樹木や植物について、私はあまり分かっていないな、、と思う所があり、表記の本を手にとってみました。
実は、ファーブルは生まれて初めて読みました。
勿論「昆虫記」という超有名な本がある事は知っていましたが、昆虫にあまり興味の無かった私はそれも読んでいませんでした。
今回、植物の全体像が平易に分かるのではと期待して読み始めたら、面白くて、とてもスゴイ本だという事にビックリしてしまいました。
ファーブル本と小学生の時に会っていたら自然科学者を目指していたかもしれないなと思います。
生物の時間に植物について、師管や導管、被子植物や光合成など、部分部分の用語と話しは習って、受験用にも覚えた記憶があります。
又、街の本屋で良く売っている植物に関する手軽な読み物は、ちょっと変わった植物の話 等が多いです。
でも、この本は植物の「生き方=人生?」を説明してくれています。
医学書を読んでも、人間がどう生まれて成長して、先祖と関わりを持って次世代につないでいくのか等の人生は分かりませんが、それと同じ感じでしょうか。
私の中で、今までボンヤリと理解した積りになっていたが、この本でスッキリ腑に落ちた事をいくつか書いてみます。
幼児用の絵本では、一本の大きな木は幹に顔が書いてあって、葉っぱは髪の毛の様な絵が多いので、なんとなく樹木は一本で一つの生命個体という印象を持たれているのではないでしょうか?
ファーブルに依ると、樹木は枝一本一本が個体であり、樹木はサンゴの様に沢山の個体が集まった集合体であるとの事。
枝の元は芽なので、芽が一つづつ個体で重要。
種から芽を出して幹(最初の枝)を作り、そこから又 芽を出して枝を作っていきます。
植物は地下から水分と微量栄養分を吸い上げて、葉で太陽光と二酸化炭素を使って化学処理して、植物にとっての栄養食(=樹液)を作り、各葉、枝の樹液を下に流しながら、幹や根を成長させると共に、フィトケミカル(合成物)も作っていきます。
毎年 新しい枝を作り新しい葉を茂らせ、古い枝は葉を付けなくなり世代交代を行っていきます。
幹の真ん中は古い世代ですので、死んでいくのですが、それを柱としてその周りに新世代の層を毎年作っていく。
芽にも、枝を作り葉を茂らす役目の個体もあるし、花(=種)を作り違う土地に拡散していく為の役目の個体もあります。
そうやって、脈々と繋がって行く。
昔の日本の「家」制度の様な気もしますね。
この枝=個体 という考え方は、(以前神津さんの本の記事の時にも書きましたが)桜の開花が枝毎で違っている事と合致します。 ナルホド。と思いました。
別な話では、品種改良。
人間は、野生の植物を人間の役に立つように品種改良を重ねて現在の色々な果樹などが出来ています。
これらは、基本 挿し木や接ぎ木で増やれているとの事。その方法ならば、クローンと同じように元の木の性質をしっかり再現できるから。
それを、種を用いて植えなおす事を重ねると、木はどんどん先祖返りをして野生に戻ってしまうとの事。
酸素の話。
植物は昼は酸素を出して、夜は二酸化炭素を出すと学校で習いました。
それは、どうしてか?
酸素は光合成という仕事をした時に造られる物なので、光が当たっている時にしか発生しません。
一方、動物と同じで植物も生命活動をする為のエネルギーは酸素を燃やすことで得ています。
よって、夜中でも植物は酸素が必要になります。でも、光合成で作られる酸素の量の方が、生命維持で必要な酸素の量より少ないという事。
食料を作ってくれる農家の方も、自分の作業エネルギー用に食料を食べるというのと同じですね。
他にも、色々な事が詳しく平易に子供にも分かり易い様に書かれています。
ファーブルを読んだ事が無い方には、ぜひお勧めの1冊です。