副題は、「地球温暖化に挑むジオエンジニアリング」
地球温暖化への対策アイデアをずらりと説明&現状の課題を説明してくれる本です。
対策アイデアには、単なる思い付き的な物や、実際に検証に入っている物。世間で言葉だけが先行して期待されてしまっているものなど多様との事。
地球温暖化が問題だという認識はかなり前から出来ているにも関わらず、世界では温室効果ガスの排出減少はさせる事ができないでいます。
既に、気温は上昇し始めていて、その影響も気候変動や氷山や氷河が減るなど目に見える様になってきています。
地球温暖化対策技術アイデアと一口に言っても、
①温室効果ガスの増大を抑えるアイデア
②既に大気に溜まってしまった温室効果ガスを回収するアイデア
③回収した温室効果ガスを長期貯留するアイデア
④対症療法で温度上昇を抑えるアイデア
という種類があります。
本当は、人間の生活を改めて、消費生活ではなくすという本質的な事があるハズですが、それに対しては殆ど動きがありません。人間は、一度 便利に浸ってしまうとそこから抜け出せないものなのでしょうか。
この本は、①~④についての色々なアイデアを紹介し、又、現時点で分かっている効果や問題点、懸念点を説明してくれています。
副題にある「ジオエンジニアリング」とは、日本語で地球工学や気候工学と呼ばれている様です。「人為的な気候変動の対策として行う意図的な惑星環境の大規模改変」とのこと。
まずは、その中で全球工学(影響が地球全体に及ぶ工学)のアイデア。
日除けになる物体を地球と太陽との間のラグランジュポイントに置いてしまうというもの。例えば小惑星を爆破して破片を散りばめるなど。対症療法の極みですね。 でも、これは「現状復帰性が低い」のでダメです。
もう一つは、成層圏にエアロゾルを散布するアイデア。これは、以前のピナツボ火山の爆発による火山ガスによるエアロゾル散布が起こり、実際に地球の温度が0.5度下がったという実績があります。又、効き目は数年続くというぐらいなので、「現状復帰性」もありそうです。費用も安く行えます。実現可能性はありそうです。
但し、気を付けなければならない点がいくつかあります。
これもあくまで温度だけを見ている対症療法(太陽光を遮る)である事。
たとえこれで温度が下がったとしても、CO2は沢山あるので海の酸性化はどんどん進んでしまいます。生物が住めなくなっていく。
又、これに慣れてしまい、化学燃料をどんどん燃やしても大丈夫という意識になる(モラル ハザードという言う)と、もしエアロゾル散布が止まると非常な温暖化が進んで(ダイエットでのリバウンドですね)しまう事になります。
さらに、冷却効果は地域によって違いが生じます。もともと太陽光があたりにくい極地方や夜間、冬季などは効果があまり出ません。又、散布の仕方によっては、低緯度から高緯度への熱の移動を減少させ、異常気象を呼びます。降雨量も地域によって狂ってきます。
逆に低コストの為、テロリスト等にエアロゾル散布をさる危険もありそうです。
今まで地球に入って来ていた太陽エネルギーの総量が減るわけなので、光合成など太陽エネルギーで回っている仕組みにも影響があるのではないでしょうか。
止めておいた方が良さそうです。
0 件のコメント:
コメントを投稿