2018年12月22日土曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る23 高断熱の具体化5 窓

窓は方角ごとに考える必要があります。


南は、パッシブハウスコンセプトでは冬は太陽熱を取り込む重要ポイント。夏はその逆に太陽熱が入らない様に考える必要があります。

ここは冬をベースに考えます。夏の日射遮蔽は色々なやり方が考えられますから。
基本は、大きな開口面積になる様に窓を配置します。そして、ガラスは日射熱取得型のLow Eタイプ。


同時に、夏の日射遮蔽はどうするかも考えます。ポイントは窓ガラスの外側で日射遮蔽する事。窓の内側で遮蔽しても熱は家の中にこもってしまいます。

方法の第1は庇や軒、ベランダなどで直射日光が部屋に差し込むのを防止する事。

どれだけの長さの軒や庇を出したらよいかは、緯度から計算する事もあるでしょうが、私の場合は、家を建てた場合に差し込む光の具合を丸清さんがシミュレーション映像で見せてくれました。

春夏秋冬の朝から夕方まで時間毎にどういう光が各部屋に差し込むのかを何度も何度も見ました。冬の陽がどれだけ部屋の中の方まで差し込むかも重要なポイントです。
又、構造的に出せる軒や庇の長さはここまでという条件もありますので、それを勘案しながら決めていきます。


物の本には、夏至の日中太陽高度がこの角度だから軒はどれぐらい、、という様なロジックで書かれているのも多いですが、夏至以外、真昼以外の太陽はもっと低い高度からの陽射しになりますので、それだけ考えていてもナンセンスと思います。

斜めからの光の遮蔽には、庇等に加えて、スダレやシェードを掛けたり、ヨシズ、又は、緑のカーテンも良いです。


東と西は”朝日”、”西日”が射し込むので、これも気を配る必要があります。
朝日はすがすがしい印象。西日は暑いという印象がありますが、現実は朝日も西日も差し込むエネルギーは同じ様な物です。

南と異なるのは、光が絶対に横から差してくるので軒や庇では防御できない事。
一方で、隣家の影も大きく影響しますので、隣家の影もいれたシミュレーション映像を見ながらどの位置に窓を設けるか考えていきました。

良く言われるのは、西の窓は小さく、少なくする方が良いという事。昼間で温まった部屋に、さらに西日のエネルギーが射し込まれると暑く感じます。高断熱の家ならば、東も西も日射遮蔽型LowEガラスがお勧めです。


北は、一番 明るさ等が安定している方向。
明り取りなどに北窓は使えます。又、排熱口として2階の北窓は重要です。出来るだけ高い位置に窓を持っていくのが良い様です。それによって明かり取りにも、排熱にも良い働きが期待できます。
1階の北窓は日陰の涼しい空気を夏には取り入れられるかを考えます。


あと、方角ではないですが冬に関しては、コールドドラフトというものも考える必要があります。例えば階段や吹抜けの上の大きな窓など、冷気が入ってきて冷たい空気が降りてくるという現象。
これがあると冷たい風が室内に入ってきてしまいとても気持ち悪い様です。
そいう所は、もう一段断熱性能の高い窓にしておくのが良さそうです。

2018年12月20日木曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る22 高断熱の具体化4 窓

窓メーカーもこの数年でかなり断熱化に舵を切ってきた様で、だんだん世界並みの高性能窓の方向の商品が出始めてきているとの事。


断熱に関連する事としては、LowEガラス、ペアガラス、トリプルガラス、真空ガラス、封止ガスもアルゴンだクリプトンだと色々なワードが出てきます。
従来からある、二重窓(内窓)という物もあります。


最初はペアガラスと二重窓の区別が良く分かりませんでした。複層ガラスという言葉も出てきます。ややっこしいです。


サッシにもアルミ、ハイブリッド、プラ、木製と種類があります。サッシとガラス種(含むLowEコート)とガラス間のスキマ間隔、封止ガスの種類などの組み合わせで性能が変わります。

サッシの断熱性は、熱伝導率の順番で木、プラがハイブリッドやアルミよりかなり良くなります。


ガラスは間に空気層をどれだけ作れるかという事がキーで、シングル、ペア、トリプルガラスの順で断熱が良くなります。
トリプルやペアガラスは同じガラス厚でも空気層の厚みが厚い方が断熱が良く、空気層よりもアルゴンガス層、クリプトンガス層、真空の順で断熱が良くなります。


二重窓はガラス間の空気層の厚みが大きくとれるので有利。でも、開け閉めは面倒。
又、トリプルガラスなどになるとガラスの総重量が重くなり、窓の開け閉めが重い。


LowEガラスは熱の放射を通したり反射させたりして、外からの熱を取り入れるタイプと、できるだけ取り入れたくないタイプの2種類があります。


断熱という見地で最も有利なのは木製サッシ+トリプルガラス(LowE)+真空+二重窓化となります。


日本の窓の標準品としてはYKK APとLIXILの売っている物が流通量が多いと思いますので、この2社の窓を見に行きました。


カタログ上の性能は、両社ともかなり高性能の窓を用意しており、あまり優劣がつきません。でも、実物を見ると網戸に関する考え方がかなり両社で異なっており、私にはYKK APの方がメンテ性も良いと感じられたので、YKK APの窓で検討を進める事にしました。


YKKには430シリーズという超高性能を謳っている物と、330シリーズというプラサッシの普及高性能窓、ハイブリッドサッシの310シリーズなどがあります。性能が上がるに従い値段も上がります。特に430はまだ流通量も少ない様でした。


北海道仕様の断熱レベルを持たせるのに、必要な最低レベルはどこか?という観点で調べて行き、330シリーズのペアガラス、中空層16㎜、アルゴンガス封入、LowEというものをベースに考えて行く事にしました。
場所によっては、他のグレードも組み合わせます。

2018年12月19日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る21 高断熱の具体化3 窓

窓を考えました。家創りの中で窓が最も頭を悩ませた所です。


熱が外に逃げるのも、外から入って来るのも窓部分が最も比率が大きいと言われています。実際、以前住んでいたマンションのアルミサッシ窓は、冬は窓際だと寒さを感じて近寄りたくないと思っていました。


又、窓は明かり取りのキーになります。
さらに、風の取り込み、風景(インテリアの一つとしての借景)、プライバシー保護。
そして、窓と玄関は防犯上の最大ポイントであり、災害時の避難経路としても見る必要があります。
外騒音の防止や、楽器などの家の中からの音の洩れも窓がキーになります。


窓は1つで何役もさせなければいけないので、本当に難しい。
でも、家の快適性の成否は窓に大きくかかっていると思います。


YKK APやLIXILのショールームに何度も通い確かめながら、少しずつ勉強していきました。

2018年12月18日火曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る20 高断熱の具体化2

同時に間取りや内壁の作り方を考えます。

壁等(外皮と言う)の断熱が良くなれば、家じゅうの部屋を連結して大空間にすれば家の中の温度差を小さくする事ができます。

暖房や冷房をする場合でも、効率よく家全体に効果をいきわたらせる事ができヒートショックを無くしていけます。


具体化方策としては、出来るだけ仕切り壁や廊下を減らす事。動線も短くできます。

又、各部屋の戸は引き戸にしました。
ドアだと閉め切ってしまう事が前提になりますが、引き戸だと閉める、開けるに加えて、好きな大きさで開けておくという事ができます。これにより、空間連結をしやすくします。(引き戸はこれ以外に、バリアフリー対策や通風効果にも好影響を与えます)


吹抜けや階段室で1階2階の空間を連結したり、そこに内窓を設けるのも効果が期待できます。目隠しが必要な所はロールカーテンを使うなど、出来るだけ空気の遮断を少なくします。


家の空間は小さい方が一括暖房や冷房には効率が良い面もあり、できるだけコンパクトな作りにしたいと考えました。前述した天井断熱は、そいういう意味でも良い方向です。

2018年12月17日月曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る19 高断熱の具体化1

北海道レベルの断熱を、特別な建材や建て方ではなく、低コストの標準的な建材と建て方を使い実現する方法を考えました。


まずは、断熱材。基本 セルローズファイバーを使う事に決めて、それで北海道レベルを実現する厚みの計算をして見た所、壁では122mmだと出ました。


工務店の丸清さんの建てられる標準的な柱の太さは120mmですので、この柱にビッシリセルローズファイバーを入れてもらえればほぼ達成可能となります。


上方の断熱は、屋根断熱ではなく天井断熱としました。
これは、地震対策での重心を下げるという効果の他に、天井断熱では、天井の上にセルローズファイバーを吹き積もらせるだけなので、断熱厚さを非常に低コストで増やす事ができるというメリットがあります。


天井断熱で北海道仕様をセルローズで行うには220㎜の厚さが必要という計算になりました。丸清さんの標準よりは厚くなりますが220㎜を超える厚さにする様にお願いしました。

気を付けなければいけないのは、天井に吹き積もらせる場合は、だんだん沈降するので沈降後に220㎜を達成する様に吹込み時はそれを見越した厚さで吹き込んでもらう必要があります。


床は、セルローズファイバーでも可能と言われていますが、設計士さんより過去の経験から、時間が経つとどうしても垂れ下がって断熱性能が落ちてしまう事が懸念されるとの事。
そこで、セルローズと同様に天然材料から作ったフクビフォームという断熱材を使う事にしました。
これも北海道仕様の厚みとしてもらいました。

2018年12月16日日曜日

【本】「皮膚をゆるめる」と痛みは取れる 福井勉 ビタミン文庫

副題が ひざ、腰、首、股関節の痛みに効く! 革命的テーピング術

テーピングというと、スポーツ選手の姿を連想しますが、これはテーピングで身体の不具合を治そうという物。


以前、柔術の話の中で皮膚のたるみを取って技をかけるという様な話を聞いた事があり、自分の手首などでたるみを取って引っ張った時と、たるんだ状態で引っ張った時での自分の反応を見てみたりした事がありました。

緩んだ状態から力を入れると、たるみがとれた時にショックがあり、そこでその力に逆らおうとする反応が出ました。
一方、先に手首を触って軽くたるみをとった状態で力を入れると、抵抗反応がなくスッと相手を動かす事ができる事を体感しました。

それ以来、皮膚のたるみの活用方法や手法があるのではないか?という興味があり、この本を手に取りました。


身体が動く時には、かならず皮膚の動きが連動して起こります。
肘を曲げると、腕の表面と裏面では皮膚が逆に動きます。

この動きが何らかの事で制限されていると、痛みやそれ以上曲げられないなどという状態になるとの事。

それを、テーピングで正しい皮膚の動く方向性を出してやり、悪い癖や動きを矯正するという物。

皮膚の動きの原則というのがあるとの事

・シワが寄る所から、皮膚が突っ張る所
 に向かって皮膚は移動する
・動かしにくい箇所周辺の皮膚は動きが
 小さい
・高齢者より若い人の方が動きは大きい
・皮膚の動きを補助すれば関節や筋肉の
 動きはよくなる

なるほど。

これは面白い手法です。
手軽だし、実際に自分で色々試してみたくなりました。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る18 断熱レベル設定

実際の家創りでは費用対効果を考えながら、どういう断熱レベルにすべきかを決めて行きました。


地理的条件も考えながら、パッシブハウス的効果を得られるギリギリの線を探がします。


日本国で推奨されており、2020年から義務化がされる次世代省エネ基準という物があります。

南関東ではQ値=2.7,UA値=0.87という物。これは、過去の断熱基準よりも厳しくなっていますが、世界の常識から比べると恐ろしく甘い数値と言えます。


例えば、米国でそれに相当するのはQ値=2弱となります。日本では東北基準でQ値=1.9です。
ドイツはもう少し寒い国なので、南関東と同じ条件地域はありませんが、Q値=1.49というのが義務化されていると聞きます。


こういう日本の状況を憂えて、業界でHEAT20という自主尺度も作られたとネットで知りました。G2というのが目指すレベルとの事。
私の土地の場合はUA値=0.46(Q=1.6相当か)になります。


日本は住宅の断熱レベルという事では世界に何歩も遅れを取っていて、将来日本ももっと厳しい方向に規制が動く事になると思います。


特に2020年以降は、断熱が悪いと中古価値も損なわれる事になるでしょう。
逆に断熱レベルが高い家は、リセールバリューも高くなるのではと思います。


一方、パッシブハウスで要求される断熱(家丸ごとを1台のエアコンだけで快適に暮らせる)はかなり厳しいレベルが要求されますが、各階1台のエアコンで快適に暮らせるレベルというのは東京地区で第1種換気ではUA=0.47という事が書かれた本を見つけました。
40坪の家で、南面に大窓・軒がある前提です。


次世代省エネ基準では北海道仕様がUA値=0.46に合致します。


という事で、北海道仕様レベルの断熱とパッシブ手法で作れば私の所では良さそうだというのが目標になりました。