2023年3月18日土曜日

【宇宙】本 マルチメッセンジャー天文学が捉えた新しい宇宙の姿 田中雅臣 講談社ブルーバックス

 天体望遠鏡は大幅な進歩をとげつつあります。

可視光の大口径や宇宙望遠鏡ができたのに加えて、電波、赤外、紫外、X線、ガンマ線などの各種望遠鏡で、電磁波(光)の広い波長域での分光観察ができる様になってきています。


それら電磁波に加えて、ニュートリノ、重力波を使った測定装置も動き始め、それら全てのシグナルを組み合わせて宇宙の謎を探るマルチメッセンジャー天文学が始まりつつあるとのことです。


2015年宇宙からやってきた重力波が初めて捉えられ、それが宇宙のどのエリアから来たのかを推定する事ができました。そのエリアを他の望遠鏡で調べていくと、、、 という様な事が分かったり。


ニュートリノの速度に関して、重力波シグナルや光シグナルとの時間差を知ることによって始めて検証できたりしています。



特に宇宙の爆発現象の謎をマルチメッセンジャーが解くカギになると期待されています。


太陽クラスの星は、水素→ヘリウムの核融合が終わるとヘリウム→炭素の核融合になり、その時期は星の外層が膨らんで赤色巨星になります。そして最後は白色矮星になります。

白色矮星同士の合体などで核爆発型超新星になることがありますが、そのメカニズムはまだ分かっていません。


太陽の10倍質量以上の星は、炭素→ネオン・ナトリウムの核融合、ネオン→酸素、と核融合は鉄まで進む可能性があり、最終的にはコア鉄の周りにケイ素、ネオン+マグネシウム、炭素+酸素、ヘリウム、水素というたまねぎ構造ができます。

その先は 重力崩壊して 超新星爆発を起こし中性子星(またはブラックホール?)が生まれます。そして超新星爆発では大量のニュートリノが放出されることで爆発になると考えられています。


重力崩壊でブラックホール(中性子星合体などでも出来る)が出来ると、その周りに円盤構造が出来ると思われ、それらが高速で回転しながら落ち込むことで相対論的ジェット(光に近い速さで動く物体によるジェット)が出来ると考えています。その時にガンマ線(バースト)も起こると思われます。


中性子星合体で鉄よりも重い元素は作られると考えられています。又、重力波が出ます。

重力波が検出できれば、その強度から距離を推定する事ができます。



これらの爆発現象から天文物理の色々な事を解き明かしていく事ができそうです。


著者(または、天文研究者は)は、これらの新しい道具を使って新しい事が色々できるのではないかとワクワクしている様子がこの本から良く伝わってきます。 まるで、新しいオモチャをいくつも貰った子供の様に。。。



彼ら研究者にとって、面白い時代になってきているようです。

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