日本は憲法で軍隊の保持を禁止されているにもかかわらず、自衛隊が存在していますが、コスタリ
カには本当に本当に軍隊にあたる物がない。日本よりも進んだ平和を志向する国。
南米のパナマ運河の側の小さな国。
ジュラシックパークの舞台とされた所 という方が分かり易いかもしれません。
周辺はキナ臭く、政情不安な国が多い中、自ら「積極的永世非武装中立宣言」を行った国。
この本の著者は、コスタリカの平和の仕組みと説明するのではなく、どういう考えや気持ちでこうい
う行動になっているのか? 又、日本の「平和論」とどう違うのかを語ろうとしてくれています。
私もこのブログで平和憲法を守ろうという書き込みをしてきましたが、観念的にではなく、具現化す
るにはどうしたら良いのかは漠然としていました。
ところがこの本を読んで、発展途上国の小国が知恵を絞って行っている事、目指している内容を知
り、今までは自分はなんと貧弱な発想しか出来ていなかったのかとショックを受けました。
中高校生向けの本ですが、ぜひ 安保法制反対と思っておられる方は一度読んでみられると得る
ところが多いと思います。 お薦めの1冊です。 多分、お近くの図書館にもあると思います
以下、読んで 私の中に響いた所をいくつか書いてみます。 詳しくは本書をお読みください。
・公園で一般のおじいさんと四方山話をしていた時の話。
おじいさんは、米国の民主主義を「不完全だ」と評価した。なぜ?と聞くと、彼はこう答えた。「彼ら
の大統領を見てごらん。常に大勢の武装した警備員をぞろぞろ連れて歩いているだろう?コスタリ
カの大統領なんか、早朝にそこらへんの公園を一人でジョギングしていたり休日には家族だけでビ
ーチに行ったりするんだよ。それがその違いさ」。彼はこうも付け加えた。「民主主義と軍隊は相い
れないものだ、もし軍隊があるなら、そこには真の民主主義はない」 こういった考え方は私たち
(日本人)にはあまり馴染みのないものであり、まずここから解析しなければ、「軍隊をすてた国」の
本当の姿は理解できない。彼らの思考回路がどうなっているのか、コスタリカの人たちが考える
「平和」とは、どのようなものなのか。それが、本書を通じての問いである。
・コスタリカ略史
小国が米国の圧力と、近隣諸国との圧力の板挟みになって、考え出したのが、「積極的永世非武
装中立宣言」という考え方と行動スタイル。
単に非武装なだけでなく、「積極的中立」というのは、誰かと誰かが争っていた場合にはどちらの味
方もしないが、仲介者としては積極的に介入するという意味とのこと。
非常に理想の高い宣言なので、世界の諸外国も(建前であっても)受け入れられる要素となり、こ
の宣言は国際社会から支持・賛同を得る事となった。これにより、米国からの介入を防ぎ、ニカラグ
アも納得させた。
軍隊を持たない事を決めた後も、2回の侵略行為があったが、外交で国際社会からの圧力をかけ
させて止めさせる事ができた。又、宣言後、中米特命大使というポストに、軍隊は廃止の意思を宣
言した政治家の妻であるオルセンさんを任命して、ニカラグアだけでなく、グアテマラ、エルサルバ
ドルの中米3か国の内戦を終わらせるべく、仲介に乗り出した。
オルセンは、中米各国のファーストレディをコスタリカに招いて会議し、女性として、母としての立場
を問うた。それに押される形で、彼女たちの夫である紛争当事者たちは交渉の席に着き、中米和
平交渉は1987年に妥結することになる。この功績で、同年、アリアス(大統領)はノーベル平和賞を
受賞した。
「積極的永世非武装中立宣言」でコスタリカが危機を乗り切れたのは、非武装であった事が大き
い。特に紛争の仲介にあたっては、非武装である事で得られる信頼感は絶大である。
日本で「平和」というのは、戦争の無い状態という意識が多いと思われる(私もそう)だが、コスタリ
カの人の言う「平和」は、もっと肯定的に軍事だけでなく、民主主義、人権、環境など含めた広い意
味の平和を意味する。
それを推進するしくみとして、
・「幸福な民主主義的祭典」としての選挙 を子供達も含めて明るく(お祭り的に?)行う。
・模擬選挙・学内選挙をおこなって、子供達にも投票の意味、政治参加の意味を体得できるように
する。
・民主的選挙のしくみを、「平和の輸出」として他国に教えていく選挙外交
・子供や学生でも憲法違反と思ったら提訴できる憲法小法廷を設置
・人権外交 国連に人権高等弁務官ポストの設置を提案。核兵器禁止条約の提案を国連に提出。
死刑の廃止。米州人権裁判所をコスタリカに誘致。 こういう事を通して世界をリードする「人権貢
献国」のイメージを作り上げた。
・「平和外交」の一つとして国連平和大学を誘致。これがある事で、コスタリカ領土への攻撃を物理
的に困難にする狙いもある。
・米国のテロとの戦いも賛成しない事を決めた。
・森を大事にする。観光と環境の両立。「ほどほどが良い」という考え方。
などを展開しているとのこと。
平和を推進する国という事を国際社会に積極的にアピールし、イメージを作り上げる事によりコス
タリカを攻撃対象にしずらくする戦略をどんどん進めている。そして、それが人類にも良い事という
考え方を国民に子供の頃から教え込む。
そういう一歩踏み込んだ考え方と行動は、なるほどなあ と思わされました。
日本はコスタリカよりも経済的にも影響力も大きい国ですので、日本の憲法9条の価値をもっともっ
と高めて外交上も経済上も好循環に回せるように出来るのではとの希望の光を見た気がします。
安倍首相のやろうとしている事と真反対です。
もっと、平和を目指した したたかなやり方があるはずですね。
折角の9条を活かさないのは、知恵を絞っていないから。 常識的な考え方しかできないから。。。
米国や中国とも、もっと日本独自の色々な関係を作り出せるはずです。
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