ナショナリズムや保護貿易主義が台頭
し、戦争が起こり易すそうな世界情勢
ですが、命の基本となる食料問題につ
いて、この本を読みました。
2回に分けて書いてみます。
<世界の農業>
第2次世界大戦後、植民地が独立して
いき、そこを食料供給基地としていた
欧州各国は一気に食料難になりました。
欧州農業は、自給自足から保護を経て
自立へ向かうのですが、EUの前進のEEC
における最初の大きな成果の一つとし
て1962年に農産品の共通価格水準を設
定(保護)をしました。それにより、
今は自立へ向かいつつあります。
米国は大戦前から農産物輸出大国とし
て食料市場を席捲してきました。
アジアは人口が急増して、食料難にな
りましたが、「緑の革命(品種改良、
肥料、かんがいの3点セットで米、
小麦、トウモロコシの生産を倍増さ
せる事に成功)」し、危機を克服。
その後、工業化への成長軌道に乗せた。
アフリカはいまだ食料不足が深刻
なまま。但し、ネリカ(New Rice
for Africa)米などのアフリカ版
緑の革命への動きは少し出てきつ
つある。
アメリカは北米大陸の真ん中を縦に
通る西経100度線の東西で農業が変
わる。東に行くほど降水量が少ない
のでトウモロコシ、綿花、酪農が
多く、西側は湿潤なので小麦や牧畜
地中海式農業が行われる。
もともと、リンカーンがホームステ
ッド法で未開発の土地64Ha(800m四方)
を無償で払い下げるという法律を作り、
移民達は木を伐採、開墾し家族労働で
耕作していった。
これが「フロンティア・スピリット
(開拓者精神)」の起原。
広い土地は家族労働で行うには限界
があるので、機械化が進み生産性が
大きく向上した。
強大なアメリカ農業だが、3つの
問題を抱えている。(地下水の枯渇、
土壌の劣化、塩類集積)
世界の穀物収穫面積は1961年から2004年
で殆ど変わっていない。農地開発が行わ
れている一方、砂漠化が進んでいるから。
単位面積あたりの収量は増加しているの
で、総生産量は増加している。
巨大穀物商社(穀物メジャー)も5大
メジャーから今は、カーギルとADM(両方
とも米国企業)の二強体制になっている。
畜産では、1980年から2005年の間、先進国
での食肉需要はあまり変わらないが、中国
で一人当たりの消費量が食肉4倍、卵8倍
に増えた。今後も開発途上国での潜在需要
が起こってくる。
水産物への需要も1980年から2005年で倍増。
特に、今まであまり食べていなかった中国
が1980年代後半から食べる様になり、世界
の水産物消費の30%に達する。
養殖は中国を中心に増加中。生産量は漁業
生産量と同じぐらいになってきている。
サケは1990年代にノルウェーとチリが本格
的に養殖に乗り出したので、一気にグロー
バル食品になった。
農産物は人が食べる物以外に、肉を作る
為の飼料需要(大豆の最大輸入国の中国で
は、飼料向けが急増)、バイオ燃料向け需
要増などもあり、取り合いになってきている。
特に、肉を作るためには、直接 穀物を
人間が食べるより大量が必要(牛肉1Kg作る
為にはトウモロコシ11Kg,ハンバーガー1個
分の肉には、おにぎり65個分の米が必要)で、
非常に効率の悪い方向に向かう。
0 件のコメント:
コメントを投稿