました。


QCの考え方やアプローチの仕方は、どんな仕事にでも活用できる基礎力になると思います。

昔は日本のお家芸だったのですが、今は下火になってしまっている気がしますが、若い方は一度勉強しておいて損はしないジャンルだと思います。


受験される方は、頑張ってください。


私も、又 時間が出来たら1級にチャレンジするのも良いかと思っています。
実験計画法(直交実験など)もしっかり思い出したいので。

【本】暮らしを支える「熱」の科学 梶川武信 SBクリエイティブ

生活の中で、地味に活躍している熱に関する技術やしくみを分かりやすく解説している本です。

ヒートテックは、日頃 使っているのですがその仕組みを初めて知りました。

吸湿発熱繊維 という言葉で語られている様ですが、「吸湿発熱」という言葉は学校の物理で習った覚えがありません。

熱を出すのは、「断熱圧縮」とか、「凝集熱」という言葉は習った覚えがあります。
私は、ヒートテックは物理現象ではなく、化学的反応で発熱するのかとボンヤリ思っていました。しかし、違った。

ヒートテックは、3層構造(吸湿層、断熱・水の水路層、吸水・通気層)になっていて、皮膚から発散された汗の水蒸気を、生地(吸湿層)の中で凝縮して、そこで発生する凝集潜熱を皮膚のごく近くの断熱層に閉じ込めて、その熱を身体に密着することで熱伝導によって皮膚に暖かさを伝えます。凝集して液体になった水分は、毛細管現象を利用して熱伝導が良く通気性にすぐれた外側の層へ導き、外部の熱で水蒸気に変えて放出するとのこと。

もう一つの暖かい肌着の作り方は、半永久的に4-14μmの遠赤外線を放出する黒鉛ケイ石(グラファイトシリカ)と呼ばれる物質を0.3μ程度の大きさまで細かくして、それをポリエステル繊維に練り込んだ糸を作り生地にしたもので、これが成功したのが「あったか肌着」とのこと。

でした。

それ以外でも、熱にからむ生活を支える技術が一杯かかれています。

読み物としても面白かった。

2017年4月15日土曜日

【本】アルファ碁 vs イセドル ホンミンビョ・キムジノ 東京創元社

アルファ碁と戦ったイセドル九段の友人のホン九段が、この5番勝負を解説をしながらまじかに見た内容を碁の手の読みを含めて説明している。


人類の代表として戦うイセドル棋士の心の葛藤を教えてくれると同時に、アルファ碁との5番勝負を棋譜に従って数手ずつ、何が起こっていたのかを説明してくれます。


何よりも、人間とは違うAIはどう打ったのかが良く分かります。


読んだ感想としてアルファ碁は、人間ならば、攻められたら、その流れに対して順応するか抵抗するか、反撃するかになりますが、そうではなく、碁盤全体を見て打ちたい所(擬人化しすぎた表現ですが)に打つ事。


自分がこう打ったら、相手はこの様に受けてくるハズ。という従来からの囲碁感覚で考えていくと虚を突かれる感じになる様です。


5局中、第4局はイセドル氏の勝利になりました。
でも、解説によると、それを決定付けた1手があって、その1手はアルファ碁は打たれる確率が1万分の1と計算していた手だったとのこと。
それにより、その次の2手ぐらいはアルファ碁は変な判断をしているとのこと。
これが、状況を一変させる転機になりました。


しかし、その手は実はイセドル氏が読み間違えて打った手であった様です。
これが逆に、アルファ碁の虚を突きました。


印象としては、AIは超物知りの優等生という感じです(メチャクチャなボリュームの勉強をしているのですから、当然そうなりますよね!)。その優等生が、想定していなかった手に慌て乱れてしまったという事。


想定外を打っていく事で、AIに対しても攻めていく事が出来るのかもしれませんね。
囲碁は今まで以上に、創造力の勝負のゲームになりそうです。


人類を代表して戦った、イセドル氏には、本当にご苦労様でしたと言いたいです。


もうすぐ、アルファ碁がさらに進化して「マスター」と名を変えて、世界No.1の中国棋士と戦います。

一体、どの様な試合になるのか、楽しみです。


2017年4月14日金曜日

【音楽】イロトリドリ ゆず x いきものがかり

ゆずのデビュー20周年ベスト盤に、ゆずと関わりの深い後輩ミュージシャンとのコラボが入るとのこと。

昨日 いきものがかりとのコラボ「イロトリドリ」のMTVがユーチューブに公開されました。

それが、とてもイイ。

見るととても「楽しく、暖かく、優しく」なれます。

ゆずの声と吉岡さんの声と、良く合っていて元から一つのグループだったと言われても全く違和感なしです。

世間はキナ臭い状況が続いていますが、このMTVは「ホッと一息」つかせてくれるめっけもの。

こういうコラボがもっと増えると楽しいですね。

2017年4月9日日曜日

【ドラマ】NHK大河ファンタジー 精霊の守り人

精霊の守り人第2章が終わりました。

原作は読んでいないので、このドラマだけでしか知らない話なのですが、何となく第1章の初回を見始めたら、いつの間にか引き込まれて全部見ています。

俳優の方々が、各登場人物のキャラクターを皆 光らせていてすごいな。魅了されます。

主役のバルサは、第1章では強い戦士ですが、第2章では敵に傷を負わされて、殆どが手負い状態で強さを出し切れない場面が多いのですが、その代わり強い意志力、精悍さが良く伝わってきました。綾瀬はるかさんの殺陣もかなり凄みを増してきています。

新ヨゴ国帝は、得体が知れず、薄気味の悪い感じを上手く醸し出しています。

第2章で登場した真木よう子さん演じるシハナは、とにかくカッコ良いし、強さと哀しさがヒシヒシと伝わってくる様です。
本ドラマでピカ一のハマリ役なのではないでしょうか。

ヒュウゴ(鈴木亮平さん)も存在感がスゴイ。

お金も掛けているのでしょうが、本当に豪華な物語を見せてもらっていると感じます。

視聴率はかなり苦戦していると聞きます。
ストーリーが複雑だし、暗い面が多いのでお笑いや明るいラブストーリーが受ける最近のTVでは、とっつきにくいドラマなのでしょう。

でも、私は11月から始まる最終章を楽しみにしたいと思います。

2017年4月8日土曜日

【本】植物と話しがしたい 神津善行 講談社

作曲家の神津さんですが、それだけではなく早稲田大学理工学部の研究室と一緒に、「植物と音の関係」をずっと研究されているとの事。

日頃から私が、なんとなく気になっていた植物の知らない生き方について色々と調べておられていて、とても嬉しい、ナルホド、ビックリの本です。


まず、長年の研究と観察を踏まえて、神津さんは木は枝の根元には判断脳があるのではと感じられているそうです。

先週、桜が少し咲き始めた時に、街の桜の木を良く眺めてみました。
すると、確かに枝ごとに花を咲かせるか、まだ咲かせないかを判断している様に見えました。
咲かせている枝にも個性?があって、おずおずと数輪だけ咲かせている物もあれば、キップ良く枝の殆どの花を咲かせている枝もあります。その隣の枝は一輪も咲かせていないのに、、、

それを見て、この本は なかなかスルドイなと思いつつ、先を読みました。

研究で、生体電位測定法というもので植物の色々な所に電極を付けて電位波形を見る事をされているようです。
以下は、気になった部分の内容紹介です。

西洋音楽は12音階(ドレミなど)しかないのですが、自然はもともと無限音階。
無限音階は深い心とのつながりがある。

波の音を聞きながら読書をすると、本の内容に引き込まれると、波の音が聞こえなくなる。
内容に興味がなくなると自然と聞こえて来る。

植物の生体電位波形で、植物のリズムが聞こえてくる。

木は枝別に家族をなしている波形が取れる。
木の本体を本社とすると、枝は支店で、その先は営業所という感じ。

樹木が集団で林や森を形成すると、樹木の種類に関係なく、いくつかのグループを作る。隣の木でも違うグループに属している場合も多い。(グループ内は似たリズムを打つ)どのグループにも属していない木は育ちが悪い。

各グループにはボス的な木がある。その波形にグループ員は従っている。


玉ネギを庭に畑を作って5つの球根を植えると真ん中の玉ネギは、少し隣との間隔が狭い為に貧弱な成長になる。
電位の波形でもその個体だけ微弱な波になっており、他の4つはシンクロする大きな波形を示した。
同種植物を人工的に集団化すると、グループ集まりをしなくなると同時に個性のない植物に育つ傾向がみられる。


音。人間が聞こえる音の幅(周波数)の下使っているのが植物。上を使っているのが小動物。
カルガモのお母さんは、超高音の声で子供達を誘導して一列にならばせて連れて行く。


葉と根と茎の電位波形を見ると、元々発芽タネがあった所(地表より少し下の部分)からマスターパルスが出て、それに対する応答を葉や根がしている事が見えた。但し、この様な統一している指令部分の存在そのものが植物学会で否定されている。

マスターパルスを出している部位を切開して見ると、十数本調べたが常にその中心部に移動する白い細胞群が存在していた。これが、思考する細胞かどうかは著者には分からないが、この白い塊は移動するらしく、実体顕微鏡で見ている間にも場所を変えた。

植物にウイスキーの水割りを与えてみると、電位波形が時間と共にヨレヨレ(酩酊状態?)になった。色々な種類の植物で試しても同じ結果。
ただ、どれも1ヶ月後には枯れて死んでしまった。

黄金分割(61.8対38.2)は、自然では枝の出し方や花びらのつけ方など、沢山使われている。

モンゴルでは、数秒で子供が眠りにつく子守歌がある。5つの音を使った曲だが、それらの振動数差は黄金分割になっている。

西洋音楽でも、黄金分割を活用して曲を作った人がいる。ベーラ・バルトーク。
「弦楽のためのディヴェルテメント」を聞くと良い。

との事。

植物や自然の有様を知りたい方にお勧めの一冊です。

2017年4月4日火曜日

【本】アルファ碁はなぜ人間に勝てたのか 斉藤康己 ベスト新書

2016年にイ・セドル9段を4勝1敗で破り、世界中にAI旋風を起こしたアルファ碁はどうやって碁を打っているのかを説明してくれる本です。

シロウトが考えると、こういうゲームは超高速の計算機でシラミツブシに計算してしまえば良いのでは?と考えてしまいます。対称性などもあるので、機械的に全ての組み合わせを計算する必要はないのですが、計算しなければならない盤面の数は、

三目並べ    10の3乗
チェッカー   10の20乗
オセロ     10の28乗
チェス     10の47乗
将棋      10の70乗
囲碁(19路) 10の170乗
との事。(これを木検索と言います)

日本が誇るスーパーコンピュータ「京」で、宇宙が出来てからの150億年間ずっと計算しても、10の33乗ぐらいしか計算できないとの事。という事で、囲碁を木検索では物理的に解けません。

囲碁ソフトは色々な変遷があるのですが、モンテカルロ木検索という方法が登場して、実力がグンと上がりました。

簡単に言うと、盤面の点からランダムに打って、その後に終局までプレイして勝つか負けるかを見て、最初のにどの手を打つと勝つ確率が高いか評価しようというもの。

これは、殆ど碁の知識を持っていなくても計算できてしまいます。

9路盤での初手を計算してみると、天元とその周り8目ぐらいの所に、打つと勝つ確率が高そう事になったそうです。

一方で、ニューラルネットワークという人間の脳を模した認識手法も進化してきました。片方から入力して、何層かの伝達の末に出力になるのですが、そこで出力された答えと正解とのGapが小さくなるように、中間層での伝達事の重み付けを何度も調整していくという物。

中間層を多層にしたものを深層学習(ディープラーニング)と呼ばれます。
この学習をするには、沢山の正解出力の分かっている問題(入力)を用意してそれを元に微調整をしていく事が必要になります。

さらに、それの効率をアップしたのは中間層で一度 ノードの数を絞って、そこから又展開して正解との差を見るというやり方(自己符号化器)。これで非常に高い認識率を得る事ができる様になりました。

又 映像等を少しずつズラした情報から特徴点を抽出するという「畳み込み」というやり方で、少々のズレなどで影響されない認識特徴量を抽出する事ができるようになりました。(色々な写真からネコを認識できたという事で有名になりました。映像系認識には有力な手段になります)

アルファ碁ではこのニューラルネットとモンテカルロ木検索の両手法を組み合わせて作られています。

まずプロ棋士の棋譜8万1000と、KGSという有名なネット碁サイトで6段以上の人の棋譜8万6000から、”次の一手”のデータを各約1650万個集め、それを使って学習した有望な次の1手を教えるニューラルネット(ポリシーネットワーク)を持ちます。

もう一つ、モンテカルロ木検索から得られるであろう、局面の最終勝率がどれぐらいになるか学習したニューラルネット(バリューネットワーク)を持つ。

さらに、モンテカルロ木検索のプレイを先に進める時の次々の打ち手を生成する為の「ロールアウトポリシーネットワーク」というほぼポリシーネットに似た仕組みも持ちます。

ポリシーネットは正解付き問題で学習した後、過去の世代のポリシーネットと対戦を通じて強化学習で磨きをかけています。それらは50台のGPU(CPUの10倍の能力を持つ)を使って丸1日 128万局の対局をしました。

それらの対局から、ランダムに次の1手の3000万の局面データ(正解付き)を作り、それでバリューネットを学習させました。

アルファ碁は戦略や流れなど考えていません。毎回その時の盤面をパターン認識して同じアルゴリズムで「次の1手」を計算して探すという事しかしません。

毎回、ポリシーネットで次の1手の候補を出して、それをバリューネットで評価し、有望そうな手を終局までプレイしてみて、それらの結果最も高いスコア(勝率が高そう)を生む手を打ちます。

しかも、CPU 3000台分の分散処理計算パワーを使って持ち時間中に計算できる所までする。

アルファ碁に、どういう思想でそこに打ったのか?と聞いても答えられません。思想なくその時、その時の計算で打っているから。

但し、次の1手を学習した元データは人間の上級者の打った棋譜から作っているので、
アルファ碁の対戦相手は、「変な手を打たない」という感想を持つ事になります。

ちなみに日本のディープゼン碁も同じくニューラルネットとモンテカルロを組み合わせた物。ただし、CPU等はスタンドアロンなのでアルファ碁よりも圧倒的に非力です。

アルファ碁は自己対戦での強化学習等で、まだまだ強くなって行けます。

ただ、人間ならば、13路盤や21路盤なども柔軟に打っていけますが、アルファ碁ではプログラムの変更が必要だし、学習の元になる大量データもありません。

そういう面はAIの限界があります。
AIは怖い、AIに仕事を取られると考えるのではなく、AIを上手く使いこなそうと考えれば良いとの事です。

この本を読んで見て、アルファ碁の中で何が起こっているのか、どうして作りあげられたのかが良く分かりました。

もしかしたら、エリートデータで学習したアルファ碁は、ド素人の決して強い人は打たないような突拍子もない手には戸惑ってボロを出すかもしれないな、、と感じました。

逆に、アルファ碁が強いのは、強い人間の棋譜データを沢山飲み込んだからとも言えます。

アルファ碁と対戦するというのは、世界の強い人の全てを吸収した代表と打つという事になるのかもしれませんね。

2017年3月19日日曜日

【本】植物は<知性>をもっている ステファノ・マンクーゾ、アレッサンドラ・ヴィオラ NHK出版

著者はイタリア フィレンツェ大学農学部教授の植物学者です。

一般に、植物は動物と違って脳を持っていないので、知性があるとは思われていません。

それは、人間が動物の一種の為、動物の形が生物の基本という固定概念に囚われているから。

植物は、動物よりもずっと長い進化の歴史を持ってきている生物であり、より先輩で、進んでいると考えられる。

光合成が出来るので、自ら移動する必要がない定住民としての進化をしている。

例え、葉が食べられても大丈夫なように、動物とは違う発想で、全ての機能を各細胞に持たせるという構造を作り上げている。

「植物は動かない」という錯覚を人間は持ちやすいが、それは時間軸が違うから。

植物は20の感覚で思考する生命システム。

・視覚
光を感じる事が出来る。(ある学者は皮膚にレンズ効果を持たせて「見る」えているかもと言っている。)
光の質も量も見ている。光合成を行うエネルギー源なので、植物にとって光の質と量は一番重要。

赤色、遠赤外、青色、紫外と色々な波長を感じる。
沢山のセンサーをその身体に持っている。根にもある。
葉は光の方を向こうとし、根は光と反対へ行こうとする。

落葉樹は、寒さに晒される繊細な部部分を落として、冬は眠りにつく。「目をつぶる」

・嗅覚
植物は「におい」で周囲の情報を得たり、植物どうしや昆虫とのコミュニケーションをする。

「におい」は言葉にあたり、植物は必要に応じて色々な化学物質を体内で作る。

虫に葉を食べられ始めると、その周りの葉に有害物質を作ったりする。それでも止まらない時は、他の兄弟の木々に「におい」で警告し、植物体全体に有害物質を作ってしこんだりもする。

トマトなどは、数百メートル先にも届くほどの「におい」物質を放出する。

・味覚
根はグルメ。微量なミネラルを識別する力があり、有用な化学物質を探し回る。水も探す。的確に見つけ出す。

食肉植物(食虫だけでなく、動物も)は狩りをする。
ウツボカズラはネスミまで食べてしまう。

・触覚
オジギソウは有名。車に乗せて運ぶと、最初はその振動でオジギするが、何回もすると、それは虫の接触によるものではないと学習して、反応しなくなる。

根は石に当たると迂回する。ツルはつかまる所にとどくとしがみついて、巻き付く。

・聴覚
根で土中を伝わる音の振動(空中より土中の方が音は伝わりやすい)を聞いている。又、空中の音楽でもブドウでの実験で成熟の速さが変わる事が分かっている。低周波は発葉成長に良く、高周波は成長を抑制する。

根は音を発することもある。
重力検知、磁力検知、化学物質計測 もできる。

・体内ネットワーク
導管部、師管部を使って、電気信号、化学物質信号を伝えている。

どこか傷がつくと、大変だという信号が出て、植物の体内にある多数の情報処理センターが信号を制御処置する。
例えば、樹液を出して傷をカバーする等。

植物は空中に出される無数の化合物で会話する。

・シャイな樹冠
たとえ傍に生えていても、ある種の木は互いの樹冠が接触するのを避ける。
マツ科、ブナ科、フトモモ科。

松の木は、隣り合う木と決して触れあわず、互いの葉の間にわずかなスキマを残す。

・親族を見分ける
根や葉を使い、化学物質の交換で判定を行う。

実験で、同じ個体のタネ30粒を入れた容器と、互いに異なる母を持つタネ30個を入れた容器を作り栽培した。
異母のタネはテリトリーを独占しようと無数の根を伸ばし、他の植物に害を与え、栄養分と水を確実に自分だけのものにしようとした。
一方、兄弟タネの方は、狭い場所での共生なのに、根の数を抑え、地上部分の成長に力を注いだ。

・虫との関係
害虫が来たら、その害虫の天敵を呼ぶ化学物質を出して駆除、または予防する。

セックス(受粉)に虫を使う為に、花と蜜を用意する。
だだし、ズルイ植物もいて、ランの一種のオフリス・アピフェラはメスの蜂を完璧に真似した形、感触、フェロモンを出して、オスの蜂を騙して呼び寄せる。このオス蜂は花と交尾してしまう。
その間に沢山の花粉を浴びせられる。

タネをばら撒く為には、果実をつけて動物(人を含む)を呼び寄せる。

・根端はデータ処理センター
センシング、データ処理して根を伸ばしていく。
しかも無数の根と連携する。生きたインターネット構造。

以上が 一部の抜粋ですが、この本を読むと「あなたは、明日から植物を今までと同じ目で見る事はなくなる」こと間違いなしです。

実際、私も歩道を歩きながら、街路樹の立ち方のばらつきを見て、ああ、重力検知や、身体能力等は植物でも色々個体差があるなあ、、という見方をする様になりました。

木々の枝を見ていると、枝も電波等を感じたり、発信したりするアンテナの役目もしているかもしれないという気がしてきます。

2017年2月27日月曜日

【本】すごい畑のすごい土 杉山修一 幻冬舎新書

「木村さんの奇跡のリンゴ」は映画にもなりましたから、広く知られていますね。

自然栽培という方法で作ったリンゴで、置いておいても腐らずに枯れるだけ。という事も話題になりました。

著者は弘前大学農学生命科学部教授で、木村さんの畑は、なぜちゃんとリンゴが実るのかを調べた本です。

自然栽培というのは、通常の農薬や肥料を使う農法でも、有機農業とも違います。

木村さんのリンゴ畑は雑草が生い茂り、虫などの生物も普通のリンゴ畑(農薬を使う)の倍の種類がいます。


人類の人口増加に於いて、食料危機を救ったのは、「緑の革命」という新技術だった事は有名です。 
植物が成長する栄養分の化学肥料を人工的に与え、虫や病気にやられない様に合成農薬で殺予防、倒れにくいような品種を植える。
最近は、遺伝子操作で虫に食われにくい物質を持つ品種を作る。。など。

これで、収量が世界中で大幅に上がりました。
穀物だけでなく、野菜も、そして園芸の世界でも、肥料と農薬が普及しました。

有機栽培は、合成農薬や化学肥料という近代の化学技術を否定し、自然肥料と天敵などで作るという物。

一方、木村さんの自然栽培も化学肥料と合成農薬を使いません。そして、山の様な自然の状態に近づける事を心がけています。でも、「放置」ではありません。有機栽培と放置栽培の間に存在する狭い自然栽培という生物の力を活かした領域を開拓しました。

その謎は、

肥料を与えないのに、なぜ毎年実が成るのか?

それは肥料無しでも土の中の窒素量を維持できる生態系が出来ているから。

土中の微生物が、通常の土中の物よりも迅速に有機物を分解できるように活性化しているから。

害虫はなぜ姿を消したのか?

生態系の中で、バランスのネットワークが出来ていて、害虫が来ても、その天敵も沢山いる事でバランスが取れているとの事。

植物は、自分に害を与える虫が来ると揮発性物質や蜜なども使い、自分を守る虫を呼び寄せたりもする。


なぜ、病気にかかりにくいのか?

肥料を沢山与えた植物は病気になりやすい、(ひ弱)

木村リンゴ園では、病原菌を排除するのではなく、病原菌に耐性を持つ方法で病気に抵抗している。

植物免疫を高める事で、病気に負けない身体?を作る。まだメカニズムは分っていないが、全ての病気に対して効果を持つ「圃場抵抗性」で戦っているのは間違いなさそう。


この自然栽培はリンゴ以外でも試している人がおり、稲などでも効果が出てきている。

自然栽培は、まだ確立した技術ではなく、収量性が低く不安定という課題もあるが、安全で肥料や農薬のコストがいらないというメリットもある。

自然栽培が利用する「生物の力」「植物+土壌フィードバック」「生物間相互作用ネットワーク」「植物免疫」などは解明していかなければならない課題。

でも、ここに自らの熱意と能力を試す事ができる魅力的な分野がある。

この本を読んで「緑の革命」は西洋医学、自然栽培は自己免疫力を上げて健康を維持する。という関係によく似ている事が分かりました。

私のこの数年の生き方は、自然栽培の考え方とほぼ同じなんだと納得しました。

自然と共に、自然の力を活かして、、というやり方は手間はかかりますが、日本人には合っているのではないでしょうか。

目を開かされた様な気がした1冊でした。

2017年2月25日土曜日

【本】納豆の快楽 小泉武夫 講談社

著者の小泉さんは 醸造学・発酵学の大学教授。

納豆のメリットを生かして暮らしている方。

職業柄か、世界中を飛び歩いて食べて歩いていて、周りの人からは「味覚人飛行物体」と呼ばれている。

怪しい食べ物や、暴飲暴食もするのですが、一度たりとも旅行中に体調を崩したり、お腹を壊したりという事はない。

その秘訣は納豆。


醸造学の大家の恩師に、「小泉君、君はよくガツガツ食ってばかりいるけど、ちょっとおかしなやつを食って、ありゃ、これ食っちゃたけど大丈夫かな? 少し腐っていたんじゃないだろうか、なんて心配した時には、すぐに納豆食っておくといいよ。食中毒の防止には納豆、これですよ」と言われ、以来、どんな旅でも必ず納豆を持参して行き、ちょっと腐りかけたようなものを食った後は、意識して先生の金言通りに納豆を食べてきたら、一度も下痢や吐き気などせずに予防効果満点だったとのこと。

ラオスで生焼ウナギを食べた時、ベトナムで細菌に汚染されたスープを飲んだ時、ミャンマー、中国、カンボジア、パプアニューギニアアフリカ、南米など様々な所の秘境も大量の納豆を持参して大丈夫だった。


納豆菌と大腸菌を同じ培地に入れると、100%納豆菌の増殖力が勝って大腸菌を淘汰してしまう。

糸引き納豆は日本オリジナルの食品。

大豆が納豆になると、栄養素的にも大きくパワーアップする。タンパク質が分解されて美味しいアミノ酸ができる。

納豆の粘性物質はグルタミン酸がポリペプチドと結合し、果糖重合体が結合した物質。


それ以外に、塩辛納豆や甘納豆についても詳しい説明が。

この本を読めば、納豆好きはもっと好きに、納豆あまり食べていない人は見直す事になると思います。


尚、小泉さんのHPを見たら、

「日本の伝統食品である納豆を普段から良く食べる人は、ほとんど食べない人に比べて脳卒中で死亡するリスクが3割ほど低くなることが、岐阜大学の研究で明らかになりました。納豆に含まれている、血管が詰まるのを防ぐ作用がある酵素などが関係している可能性があるとみられています。」

とのこと。

効果が科学的に実証されつつある様です。

2017年2月3日金曜日

【自ら人体実験】ビタミンCのメガドース 1年以上

2015年の冬あたりから飲みだしたビタミンC。

今は 朝晩500mgをずっと続けています。
以前は1gづつ飲んでいたのですが、健康時人体が吸収できるのは数百mgとの事なのでムダを省く為に、半量にしました。

但し、周りで風邪気味の人がいたり、飲み会の時や、非常にストレスが多い時などは+500mgして飲みます。

安いビタCを飲んでいるので、1日10円もかかっていません。


1年以上飲み続けていますが、ビタCによる不調は感じた事がありません。

それまでは、毎年 インフルエンザのワクチンを打っていましたが、一昨年、昨年は打たずにいても、無事に過ごせました。

風邪も殆ど引きません。


もうビタCを飲む事は習慣化しているのですが、今でもすごい効果だなと感じる事は悪酔い予防効果です。

飲み会の前と、帰って寝る前に500㎎づつ+水を飲んでおくと、翌日にムカムカ感や頭痛などは殆ど無くなりました。

アセトアルデヒドが暴れるのを抑えてくれているのかなと思います。

但し、翌日になってもほろ酔い状態が残っている気はします。アルコールの分解速度が落ちるのでしょうか?
仕事に支障はきたさない程度ですが。

視点を変えれば、お酒を飲むと2日間酔いを楽しめる様になっておトクと言って良いのかもしれません。


ビタCを飲む習慣は今後も続行しようと思っています。

2017年1月29日日曜日

【本】無暖房・無冷房・無結露 究極断熱の家を作る さくら舎 山本順三   この本を読んでから建てよう 成工書房 山本順三

いつか書評を書こうと思っていた本です。でも、書き出すと長文になってしまうので躊躇していました。


本屋や図書館に行くと本当に、面白いと言うか混乱していると言うか、言いたい放題なコーナーがあります。


例えば、健康関係の所。

ある本は肉を食べましょうと主張するし、別の本は肉はダメ野菜を食べましょうと主張。ダイエットも、思いつく限りの色々なダイエット方法が咲き乱れている。

一体 どれを信じたら良いのか分からないという状態。多分、一つ一つの本で主張している方法は、ある前提条件を満たす人には有効なのでしょう。それを万能の様に謳う事で販売部数を上げようとするからこういう事になる。


住宅関連はもっとエグくて、快適やエコな住宅を作るには、この工法が一番。こういう断熱方法が良い。という本が沢山出ています。

それも、健康コーナーの本と違って、他の人の本の内容や、住宅メーカーの主張をこき下ろして、自分の方法が一番と言い合うという印象です。

これらは、著者が工務店主や地方のハウスビルダーだったり、建築資材を作っている会社の関係者だったり、ある工法を応援しいる(多分 金銭的な繋がりがある?)マスコミや研究者だったりする事が多いので、自分に有利な宣伝も狙ってという構図が多いからなのでしょう。


上手に書かれていて、表題につられて1-2冊を読んだ読者は、すっかりその主張を信じてしまい、xx信者の様になって数千万円の家を買ってしまう、、という事があるのではないかと思います。

又は、色々と読めば読むほど混乱してしまう。


私も、実家の建て替えをいつかするかも知れないと考えて、その手の本を図書館で借りて 沢山読みました。

専用のノートを作って、ナルホドとその時に思った部分をメモしていったりしました。 

図書館なので、少し古い本も置いてあり、結露をどうする?から始まって、高気密・高断熱だ、断熱でも外断熱だ、内断熱だ、両方だ、地下熱利用に微気候、エアサイクルにOMソーラー、無垢材に漆喰、耐震、免震、制震構造、ベアガラスにローeガラス、トリプルガラス、サッシ材質、2x4・木造軸組・RC等々、本当に色々な主張に翻弄されてしまいました。

結局、頭の中が疑問でイッパイになってしまい、実際に見に行って体験して、出来れば著者とも話をしてその実態を知るしか整理が出来ないと思い、コレは良いかもと思う所には出かけて行きました。

部分、部分を取ると、各々の人の主張には、納得できる所があります。又、本ではとても素晴らしそうに見えても、現場に行ってみると、実態はそうでもなかったり、本に書かれていないデメリットに気づいた事も多くありました。


この活動の中で、山本順三さんの本とも出会いました。


従来の冬の室内が寒い家や3-40年ぐらいしか持たない家を「獣宅」と呼んで批判している過激な表現の本です。

この人は工務店や資材屋というよりも断熱作業を請け負う業者の人。


この人の言っている事は、他の人が言っており、この時代で正解(政治的にも)と思われている「高気密・高断熱+強制換気 で健康エコ住宅を作る事が重要。」という考えからすると異質な理論、考え方です。


発想の原点は結露を止める。

その為には、断熱材+防湿材で水蒸気の移動を止めるのではなく、水蒸気が通過できる断熱材で壁を作る事で、結露を無くし、冬は暖房機、夏はクーラー無しでも暮らせる温度・湿度が極端に変動しない屋内空間を作る。

同時に、防音、シロアリ・ゴキブリを寄せ付けない、耐火性能も作る。さらに、通常の化学系断熱剤では、火災時に有毒ガスが発生する事があるが、それも発生させない。

(でも、それを実現するには、高度な施行技術が必要との事。)


山本さんのロジックを是として読むと、私の読んだ沢山の本の中で、唯一 矛盾を感じなかった本です。


でも、本の内容を鵜呑みには出来ないので、実際にこの工法で建てた体験館(山本さんが生活している自宅)を、夏の暑い時と、冬の寒い時に訪問しました。

確かに冬は無暖房で寒くなく、空気の清浄感が高い事、非常に静か、気持ちの良い家という事を実感しました。

夏は確かにクーラーはついていませんでしたが、扇風機は回しているので、日射制御はもう一工夫かなという印象はありましたが。

でも、山本さんが本で書いている事がほぼ実現されている印象でした。


山本さん、かなりのアイデアマン+Do it yourself を地で行く方で、様々な工夫を実験している事も良く分かりました。


勿論、この本の工法が万人にベストかどうかは分かりませんが、少なくとも私の価値観にはピッタリはまりました。

家を建てる時には、ぜひこの工法を前提に自分の工夫を加えていければと思っています。


家を建てよう、家が寒い、音がウルサイと思われている方には、一読をお勧めします。

2017年1月28日土曜日

【小さな違和感】「偉大な」

前から気になっていたのですが、バリーポッターなど、欧米本の翻訳を読んでいると「偉大な」という言葉が時々出てきます。


ハリーが組み分け帽子にかかるシーンで、「スリザリンに入れば間違いなく偉大になれる道が開かれる」となっていますし、宿敵 ヴォルデモートに対しても、どこかの箇所で偉大なという形容詞で語られている所があったと思います。


日本語の「偉大」は、”優れて立派な様”という意味で良い人や事に対して使われる単語だと思っているので、悪の権化に対しても「偉大」という言葉で訳されている事に小さな違和感を感じていました。


元の単語は多分greatなのでしょうが、”大変な人物”とか”大人物”というニュアンスの訳の方がぴったりするのでは?と思いました。


なんで、こんな事を突然 思ったかというと、最近のトランプ旋風を見ていて、彼の発言の周りには、この「偉大」が沢山出て来るだろうと感じたから。


本日の毎日新聞記事に、こう出ていました。

トランプ氏が10代に通った「ニューヨーク軍事アカデミー」の恩師は「何でも1番になりたいと思う生徒だった」と振り返る。
ニューヨーク市立大学のサンフォード・シュラム教授(政治学)は、「幼稚で、人々が自分を偉大だと思ってくれないとうそをつき、攻撃する。気質的に大統領に向いていない」と指摘している。

2017年1月5日木曜日

【世相?】今年は小さなビックリが沢山起きそう

この年末年始の1週間程の間に、幾つも小さな
私にとってのビックリニュースがありました。


ネット上の囲碁サイトに、次々と非常に強い謎の
棋士が登場。特に年始のMasterは、日・韓・中=世界
のNo.1プロ棋士を連覇。人間よりウンと強い事を
実証しました。
それが、AlphaGOの進化版だった事が本日発表。
囲碁棋士達は、強い相手が面白い。意気消沈という
よりも、色々と戦いたいという反応。


突然、Fordがメキシコ工場設立計画を白紙に戻して
米国工場で生産する事を発表。(これはトランプ
新大統領がらみである事は明確ですが)


本日、「いきものがかり」が10年目で突然グループ
活動を停止して、放牧に入る宣言。


年末年始から、訳のわからないアレルギー症状で
喉や鼻をやられる大人が続出(私も妻も)。
アレルゲンが何なのか不明。


年末にバレーの木村沙織選手が入籍していた
事を発表。(これは、公然の秘密でしたので、
ビックリというよりは、オメデトウ。)

などなど。


毎日 何かが起こる感じです。
本当に色々な事が起こる1年になりそうな
予感がします。1年後、世界は一体どうな
っているのだろうか??

2017年1月2日月曜日

【本】レンズマン シリーズ E.E.スミス(小西さん訳) 創元SF文庫

中学の時に読んで、大好きになって、
何度も読みました。

本当に、スケールが大きくて、銀河系を
超えるだけでなく、多次元宇宙も超えて
いく。しかも、物理科学を超える心の力
での戦い。何百万年もの時間にも跨る。

第2次大戦の前から終戦後にまたがって
書かれたスペースオペラの傑作です。


最近、図書館で借りて読み直しました。

今 読んでも全く古さを感じず(勿論
機械装置の描写などは古いですが)、
魅了されて4冊を一気に読んでしまい
ました。


子供の時には気が付きませんでしたが、
これを書いたEEスミスは、当時の世界
大戦の状況も反映して、銀河パトロール
隊に敵対するボスコーンは、当時のドイツ
日本 イタリアをイメージして書かれる
いるのでしょう。

痛快なストーリーですが、敵を殺す事
に何の躊躇もなく、敵の惑星(民間人
も住んでいるでしょう)を丸ごと破壊
する事も、当たり前の破壊として書か
れています。

当時のアメリカ人の考え方が垣間見え
る様な気がしますし、これを読んで
多くのアメリカの若者が、これこそ
正義だと考える様になって行ったの
ではと想像できます。


娯楽文学ですが、そういう時代背景
も含めて考えると、別の面の発見が
ありました。

尚、レンズマンシリーズは別の方の
翻訳で復刻版も出ていますが、私に
はどうしても小西さんの訳と眞鍋さ
んの挿絵でないと感じがでません。

刷り込まれているのですね。


痛快で面白いSFをとにかく読みた
い方に、絶対のお勧めです。

ちなみに、第1巻の題名は「銀河
パトロール隊」です。





【年賀状】ちょっと考える

今年も年賀状を出してしまいました。
しかも、大晦日にヤッツケでプリンタ印刷して。


毎年 自己嫌悪を感じます。


勿論、手書きで丹精込めて書かれた賀状を頂く
ととても嬉しいしのですが、それに応えられる
賀状をお送り出来ていないと感じます。

プリントの後に、せめて1行でも手書きをしよ
うと試みるのですが、文章の感性がなく、
ロクデモない事しか書けずに投函してしまう
事になってしまいます。


頂く賀状も、自分やご家族の近況を沢山書か
れたプリント式の物が多く、私と同様に、賀状
が「お手紙・通信」ではなく、一方通行の
「お知らせ・放送」になってしまっています。

さすがに、以前の様に子供の写真ばかりが
載っている物は殆ど無くなりましたが、
「我が家の幸せをお伝えします」とい
うスタイルが多い様に思えます。


又は、個人の心情や思いをビッシリ書いて
訴えようとする物もあります。

FaceBookも同じですが、一方的に自分の
幸せをアピールする個人メディアになって
来ているのでしょうか。


「今年こそ会いたいね」とか「飲もうぜ」
と書いても、結局 1年何もしない事が
多く、それを分かっていながら今年も書い
てしまうのが虚しい。


貴方とは今後殆ど関係しないけど、貴方の
事は覚えていますよ、、と伝えあうツール
に成り下げてしまったのでしょうか。

毎年 年末が近づくと「メールで十分なの
ではないか?」という想いが大きくなりま
すが、新しい事を考えるのは面倒だし、
今回までは賀状を出しておくか、、、という
悪循環になっている気がします。

今の若い層はメールだけで十分だと割り切
っている様です。


私の子供の頃は、イモ判など作ってクラス
メート同士で出し合って、お年玉番号が当
たった、ハズレたと大騒ぎしながら楽しん
だ記憶があります。

いつまでも、そういう記憶に縛られている
という事でしょうか。

こういう悩みを抱えている中高年は多い
のではないでしょうか?


ここに、何かビジネスチャンスがある気も
しますね。