2018年12月8日土曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る12 地震対策 耐震設計レベルを考える

地震の記事を読むと、震度xとか、少し専門風に書いてあるものは何百ガルの加速度などという書き方をしている物もあります。


本家本元の気象庁のドキュメントを見ていくと、震度(揺れの大きさ)と加速度(ガル)の関係は、地震の周期(秒)によってある関係を持っていると定義されています。


横軸に周期、縦軸に加速度と置いて図を書くと、震度Xというのは1~2秒の周期のあたりがもっとも加速度が小さく、周期がそれより短くなっても、長くなっても加速度は上がるというVの字のような形になっています。
よって、例えば地震の加速度は、揺れの周期と共に語らなければ意味がありません。


一般に木造の耐震設計3というのは600ガルに対応できる様に設計すると聞きます。
これは1~2秒周期では震度7の一番揺れの少ないレベルに相当します。よって、それより下の震度6強はその周期ならば倒壊しないという事ができます。


一方、家には共振周波数があり、木造の家では0.5~2秒が最もダメージを与えやすいキラーパルスと呼ばれています(1~2秒と書いてある本も多い)。

ところが、1秒未満例えば0.5秒の短周期では震度6強は800ガル程度まで加速度は上がる可能性があるという定義になっています。
つまり、耐震強度3は1秒未満の短周期では震度6弱までしかカバーできていないかもしれないと思いました。


という事もあり、耐震強度3の設計に加えて、制振ダンパーも追加する事にしました。


制振ダンパーはオイルを用いるタイプを使い、近くの断層に於ける過去のズレの方向を見て、丸清の河内さんが断層に乗り上げる動きと断層に沿って滑る動きの両方に対応すべくダンパー配置を考えて設置してくれました。


効果計算ではエネルギー耐力が約1.25倍となりましたので、600x1.25=750ガルまで対応できるのでは考えました。

これで0.5秒周期でも震度6強はほぼカバーでき、1~2秒帯では余力を持つ事が想定できます。又、2度目、3度目の余震についてもダンパー吸収がありますので有利に働くでしょう。
表層地盤の倍率分を吸収するという意味でも期待します。


これで、震度6強が来ても倒壊はしないだろうという目途が立ちました。勿論、損傷はあると思いますが、それが致命的にはならないし、比較的簡単に修理できる様に壁構造等は考えます。
ここまでやっても、ダメだったらあきらめもつきます。


但し、一つだけ住み手の立場としては残念な事がありました。それは、制振ダンパーはメーカーを信じるしかないという事です。

例えば10年毎に一々壁を崩してオイルが漏れていないか等は調べられません。
昨今、免震ゴムや制振ダンパーを偽って出荷していたという様なニュースをいくつも聞きます。今回使ったダンパーは、それらとは異なるメーカーで、10年保証(耐久は50年以上)と言っていますが施主としては、確かめる術が無いので、「おまじない」程度に考えておかないといけないのかもしれません。


河内さん経由でメーカーからダンパーの試験結果報告書を取ってもらいました。
あるストレス条件での品質確認結果という事は分かりましたが、なぜそのストレス値なのか、肝心な平均何年で劣化するとか、又は平均何ガルx何回で 故障するという様な信頼性の数字は出てきませんでした。(工業製品で言うMTTF等ですね。)
この辺りは、もっと合理的な品質保証のしくみが出来ると良いと思いました。


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