2019年3月3日日曜日

【本】サイボーグ009 1~23巻 石ノ森章太郎 秋田書店

石ノ森さんの代表作であり、ライフワークとも言える物語群です。

小学生の頃に読みだして、好きで何度も何度も読み返していたのを覚えています。

地下帝国ヨミ編の最後で、009と002の流れ星を読んで 涙と喪失感でその後3日ぐらい落ち込んでいました。


そんな、サーボークですが、その後もぽつぽつと続編が出ている事は知っていましたが、あまり読む機会を持てませんでした。


今回、近くの図書館に豪華本が全巻揃っている事を知り、50年ぶりに1巻から順次借りて読みました。


初期の巻では、とても懐かしくこういう絵だった、そうだったと当時の自分の気持ちも思い出しながら読みました。


通して読んでみると、そこには著者の石ノ森さん自身が大人になり成熟していく過程も感じられました。


このシリーズを通して、石ノ森さんは色々な事を若い人達に伝えたかったのだと思います。


初期は、SFマンガの面白さと、ブラックゴースト団という存在により、世界には裏社会があるんだという事、チームワークと団結で困難を乗り越えていく素晴らしさ、サイボーグに理不尽に改造された相手とも命のやり取りをして戦っていかなければならない悲哀、科学技術の凄さと二面性 でしょうか。

戦争の悲惨さ、ベトナム戦争とはどんな感じになっているのか、戦争のカラクリや、戦闘員の気持ち、戦争は誰も幸せにしない事を伝えようとしたと感じました。


中期は、色々な派生ストーリーを単発的に描き、SF小説やミステリー小説の面白さにいざなっている様に見えました。


ガロ等でポエムの様な「ジュン」で実験演出を試みていた時は、009でもポエム調になり、活劇とは異なる 芸術や美を感じさせるものもありました。

後半は、人間の科学技術が野放図に進化していく事に対する危惧を伝えたかったのでは思われる作品も多いです。


病没されて途中までになってしまった「神々との闘い」は、人間とは何かを、宗教的な事もからめて語ろうとされていたのかもしれません。


40年に渡った作品群という事で、読者側もどんどん次世代に変わっていったのだと思いますが、石ノ森さんがその時その時に伝えたかった気持ちが、読んだ各読者の胸に響いたのではないかと思います。


サイボーグ009全巻を読んで、初めて石ノ森さんの人生を感じる事が出来たと思いました。

往年の少年達に、可能ならば もう一度 読んでみて欲しい シリーズです。

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