次は、「気持ち良く、健康」の具現化について書いていきます。
大きく分けて、天然素材を使う事と、温湿度、そよ風の取り込み方、音、明るさ、防虫、室内空気などが関係してきます。
色々な事項を、電気に頼らずに同時に成立させていくという事を探していきました。
まずは、天然素材について。
シックハウスという事が以前に大きな社会問題として取り上げられました。新建材からホルムアルデヒド等が出てきて、それが身体に悪影響を与えるという話だったと思います。
その後、ホルムアルデヒドを出さない建材が多く普及してきています。
丸清さんはそういう建材の使用に加えて、ホルムアルデヒド吸収分解せっこうボードを標準に使っています。
私は仕事で関連の事を調べたりしていた事もあり、化学物質が人間にかなり大きな影響を与えると思っています。
ホルムアルデヒドを出す物質は勿論の事、石油化学物質もなるべく使いたくありません。
石綿の様に、法律上安全とされている物質でも後日危険性が判明するという事がこれからもあるでしょう。だから、出来るだけ天然素材を使いたいと考えていました。
天然材で作られた家では、疲れた脳が回復しやすく、身体も活動的な状態になり、睡眠の質も向上するという九州大学での実験結果も出ています。
折角、木造構法で作るのですから「木のぬくもり」、「木のやさしさ」を感じられる様にしたいと思いました。
「木」は経年変化を楽しめるという事もあります。又、調湿性と断熱性があります。よって、木(無垢材)を使う事で温湿度環境を整える効果も期待できます。
木が家の中で露出するのは、柱と床になります。特に、いつも身体に触る床は重要です。
ネットや本で無垢材の床について情報収集すると、各樹種による特徴が色々と書かれています。色、傷つきやすさ(硬さ)、冷たく感じるか(断熱性)、肌触り感など。
傷つきにくさと冷たく感じるかは相反する所があり、全てを満たす答えは無いのだと知りました。
誰だって傷はつけたく無いし、冷たいのも御免だと思います。でも、優先順位をつけて決めていく必要があります。コストもあり、施主の悩み所です。
私の場合は、工務店さんが自社の製材所で国産天龍材の檜と杉を扱われており、その10㎝角ぐらいのサンプルを1週間貸してもらい触りまくりました。厚さは1.5cmと3㎝のもの。
踏んだり、撫でたり、匂いをかいだりしました。檜は匂いはすばらしく、杉は踏んでも触っても感触がすばらしい。最後に、冷凍庫で凍らせた保冷材を板の上に置いて反対側に冷たさがどう伝わるか断熱性の実験をしてみました。
すると、圧倒的に杉の方が熱が伝わりにくいと感じました。数十分経っても厚さ1.5㎝でも裏面が冷たくなりません。
同じ温度の金属と木を触って金属の方が冷たく感じるのは、人体からの熱の移動スピードが早い(沢山熱を汲みだされてしまう)からと言います。
そういう意味で、杉板は足を置いても、熱がその接触部分から逃げていかないのであまり冷たさを感じません。
檜は無垢材の中では断熱性が高い方ですが、少し冷たさを感じますし、踏み心地も硬くてつらいと思いました。
後日、合板でもやってみると非常に冷たい。寸法精度は高いのでしょうが、明らかに無垢材とは違う思想の材料という事が分かります。
断熱性は木材中の気泡の多さできまるので、断熱性が高いほど柔らかく傷つきやすいのですが、このテストをしているのと平行して、床を無垢杉にされたお宅を2軒 拝見し、確かに傷つきやすいが、小さな凹みなどはスチームや水で修復もさせられるし、傷は生活の歴史だと思っているとのお話をお聞きして納得しました。
又、実際の床も見せていただいて違和感ありませんでした。
最終的に、ハダシでも気持ちよく、冷たさも感じにくい杉材(水周り以外)にする事にしました。厚みは実験の結果で差が出なかったし、その下に合板も敷くので耐力的にも大丈夫と判断して1.5㎝としました。
実際に住んでみて、気に入っています。兎に角、肌触りが良いので本当にハダシの生活です。スリッパは使いません。
適度に柔らかさがあるし、冷たさを感じにくいので、床に直に座るのも有りです。寝転ぶ事もあります。
夏場や梅雨時も床はベタベタしません爽やかです。
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