パリに行った折、ルーブルを2,3時間ですが見る事ができました。
本当は、1週間ぐらいかけてジックリ見たい芸術の宝庫ですが、駆
け足で歩き廻りました。最初に行ったのはミロのビーナス像。
そして、モナリザやナポレオンの戴冠式やフェルメールの絵画など
有名どころを見ました。
雨の日でしたが、沢山のお客さんが来ていてまるでデパートの売り
場を歩き廻っている様な錯覚を覚えました。
ビックリしたのは、お客さんがフラッシュなど焚きながらカメラ撮
影をどんどんしている事。絵画はバリアの無い生のままの展示なの
で、絶対に短波長の光が悪い影響を与える可能性があると思えます。
作品の前で、カンバスを立てて模写をしている人もいました。学芸
員なのでしょうか?
思いもよらないOpenな展示です。
ミロのビーナスは古代ギリシャ美術というコーナーにありました。
何人もの人が回りを囲んで近距離で見ています。とても魅力的だと
思ったのですが、そのコーナーにある他の展示像もミロのビーナス
に劣らないと感じるものが沢山ありました。
「ミロのビーナス」がなぜ、特別扱いされるのかが正直分からなく
なりました。
そこで、この本を読んでみました。
古代エジプトなど他の像は大抵が直立不動の姿か、わずかに片足が
前に出ている程度の動きの物なのに対して、ミロのビーナスは左足
に重心を乗せて、右足は自由な動きをし、胴体もひねってS字型と
なっているが重心線はしっかり出来ている(コントラポストと呼ぶ
そうです)立ち方になっています。
それにより、とても自然で自由度の高い姿勢が表現できているとの
こと。又、非常に緻密な衣服の表現。 これらが、西洋美術のそれ
からの美の手本になっているとのこと。
「傑作」なのではなく、「基準」なのだという説明です。
成る程と思いました。
その後に描かれたのミケランジェロの作品や、ボッティチェリの絵画
などの人物もコントラポストの立ち方をしています。
この本では、絵画でもギリシャ神話に関連する作品を詳しく説明して
くれます。神話のどういう部分をどう表現しているのか、初めて理解
することができました。
又、それらの絵画はルネッサンス時に沢山書かれている様ですが、面
白い事にそれ以前は同じテーマでは着衣している主人公が、ルネッサン
スでは裸で書かれている物が多いとのこと。
それは、ギリシャ神話で出てくるそのシーンにかこつけて、女体画を
画家が描きたかったから(逆に、女体画を書くために、そのシーンを
持ち出した)とのこと。
これにも、成る程!と膝を打ちました。
今まで、なんとなく好きだったミケランジェロの デルフォイの巫女、
リビアの巫女の絵も背景を知ると違う側面が光りだして見えます。
芸術とは面白いものです。
ギリシャ・ローマを題材にした美術に興味のある方にお薦めの一冊です。
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