2021年5月14日金曜日

【美術】デルフォイの巫女と大坂なおみ選手

 以前にも何度か書きましたが、私はミケランジェロのデルフォイの巫女の絵がとても好きです。


巫女の若々しさと力強さを強烈に感じます。



ミケランジェロの作った彫刻を美術館の特別展で見る機会がありましたが、どれも筋肉の表現、力強さ、精緻さに圧倒されました。


彼は彫刻をメインとして芸術に取組んだ人の様です。



絵画のデッサンの様に、モデルを使って像作りをしていたとの事。


きっと、筋肉モリモリの男性モデルが多かったのだと思います。



デルフォイの巫女についても、男性の体に女性の頭を描いているという何方かの解説を読んだ事があります。


今までは、成程そう言われればそうかな と思っていました.




でも、最近の大坂なおみ選手を見ると、現代のデルフォイの巫女を見た気がします。


鍛え上げた肉体の力強さと若々しさ。




もし、ミケランジェロが彼女を見れたら、とても喜んだのではないでしょうか。

2021年3月22日月曜日

【縄文・本】いつでも、どこでも 縄文・室内陶芸 吉田明 双葉社

 縄文土器はこうして作ったのでは。陶芸家の吉田氏が色々試して納得の方法が。


日本の各地で発見されている縄文土器。


それらは、どう作られていたのか?


実際に彼らが入手できる材料で作ってみて分かったという画期的技法、その知恵に驚き。沢山の写真を交えて、作り方を示してくれる面白い本です。



・縄文土器は どんな土でも作る事が出来る。


・特別な道具もいらない。


・誰でも作ることができる。


・どこでも焼けて失敗しない。


・どんな大きなものでも焼ける。


そして、

・土器で調理した料理は、味がまろやかで美味しくなる。



縄文土器から、当時の人々の工夫・知恵と暮らし方が伝わってくる様に思いました。



どんな土でも砂を混ぜる事で、割れずに焼ける様になる。

土器は、窯が無くとも、焚火などの擱きを中に入れる内焼で、家の中でも焼ける。

型を使えば、簡単に作れて、一日で作り上げる事も可能。

灰をうまく活用すれば良い加工ができる。乾燥も効果的に出来る。

尖底土器も、灰の上に置いてクルクル回しながら作っていけば ろくろ いらずで作れる。



やっぱり 「縄文時代」は未知の魅力に溢れている気がします。

2021年3月13日土曜日

【ボーカル】声質とゾクゾク・ムズムズ感

 テレビを見ていると、最近 昭和の歌をカバーして歌う人が増えているようです。


ヒットした歌は、その歌手の個性や声と深く結びついて記憶されているので、他の人がカバーしても、ヒット時代を知っていると、どうしてもヒット当時の歌と比較して違和感を感じてしまう事が多い様に思います。


勿論、時々はこの人の歌い方だと新しい感じがするな、、と思える場合もあって、その時は曲自体の良さがヒットをけん引したんだなと思ったりもします。


ヒット曲と言っても楽曲と歌手の掛け算が色々あるのだと思います。


歌手の特徴として、声質というのは非常に大きな要素だと思います。


私には、その人の歌声を聞いているだけで、身体の中がゾクゾク・ムズムズしてしまう人が何人かいます。


以前も書いたかもしれませんが、太田裕美さんの声、ゆずの岩沢厚治さんの声、ノーランズのバーニーさん、クリストファークロスさんなどは、いつでも、ずっとでも聞いていたいという気になります。


南こうせつさんとか、マイケルジャクソンとか、桑田さんとか 声に特徴のある方は沢山おられて、普通の意味で曲を聞いていたいという事は勿論沢山あるのですが、前述した人たちの声はそういう「音楽」とは違う、「身体の神経が心地よく共鳴する」音という気がします。


周波数分析とかをすれば、もしかしたら高調波とか何かの物理的特徴があるのかもしれません。


視覚では、黄金分割が人間は心地よく感じるという事がありますが、聴覚でも黄金倍率などと言うものがあるのかもしれないなと思います。専門家の間では、とっくに解明済みの事なのかもしれませんが。


コードで言うと、通常の主コードに数音を加えると微妙に心地よい音を作れたりしますが、それのもっと絶妙な感じという感覚ですね。


面白いものです。


2021年3月6日土曜日

【縄文】なんとなく持っていた違和感

 私が学生の時にならった人類の歴史は、猿人、原人、ネアンデルタール人、クロマニヨン人、ホモサピエンスという流れで、日本は縄文時代から始まる印象を持っていました。


縄文時代の人々の説明は、狩猟と木の実などを採取して、粗末な衣服を付けた長髪の人たちが自然の中でただ生活している野生児という絵だったような気がします。


弥生時代は、稲作などの農業が発展したという事だけがイメージとしてあって、その後 急に 聖徳太子達の政治・文化・木造家屋の揃った時代へ飛んでいた印象。


私は聖徳太子の時代は殆ど太古の半分神話の様に感じていました。



それとは別に、三国志やローマ帝国など、かなり現在と似たような世界の歴史を何の疑問も持たずに読んでいました。ローマ帝国などは、中世ヨーロッパにそのままつながっている印象で、中世よりちょっと昔という印象でした。


中東のエジプトのピラミッドや、シュメール文明、エーゲ文明などは、ローマ時代のさらにひと昔前だけど、政治や社会の仕組みや文明がしっかりあったという気がしています。



でも、ふと 世界史の年表を見ると、聖徳太子は6世紀の人で、その時世界では既にローマ帝国は崩壊しています。三国志も2~3世紀の話ですし、エジプトのピラミッドは紀元前26世紀ぐらいの建造物。



こういう風にみると、日本の歴史は本当に不透明な時代が最近まで続いていたのだという事が分かります。



縄文時代は紀元前10世紀ぐらいまでと言われているようなので、海外で起こっているのと同様な文明、文化レベルは日本でも起こっていたのではと考える方が素直な気がします。

勿論、石材を使う文明と、木材等を使う文明では、木材等での文明は遺跡という意味では残りにくいので調べ難いという事はあるのでしょうが。



そういう目で縄文文化をを見てみると、全然 私の認識が変わってきました。



縄文文化の代表例は、言わずとしれた縄文土器です。



縄文土器の写真は小学校から見ているので、なんとなくそんな物かと疑問も持っていなかったのですが、縄文土器に関する本を読んでみて、世界で最も古い土器が縄文土器だという事。世界各地に土器があるが、器の上辺が摘まみ上げた様な形状のものは縄文以外殆どない。という事を知りました。又、上半分の方が大きく重心が高い土器が多いという事も。


現代でもお茶碗やお皿、カップなど陶磁器など普通に使っていますが、確かに、上辺は皆 平らになっている物が殆どです。平でないと使い難いですから。


そういう意味では、日本の縄文時代というのは、地球上の他の地域に比べて 独特の高い文化水準を持っていたのではないかという気がしてきました。

ゴテゴテ装飾したような、非実用的な土器は、芸術性や趣味的なこだわりをする余裕があった事を感じます。豊な生活が出来ていたという事でしょうか。



脱線ですが、旧石器人 という言葉は、昔のカップヌードルのCMの影響か、石斧を持ってマンモスを皆で狩る野蛮人というイメージがありますが、2万年前(200世紀前)ですでにラスコー画などは、高い芸術性や技術を持つ絵が描かれていますし、4万年前のブラッサムブーイのビーナスは今 自分でも作れないだろうなと思う しっかりした女性彫刻です。

人類は、相当 昔昔から現代人と変わらないような感性と思考をしていたのではないかと思えます。加工技術などは未発達ですが。



こういう事例を知れば知るほど、人類の奥深さを感じます。

2021年2月15日月曜日

【本】「公益」資本主義(英米型資本主義の終焉) 原丈人 文春新書

 コロナ禍の為に赤字になった企業が続出していますが、それでも配当は維持しようとする所が多い様子。又、高株価が続いている事など、実態と離れた異常な経済活動が目につきます。


私は、グローバリゼーション、リストラ=人員整理、四半期決算、国内空洞化、経済格差・貧困の増大など、今の日本の(世界の?)社会が重苦しく希望の見えない状態に押し込まれている事に疑問と不満をずっと持っていましたが、この本に出合って、「まっとうな話が聞けた」、「そういうカラクリのつながり」だったのか、「未来に希望の持てる社会に変える可能性があるかも」と感じられました。


「公益資本主義」という言葉は、政治経済分野の人達にはすでに広く知られた言葉なのかもしれません。安倍前首相もスピーチの中で触れていたそうな。

うかつな事に、私は見落としていました。


著者の話では、今の閉塞感のある社会を作っている原因は、会社は株主の物であるといい世界を席巻している「株主資本主義」(グローバルスタンダード)が原因と事。


株主に得させる事が会社の使命であるという考え方から、

・ROEが重要と信じ込む。採算が悪くなったら従業員の給料を下げたり、首切りをすることで短期利益を上げて、それを配当で株主に回す。また、株価を上げる。 それが出来るのが良い経営者と評価され、ストックオプションを持っている経営者自身も大儲けできる。


・長期利益よりも短期利益で売り抜ける様にする事が大事となり、中長期投資などより、短期で結果の出る事だけに選択と集中させる。

そして、それが出来ないのはガバナンスが出来ていないといわれる。


・短期利益の動向が見たいから、3か月毎の4半期決算をやらせる。粉飾決算が多くなる。


・じっくり技術開発をするよりも、企業買収(M&A)で短期に株価や利益を上げる事を要求する。


・IFRSに乗り換えて、M&Aの「のれん代」償却をしないようにする。


・国内の従業員を切って、賃金の安い国でモノ作りする。


・モノ作りよりも、金融などの虚業で手早く儲ける事が評価される。


・減損会計と時価会計でがんじがらめ

 資産価値が下がると減損処理が必要になる。それを避けるために自社ビルを売って賃貸に切り替えるなどが起こっている。


・内部留保する金があるなら、配当で吐き出さないとダメな会社と評価される。


などが起こっている。



米国ではこれが進んで、一握りの富豪と多くの貧困層になっている。


株主資本主義を進めているのは、金融屋やウォール街、投資家、証券会社などなど。


この構造にホトホト嫌気がさしたムーブメントが、ヒラリーではなくトランプを大統領にした。

(そういえば、ヒラリーはキライ。ウォール街のやつらはキライと、当時のニュースで街の人の声が流れていた事を思い出しました。)




この米国発 株主資本主義グローバルに対して、以前の日本は 日本式経営として中長期や従業員雇用と大事にした経営をしていきた。


でも、バブル後。グローバル化に飲み込まれて、外国資本も沢山入り込み 日本企業の利益や内部留保なども全て吐き出させて吸収しようとしている。


グローバル基準が正義だ と信じ込む人も出だした。



日本を変え、グローバル化と対抗差別化していく「日本流」を作る事を著者は提案している

12のポイントがあるとの事。

・「会社の公器性」と「経営者の責任」の明確化。

・中長期株主の優遇

・「にわか株主」の排除

・株式保有期間で税率を変える。

・ストックオプションの廃止

・新技術・新産業ひぇの投資の税金控除

・株主優遇と同程度の従業員へのボーナス支給

・ROEに代わる新たな企業価値基準

・4半期決算の廃止

・社外取締役制度の改善

・時価会計原則と減損会計の見直し

・日本発の新しい経済指標



著者は政府の諮問委員会などにも参画し、公益資本主義を強く提案されているとの事。


どれだけ、現在の日本の制度が変わりつつあるのは私はフォロー出来ていないが、少なくともまだ先月・今月に沢山の会社が4半期決算を発表している。又、赤字でも配当を出す事を継続している。

 少しづつでも日本が元気になるように公益資本主義という考え方の方へ変わっていけば良いのだが。


2021年1月3日日曜日

【パンドラの箱?】ゲノム編集

 2020年のノーベル賞に二人の女性が選ばれました。


彼女たちは、ゲノム編集に画期的なツールをであるクリスパー・キャス9を開発したとの事。


又、昨年のテレビのワイドショーなどでゲノム編集野菜というトピックステーマも幾つか見ました。 遺伝子組み換え作物と違い、ゲノム編集作物は安全だと言われているという論調だった様に思います。



でも、実際は何が起こっているのか、起こりそうなのかが良く分かりませんでした。

そこで、「ゲノム編集とはなにか」 ブルーバックス 山本 卓 氏著を読んでみました。


ブルーバックスなので一般向けに書かれているのだと思いますが、やはり専門用語が溢れていて詳細に読み解く根性はなかったのですが、読み飛ばしながらでも そうなのか!と思った事は記しておきます。


この技術も、人類にとって禁断の技術の一つなのではないかとの感想を持ちました。



まず、

「ゲノム編集」と言っていますが、要はDNAをワープロで文章を直すがごとく編集する技術です。


DNA上には遺伝子(タンパク質を発現させる設計図)が散らばっていますが、DNA上の狙いをつけた所でDNAを切断したり、削除したり、そこに別の文章(遺伝子)を挿入したりする事が出来るという事らしい。


自然界でも、放射線などでDNAが損傷(切れたりする)事は起こっています。それに誘発されて突然変異するという事も起こります。


又、従来からの農業試験所などで行われていた作物の品種改良は、人為強制的に放射線を浴びせて、色々な突然変異を起こさせて、それらを育ててみて良いものを選別していく、、、という様な事をしていました。


ただ、放射線等でDNA損傷を行うと、DNAのどこに、どのような損傷が出来るかは運任せでした。


それを、狙った場所で切断する。 そこに狙った他の遺伝子を挿入する。という事が簡単に行える技術がクリスパー・キャス9との事。


原理は、もともと生物が免疫記憶用に持っていたしくみで、入ってきた外敵ウイルスのDNAの一部を切断し、自分のDNAの中のデータ保存領域(クリスパー遺伝子座=小さなかたまりとなった規則的に間隔を空けた短い回文配列の繰り返し構造を持つ=日本人が発見)に切り取ったDNA片を組み込み=記録し、後日外敵が来た時に、最適な抗体をぶつけていく事をしている。 そのしくみを使って、DNAの狙った場所を切り、狙った場所に挿入する事を実現する。


遺伝子は、次世代シーケンサーだと非常に短時間で配列を読み切ってしまう事が出来る現在は、その情報を使って 狙いの場所を任意に特定できる様になった。



DNAを切るだけを ノックアウトと言い。 他の遺伝子を挿入するのをノックイン と言うらしい。


ノックアウトは、自然界でも放射線で起こっている事と見分けがつかないので、安全だと言っているらしい。


ノックインは自然界では殆ど起こらない事なので、安全性等の確認が必要と考えるとの事。従来の「遺伝子組み換え」とゲノム編集のノックインの違いは、「遺伝子組み換え」はDNAの何処に挿入できるのかやってみないとわかないのに対して、ノックインは狙った所に挿入できるという違い。



この技術を使うと、学術的には どの遺伝子がどういう働きをするのかをひとつづつ調べていくことができたり、網羅的・系統的に調べていく事が可能になる。


応用として、幾つかの例が載せられているが、

・古くからある、作物が病気や虫害に対抗できる様にする。

・マグロの養殖で、神経質な性質をおとなしい性質に変える。

・外来種を絶滅させるために、不妊化して子孫を残せない様にする。

・花粉を生まないスギにする。

・油脂を作る藻を繁殖しやすくする。

・牛がけんかで傷つけやすいので、角が生えない牛にする。

・医療への応用


など。DNAは生物の設計図なのですから、それをイジルと そうとう何でも出来てしまいそうです。


特に、性質・気質を変えるとか、不妊化させるなど、人間の尊厳を直接踏みにじる事も当たり前に出来る世の中になりそうです。

下手をすると、形を変えた優生思想に使われるかもしれません。



筆者は 倫理面での法制度化を急ぐべしという事を訴えています。

(学術会議はそういう提言をしているとの事。政府は法制化しているのだろうか?)



今までの歴史を見ると、科学者は自分の興味や功名心、または善意から研究をどんどん推し進めると思います。

政治や利権を求める大多数の人間は、それを自分の為に活用しようとするでしょう。



人類は、また新しいパンドラの箱を開けてしまった様に思います。 

どうやって希望を残せば良いのでしょうか?

2021年1月1日金曜日

【家 住み手が書く】体感温度 快適性

 以前、ネットでは(室温+壁の温度)/2が体感温度と言われているようだと書きました。


実際に毎日 室温計を見ながら3年弱過ごしてみて、確かにそんな感じかなという気もします。


室温が同じでも、寒く感じる日もある。

湿度も体感にはかなり効いてくるというのも実感です。(特に暑さに関して)



でも、体感温度と快適性は必ずしも同じでは無いという事も良く分かりました。



快適性としては、気温よりも輻射熱が重要と感じます。



冬場、室温は22度に保っていても、日差しの有無で快適性が天と地ほど違います。


壁の温度というよりも、直射日光の輻射熱を感じられるかどうか。



「床暖房の幸せ」というハウスメーカーの広告を良く見ますが、床暖房は輻射熱方式ですので納得できます。


でも床暖房は無くとも、窓から差し込んだ日光に直接身体があたる陽だまり効果に加えて、日光に床や家具が暖められてそこからの輻射熱が出るという効果があります。


日光が差し込んでいるならば、たとえ室温が18度ぐらいでも、寒さや不快感は無し。



太陽光のありがたさを本当に感じます。 

太陽光の安心感が加わってかっているのかもしれませんし、壁からの低温輻射よりも(ずっとエネルギーの高い)太陽輻射の方が人間の皮膚には快適と感じる様に出来ているのかもしれません。

又は赤外領域の輻射よりも、可視光領域の輻射をより心地よいと感じるのかも。


太陽の光はタダですし、うまく活用したいですね。、



蛇足ですが、


東京の冬は晴天率が80%近くあります。我が家では真冬でも晴天の日は暖房は夜中の数時間だけ。それも不要の日もあります。

関東は晴天率が高いので太陽エネルギーの取り込みのパッシブコンセプトがとても良く合います。