2016年6月11日土曜日

【本】どうなってるの? ニッポンの新聞 池上彰 東京堂出版

自ら新聞大好き人間と言う池上氏がニッポン
の新聞の内幕やジャーナリズムについての
意見を書いた本です。

朝日新聞の問題や、なぜ、読売と朝日は
全く違う事を書くのか、、など。

いくつかポイントと思った点を書いてみます。

まず、昔(昭和の真ん中頃)はどの新聞もほぼ
同じ内容の紙面で、どれを買っても同じと言わ
れていました。各新聞社の主張は社説の所だけ
で表現されていました。

当時は、ネットもなく、TVでもニュース番組
は殆ど無かったので、事実や事件などを伝える
のが新聞の第1の意味だったから。
(そう言えば、NHKが磯村アナをキャスター
にしたNC9というニュース1時間番組が出来
た時には、大変に新鮮に感じた事を思い出しま
した。今では考えられませんね。当時は新聞に
書かれている事は、真実なのだと子供心に信じ
ていました)

今は、ネットやTVでニュース自体は知る事
が出来る世の中になったので、新聞は紙面全
体でカラー(論調)を出すようになってきて
います。

(昔から取っている新聞 読売とか朝日とか
毎日とか、、を習慣的に取り続けている家庭
は多いと思います。レイアウトなどが読み慣
れていますから。又、新聞を他紙に切り替え
るのは面倒でもありますし。

でも、子供の頃の感覚で、新聞を読んでいる
とトンデモナイ偏った見方になる時代になっ
ている事をしっかり意識している人はどれだ
けいるのか、疑問を感じます。

子供の時の様に、新聞に書かれている事は
正しいハズとして読んでいると、紙面全体
でカラーを出す(どの事実を取り上げ、意図
的な編集をして紙面が作られている)今の
新聞では、新聞社のカラーに知らない間に
染められてしまいます。 これは恐ろしい
事ですね)

各新聞社の論調は、新聞社の社内権力図に
によって変わるもの。例えば、読売新聞は
自民党の政治家と深いつながりを持つ渡邉
氏がトップになって、明確に権力寄りの
論調になっています。

論調は新聞社内で指示が出ていなくても、
現場記者が社内の空気を読んで、自主的に
記事の取捨選択や表現を変えるという事が
起こっている面もあります。(サラリーマン
ですからね。。)

新聞は各社 カラーを出す事は可能ですが、
TVは中立でないといけません。

電波は使える周波数帯が限られており、そ
れを警察や消防などと分け合って使ってい
る=国民の資産を使っているので、中立を
維持する義務があります。

端的に表れているのは、新聞では編集委員
という人が社説を書きますが、TVには
編集委員はいません。その変わり解説委員
がいて、解説をしています。

新聞が守るべきは日本新聞協会が定めた
「新聞倫理綱領」ですが、放送には放送法
があります。

自民党や政府が、放送局の幹部を呼びつけ
て色々言った事が数年前にありましたが、
放送法は「放送責任は法律で定める権限に
基づく場合でなければ、何人からも干渉
され、又は規律される事がない」となって
おり、自民党などが事情聴取をした事自体
が法律違反の可能性が高いのです。放送法
は時の権力からの干渉を防ぐ事を目的とし
た物です。

(但し、現状のTVを見ていると、明らに
放送局でカラーを出している様に見えます。
現実は、どんどん理念から捻じ曲げられて
きているのでしょう)

「国益」「売国」などという言葉を紙面で
使うメディアもあるが、それらは言論封殺
の為の言葉で、メディアが使うべきもので
はありません。

「愛国報道」は発行部数を増やせて経営的
には大成功なのでしょうが、報道メディア
として守るべきは客観スタイルです。

「世論調査」も良く報道されますが、これ
も質問の仕方次第で、都合よく結果の操作
が可能です。

新聞社はサラリーマン化しており、社員は
危険地帯に出せない。危険地帯の取材は
フリーランス任せになっています。

広告を出しているスポンサー企業との関係
は、表には言えないが 勿論 不都合な記
事への干渉はあっておかしくありません。

新聞記者いつの間にか「社会的エリート」
扱いされているが、本来は「キラワレ者」
であるべきでしょう。

紙でもWebでも、放送でも、ジャーナリズム
は、民主主義の底辺を支えるインフラであり、
それに徹する事が重要と考える。

とのこと。

ウオーターゲート事件やリクルート事件の時
に何が起こったのか、朝日新聞での騒動の内情
なども書かれています。


大筋は池上さんの意見にナルホドと思うのです
が、彼の新聞に対する結論は、「新聞を生かすも
殺すも、読み手次第なのです」という物には
普通の読者としては違和感がありました。

普通の家庭は1紙しか購読していないのですから。
作り手の都合を、読者側に責任丸投げしている
様に感じられました。

最近のパナマ文書なども、意図的なリーク情報
から始まった騒動ですので、黒幕による意図的
なメディア操作(メディア側もそれを分かっていな
がら)に世論が操られているのでは という不信
も感じます。

やはり、読者としては 自身の身を守る為に
も メディア情報を鵜呑みにしない、という
読み手次第 なのかもしれませんね。。。。

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