2017年7月15日土曜日

【本】なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか(3) 伊藤剛 光文社新書

・戦争のイメージ
一般の人は、映画やドラマ、ニュース映像などにより刷り込みがされている。

刷り込み自体は、常識や定説という形で色々ある。例えば信長の本能寺の変。明智光秀の個人的恨みから、、という様なイメージがドラマや小説などから作られているが、実際は違ったのではという、現在歴史家の間で議論になっている事などもある。

戦争では、ユダヤ人虐殺の「シンドラーのリスト」、ベトナム戦争の「プラトーン」などの映画がヒットした。
これで、その戦争を知った人も多いだろう。

でも、これらの「作品」を作るには巨額の金がかかる。それを回収できるようなスジダテでないといけない。
世界に発信される多くの戦争映画は、巨大な資本によってバックアップされた物であり、私たちが抱く戦争のイメージというのは、それらによって形成される。実際はかなり偏っていると言わざるをえない。


実際の最近の戦争では、無人機の使用が増えている。操縦しているのは生身の人間だが、操縦場所は戦地から遠く離れたアメリカ国内の空軍基地にあり、そこでは無人機パイロット達がモニター画面を見つめながら、キーボードやコントローラを操作する事で爆撃が行われている。
無人機パイロット達の日常は、「毎朝、基地郊外にある自宅で家族と食事を済ませ、マイカーで出勤。
フライトスーツに着替えて屋内にあるリモート操縦席に乗り込む。数時間のアフガンの戦場での偵察や戦闘を繰り広げ、勤務が終われば、そのまま子供のサッカーの試合観戦に出かけたりする」
サイバー戦争も同様。
この様に戦争の実態は、どんどん変化している。それを我々は知っておく必要がある。

・正義と平和は両立しないことがある
既に始まっている戦争を和平合意に持っていくには。(紛争解決人の伊勢崎さんの話)
「そもそも和平合意をする時に、争っている双方が「平和の価値」を見出して自ら銃を置くなんていう事は絶対にない。平和構築はそんな生易しいものではない。
国を破壊し、大勢の人間を殺し、生きたまま手足を切断するような、単に殺害する以上に残酷な事までした戦争を終結させるものは何なのか。
それは、武器を手放す事でどんな利益を享受できるのかという「利害調整」です。
僕が担当した武装解除も、人を殺した兵士たちに「恩赦」を与えていく行為です。
アメリカを批判するのは勿論簡単ですが、一方で少しでも早く戦争を終結させる方法が他にあったのかと言われれば、確かに無かったのだと思います。しかし、あくまで「正義」を犠牲にして作った「平和」なのです。」

・平和経済
軍事産業による戦争経済はあるが、平和産業や平和経済というものはまだ無い。防衛ではない「戦争予防産業」を作る事が必要な時代にきている。

以上

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