2019年1月4日金曜日

【本】銀河系惑星学の挑戦 松井孝典 NHK出版新書

古代の暦から始めて、現在の先端の惑星研究までを分かり易く説明してくれる本です。

面白いと思った点をいくつか書いておきます。

古代メソポタミアで紀元前7世紀に新バビロニア王国を建国したカルデア人は1日を24時間に区切り、7日で1週間という単位を作り、日曜から土曜までの名前をつけたのも彼らで、それが現在に至るまで人類に受け継がれている。
カルデア人は見つけた惑星を遠い順に土、木、火、日、金、水、月と並んでいると考えた。


1960年代までは天体は望遠鏡で見る存在で、そこから天体運行やしくみなどを考察する「惑星学」の時代でした。アポロ計画によって、人類は初めて天体(月)の物質を持ち帰り分析を始める事が出来、「惑星科学」が始まりました。

「惑星学」の時代の地質学では、現在の地球に起きる現象が、過去の地球でも起きていたとして歴史を解釈しようとする「斉一説」という考え方です。アポロで月の海(黒っぽい部分)と高地(白っぽい部分)の物質を調べた所、高地の斜長岩は月が誕生した当初にドロドロに融けた「マグマオーシャン」という状態がなければならない事が分かりました。

この概念は斉一説にはありませんでした。もう一つがクレータが隕石衝突によるものだという事が分かり、原始の地球に火星サイズの巨大な天体が衝突し、その「破片」が月になったというジャイアント・インパクト仮説が現在はもっとも有力視されています。

この様に、ある時に天変地異が起きて、それまでの自然が劇的に変化するという「激変説」で語るのがあたり前になりました。 アポロ計画の科学史における意義は、ガリレオの望遠鏡に匹敵するほど重いといっても過言ではありません。


隕石などの衝突の時には、衝突蒸気雲が起こりますが、それと同レベルの衝突を実験室で行った所、6550万年前ユカタン半島に落ちた隕石により、大量の酸性雨が起こり、それが恐竜絶滅の原因になったのだろうという仮説もできました。

一方、1969年オーストラリアのビクトリア州マーチソン村に飛来した隕(46億年前に出来た)石には地球起原ではない生体に必要なたんぱく質を構成するアミノ酸や核酸塩基が多く付着していました。地球が誕生する以前に宇宙には生命の萌芽があったと見る事もできるでしょう。


これ以外に、太陽系外の惑星の探査方法や星の一生についてなど分かり易く説明されています。久しぶりに宇宙に思いをはせたい方にお勧めの本です。

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