2018年12月25日火曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る27 体感温度という観点で

室内環境の作り込みに関しては、室温と体感温度の違いを意識して、抜けが無いかを確認すると良いかもしれません。


体感温度は衣服以外に、室温(気温)、風速、湿度、輻射熱(壁。床、天井、窓ガラスやサッシの表面温度、日光)によって変わると言われています。


ネットでは(室温+壁の温度)/2が体感温度という表現を見ます。これが正確なのかは分かりませんが、壁・床・天井・窓のしっかりした断熱が基本事項になります。その上で、窓から差し込む直射日光を受ける所は、冬は陽だまりの暖かさが感じられます。


湿度は汗の蒸発に対応するので、低温時に乾燥しているとより寒く感じますし、高温時に湿度が高いとより暑く感じます。よって、冬は乾燥しすぎない様に、夏は高湿にならない様にする事が重要です。


風は、窓からの風はどこから入って、どこに抜けて人に当たるかをチェックします。
家の外で吹いている風を取り込む場合と、外は風とは関係なく屋内で温まった空気を2階の北窓から逃がして、それを補う様に1階の窓から外の空気を取り込む(重力換気と呼ぶ人もいる様です)ことで作る風があります。

又、窓を閉め切っていても屋内での対流による風(コールドドラフトや暖房や空調による空気の動きなど)が起こらないか、起こるとしたらどこかをチェックします。


体感温度とイコールではないかもしれませんが、熱中症警告に使われるWBGT(暑さ指数=湿球黒球温度)という指標もあります。温度、湿度、輻射を使った指標なので、温度計値や相対湿度よりも、より体感温度に近い動きをする指標と言えそうです。
生活上は室内でもWBGT値は気にしておくのが良さそうです。

2018年12月24日月曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る26 容量(熱、調湿)を上げる

今まで、断熱や通風について書いてきましたが、温湿度を安定化させるためにもう一つ手を加える事ができればもっと良くなります。


それは家の熱容量や調湿容量を増やす事。
容量とは貯蓄しておける量の事。


例えばバケツに開いた穴から水がもれるとバケツの水位はどんどん下がっていきます。でも同じ大きさの穴が風呂桶に開いていて、同じ量の水が漏れて行っても、風呂の水面は非常にゆっくりとしか下がっていきません。
これは、出入りする水量に比べて貯蓄してる総水量が大きいので、全体のレベルは変動を受けにくくなるという事です。


これが、熱に関しても、調湿に関しても起こります。


熱容量というのは蓄熱可能量という言い方でも良いかと思います。石造りや土壁などは温まりにくく冷めにくい熱容量の大きな物質です。物質の種類毎の比熱に質量を掛けたものが熱容量になります。よって、比熱の高い材料を使えば容量を上げる事ができます。

残念ながら、木材はそれほど比熱が高くありません。書籍等では土間を作れとか、家の中に石壁を作れば、、などというものがありますが、皆がそれを作れるわけではありません。


調湿に関しても、調湿できる容量が多ければ湿度が安定します。又は、乾いたり湿った空気が外から入って来ても、窓を閉め切れば自然にマイルドな湿度状態に調整されていきます。これも、調湿力のある建材ができるだけ部屋の空気に近い所に多くあれば良いという事になります。


この二つの容量アップをあまりコストを掛けずに標準的な材料でできないかと考え、(湿気の)吸放出せっこうボードを通常のせっこうボードの上に2重貼りする事にしました。吸放出ボードが室内側にきます。


石膏ボードは安い一般建材ですが、比較的 比熱が大きく質量もある。又、その中で吸放出ボードという種類も標準的に売っています。
石膏ボードの2重貼りは大工さんからみても違和感のない作業ですのでコストパフォーマンスが高いと言えます。


これを付加する事で、単なる北海道仕様より少し快適性を向上させられる事が期待できます。デメリットは壁厚がその分厚くなります。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る25 高断熱の具体化7 玄関と勝手口

窓と同様に、外と出入りする所として玄関ドアや玄関窓と勝手口ドアがあります。

これらは面積も大きく、断熱を忘れてはいけません。

とかくデザインで選んでしまいがちな玄関ドアですが、玄関ドアにも断熱ドアというグレードがあり、断熱力を見ながら選ぶ必要があります。

ただし玄関室という感じに、内側にもう一つ戸を設ける場合は、それが簡易エアロック的な働きも期待できるので、それも併せての断熱レベルを考えても良いと思います。


勝手口のドアも同様色々な種類がありますが、こちらは通常のドア以外にガラス戸や通風ドアという選択もあります。

台所は窓が少ないので、通風ドアは採光と通風を自在にできるという意味で便利です。


但し、通風ドアは断熱性が少し落ちます。今は 進化しているかもしれませんが、その時はハイブリッドサッシの物しかなく、それでは北海道断熱レベルには届かない可能性があります。

その場合は、そこの内側にハニカムスクリーンという断熱カーテンを付加して総合の断熱性を確保するという事が考えられます。


テラスドアも同じで、断熱性能に注意して選びます。通風でなければ高断熱のドアが用意されています。

2018年12月22日土曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る24 高断熱の具体化6 窓

窓カタログを見ると色々な形に目が行きます。
メーカー側は一生懸命断熱性能を説明しようと書いていますが、なかなか分かりずらい。


アルミサッシの引き違い窓しか使った事が無かったのですが、タテすべり出し窓、ヨコすべり出し窓、上下窓など、色々な種類があるという事に驚きました。


ショールームに何回か行く内に、だんだんとそれぞれの特徴が見えてきます。
カタログも、細かい文字で書いてあるガラス性能表などのページも大事だという事が分かりました。


ショールームには冬や夏をシミュレートした各種窓の実演サンプルが並んでいます。
それ以外にも、騒音をどれだけ抑えるのか、網戸はどうやって取り外すのか、オーニングはどんな感じか、勝手口用のドアはどんな具合、玄関ドアはどういう種類があるのか、雨戸やシャッターはどれぐらいの速さや重さで開閉する事になるのか等と見所が満載です。

例えば、冬の寒さをどう遮れるのかを実演している窓を良く見ると、YKK AP型番で言って310と330では断熱性が相当違う事が実感できました。けれども、330でも仔細に見るとサッシの下の方では少し冷たさが伝わっていました。これが430になると冷たさが全く無くて、ナルホド違うと感心しました。


網戸の開け閉めをしなくても良い窓には、オペレータハンドルのすべり出し窓という物があります。


窓カタログには、断熱性以外に遮音性というのが仕様欄に書いてあります。
窓の大きさもタテヨコの組み合わせで出来ないものがあるのは要注意。使えるガラスも真空トリプルが選べるものと選べないものなどの注書きもされています。


ガラスは、可視光透過率というのがどれだけ透明で明るいかという事を示し(数が大きい方が透明)、熱貫流率で断熱性能熱が出ています(数が小さい方が熱を通さない)。


たてすべり出し窓は外の風を取り込むのが得意だが雨が吹き込むかもしれない。よこすべり出し窓は多少の雨が降っても入ってこないが、風は取り込みにくい。
430は断熱性能は良いが、選べる窓のタイプは少ない。


等々。 とても1回では理解できません。
説明員の方に教えていいただくのが良い様です。

窓は本当に重要なので、適材適所を慎重に選ぶ必要があります。

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る23 高断熱の具体化5 窓

窓は方角ごとに考える必要があります。


南は、パッシブハウスコンセプトでは冬は太陽熱を取り込む重要ポイント。夏はその逆に太陽熱が入らない様に考える必要があります。

ここは冬をベースに考えます。夏の日射遮蔽は色々なやり方が考えられますから。
基本は、大きな開口面積になる様に窓を配置します。そして、ガラスは日射熱取得型のLow Eタイプ。


同時に、夏の日射遮蔽はどうするかも考えます。ポイントは窓ガラスの外側で日射遮蔽する事。窓の内側で遮蔽しても熱は家の中にこもってしまいます。

方法の第1は庇や軒、ベランダなどで直射日光が部屋に差し込むのを防止する事。

どれだけの長さの軒や庇を出したらよいかは、緯度から計算する事もあるでしょうが、私の場合は、家を建てた場合に差し込む光の具合を丸清さんがシミュレーション映像で見せてくれました。

春夏秋冬の朝から夕方まで時間毎にどういう光が各部屋に差し込むのかを何度も何度も見ました。冬の陽がどれだけ部屋の中の方まで差し込むかも重要なポイントです。
又、構造的に出せる軒や庇の長さはここまでという条件もありますので、それを勘案しながら決めていきます。


物の本には、夏至の日中太陽高度がこの角度だから軒はどれぐらい、、という様なロジックで書かれているのも多いですが、夏至以外、真昼以外の太陽はもっと低い高度からの陽射しになりますので、それだけ考えていてもナンセンスと思います。

斜めからの光の遮蔽には、庇等に加えて、スダレやシェードを掛けたり、ヨシズ、又は、緑のカーテンも良いです。


東と西は”朝日”、”西日”が射し込むので、これも気を配る必要があります。
朝日はすがすがしい印象。西日は暑いという印象がありますが、現実は朝日も西日も差し込むエネルギーは同じ様な物です。

南と異なるのは、光が絶対に横から差してくるので軒や庇では防御できない事。
一方で、隣家の影も大きく影響しますので、隣家の影もいれたシミュレーション映像を見ながらどの位置に窓を設けるか考えていきました。

良く言われるのは、西の窓は小さく、少なくする方が良いという事。昼間で温まった部屋に、さらに西日のエネルギーが射し込まれると暑く感じます。高断熱の家ならば、東も西も日射遮蔽型LowEガラスがお勧めです。


北は、一番 明るさ等が安定している方向。
明り取りなどに北窓は使えます。又、排熱口として2階の北窓は重要です。出来るだけ高い位置に窓を持っていくのが良い様です。それによって明かり取りにも、排熱にも良い働きが期待できます。
1階の北窓は日陰の涼しい空気を夏には取り入れられるかを考えます。


あと、方角ではないですが冬に関しては、コールドドラフトというものも考える必要があります。例えば階段や吹抜けの上の大きな窓など、冷気が入ってきて冷たい空気が降りてくるという現象。
これがあると冷たい風が室内に入ってきてしまいとても気持ち悪い様です。
そいう所は、もう一段断熱性能の高い窓にしておくのが良さそうです。

2018年12月20日木曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る22 高断熱の具体化4 窓

窓メーカーもこの数年でかなり断熱化に舵を切ってきた様で、だんだん世界並みの高性能窓の方向の商品が出始めてきているとの事。


断熱に関連する事としては、LowEガラス、ペアガラス、トリプルガラス、真空ガラス、封止ガスもアルゴンだクリプトンだと色々なワードが出てきます。
従来からある、二重窓(内窓)という物もあります。


最初はペアガラスと二重窓の区別が良く分かりませんでした。複層ガラスという言葉も出てきます。ややっこしいです。


サッシにもアルミ、ハイブリッド、プラ、木製と種類があります。サッシとガラス種(含むLowEコート)とガラス間のスキマ間隔、封止ガスの種類などの組み合わせで性能が変わります。

サッシの断熱性は、熱伝導率の順番で木、プラがハイブリッドやアルミよりかなり良くなります。


ガラスは間に空気層をどれだけ作れるかという事がキーで、シングル、ペア、トリプルガラスの順で断熱が良くなります。
トリプルやペアガラスは同じガラス厚でも空気層の厚みが厚い方が断熱が良く、空気層よりもアルゴンガス層、クリプトンガス層、真空の順で断熱が良くなります。


二重窓はガラス間の空気層の厚みが大きくとれるので有利。でも、開け閉めは面倒。
又、トリプルガラスなどになるとガラスの総重量が重くなり、窓の開け閉めが重い。


LowEガラスは熱の放射を通したり反射させたりして、外からの熱を取り入れるタイプと、できるだけ取り入れたくないタイプの2種類があります。


断熱という見地で最も有利なのは木製サッシ+トリプルガラス(LowE)+真空+二重窓化となります。


日本の窓の標準品としてはYKK APとLIXILの売っている物が流通量が多いと思いますので、この2社の窓を見に行きました。


カタログ上の性能は、両社ともかなり高性能の窓を用意しており、あまり優劣がつきません。でも、実物を見ると網戸に関する考え方がかなり両社で異なっており、私にはYKK APの方がメンテ性も良いと感じられたので、YKK APの窓で検討を進める事にしました。


YKKには430シリーズという超高性能を謳っている物と、330シリーズというプラサッシの普及高性能窓、ハイブリッドサッシの310シリーズなどがあります。性能が上がるに従い値段も上がります。特に430はまだ流通量も少ない様でした。


北海道仕様の断熱レベルを持たせるのに、必要な最低レベルはどこか?という観点で調べて行き、330シリーズのペアガラス、中空層16㎜、アルゴンガス封入、LowEというものをベースに考えて行く事にしました。
場所によっては、他のグレードも組み合わせます。

2018年12月19日水曜日

【家 住み手が書く】爽やかで、頼もしい家を創る21 高断熱の具体化3 窓

窓を考えました。家創りの中で窓が最も頭を悩ませた所です。


熱が外に逃げるのも、外から入って来るのも窓部分が最も比率が大きいと言われています。実際、以前住んでいたマンションのアルミサッシ窓は、冬は窓際だと寒さを感じて近寄りたくないと思っていました。


又、窓は明かり取りのキーになります。
さらに、風の取り込み、風景(インテリアの一つとしての借景)、プライバシー保護。
そして、窓と玄関は防犯上の最大ポイントであり、災害時の避難経路としても見る必要があります。
外騒音の防止や、楽器などの家の中からの音の洩れも窓がキーになります。


窓は1つで何役もさせなければいけないので、本当に難しい。
でも、家の快適性の成否は窓に大きくかかっていると思います。


YKK APやLIXILのショールームに何度も通い確かめながら、少しずつ勉強していきました。