2026年8月9日日曜日

【本】堤未果の「すばらしい新世界」堤未果 集英社新書

 自分の寿命は自分で決められない時代になるのか? 性格は薬で変えるようになるのか?

人間の尊厳を脅かす「科学技術」が企業・政府・マスコミ含めて、広げ始めているらしい。

とてもショッキングな内容の本です。

人の欲望がベースになっている、「資本主義」という事自体の恐ろしさも感じます。


若返りが試されている、うつ病は脳の病いと言われているなど、部分的には聞いた事の

ある話がありますが、一連の流れの中で整理されると、知らないうちに流されていく

人間の尊厳の危機が迫ってきていると思いました。


忘れないでおきたいと思った点を記しておきます。


・人工授精した胚を遺伝子検査して、ランク付け。親が望む赤ちゃんの特徴を選べる

 というビジネスが新しい予防医療という名の下で米国で行われ始めている。


・亡くなったペットをクローンで再生しますビジネス。

 各政府は秘密裡に人間の遺伝子操作も実験していそう。


・老いを部品交換で若返らせるビジネス。

 若者の血を輸血するビジネス(米国)。ブライアン ジョンソンの若返り探求。


・性格まで書き変えてしまううつ病の薬。プロザック。脳内で働く化学物質。

 それを飲むとポジティブ思考・社交的になる。ただし、他人の痛みなどは感じられなくなる。

 「薬を飲んでいる私の方が、本物の私なのです」という人もでてくる。

 米国で大ヒット。


・薬でなく、頭蓋から磁気をかけて行うTMS療法。これもうつ病対策として日本でも始まっている。


・イーロン・マスクのニューラリンク社は脳にチップを埋め込み、思考をテキスト化して送れる

 実験を開始。ビル ゲイツのシンクロン社も脳内チップ実験中。中国でも。

 シリコンバレーのスタートアップはビジネスがあると思えば、なんでもやる。


・ADHDにリタイン薬(80年代)。これを飲むと、驚くほど静かになり、反復的な作業に集中できるようになる。

 エンジニアが長時間労働を乗り切るためや、学生が試験前に先を争って服用。


・工場労働者にスマートウォッチをつけさせ、20分動きがないと「頑張れ」との声が出て、同時に

 評価点でマイナスがつく。(中国)

 アマゾンでは、倉庫作業員が間違った棚に手を伸ばしたらブルブル震えて忠告。スキャナを動かしていない

 時間は秒単位で計測され、一定時間を超えるか、目標の荷物数をさばけないときはAiが自動で解雇通知

 を出す。


・日本でも、個人の健康情報がマイナカードに集約されて、製薬会社などにわたる。政府は予防医療で

 医療費削減、製薬会社はビジネス拡大に。


・自分で死を選べる安楽死法があるカナダ他。

 重病者や末期の人に対してだけでない人にも、申請できるように拡大適用の動き。

 人の尊厳よりも医療費圧縮のため。経済的理由で申請する中年の人の例も出てきた。


著者はこういう人の尊厳を経済や欲望のにより脅かす動きのおかしさを鋭く指摘している。


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