2018年12月31日月曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る35 安心 天災対策

安心に対して検討した事を挙げてみます。


*地震対策

耐震強度:前述しましたが、その土地のハザードマップで推定されている震度に耐えられる構造(=倒壊しない)にしておきます。


家屋損傷:
それでも、家屋損傷は可能性があります。一番多そうなダメージは外壁へのクラック等になると考えました。クラックが入ると、そこから雨水が侵入して雨漏りになったり、構造体の腐食に繋がったりします。
そこで、外壁は通気構造にします。透湿工法では、そとん壁という外壁材を直接付けてしまうというやり方もあるとの事ですが、通気構造にする事で、たとえクラックが入ったとしても雨水は通気層から排水されるので内部構造に悪さをする可能性はかなり低くなります。
屋根の雨漏りの場合も、グラスウール等の断熱材だと、水が付くと断熱性能が落ちるとの事ですが、セルローズファイバーならば吸水しないので問題ありません。


断水:
断水になると、飲み水は備蓄と市営の共同井戸がありますが、最も困るのはトイレだと考えました。トイレを選定する時には、メーカーに強制的なバケツ放水等でも流せるかを確認しました。
流す為の水は、風呂水を溜めておく事以外に雨水タンクの設置も有用です。これは、庭の水やりや打ち水にも使えます。使っても雨さえ降れば勝手に再充填されるので重宝です。


火事:
火事は内側から起こすものと、外からの類焼の場合が考えられます。
内部からについては、火を使うのは台所のコンロのみ。暖房もエアコン暖房だけにして火を使わない様にします。
外からの類焼対策は、隣家との距離を出来るだけ取る事、雨戸や隣家との間に植栽をして窓からの火の進入を抑えます。外壁は燃えない無機の材料とします。
断熱材のセルローズファイバも自己消火性があります。もしも燃えた時にでも、有毒ガスを発生させない様にウレタン等の石油化学物質は極力持ち込まない様に考えます。
地震時に自動でブレーカーを落としてくれる装置もあるのでそれを使うのも良さそうです。


家具転倒:家具の固定方法を最初から考えておき、転倒止め金具が付けられる様に壁を事前に補強しておきます。


*停電対策

室内環境:
冬は高断熱と太陽熱を活かし、夏は日射遮蔽と排熱、夜の冷気(があれば)を活かす。必要に応じて基礎部分の涼風を取り入れる事も。


装置:
できるだけ電動を避けて、手動の物にする。特に迅速な避難が出来るかのポイントにもなる窓部は電動シャッターではなく、手動の雨戸にしています。


*情報途絶対策

TVはケーブルではなく、アンテナで。電波状態が良ければ、平面アンテナを屋内設置にするととても安心だと思います。


*台風対策

雨戸の設置。軒の長さ等も、強風でめくれない事を考えて決めます。大雨には水勾配をきちんと取るのと、排水側溝などが詰まっていないかの確認をします。
自転車も、なるべく家の壁に沿って駐輪できる様に考えます。


*雷対策

異常気象に伴って、ゲリラ豪雨など雷の発生頻度が高まってきています。雷が半径数キロ以内に落ちると、そこからサージ電流が電線等を伝って入ってきて、電子機器(パソコンなど)が壊れてしまう事が起こります。対策として、分電盤に雷サージ装置を組み込んでもらいます。
又、光通信のケーブルからもサージは入りますので、光ケーブルのONUに雷サージ対応が付いたプランにします。


*非常口

各部屋、最低2方向に逃げられる様に間取りと窓の大きさ等を考えておきます。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る34 実際の住み心地 快適性その他

前述以外の快適性に関係する要素は以下のように考えました。


*防虫
網戸を開けないで窓を開け閉めできるオペレータハンドル窓の採用と、断熱材のセルローズファイバーに入っているホウ酸の効果。床もフクビフォームの上下にホウ酸を散布。

それらにより、虫は殆どシャットアウト出来ています。たまに、外に干した洗濯物に付いて1匹ぐらい入ってきてしまうぐらいで、すぐに駆除できます。
虫を気にしなくて良いのは助かります。ベープなどは全て不要になってしまいました。


*音
外部からの音の侵入は、窓ガラスでは防ぎきれませんが、少し音量を落とす事はできます。それに加えて雨戸とカーテンを閉めればかなり小さくなり、近くにバス通りがあっても気にせず眠る事ができます。

ペアガラスの窓に内窓を付けて二重窓にした所は、さすがに外音が殆ど気にならないレベルに落ちます。断熱効果も高いし、最強の窓という気がします。

ピアノを置いた部屋は、隣家に向かう壁の窓は上記二重窓にしました。他の窓は遮音カーテンを閉める事で、外への音漏れはかなり小さくなり大丈夫。


家の中は、ある程度音が伝わる様にして家族お互いの気配を知る事ができる様にしました。壁は音の反射を高くする事で、音楽プレーヤーなどの音の響きも豊かになりました。


*空気
シックハウスガスは、天然素材を使う事とホルムアルデヒド吸収分解石膏ボードや漆喰壁を一部採用する事で、発生させない、又は、もし発生しても吸着・分解する様にしました。

漆喰は強力な脱臭機能と高アルカリの殺菌作用があるので、いつも無臭で清浄な空気に保たれます。


【本】気象学入門 古川武彦、大木勇人 講談社ブルーバックス

空を見ていると、毎日毎時 違う顔を見せてくれてとても面白いのですが、どういうしくみでそれが起こっているのかをちゃんと知りたくて読んでみました。

面白いと思った点を書いてみたいと思います。


雲の出来方。積雲は、多くの場合、日射により地表面のある部分が周囲より温められて軽くなると、地上付近から泡のように上昇する空気のかたまりの中でできます。泡のような空気をサーマルと呼ぶ。


教科書で空気の組成は「窒素78%、酸素が約21%」と習いますが、これは乾燥空気の場合。
実際は水蒸気を含んだ空気になるので、組成率はかなり変化する。水蒸気は空気を構成する気体として酸素に次ぐ3番目の気体である。
又、窒素の分子量28、酸素32に対して、水蒸気は18しかないので、水蒸気を含んだ空気は軽くなる。


発生したばかりの積雲は輪郭がはっきりしており、輪郭がぼやけた積雲は消えつつある雲。晴天時の積雲は時間が経つと消滅するのが殆どで、雲ひとつひとつの寿命は短く、せいぜい数十分。


水面から11km上空が対流圏界面になっており、積乱雲などは上に成長していっても、11kmで頭打ちになち横に広がる。


雨には、塩粒が核となって降る「暖かい雨」と、氷晶が核となって降る「冷たい雨」がある。氷晶が雪に成長し、地上の温度が高いと雪が融けて雨になる。地上の気温が2度以下程度だと雪で降って来る。


10㎜の雨量というと大したお湿りではない感じだが、これが雪で降ってくると体積が膨らむので地上何センチもの積雪になり交通混乱になりかねない。


地球のエネルギー収支(地球に入って来る方向のをプラス、出ていくのをマイナスとして)

太陽からの放射を+100とすると、地上に吸
収されるのは+49.地表や雲などからの反射
で宇宙に帰っていくのが-31.
太陽エネルギーを大気が吸収するのが+20.
地表から大気への熱放射は-102.
宇宙への放射は-12.
水の蒸発潜熱と伝導で大気に-30.
大気から地表への逆放射は+95.
大気から宇宙への放射は-57.

これで平衡状態になります。

雲や氷河等の増加があると、そこから宇宙へ反射するエネルギーが大きくなるので、寒冷化が加速されて「スノーボールアース」が起こったという歴史があると考えられる。


温室効果というと二酸化炭素を思い出すが、実は温室効果が最も大きいのは水蒸気。
二酸化炭素の増加による温室効果の増強はわずか。とこが、それによって少し気温が上がると、地表からの水の蒸発が盛んになり大気中の水蒸気量が増え、その温室効果でさらに気温が上がるというフィードバックが働く。


砂漠では昼と夜の温度差が大きいのは、空気が乾燥しているため。
昼の熱は、砂の間の空気で断熱されて表面だけに溜まり空気を高温にする。夜は、水蒸気が少ないので温室効果が少なく、放射冷却が進むから。


天気予報。
以前は予報官が予報していたが、今は大気を格子に区切って、各格子に温度、気圧、風向、風速、水蒸気量、水滴や氷晶の量 などのデータを入れて数値で大気を表現し、各格子点がどう変化するか数値計算していく。
2007年からの全球モデルでは、鉛直方向に60層、水平方向に20km四方に分けた格子を使っている。

数値計算に使われる法則や方程式は、気体の状態方程式、質量保存の法則[空気の密度]、大気の運動方程式(3方向)[気圧、温度、風の方向、ベクトルを入れて]、エネルギー保存の法則、水分の時間変化[水蒸気量、雲の水量]等ので、非線形の複雑系。

予報官の仕事の重点は、注意報や警報を発する判断になってきている。

これ以外に台風や高気圧・低気圧、偏西風などの話も盛りだくさんです。
気象に興味を持っている人にお薦めの1冊です。


2018年12月30日日曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る33 実際の住み心地 パッシブハウス コンセプト

果たしてパッシブハウス コンセプトは実際の生活で本当に効果を出すのか?が興味津々で暮らし始めました。


結論から言うと、効果があるし楽しい。但し、自然が相手なので自然と共に生きる気持ちが必要と思いました。


冬の晴天の日は、本当に効果的。
朝、日の出の空を見て、晴天になりそうな事を確認すると、今日は暖房を使わなくて良いなと思います。太陽の光を部屋に取り込むのが楽しい。
明るく、十分に暖かい部屋が自然に出来てしまいます。


東京の晴天率は

1月前半 80%以上、後半 60-80%
2月前半 70%、後半 50-70%
3月 40-60%
4月 40-60%
5月 30-60%
6月前半 10-60%、後半 10-40%
7月 前半20-30%、 後半 30-60%
8月 40-60%
9月 30-60%
10月 30-60%
11月 前半 50-70%、後半 60-80%
12月 前半 60-80%、後半 70-90%

という感じですので、

冬は晴天が多く、太陽熱を利用するパッシブハウスコンセプトは成立します。

昼間に室温が十分に温まっていれば、夜は雨戸、カーテン等と閉めればそれほど大きな温度変動はありませんので大丈夫。

曇り、雨、雪の日は太陽熱を得られないのですが、暖房をつけるか、衣類を少し余計に羽織るかなどをすれば大丈夫です。


夏は、本当に日光の遮蔽の徹底が重要です。
前述しましたが、南は通風雨戸などが大活躍します。平年では、夜はある程度外気が下がるのでそれを取り込む事で、自然の冷房に出来るのですが、今年の異常気象では夜風が使えませんでした。

そいう意味では、パッシブハウスコンセプトが成り立たない年も出るという事ですが、断熱と湿度コントロールは出来ているので28度等でも気持ちがよいし、扇風機があれば十分涼しい感じになります。それでも、もし涼しさが足りないと思う時は、弱く冷房をつける事で大丈夫です。


春、秋は室内にそよ風を取り込み楽しむ事で、気持ちの良い毎日を過ごす事ができます。


この暮らしを始めてから、天気の動向に非常に関心が高くなり、空を見上げる事が多くなりました。太陽と雲に非常に親しみを感じる様になりました。


【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る32 実際の住み心地 明るさ

部屋に日光の明かりが十分に入ってきて、明るい室内というのは住み心地に大きなプラスになります。気持ちが良い。

その為に、各居室の2面は窓を設ける事が基本にしました。それによってまずは十分な明かりが取り入れられます。

又、壁も出来るだけ白っぽく明るい色にする事で、反射した光が部屋の隅にまで回ってくれます。


窓には、通風、明かり取り、借景、音、防犯など色々な機能を考えていく必要がありますが、場所毎により明かり取りを重点にする窓とか、通風を重視する窓とか役割の優先順位を考えると整理しやすくなります。


リビングダイニングの東面に設置した高窓は明かり取りがメイン。ですから開けられないFIX窓に割り切りました。


パッシブハウスのコンセプトでは夏の南窓は日射遮蔽する必要があるので、明かりは東西北の窓で確保する必要があります。

この窓がある事で、朝陽が射し込みまるでフェルメールの絵の様な感じになりました。
又、その窓からは天を見上げる事になるので、型ガラスでも青空を感じられ心地良い席になりました。


2階のトイレは、北面の高い位置に出来るだけ大きな窓を設けました。これも十分に光が入り、とても気持ちの良い空間になります。トイレの窓は開閉が必要ですが、オペレータハンドルにしておけば高い位置の窓でも操作ができます。


温湿度に加えて、朝 日光で部屋が明るいという事も、爽やかさを感じる大きな要素だと住んで分かりました。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る31 実際の住み心地 風

そよ風は、本当に気持ちのよいものです。


今回の家は、春から秋にかけて南風が吹きます。よって、南の窓から入った風を上手く北の窓から出すことができれば、良い風を室内に吹かす事ができます。


とても役に立ったのは、台所に設けた勝手口用の通風ドア。風の通る面積を自由に変えられるし、ドアの下部と上部が開くので幅広い感じの流れになります。朝起きて、最初に南窓と北の通風ドアを少し開けると一日とても気持ちの良い風が通ります。


東西には、南風をキャッチすべく南向きに開く縦すべり出し窓を地窓として設置しました。狙いどおり、ここからも良く風が入ります。


地窓というと雨に強く、地面近くに開口面積を大きく取れる横すべり出し窓を用いるのが常識です。しかし、横すべり出し窓は風をキャッチする力は非常に弱いので、風の方向を良く見て使う必要があります。


1階の窓から2階の北窓に風を流すという事も、間取りで空間連結をしておけば可能です。

兎に角、対面の壁に窓を用意する。という事が最も効果的です。


夏は日射遮蔽をしなければなりませんが、通風雨戸が大活躍してくれます。日射遮蔽しながらある程度明かりも取り込め、風も取り込めます。一人3役を果たしてくれます。


窓について、一つ気を付けなければならない事があります。それは窓を開ける方向。
例えば、縦すべり出し窓だと、右開きにするか左開きにするかという点。

隣家との関係をも良くみておく必要があります。折角 窓を設けても、隣家の目を気にして開けられないという事にならない様に、窓の形式や開ける方向等に気をつける必要があります。

2018年12月28日金曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る30 実際の住み心地 湿度

この家の場合、湿度は窓を閉め切った場合、殆ど部屋の中で変化しません。

設置している温湿度計で、昼間に風を通すために窓をあけている間は、室内湿度はかなり上下します。しかし、夜窓を閉めるとエアコン暖房を停止しても、値が安定し、そのまま朝までほとんど変化しません。


真冬、暖房機も加湿器も何も置いていない私の寝室は、50~60%に自然に収束します。

外は非常に乾燥しているので、窓を開けると一気に室内湿度は下がりますが、しばらくするといつの間にか湿度が上がり安定ゾーンに収まります。


リビングダイニングは大きな空間で少し様子が変わりますが、ほぼ45~50%で安定しています。加湿器はなく観葉植物が一鉢あるだけの状態でです。


調湿が働いているのだと思います。
冬の過乾燥を避けたいと思っていたのですが、それがほぼ実現できています。


梅雨時も、リビングでの湿度は55-65%で自然に安定しています。


結露も基本無しです。


調湿力が高いので、風呂の戸を開けて出来るだけ水蒸気を室内に出す様にしています。壁に吸い込まれていきますので、それでも室内はいつもカラッとしたままです。
雨の日に、室内干しをしてもいやな匂いがせずに乾きます。


冬の寝室で、湿度が50%あると例え18度ぐらいの室温になった場合でも、あまり寒いとは感じない事を体感しました。ベッドから出るのが億劫という事は一切ありません。


又、夏の寝室では、湿度が60%台ならば28~9度でも眠れます。これはダイキンが最近宣伝している「新28度」というやつですね。
エアコンを切っても自然にこの湿度帯になるというのはありがたい事です。


湿度が快適ゾーンにあると、空気が爽やかに感じます。