この本は2018年3月発刊の本です、
つまり、今年(2018)の夏前の大雨や、台風の強風による災害、北海道の地震による表層崩壊などが起こる前に書かれています。
この本で これから起こっていくであろうと予測していた事が、ほんの数ヶ月の内に次々と起こっているのを見る事になりました。
地球温暖化はこの100年位(1880-2012)で0.85度上昇している。
このままいくと1950-2100年での気温は最大4.8度上昇するだろうと国連IPCCで報告されている。
IPCCの気象予測シナリオに基づいて21世紀末の日本を予測すると、
・滝の様に降る雨(降水量50㎜/時 以上)の年間発生回数は、
全国平均で2倍以上となる。
現在ではほとんど観測されない様な、年最大日降水量が例年
の様に出現する。
・台風は、現在では見られない強度まで発達する。最大風速67m/s
を超えるような極端に強い台風については、その数と最大強度
が顕著に増大すると共に、日本に上陸する直前でも中心気圧が
880hPa以下、最大風速70m/s以上を維持するものも予測される。
・これらの気象予測に基づき河川流量を検討すると、治水計画の
の基本となる流量を示す基本高水を超える洪水の発生頻度が
約1.8~4.4倍になる事が予測される。
温暖化に対して、「緩和策」と「適応策」という考え方がある。
「緩和策」は温室効果ガスの排出削減と吸収源の対策で、例えば
・省エネルギー対策、・再生可能エネルギーの普及拡大、
・CO2の吸収源対策、・CO2の回収・貯蓄 など
「適応策」は影響への備えと新しい気象条件のの利用策として、
例えば、・渇水対策、・治水対策、・洪水危機管理、・熱中症予防、感染症対策、・農作物の高温障害対策、・生態系の保全などとなっている。
緩和策と適応策の両輪で進める必要性がIPCCでも強く位置つけられている。
本書での提言としては、全体最適の視点で「適応策」をハードとソフトの両面で進めていく事を訴えている。
そのためには5つのポイントを持った社会を作る事が必要との事。
①冗長性、代替性を持つ
2重化、3重化、バックアップシステム
②何が起きても壊滅的被害に至らない
堅牢性
③粘り強く復元可能な
「防ぐ」に加えて「いなす、そらす、かわす、逃げる」
④融通が利き順応性をもった
複数の手段やネットワークを臨機応変に再編成できるよ
うな順応性。コミュニケーションやソフト対策。
⑤安全・安心を与えてくれる
危険に関する正確な評価とリスク分析、客観的で科学的
な情報の提供など。
以上