著者の竹村氏は国土交通省で大型ダムを3つ作ってきた水力発電の専門家。2016年発刊の本です。
ダムの実情を良く知る竹村氏は、日本のダムは能力ポテンシャルを半分しか発揮できていないとのこと。
日本には沢山の既存のダムがあるが、ダムは発電と治水(洪水防止)の二つの目的での運用という事になっており、設計値の半分しか水をためていない。
現在の精密気象予報と組み合わせれば、多雨が来ない間は満水で発電し、多雨がきそうな時は事前放水で水量を減らしておくという運用が可能だが、実際には昔の法律に縛られていてそういう効率的な運用がされていない。
加えて、ダムは10%でもダム壁のかさ上げ(低投資で済む)をすれば、ダム湖は円錐の様な形なので貯められる水量は2倍に増やせられる。
これらを行う事で、現在の年間800~900億kWhに約350億kWhを増やす事ができる。約1.4倍になる。
さらに、現在発電で使われていない既存ダムが日本中に多くある。それらは、小投資で中小力水力発電用に改造することができ、それらを活用すれば、少なくとも約1000億kWhを生むことができる。
つまり、 運用変更+既存発電ダムかさ上げ、 中小電力を合わせると現状より約1350億kWhの追加。現在の発電量の2.5倍の発電量にできるポテンシャルがある。
水力発電は、多雨で山が多く、すでに既存のダムを多くもっている日本だから実現できる再生可能エネルギー。
風力や太陽光と違い、いつも安定した発電が可能な非常に良質なエネルギー源。
しかも、鉄筋を使わない構造で作られているので、今後100年、200年も大きな投資をしないでも活用できる。
投資済みなので、コストも安い。 勿論 Co2も出さない。と良いこと尽くめ。
との事。
ちなみに 2019年の日本の発電量統計を調べてみたら、水力 796億kWh、 原子力 638kWhとなっており、原子力発電の2倍以上の電気を水力で得る事が十分可能となる事が分かります。
政府は、原発再稼働よりも、水力発電を徹底的に使いこなす事をすべきだと強く思いました。
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