1968年に映画が大ヒットした非常に有名なSFです。
1968年といえばちょうどアポロ計画でアポロ8号が人類史上初めて有人飛行で月を回ってきた時期。翌年の69年にアポロ11号でアームストロング船長が月面に1歩を踏み出しました。
つまり宇宙に全世界の関心が集まっていた時期の作品です。
コンピュータもIBMのSYSTEM/360というメインフレームという中央処理で何でもこなすシステムが普及始めていて、これからは何でもコンピュータで制御していける世界になるのではという気運が高まっていました。パソコンは70年代にならないと出てきません。
私も当時小中学生で、映画を見てちょっと難しいけれど、とにかくスゴイ映画だと強く感動した事を今も鮮明に覚えています。
宇宙ステーションや無重力の世界はこんななのかという面白さと同時に、HAL9000という艦載コンピュータとの音声応答を使ったスリリングな対決に恐怖を覚えたのと、最後のワームホールの所はよく意味わかんない、、 という印象でした。
今回、たまたま立ち止まった書棚にこのシリーズが並んでいるのを見つけて、思わず手にとってしまいました。
映画は見たけれど、本は読んでいなかったのです。
大抵、映画と同じ題の本は映画の後にノベライズされた物だから大して面白くない、、というのが一般的な私の認識でした。
でも、この本は違っていました。
「2001年宇宙の旅」はこの小説を書きながら、そこから映画のシナリオを作っていったとの事。
小説を映画ではメディアの特性で、演出すべき所が違いますので、小説とは粗筋も含めてアレンジが加えられている事が分かりました。(映画はビジュアルと音がとても大事ですしね)
元となるこの小説はとても面白く、ぐいぐい引き込まれてしまいます。読み始めたら止められない感じ。
読んで初めて、「2001年宇宙の旅」という話は映画を含めてどういう全体像だったのか分かりました。
2018年という今、この本を読んでみると、モノリスやワームホールはまだ小説の世界だと思えますが、AIコンピュータとの闘いについてはあと5~10年でこういう危険が本当に起こって来る実感があって、新たな衝撃を受けました。
この数年 急激に進化しつつある機械学習(AI)は、その特徴が今までのプログラミングとは異なり、AIの出した答えがどういうロジックで出されたかが人間には分からない、解析できないという事。
教育データを沢山 読み込ませても、AI側がどういう解釈をして理解しているのかが分からない。
誰かが、知らない間に別のデータを学習させていたら、それがどう組み込まれてしまっているかもわからない。
でも、きっとIoTと騒ぎながら、企業や政治家はAI機能に全部任せれば安心・便利・お得 です。という方向に社会を進め様としていくのでしょう。
ユーザーはAIの出す答えに慣らされて、自己判断能力がどんどん奪われていく。
でも、AIを悪用する者は必ず現れるし、善意でもAIが誤解する場面や判断できずにフリーズする場面は必ず出てきます。
以前に書いた 人造マンモス のDNA改変技術では人間の脳を持ったドーベルマンやシャチ等も出来てくるかもしれません。
技術と営利主義、自己主義だけが暴走していくと、この先とても生きにくい世界になってしまいそうで、とても恐ろしさを感じました。
この本が50年も前に書かれているという事もスゴイ。
今こそ「2001年宇宙の旅」本は読むのに良い時期なのかもしれません。
続編の2010年宇宙の旅等もあるので、順次読んで行きたいと思います。
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