2017年11月13日月曜日

【政治/本】日本はなぜ、「戦争ができる国になったのか」 矢部広治 集英社インターナショナル

「横田空域」という言葉は、どこかの記事で空域図を見た事があります。

日本列島の中央を太平洋から日本海まで横断する形で、東京、神奈川、埼玉、栃木、群馬、新潟、山梨、長野、静岡の上空の空は米軍の支配下に現在もあり、日本の民間航空機は米軍の許可がないとそこを通れ無いとの事。

非常にインパクトのある図で、本当にこんな事があるのか? でっち上げのデマなのではないか?と最初は思いました。日本の国土の上なのに。

皆さん、「横田空域」と検索してみて下さい。

東京都の知事の議会の発言の中で、「羽田空港の国際化や、さきに提案した羽田空港の再拡張の早期実現のほか、首都圏新空港の整備あるいは横田飛行場の民間航空利用と横田空域の返還など、首都圏の空港機能の充実を国に働きかけてまいります。」と出てきます。

本当にあるのですね。

この横田空域が何故あるのか? 日本国憲法は国際での平和主義を謳っているのに、何故自衛隊がいるのか? この前に行われた集団的自衛権が出来る様にすると、安倍政権が無理やり法律を通したのは何故なのか?

そして、ロシアが北方領土の返還の話に全く乗ってこないののは何故なのか?

沖縄や日本の各地に米軍基地があるのは何故なのか?

これらの疑問を、戦後 何が起こって、こういう現状になったのかを、この本は秘密解除になった公式文書等を使って明確化しています。

私にとって、初耳=知らなかった事が山の様にあり、でも、こういう流れならば、今まで漠然と違和感のあった殆どの事の辻褄が合うと感じました。

余りに 膨大な内容ですが、非常に平易に書かれているので、すんなり入ってきます。

本当は何回か読み返した方が良い本だと思うのですが、1回読んだ所で心に残ったポイントを記したいと思います。

敗戦時は、戦勝国側も国連の立ち上げようとする動きの真っ最中で、国連の理念を日本国憲法にも反映させようとマッカーサーは考えた。だから、あの様な書き方になっている。

そして、日本の占領終了後に駐屯するのは国連軍とし、それで日本を守る、日本が他の国を再度武力で攻撃するのを防ぐという2つの目的を果たすという構図であった。

そこに、朝鮮戦争が勃発し、ソ連が抜けていた間に、米国が国連軍として総指揮を取って北朝鮮を排除するという事に国連で決まった。

よって、日本に駐留しているのは米軍ではなく国連軍という位置づけ。そして、朝鮮戦争は、休戦という中途半端な形でこの60年来ている。まだ公式には休戦状態。よって、今も国連軍として米軍がいるという構図が続いている。

又、日本国憲法で平和を謳ったにも関らず、占領中にマッカーサーから警察予備隊や海上保安庁が命令されて作らされた。

これも、朝鮮戦争で軍人が出払った日本に置ける米軍基地を守るために警察予備隊は造られ、海上保安庁も朝鮮半島の海の機雷を掃海する為に組織され、現場に派遣された。

これによって、平和憲法の理念(戦力を持たず)は、矛盾を持つことになった。

しかも、米国は徐々に交渉や罠をしかけて、国連軍でない米軍も日本が支援しなければいけないという条約や密約を日本にむすばせた。

よって、現在も自衛隊は米軍基地を守るという事が第一義となっている。

又、米国が軍事行動を行う場合、日本の自衛隊は全て米軍の指揮下に入り、米軍の指名する者が総指揮を執る事が決まっている。

さらに、米軍は日本のどこを基地にしても良いという権利を持っている。

沖縄問題やオスプレイ問題の時に、よく「地位協定」という言葉が出てくるが、その中身を知っている日本人は殆どいないのではないだろうか?

又は、それは沖縄の話で、本土にはあまり関係の無い事と思っていないだろうか?

少なくとも、私はそうでした。

でも、前述の米軍との関係は、安保条約+地位協定+密約 で構成された公式の国と国の約束になっているとの事。

日本政府は、個別自衛権までは憲法の範囲だが、集団的自衛権は憲法違反になるからできないと、ずっと米国に抵抗してきた。

米国からは、いつでも米国の指示の下で日本の自衛隊も戦力として使える様にすべしとの要求がされてきており、安倍政権は憲法を無視する形で、その要求に日本を差し出してしまった。

ロシアからは北方領土を返還したら、米軍基地は置かないという約束が出来るか?と聞かれて、それは出来ないと答えた事で返還の話は暗礁に乗り上げているとの事。


この本は、当時、どの様な背景で、かつ、どの様な手口で日本が絡めとられてきているのかを緻密だが平易に教えてくれます。

私はこの話の裏取りはまだできていないので、時間かけならがして行きたいと思いますが、こういう裏舞台があるという事は、日本人は皆 知っておくべきだと思いました。

長くなってしまいましたが、それだけ衝撃のある本でした。ご紹介したのはホンのサワリですので、詳細は読んでいただく必要があります。

ぜひ、イデオロギーに関係せず、一度は読んでおくのが良いとお勧めします。

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