書いた、眞鍋Japanがデータ活用によってどう戦術立案をして
いたのかの説明本です。
とにかく、緻密な生データ(インドメーション)の収集蓄積と、
それを使った分析・立案(インテリジェンス)がどの様に行わ
れているのかを詳しく知ることができます。
ここまでやっていたのか、、、 これならば選手もスタッフ
も本当に一丸になって目標に進んでいたんだ という事が
具体的に良くわかりました。
スタッフの皆さんも、寝食を忘れて、身銭も切ってロンドン
でのメダル獲得に向けて進めた3年間。
根性ではなく、データに基づいた分析を使って、戦術を決めて
いくだけではなく、選手育成のツールにも大いに活用している
姿がわかります。
バレーの世界で、「データバレー」という言葉は80年代から
使われていました。実は、イタリアで「データバレー」という
データ蓄積・分析用のアプリソフトが開発された事がきっかけ
だったそう。
渡辺さんは大学生の時から全日本女子チームに専任のアナリスト
として雇われ、データ活用を突き詰めていった様子。
「アタック決定率」などという指標は世界中で使われていますが、
70個もの日本独自のもっと具体性をもった指標を案出して敵味方
の分析に活用していれるとのこと。たとえば「アタック効果率」
など。
ちなみに
アタック決定率=「アタック決定本数」÷「アタック総打数
(アタッカーが打った総数」
アタック効果率=(「アタック決定本数」-「被ブロック数
(ブロックされてしまった数)」-「アタックミス本数」)
÷「アタック総打数」
トランジション成功率=相手のアタックをブロック、もしく
はディフェンスしたあとのアタックで相手コートに返した数
÷(相手のアタック数ー相手のアタックミス数)
※トランジションとはラリー中に攻守が入れ替わる場面の事
で、具体的には、相手チームのアタックをレシーブし、自チーム
のアタックへと展開し、守りから攻めへ転じる状況を指す。
それ以外に、「おとり」で飛ぶ事による効果率なども作って
アタックしていない他の選手の動きをキチンと評価してあげら
れる様にした。
ロンドンの韓国と戦った銅メダル決定戦。WSを江畑選手で
行くか迫田選手で行くかが前日のスタッフミーティングの
議題だった。韓国はキム・ヨンギョンのレフトからの攻撃
力を少しでも低下させる戦術を考えるべきで、その為に日本
のライト側に少しでも強いブロッカーをぶつけなければなら
なかった。ライトの攻撃力を上げるには、江畑選手、新鍋
選手、迫田選手という選択肢があったが、アナリストして
迫田選手を推した。スタッフで議論を重ねて、最終的に
眞鍋監督は迫田選手を先発に起用する決断をした。
そして監督は、迫田選手に「韓国戦では、石田のユニフォーム
を下に着て、戦おうじゃないか」と提案した。
「親友の分もお前ががんばれ!」と眞鍋監督は選手の力
を大舞台で引き出そうとした。
その前の中国戦でも、戦略的にスタメンに新鍋選手を起用
した。これまではオポジット(セッターの対角位置に入る
ポジション)には、ネット際の的確な判断力などが評価さ
れ、山口選手が起用されることが多かったのだが、新鍋選手
を起用することで、木村選手のレセプションの負担を軽減
する効果を狙った。木村選手が攻撃に専念しやすい状況を
作り出す事を狙い、それが発揮された。
戦術立案は4つの視点から考えている。
①相手の弱いところをいかにつけ込むか
②相手の強いところをいかに防ぐか
③自分たちの強みをいかに生かすか
④自分たちの弱いところをいかに隠すか
そして、「相手の視点に立って戦術を練る」。
練習等では、”どれだけ足りないかを具体化する事で目標
を達成する”ことを目指す。 曖昧な点を数値化して具体
目標と進捗を明確にする。
加えて、相手チームの弱点や、自分チームの上手に
出来た記録の映像などを集めて見せて、大試合前に
選手のモチベーションアップを行った。
この本を読むと、よくぞここまでやってくれたと感心
しました。昔の「ミュンヘンへの道」で松平チームが
やっていた様な熱意と工夫と努力でチームを作って
いった事がよくわかります。
今度のリオオリンピックでは、さらにこれらを進化さ
せて行ってくれていると信じます。
どんな、火の鳥になって生まれ変わって来るのか楽しみ
です。
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