副題が「心の未来を科学する」。
物理学者で一般人へ科学の前線を語る、科学の伝道師的な著者の翻訳本。
2015年の日本発刊なので、内容的には2013年までの科学について書かれていると思えばよさそうです。
という事で、本当に最前線かと言えば、既にそうではない(例えば、AIやディープラーニング等についてはこの本の後で大いに盛り上がっていますね)という事を認識しながら読む必要があります。
でも、そうだったのか!と思う内容も沢山書かれていて面白い。
欧米本の翻訳なので、日本人には冗長で長すぎる記述は我慢しても、我慢のしがいがある本だと思いました。
そうだったのか!と思った点を簡単に上げておきます。
脳の事をキチンと調べられ始めたのは、MRIや脳磁気センサ、PET等が発明されて普及してきたこの20年ほどの事。それまで、脳や精神などについては、哲学や思い込みなどで語られているだけだったのが、つい最近から科学できる様になってきた。
今は、世界中でデータ集めや実験などが進められている状態。きっと、近い将来かなりの事が分かってくるのではないか。
脳には右脳と左脳がある。それをつなぐ脳梁という部分があるが、それが切断されて左右が独立になった人には何が起こるか。通常は左脳(論理的に考える)が右脳をコントロールしているが、独立脳になったら右脳と左脳は違う考え方をするらしい。例えば右目(左脳)だけに見えるようにして何になりたい?と質問した時の答えと、左目(右脳)だけに質問した時では答えが異なる。また、右手と左手が勝手な動きをしてしまい、片手でもう片手を抑えていなければならない時があるとの事。
誰でも、右脳と左脳で本当は二重人格になっているという事なんですね。
それ以前に、自分の一人の考えと思っている事は、実は脳で多様な信号がせめぎ合っていて連続的ではない。それを円滑につながっていると自分で勝手に認識しているらしい。
BMI(ブレイン マシン インターフェース)を研究しているところが多い。脳の信号を読み取ってコンピュータに入れて解釈したり、機械を動かしたりする。
脊髄損傷で全身不随の人でも、コンピュータを介して他の人とコミュニケートしたり、道具を動かしたりする事ができる。又、どんな夢を見ていそうなのかも読み取れる可能性がある。
記憶を消したり、書き込んだりも動物実験ではある程度できつつある様子。
サヴァンの人は、左脳にダメージを受けてなる事が多いらしい。右脳に潜んでいた才能が一気に出てくるのかもしれない。
1953年CIAは巨額を使って、マインドコントロールの研究をした。
自白剤の開発、記憶の消去、催眠術や各種薬物での行動コントロール、即効性の催眠剤、薬物によって従順な人間にする人格改造など。
色々研究したが、どれも不安定で確実性がないという結論。
ただし、脳の島(脳深部の前頭前皮質と側頭皮質の間にある)の活動を鈍らせれば、麻薬、アルコールなどの依存症から離脱しやすいという事はわかった。
そう鬱病は左右脳のアンバランスから来ている可能性がある。左半球が強いと妄想やそう状態になる。右半球が強いと悲しみなどの否定的感情=うつ状態になる。
重度脳障害を受けて昏睡状態になっている人に、脳の視床まで電極を入れて電気を流す事(DBS:脳深部刺激術)で深い昏睡から目覚めさせる事ができた。
これ以外にも、心とエネルギーや幽体離脱、ロボット、AI、エイリアンについてなど盛沢山な内容が書かれています。
興味のある方は、ぜひ一度 読まれると面白いかもしれません。
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