五代友厚、島津久光などに方向を示し、
メンターであり、モチベーションの源泉
でもあった島崎斉彬。
どういう人物だったのか、どうしてその
様な人が生まれ育ったのかを知りたくて
この本を読みました。
とはいえ、題名とは裏腹に、半分以上の
ページは斉彬の曽祖父、祖父、父の話
に割かれており、斉彬に関する所も、父
との確執とお由良騒動が殆ど。斉彬が
藩主になってからの事は本当にあっさり
史実を書かれています。
斉彬が家族、家中の逆風に会いながらも
日本と藩を改革していこうとする姿は
どれだけ辛い人生だったろうと感じます。
早くから父から藩主を受け継げれば良かった
のだが、財政面での立て直しを成し遂げた
成功者の父は、その座を譲る気は無い。
革新的な斉彬よりも、自分の路線に近い
久光を無理やり後継者に置き換えようと
する父との戦い。そのごたごたより斉彬
の有能の部下達が根絶やしにされる。
確執が無ければ、もっともっと早くから、
斉彬による日本改革は進んでいたかも
しれません。又は、討幕ではなく、幕府
改革をして違う日本の姿になっていた
かもしれないと想像させます。
斉彬のカラッと明るい表面の裏に隠され
た苦悶も含め、よく感じられます。
読後感は「重い」ですが、斉彬を
知りたい人には面白い1冊です。