2018年1月30日火曜日

【本】コンクリート なんでも小辞典 ブルーバックス 講談社BOOK倶楽部

コンクリートは、よく聞く名前ですが、どういう物なのか、実は良く分かっていませんでした。

固まるしくみから、どうして強くなるのか。

何となく、水で練って流し込んで乾燥させると固まるという印象をもっていました。
でも、乾燥だと雨で濡れるとどうなっちゃうの??  何も分かっていなかったという事ですね。

この本を読んで、コンクリートは水和反応という化学変化で固まるという事が分かりました。だから、反応をしっかりさせる為に、コンクリートを打ったあとはなるべく湿気を増やしたり、水分が乾燥しない様に気を付けるとの事。印象と正反対でした。

面白いと思ったのは、鉄筋コンクリート。
普通は、全く性質の異なる物質は温度変化も違うのですが、鉄筋とコンクリートは熱膨張率がほぼ同じなので、温度でダメージは受けないとの事。感心しました。

日頃 建設現場を何気なく見ていましたがこれからは、コンクリートをどう扱っているのか、興味深く見る事ができそうです。

2018年1月21日日曜日

【本】ナノカーボン ナノ学会 近代科学社

木炭や活性炭、カーボンブラックなどの昔からの炭素の活用がありましたが、20世紀後半は炭素繊維や生体用カーボンなどのニューカーボンの世界が広がり、さらに21世紀に入ってナノカーボンという世界が追加されつつあります。

ノーベル賞の頃は、フラーレン、ナノチューブ、グラフェンなどの単語がニュース上を舞いますがそれらはその後どうなっているのか?

フラーレンはサッカーボール型のC60が有名で誰でもその絵を見たことがあると思います。
でも、今はあまり話を聞かない。

世界的には5年程で研究者がナノチューブに移ってしまったとの事。
ただし、日本では地道に研究を続けている方がおり、人工光合成など色々な成果が生まれそうになっている。

グラフェンは炭素の薄い原子1層の膜。
黒鉛をセロテープで剥がしたら1層を作れたという事で、色々と実験が出来る様になった事で研究が進んでいる。

その膜の端面についてがホットな話題との事。

膜の端と端を繋がったのがナノチューブだし、丸く繋げたのがフラーレンといえる。

もっと複雑な形としてエキゾチックナノカーボンという世界も出来つつある。ピーナッツみたいな形など面白い形も。

そして、爆轟法ナノダイヤモンドという量産可能な方法が出てきて、注目を浴びているとのこと。

炭素は基本的な元素ですが、これほど次々と新しい面を見せてくれるものも珍しいもの。

これからも、まだまだ発展していきそうです。

一つ面白いなと思ったのは、サッカーボールを何重にも入れ子にしたようなカーボンナノオニオン。

応用として太陽熱貯蔵に向いているとのこと。

「直径ミクロンオーダーまで成長させた結晶性カーボンナノオニオンは、黒色のサラサラした粉末で、太陽光を広い波長範囲にわたってよく吸収すると予想される。常温付近で、ナノオニオンの内部回転自由度が失われ、振動の自由度はもともときわめて小さいので、太陽光を吸収すると光エネルギーは効率よく電子励起エネルギーに変換される。
低エネルギー3重項準位が無数に存在するので、膨大なエネルギーを貯蔵することができる。」

これを練り込んだカーテンで、冬の昼の熱を夜まで溜めておけるようになると使えそうですね。

2018年1月19日金曜日

【音楽】たまに聞きたくなる曲

いつもは、通勤帰りの電車の中は本を読んだり、スマホでニュースを見たり、調べ物をする事が多いのですが、疲れた1週間が終わる金曜日の帰りには、たまに音楽を聴きたくなる事が年に数回あります。

今日がその日になって、ユーチューブで懐かしい曲をいつの間にか聞いていました。

・タニア タッカー
  Hello, Mr.Sunshine
・イングランド ダン&ジョンフォード
  Keep your smile
・ドナ サマー
  Hot stuff
・トワエモア
  虹と雪のバラード
・カーペンターズ
  ベストアルバム

ジャンルもゴチャゴチャでとりとめの無曲の集まりですが、私にとっては学生時代に自宅でピアノを叩きながら歌った思い出の曲達で、それを聞くとホッとしました。

リラックスしたい時に聞きたい曲は人それぞれだと思います。

もっと色々な曲を演奏したりしていたのですが、なぜかこれらが無意識に登ってきました。

きっと、私の心の波長と共振する部分があるのでしょう。

面白いものですね。

ああ、そういえば アレも久しぶりに聞いてみたいなと探して聞いたのは、

・ナンシー シナトラ
  These boots are Made for Walkin'

前にも書いたかもしれませんが、ベースがこれほど主役を張るポップスを知りません。
私の青春時代よりも前の歌手ですが、ラジオ英会話の中で曲がかかり、とても興味を持った1曲です。

なんとなく、豊な気持ちで帰宅できました。

2018年1月8日月曜日

【本】体にいちばん快適な家づくり 岡本康男 講談社+α新書

この本は2004年発刊ですので、13年も前に書かれた物です。
でも、今 時点で最新本ですと言われても通用する様な内容です。

技術や物理をしっかり分かった人が書いているなと感じられます。著者が工学部出身という事で合点がいきました。

狭い自分の経験やアイデアの中での話ではなく、科学的(物理的)にこういう理由でこう考えるという事がフラットに分かり易く書かれていて、しかも、今ホットな話題になりつつあるパッシブハウス的な内容も実体験して織り込んでいる。
素晴らしい先覚的な本だったのだと思います。

勿論 細かい点では、この10年で建材や窓も進化していてズレている所はありそうですが、基本の考え方は現在でも納得がいきます。

ハイブリッドソーラーシステムのフランチャイズをされている協会の会長さんという事なので後半は、それの優位性の説明が多くなるのは仕方ありませんが、ハイブリッドソーラーというしくみは、工学的にも良く考えられたシステムに思えました。

(太陽熱温水器や関連設備にも寿命はあると思うので、そういう意味でライフサイクルコストはどうなのか?という素朴な疑問はありますが)

新築を考えられている方は、一度 読んでおくと取れた家造りのポイントをバランス良く理解する事ができると思います。お勧めの一冊です。

2018年1月7日日曜日

【住宅】日本民家園

川崎市にある日本民家園という古民家を集めた野外博物館に行きました。

3つ程、面白い話を聞けましたので記します。
茅葺の古民家が沢山展示されています。又、幾つかは囲炉裏に火を燃やして、上がり込んで温まる事もできて、その民家が活躍していた時を感じる事もできます。

①屋根に花が咲く
江戸末期に日本を訪れた外国人の手記を見ると「江戸の町は清潔で美しい。日本人は庶民も皆花を愛でる人種だ。屋根の上にまで花を咲かせている。」という様な趣旨の事が書いている人がいます。

屋根に花? 少し前に流行った屋上緑化??
と少し不思議に思っていましたが、今回茅葺屋根の構造を学習して合点がいきました。

茅葺屋根は三角屋根のてっぺんの所は両側から積んできた茅の穂を織り込んでつなぐのですが、そこがほつれたり、雨に耐える様に棟というカバーをします。

棟の作り方は地方により色々あるとの事ですが、その中に、芝をはって菖蒲を植えるというのがあります。

芝の根が深く茅葺のなかに降りていく事で茅がほぐれてしまうのを止めるとの事。
菖蒲も同じ狙いです。屋根の上に植物を意識的に植える。よって、花も咲く。

②雪国の冬は、家の外壁の周りに茅で外套をまとわせる。厚さ10cmぐらいの茅の壁を作って、家の外壁との間の空気層もあるので、断熱と雪の吹込みを防止するとの事。

季節に応じて、付加断熱をしたり外したりする。
パッシブライフをしていたんですね。

③越中五箇山の秘密の塩硝
豪雪地帯にあった合掌造りの家は、高床になっており、囲炉裏の床下は土管の様な物が地面まで降りている。
当時、その家(村)では、囲炉裏下の地面を掘って、そこにヨモギや麻の葉、蚕のフンなどを混ぜて埋めて発酵させて、塩硝という火薬の原料を作っていたとの事。

特別なバクテリアにより、堆肥ではなく塩硝が作れるとの事。

この塩硝作りは、極秘の仕事でよそ者が来ない様に人里離れた隠れ里で作られていたとのこと。

鉄砲の火薬作りは、信長、秀吉、家康が独占していたとの事だが、加賀藩は独自にバクテリアを入手して隠れ里で塩硝を造り、それを城にて炭等と混ぜて黒色火薬を作り、裏で商売していたとの事。
加賀百万石はこうして作られたらしい。

ちなみに、秀吉は刀狩りはしたが、鉄砲狩りはしなかったので、当時の日本の各地に鉄砲は沢山出回っていたとの事。
それらに、専売の火薬を売って儲けようとしていたのだろう。

隠れ里にするために、川にも橋は掛けずに、渡る時は粗末な籠に人を載せて手動ロープウエイ方式で一人一人運んでいたとの事、その籠の展示もありました。


古民家も、そこに当時暮らしていた人達の事をリアルに想像しながら見ていくと、とても面白いものでした。

2017年12月30日土曜日

【本】エコ・プラント B.C.ウォルヴァートン 主婦の友社

NASAが宇宙船や宇宙ステーション、宇宙基地等の密閉空間で生きていく為に、室内環境の汚染を植物で浄化できないかという事を研究してきています。

その研究を行ったのが、著者の博士。

研究の結果、植物の種類によって驚くべき効果を発揮するものがある事が分かりました。

検討した50種類の植物各々に、
 ①気化化学物質(VOC)の除去
 ②栽培・管理の容易さ
 ③害虫に対する抵抗力
 ④蒸散作用率
の4点を10段階評価して点数付けを行っています。

総合点の1位はアレカヤシ(コガネタケヤシ、ヤマドリヤシ)。
4項目の平均点が8.5の高得点です。
総合点の高い順には
カンノンチク、カマエドレア・ザイフリッ
ツィー、インドゴムノキ(ゴムノキ)と
なっています。

①と④に注目した場合、その両方で8以上を得
ているのは、
カマエドレア・ザイフリッツィー
ボストンタマシダ
ネフロレピス・オブリテラータ
アレカヤシ(コガネタケヤシ、ヤマドリヤシ)
ポットマム
ガーベラ
になっています。

これらは、観葉樹として自宅にも、贈り物にも良さそうです。

ちなみに、数字で示すと

      ①   ④
アレカヤシ 8   9
ポトス   5   7
シクラメン 3   5
コチョウラン3   3

になります。


ヤシとかシダとか、熱帯や亜熱帯で高い木の下であまり陽の当らない所で苦労してる植物達との事で、色々な技を身に着けている様ですね。

アレカヤシ4鉢あれば加湿器いらずという書き込みもどこかで見た覚えがあります。
乾燥対策にも使えそうです。


脱線ですが、ネットを見ているとサボテンなどのCAM植物は、夜に酸素を出すのではという様な書き込みがありますが、日本植物生理学会での説明では、砂漠の過酷な条件では、二酸化炭素は夜取り込み、昼の光合成は酸素を出さない循環的電子伝達反応をしているのではとの事、但し、”少しでも水があり、気孔を開くことができる環境(早朝など)では、酸素を発生してNADPHを生産し、光合成CO2固定の増加を図っていると思われます。”とのこと。

日本で育てるなら、過酷な環境ではないと思うので、昼の光合成時に酸素を出しているではないでしょうか。
蛇足でした。

2017年12月29日金曜日

【本】ファーブル博物記 植物のはなし 岩波書店

樹木や植物について、私はあまり分かっていないな、、と思う所があり、表記の本を手にとってみました。

実は、ファーブルは生まれて初めて読みました。
勿論「昆虫記」という超有名な本がある事は知っていましたが、昆虫にあまり興味の無かった私はそれも読んでいませんでした。

今回、植物の全体像が平易に分かるのではと期待して読み始めたら、面白くて、とてもスゴイ本だという事にビックリしてしまいました。

ファーブル本と小学生の時に会っていたら自然科学者を目指していたかもしれないなと思います。

生物の時間に植物について、師管や導管、被子植物や光合成など、部分部分の用語と話しは習って、受験用にも覚えた記憶があります。
又、街の本屋で良く売っている植物に関する手軽な読み物は、ちょっと変わった植物の話 等が多いです。

でも、この本は植物の「生き方=人生?」を説明してくれています。

医学書を読んでも、人間がどう生まれて成長して、先祖と関わりを持って次世代につないでいくのか等の人生は分かりませんが、それと同じ感じでしょうか。

私の中で、今までボンヤリと理解した積りになっていたが、この本でスッキリ腑に落ちた事をいくつか書いてみます。

幼児用の絵本では、一本の大きな木は幹に顔が書いてあって、葉っぱは髪の毛の様な絵が多いので、なんとなく樹木は一本で一つの生命個体という印象を持たれているのではないでしょうか?

ファーブルに依ると、樹木は枝一本一本が個体であり、樹木はサンゴの様に沢山の個体が集まった集合体であるとの事。

枝の元は芽なので、芽が一つづつ個体で重要。

種から芽を出して幹(最初の枝)を作り、そこから又 芽を出して枝を作っていきます。

植物は地下から水分と微量栄養分を吸い上げて、葉で太陽光と二酸化炭素を使って化学処理して、植物にとっての栄養食(=樹液)を作り、各葉、枝の樹液を下に流しながら、幹や根を成長させると共に、フィトケミカル(合成物)も作っていきます。

毎年 新しい枝を作り新しい葉を茂らせ、古い枝は葉を付けなくなり世代交代を行っていきます。

幹の真ん中は古い世代ですので、死んでいくのですが、それを柱としてその周りに新世代の層を毎年作っていく。

芽にも、枝を作り葉を茂らす役目の個体もあるし、花(=種)を作り違う土地に拡散していく為の役目の個体もあります。

そうやって、脈々と繋がって行く。
昔の日本の「家」制度の様な気もしますね。

この枝=個体 という考え方は、(以前神津さんの本の記事の時にも書きましたが)桜の開花が枝毎で違っている事と合致します。 ナルホド。と思いました。


別な話では、品種改良。

人間は、野生の植物を人間の役に立つように品種改良を重ねて現在の色々な果樹などが出来ています。

これらは、基本 挿し木や接ぎ木で増やれているとの事。その方法ならば、クローンと同じように元の木の性質をしっかり再現できるから。

それを、種を用いて植えなおす事を重ねると、木はどんどん先祖返りをして野生に戻ってしまうとの事。


酸素の話。

植物は昼は酸素を出して、夜は二酸化炭素を出すと学校で習いました。

それは、どうしてか?

酸素は光合成という仕事をした時に造られる物なので、光が当たっている時にしか発生しません。

一方、動物と同じで植物も生命活動をする為のエネルギーは酸素を燃やすことで得ています。

よって、夜中でも植物は酸素が必要になります。でも、光合成で作られる酸素の量の方が、生命維持で必要な酸素の量より少ないという事。

食料を作ってくれる農家の方も、自分の作業エネルギー用に食料を食べるというのと同じですね。

他にも、色々な事が詳しく平易に子供にも分かり易い様に書かれています。

ファーブルを読んだ事が無い方には、ぜひお勧めの1冊です。